第6話 疑心の果てに Lockdown
脚本/Hank Steinberg
監督/Sergio Mimica-Gezzan
【前回までのあらすじ】
ワクチン実験用の猿を求めてニカラグアを向かったネイサン・
ジェームズ。ボートに分譲して川を遡りジャングルの奥地へ
いくと、そこにはエルトロと呼ばれる麻薬王によって築かれた
王国が有り、暴力によって支配し、市民を奴隷化していた。
やりたい砲台の暮らしをしており、その蛮行を目にしたマイク
やダニーは怒りが収まらず解放の為に集落に戻ると、彼らを
制圧する。エルトロは助けを求めてくるが、デルガドによって
殺され密林の王国は崩れた。
【ストーリー】
ネイサン・ジェームズ号に帰還したトムたちは消毒し、検査す
る。通信士たちはその間にも救難無線の声を聞いて、人々の
切なる声に耳を傾けていた。この船のみんなは世界がどうなっ
ているか知りたがっているというカーラはアリーシャにそれを
伝える。しかしどう答えれば良いのか彼女にも分からなかった。
生存者がいると教えたいとし、暗いニュースばかりで家族の消息
が分かれば本人に伝えるという。誰もか士官から聞く以上のこと
を知らないという。
猿の実験にすぐにかかるというレイチォル。トムは母国に引き
返した方が良いとして、マイクやジーターに話すと賛成だとい
う。そんな中トムはマイクが食事を食べていないことに気がつ
く。話を聞くとトムがクルーにどう話すか気になっているという
マイクとジーター。自分たちは詳細を伝える必要はないと考え
ていること。パニックを防ぐ為だとするが、トムは制服の血を
見られているのだという。しかしグアンタナモでも同じだった
とし、敵に出会ったことだけ話せばいいという。何を食べたか
とか病人たちと有ったことも黙って居るべきだとし、どのみち
救えないとし、クルーには事実は荷が重いというのかと問う。
マイクはそれらを背負うのは我々の仕事であり、テックスや
大尉達には何も口外しないよう話したという。みんな同じ意見
でメイソンにも同様に口外しないよう話したという。
不必要なことは兵士はしらなくて良いという。しかし普段ならば
それも同感だが、北極での4ヶ月の闇があったことで不信が募
っているという。我々も含めて騙されていたとすると、今隠す
とまずいというトム。しかしジーターは希望は必要だと語る。
レイチェルは実験する中、トムがやってくる。
複数の試作ワクチンを試しているという。北極の始原株、
エジプト株、スーパーウィルス株etc…。数十通りの遺伝子の
変異を重ねている事を告げ、どの組み合わせが有効かを探すの
がハーで、数時間から数日はかかるという。後は待つだけかと
すると基本的にはそうだと語る。
トムは通信機を使って総員に対して進捗状況を伝える。
トムたちがニカラグアの奥地への任務に際して、多数の民間人
と麻薬王と出会ったこと。集落で自活していたが、ジャングル
では感染者にも出会ったという。昨日までは救えなかったが、
34匹の猿を捕獲できたとし、明日に救えるかね知れないと告げ
ワクチンの実験に入っているという。今から帰国の道に入ると
してレイチェルが開発してくれるのを信じていると語る。
テックスと同部屋のダニー。
テックスは雑誌を見てカーダシアンしまいは痛いと語る。
ダニーに対してお宅は一途なタイプだろうとし、その女性に
手を出したに危険なので予めちゃんと教えてくれよと語る。
誰もが見て居て分かるとし、ダニーが愛しているのはイニシャル
がK.Fだろうと語る。ダニーは触れ回ったらただでは済まさない
とし、終わったものだとし、終わらせなければいけないと
自分に言い聞かせるのだった。
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■今回の任務
ニカラグア任務が終了し、艦長のトムは総員に事後報告をする。
閉鎖された駆逐艦内では外部との情報は遮断されていて、士官
たちの情報が全て。そんな状況の中で、クインシーが自分の
処遇問題を気にして、真実を盾にアメリカ到着までになんとか
逃げられないかと考えて、船員に対して真実という名の不安感
を吹き込んでいく。隠密な行動は次々と兵士たちの想像の中で
ふくらみ、その不安な気持ちがウイルスのようにして広がって
いくという皮肉を描いたエピソードだ。
■希望を持たせるつもりだったが・・
