第8話 銀幕の女王 Reflection of Desire
脚本/Simon Mirren
監督/Anna Foerster
【ストーリー】
「人間性は葛藤の中から生まれる。だから全ての人間は闇を
抱えるのだ。自らそこへ飛び込むモノも居れば、引きずり込ま
れる者もいる。戦う者も。いずれにせよ闇は空気と同じくらい
自然に」存在する。誰もがいつかは真実と向き合わなくては・・
自分自身と。私には今日がその日」とガルシア。
レットとメイ・ウォルデンと共にケリーという女性をイスに
縛り付けて演技をさせようとしていた。ケリーは私をどうした
いのかとして問うと、レットは望みを叶えるのだという。名声
だと。人生で一番美しい瞬間の君を残そうとして写真を撮影
する。
ケリーはちゃんとやるのでチャンスを欲しいとするが、彼女は
レットによって眠らされる。気がつくとケリーは車の中に居て
袋をかぶせられて窒息死させられるのだった。
モーガンとプレンティスは雨の中、現場に行く。
クロフト刑事が担当の捜査官だった。最初は気がつかなかった
が、遺体の状態が酷かったという。写真は全身と上半身、
そして顔と口のアップを撮影して欲しいというモーガン。こんな
ことをするヤツのことなど理解したくないというクロフト。
君たちはこういう事件を多く見て居るのだろうと問う。
BAUの捜査会議。
被害者はケリー・ランディス。3日前に失踪し、2日前にローカル
新聞のジョージタウンモニターにこれが届いたのだという。
犯人からのもので世界に事件のことを知らせたがっているの
だろうという。その資料の下に「葛藤」と書かれたガルシア
のパンフがあるのをホッチは目にする。
遺体は何処で見つかったのかと問うと、ジョージタウンの路地裏
で夕べ遅くに発見されたものだという。モーガンたちが現地に
行っているとし、遺体の状態が特殊であることをホッチは語る。
ポーズを取らされているとし、左手を上に上げていること。
リードは取ったのは写真だけでなく唇を切り取っていること。
記念品なのかというロッシに対してリードは食べたのかもという。
ガルシアはそんなの聞きたくないとする中で、被害者は誰かの
身代わりだろうというロッシ。メディアを介して犯人と接触で
きるかもしれない事を語る。次があるだろうことをホッチは語る。
ニュースではテイラー・コンライトがFBI捜査官がこの事件の
捜査に乗り出すと報道する。
ワシントンD.C、合衆国議会議事堂・キャピトルヒル。
クロフトは勤続33年で引退2日前に初めて新聞に名前が掲載
されたという。しかも路地裏で惨殺された22歳の女の子と一緒
のものだという。発見者はホームレスだということ。被害者の
人物関係を調べる必要が有るとし、親戚や友人、同僚、恋人など。
写真が届いたとき誘拐の目的から、世間からの注目に変わった
のだろうというモーガン。異常な手口が注目を浴びたからだと。
しかしクロフトによると送ったものではなく新聞社に直接持ち
込んだものでそれも見られずに置いていったものだという。
今後マスコミの取材は受けないでくれとし、アダナなど犯人
に付けられると困るのだというプレンティス。手口がユニーク
でここにいるBAUのみんなも初めてだというモーガン。
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■今回の事件
ジョージタウンの路地裏で車の中で発見された女性の遺体。
窒息死させられて亡くなったものだが、遺体からは唇が切り取
られていて、性暴行の形跡がないことから、唇自体が犯人に
とっての記念品であり、性的欲求を持たすものだとされる。
被害者はケリー・ランディスというキャピトルヒル(アメリカ
合衆国議会議事堂)の女性職員だったことや遺体が異様な状況
だったこと。3日前に失踪し、2日前にはメジャー誌ではなく
ローカル誌のジョージタウンモニターに被害者の写真が送られ
て来ていた。そんな犯人の手口からすると、犯人は拉致してから
3日で被害者を殺害することが想定され、BAUの捜査が開始される。
■意外と分かりづらい冒頭の構成
ガルシアが突然何かの台詞を語るシーンから始まった今回の
エピソード。髪の毛の色とか歩き方や容姿というのは、今回の
犯人に取っては拘るべき前提として存在していた。
赤毛のガルシアに対して記者会見ではブロンドにしたり、演技者
としては黒色にしたりして自分は一体何者なのかということ
に対する迷走するガルシアの心情を表したかのような
感じにも思えるが、過去にガルシアがJJになろうとしたことへ
のアンチテーゼのような感じにも思える。
ドラマとしては、銀幕のスターであるマリリン・モンロー
を想定し、母親への複雑な思いを象徴していたのだろうけど、
BAUに限ってみればブロンドの象徴と言えば間違いなくJJだろう。
そして黒髪を象徴する人物と言えばプレンティスであり、今回の
ガルシアの七変化は、このドラマの女性陣を象徴していたよう
にも感じる。
赤い髪の毛をしたガルシアに対して、ロッシが「ガンバレ赤毛
ちゃん」と送り出すところが印象的だったけど、ガルシアに
対する要求に対して、「私はデジテル世界の巫女だけど神様
じゃない」と語るシーンもまたなんとも言えなかったね。
上述したように過去にガルシア自ら変わろうとして現場を取り
仕切ろうとした流れが有り、JJに変わって自分が彼女の変わり
をしようとしたことがあるけど、それが容易ではないという
ことを思わせるかの如く、今回はJJの変わりは居ないという
ことを示していた様にも思うが、逆に自らの殻を破るという
意味でも利用された感じ。
JJ不在の中でのスタッフの彼女に対する熱いラブコールのようで
如何にJJが愛されていたのかが伺える。
■犯人は有名になりたがる
犯人・レットは「プリズン・ブレイク」でおなじみの
Robert Knepperだった。
犯人が有名になりたがっているのか、それとも母親と似た女性
を連れてきては自分が彼女を有名にさせて、母親に対する
当てつけのような、そして認められたい思いというものを
描いていたようなちょっと複雑な描写があった。
記者に囲まれてレットカーペットに歩くことを夢に見ていた
のは息子ではなく寧ろ母親であり、息子を出産したことで
その夢を諦めざるを得なかった事情が有り、女優を諦めた
その後の人生は息子に対して責め続けていたであろうことも
想像に難くない。そんな息子がパーソナリティ障害者として
育ってしまったことも身勝手なもので、なんとも言えない
後味の悪さが残る。
■不可解な行動・謎の心理
どうも強引な流れやこじつけ的な流れも多かった今回のエピソ
ード。ロッシが冒頭で誰かの身代わりとして殺されたとした
のは、変装させられていたからそう感じたのだろうか?