トムとしては不安に感じているであろう兵士たちに対して、
希望を持たせようとした為なのか、気の良いことを話してしま
う。ニカラグアで起きたことも嘘はついていないのだけど、
話さないという選択肢を通して、不要に不安感を煽らないよう
にする。
ニカラグアで捕獲した34匹の猿を使ってワクチン作りをして
いるとし、もうすぐそれが完成するので、それを見越して
アメリカ本土に向けて出発するという。
その発言が後々大変な事態を引き起こす。
■信頼・信用を築くのは難しい
一度信頼や信用を失うと取り戻すには相当難しいものがありそう
だ。今回はレイチェルとかクインシーなどの科学者と、兵士たち
の温度差というものを感じる流れが有ったけど、それを乗り越え
て協力することは可能なのか。ドラマとしては個人の問題を
取り上げたけど、最終的には兵士として守るべき国が崩壊しよう
としている時に、その国に対して忠誠・忠実さを誓えるものなの
かがテーマとして取り上げられる。
■小憎らしいクインシー
先日協力の見返りにクインシーは、ベーコンとチェスをする
ことが許されたり、ある程度日の光を見ることが出来るよう
になったけど、そんなベーコンが当初はクインシーのことを
まるで信用していなかったのに、彼が真実を語ることで、信憑性
があるのではないかという気になっていく過程が上手く
描かれていた。信頼関係を結ぶのは難しいという中で、
そんな信頼できないと思っている相手の言葉には耳に入って
いくという辺りがなんとも皮肉。
「何故艦長は船を泊めたと思うか?ワクチンの大量生産ならば
北米国に行くはず」(Q)
「ブラジルやベネズエラに行くのかも。ラボが有れば良いんだ
ろう。」(BACON)
「どちらもホットゾーンだ。致死率98%のウィルスが蔓延して
いる。プエルトリコにはいけないし、キューバの近海にはルス
コフと出くわす可能性がある。」(Q)
「何かがおかしい。レイチェルの実験は失敗している。」(Q)
「艦長は頑固者で自らの失敗を他人に押しつける。ロシア人
にワクチンの材料を分けるのも嫌がって無理矢理脱出を量り
あやうく船を座礁させ賭け、浄水装置を壊した。その挙げ句に
イカれたパラシュート作戦だ」と。(Q)
■真夜中のレイチェルの不審な行動
トムの発言は完全に先走っていた。
レイチェルは「実験の用意が出来ただけでワクチンが出来た
訳ではない。忍耐が必要だ」
ということで、トムに未だにワクチンが出来ていないことを
語り、寧ろ実験用の猿が次々と失い投棄するだけでなく、
実験用の猿もいずれ足りなくなり必要になってくるハズ。
有害廃棄物として投棄しているシーンを、コセッティとか
オコナーに見られてしまう。オコナーはギブソンなどに汚染
バックを捨てているのを見たことを告げ、その後トムが消えた
ことを語る。
更に運が悪いことに娯楽室にいたミラーとバーク、クルスたち
の目の前でグリーンが倒れるという始末。
バークってもう少し堂々としているかと思ったけど、意外と
柔いところがあるのね。
■ドック・リオスの行動も不安要素に・・・
下手に防護服を着てきたものだから、周りにいる兵士達に
対して不安感を煽ることになった。
レイチェルはそんなリオスの行動に対して、まるでバカじゃない
かという視線で、もしも本当に感染していたらそんな防護服
は関係なく我々が感染しているハズだという。
また搭乗した際に血液検査をして感染していなかったことを
説明するレイチェルは、空気感染や血液感染する病気ならば
とっくにみんなが感染している事を告げる。
しかし娯楽室に駆けつけたトムでさえもレイチェルの言葉を
信用せずに、ニカラグアでの病原菌は変異しているのではな
いかとして不安視していた。
「実験にはしくじっても、検査は100%自信がある」。
そんなレイチェルの言葉に対して、トムは信用せず、最悪を
想定して予防措置を執るということになる。
マイクに頼んでCBR防御、艦内閉鎖、防護服着用、区画の移動
をせずに全ハッチを閉鎖し、空調システムを停止させる様、
艦内放送で知らせることになる。
■ダニーの病気はデング熱
水分補給とアセトアミノフェンの投与で治療。24時間が山場
だろうとしていたけど、CBR防御命令が出たにもかかわらず、
ダニーの元にはカーラが駆けつけたことで、トムは二人の関係
を疑うことになる。
■兵士たちは下船を求めるものが現れる
コセッティを中心として16名が下船をしたいと申し出ていた。