メディアに公表するという行為自体は、如何にも有名になりた
くてしている行動のようで、これまでにもそんな心理描写は
刑事ドラマでは何度となく目にしているけど、メジャー誌では
なく地元紙に公表したのは何故なのか。
そして何よりも難しいのは、人混みで溢れる中で、どのように
して女性を拉致できたのかに於いてはかなりの謎が有る。
拉致から殺害に至る3日は演劇でいう所の3部構成だとしていた
けれど、そんな発想や傾向というものに犯人が拘っていたのか
どうかも正直よく分からない。ガルシアが被害者のメイクが
パール系ファンデの上にグリーンのパウダーを重ねていると
白く見えること、細く整えた眉にフラッシュローズのチーク
アイライナーはベッドルームアイというモンローのトレードマー
クだということを見抜いていた。
■リードくんの凄さ
犯人の口の中に何か有るのを見つけたリード。唇が切られて
いてBAU以外の人は当然ショッキング映像だったのだろうけど
ガルシアを除いてはみんな意外とケロッとしていた。
リードも顔を近づけて口の中に紙が入っているのを見つけて
いる。そしてそれが何かの文字だとした際に、オールドクーリエ
フォントだと見抜く姿。
拉致する際に使用されたものがクロロホルムだろうということ
で、トリハロメタンが検出された。ただこれを行う過程で
相当な目撃者が出るはずで、ちょっと考えづらいところがある。
誘拐されたであろう現場を見る中でじろじろと見て居たら目立つ
と語るリードに対して、ホッチは「今のお前みたいにな」と
語り、プレンディスからは「一瞬にしてIQ187から60に落ちた」
と揶揄されていた。そこまで言うか?みたいなリードいじり。
■女性の逆襲
アートギャラリー勤務の女性・ペニー・ハンリーが誘拐されて
一人目の被害者のケリーと同じようなことをさせられそうに
なる。ペニーは上手いこと言うことを聞く振りをして、レット
に頭突きを喰らわせていた。もっと致命的ダメージを与えてい
れば良かったのに・・。ただRobert Knepperさんが「プレズン
ブレイク」で受けた虐待的行動ってこんなものではなかったので
この人には鼻の骨が折れたくらいでは何の効果もないんだろうな
と思わせた。
■最後は賭け
WVDCニュースのテイラー・コンライトが妙に怪しい動きを
していたので何か有るのかなと思っていたのだけど、テレビ
を犯人が見て居るであろうことを前提に現在FBIが犯人の家に
向かっているようなことを告げ揺さぶりをかけた。
よく分からないのは何故そのまま逃げずに女性を無理にでも
殺そうとしたのかということか。
最後は完全に妄想世界に入っていたけど、最初から既に彼の
頭の中では居るはずもない母親の影に怯え、そして愛を
求めていたところが有った様子。
「愛のない人生は死んでいるも同然」という台詞はまさに、
それを象徴している様な感じだった。
■ホッチ役得
被害者の女性は犯人を怖がった為に、ペニーはホッチに対して
傍にいて欲しいと言われていた。救急車に同行する中で、
その後のことはみんなに任せていた様だ。
■使用された曲
・
■出演者
デビッド・ロッシ (Joe Mantegna) BAU創設に携わったベテラン
アーロン・ホッチナー (Thomas Gibson) リーダー
デレク・モーガン (Shemar Moore) 爆弾処理が得意
スペンサー・リード (Matthew Gray Gubler) ドクター
ペネロープ・ガルシア (Kirsten Vangsness) 解析
エミリー・プレンティス (Paget Brewster) FBI歴10年
メイ・ウォルデン (Sally Kirkland) 母親、元女優
レット・ウォルデン (Robert Knepper) 殺人鬼、
クロフト (Conor O’Farrell) 捜査官
ペニー・ヘンリー (Whitney Able) 誘拐される
ピーター・ヘンリー (John Kelly) ペニーの父
ケニー・ランディス (Kaitlin Doubleday) 被害者、唇を切り取られる
Dr.カーラ・ヘクト (Treisa Gary) 監察医
マーヴィン (Sam Scarber) ホームレス
テイラー・コンライト (Amelia Rose) キャスター
クラレンス (Stephen Simon) 俳優、ガルシアと共演
キアラ (Mackenzie Brooke Smith) 駅にいる少女
— (Jeff Boehm) リポーター
— (Jacob Diamond) リポーター
サリー (Jillian Nelson)
ロバート (Zen Gesner)
— (Ken Costanza) Security Guard
— (Travis Kindl) ND Cop
— (Stephanie Czajkowski) キアラの母
メイ・ロッカライク (Julie Berlin)