その際クインシーは俺を連れて行かないと君たちは全滅する
と脅して、一緒に下船させようとベーコンを洗脳する。
オコナーとコセッティはミラーも仲間に引き入れようとして
いた。ミラーは国に誓ったことだとして下船しないことを
告げるが、お前の誓った国はみうないとすると、彼は仲間が
いる事を語る。
問題なのは彼らは任期満了で既に軍人ではなくなっていると
いう事実もまたドラマを複雑にさせた。このまま民間人を
力で留めておけばエルトロと同じだというジーター。
しかし16名は始まりに過ぎずそんな下船を許せば次々と船から
下りるものが出るとして心配する姿が有った。
そういうのも外の世界では何が起きているのは分からないのが
問題だったのだろう。
■トムの決断
みんなを集めて現在起きていることを公表する前に、トムは
レイチェルの経歴書を見ていた。
この人の凄いところは、オックスフォード、ケンブリッジ、
イェール大を出ていること。生まれはイギリス・ロンドンで
父親・スコットは健在。母親は亡くなっているみたいなことが
経歴書には書かれていた。
トムは現実に起きていることを通信室の無線機の人々の声を
聞かせたり、実験室でのレイチェルからの科学者としての意見
などを聞かせて、「黄熱病」に於ける1937年のマックス・タイ
ラー医師のネズミのワクチン実験に関するエピソードを披露した。
99回失敗したが100回目には失敗したこと。
また君たちが助けるのは、無線で助けを求めている国民達だ
として無線の言葉を聞かせたところは良かったね。
それでも尚下船希望の人はボートを用意するとし、働いた
給与は平均して14万8673ドルだとしていたけど、この状況の中
金など必要なのかと小一時間。
最後は再び復員して、合衆国憲法の名の下、命令に従うことを
再度確認した。
■レイチェル唯一の味方?
意外とテックスが良い味を出しているところが有ったね。
一番彼女が落ち込んでいる時に元気づける彼の行動力。
■使用された曲
・Ride Across a River
Written by Dire Straits
■出演者
合衆国海軍駆逐艦ネイサン・ジェームズ・艦籍番号151
トム・チャンドラー (Eric Dane) 中佐(艦長) (CO CDR)
レイチェル・スコット (Rhona Mitra) 博士、CDC/鳥類ウイルス学者
マイク・スラッタリー (Adam Baldwin) 中佐(副長)
ジーター (Charles Parnell) 先任曹長 (CMC)
クインシー・トフェット (Sam Spruell) 博士
テックス・ノーラン (John Pyper-Ferguson) グアンタナモ・刑務官
ダニー・グリーン (Travis Van Winkle) 大尉、海軍山岳戦闘ユニット
カーラ・フォスター (Marissa Neitling) 大尉、戦闘指揮所(CIC)
アリーシャ・グランダーソン (Christina Elmore) 大尉、通信士官
Lt.カールトン・バーク (Jocko Sims) 黒人
Lt.アンディ・チャン (Andy T. Tran) エンジニア、エンジンを直す
メヒア (Michael Curran-Dorsano) Gator
ウィル・メイソン (Chris Sheffield) Comms Officer
リオス (Maximiliano Hernandez) 医者、メガネ
アンドレア・ガーネット (Fay Masterson) 機関長、少佐
クルス (Ness Bautista) 機関士
コセッティ (Tommy Savas) 兵士、不信感
ミラー (Kevin Michael Martin) 兵士、気弱
オコナー (Paul James) 機関士
バーニー・コウリー (Amen Igbinosun) “ベーコン”、厨房スタッフ
マヤ・ギブソン (Felisha Cooper) 黒人
ダリア (Hina Abdullah) 通信士、アジア系
カール・ニシオカ (Ben Cho) 通信士、アジア系
キンケード (Michael Scott Allen) Helmsman Kinkaid
— (Aaron Norvell) Guard
ベイカー (Jamison Haase) TAO
— (Adam Edward Lonergan) Russian Sailor