第5話 吹きだまりの帝王 The Homecoming
監督/Saul Metzstein 脚本/James Dormer
【ストーリー】
ニワトリの鳴き声で目覚めるポルトス。自分は何処に居るのか。
昨夜深酒をして記憶が無い中、スラムの道端で寝ていた。
夕べのことを思い出すと、ポルトスは飲酒する中でアラミスの頭の
上にメロンをのせて銃で壊す事をしていた。ダルタニアンはそれを
止めようとするがアトスは何度もやっていることだという。しかし
シラフでないと危険だと語る。ポルトスは見事アラミスの頭上の
メロンを破壊すると今度は目隠しをして撃とうと語る。
そんな昨夜の記憶が残っていたが、ポルトスの隣には頭を撃たれて
死亡している若者の姿が有った。親衛隊がポルトスを見つけると殺人
の疑いで逮捕する。銃士隊が町中で活劇を披露かと言われるが、
これは誤解だという。
アトス、アラミス、ダルタニアンはポルトスが捕らわれている牢屋
に遭いに行く。何か覚えていることは無いのか。死人は誰なのか。
お前は殺していないだろうと語る。何か必要な物はと問うダルタニアン
に良い弁護士をと語る。誤解だって事は俺たちが証明するというアトス。
良い裁判官にあたるかも知れないぞというアラミス。
しかし裁判官は厳しい人物で、何が起きたかは明白だとし、ポルトスに
何か言いたいことはと問う。昨日はオレの誕生日でパーティーの後に
散歩に出たこと。静かで美しい宵闇のパリを堪能したというと、傍聴
していたものたちは笑い出す。
夕べ場末のバーで老女から声を掛けられたポルトス。何でこんな所
に銃士隊が居るのか不思議がられるがオレはこの近くで育ったのだ
という。誕生日だったというと、いくつなのかと尋ねられ分からない
答える。いつ生まれたのかも分からないが餓鬼の頃に自分で今日が
誕生日だと決めたのだという。老女と酒を飲む。
そして気がつくと眠ってしまったこと。目覚めたら頭を撃ち抜かれた
男が居たという。何故そうなったのか分からないというと、トレヴィル
は裁判長の前でフォローする。ポルトス・デュ・ヴァロンは人望の
ある男だと。しかし裁判長は貴族風の名前を付けて紳士を気取っている
輩の一人かという。貴族の生まれでもポルトスに見劣りする人は居る
というが、私の人生で学んだことを教えるとして裁判長は
「いくら犬に良い衣装を着せようと野良犬は一生野良犬だ」と。
人が一人死んでいるので処罰せねば示しが付かないとして、有罪とし
死刑を宣告するという。ただちに刑を処するという。
いくら何でも独断過ぎるとして陛下に直訴するというが、絞首台へ
連れて行かれる。なんとか時間を稼ぐのだと語る。
絞首台へと連れて行かれる中、突然何者かが現場で発砲を始め現場は
混乱する。それに乗じて何者かがポルトスを連れて行く。アトスなのか
というポルトスだが馬車に乗せられていく。ダルタニアンは犯人の一人
に発砲すると見事命中。覆面を剥いでみると首には罪人の印が押されて
いた。それを見てアラミスは行き先は分かっていると語る。
スラム街へと向かう三人。威嚇しているのだとしこっちからは決して
手を出すなと語る。ここは”奇跡の町”だというアトス。そのアトス
もこれ以上進むのは危険なので退却しようとしポルトスもここに居れば
安全だという。仲間がいるからだと。
ポルトスは覆面を被せられて連れて行かれた先にはシャロンの姿が有った。
久しぶりだなというと、ポルトスに対して俺たちのことは忘れている
のだろうと。忘れているハズ無いというポルトス。しかし殺したのか
どうか覚えていないのだという。シャロンはそれだとオレの沽券に
関わることだとし、こいつらはオレが人殺しを救ったと思っているのだ
という。ここの帝王なのかとすると吹きだまりのなと語る。
ポルトスには親が無く盗賊の中で育ったことをダルタニアンはアトスら
から聞く。何でここが奇跡なのかと問うと、一歩入ると目が見えるよう
になったり杖の要らない脚になったりするという。
アトスは俺が探しに行くという。ダルタニアンはポルトスは酔って
いたので間違って殺したのではないかというが、アラミスはポルトス
に限ってそれはないと語る。
■感想
先日アトス、アラミスの過去が一話ずつ描かれてきたけれど、今回
描かれたのはポルトスの過去だった。
以前の奴隷船のエピソードの中でもポルトスの祖先は奴隷として
アフリカから連れて来られたことを指摘されそんな商売をしている
男に感情的になっていたポルトスだけど、彼ってアフリカ系と言う
よりも完全にメキシコなどラテン系に見える。
「デスパレートな妻たち」で言うところのカルロス・ソリス役の
Ricardo Chaviraみたいな顔つきしているし・・
パリのスラム街”奇跡の町”で生まれ育った様で、行き場のないもの
たちがそこで暮らしている。ポルトスは盗賊の子として育てられ、
今回捨て子だった彼は生まれた年月日を知らない為に自ら作った
誕生日に酒を飲んでいたとしていたけれど、恐らくそれは彼がこの
日にスラム街から旅だった日のことを指すのだろうね。
自然とそんな日に生まれ育った土地に戻ると、その次の朝に記憶が
なくしかも隣に遺体が有ったことで自分が殺人の容疑者となって
しまうものだった。
■メロンを撃つ
酒の席での余興とはいえそんな事をしているから疑われてしまう
ところもあるんだろうね。誰か止めてやれって感じだけど、ガス抜き
として仕方がないのかな。
メロンを撃つなんてもったいないって感じだけど、カボチャみたいで
あまり上手そうなメロンじゃなかったな。
■当時の検視・葬儀屋
遺体が身元不明の時には内臓を取り除いて腐臭を防ぐ為に塩漬けに
して藁を詰めて身元が分かるまで人目に付くように並べておくとのこと
だった。
ただ今回の遺体は所持品の中に高価な懐中時計「ニュルンベルクの卵」
と呼ばれるものが有った為に、貴族モーヴァワザンの子息だと判明。
その時のやりとりの中で、何故解剖するのかと問う際に「科学のため」
としていたけど、上述した際に解剖する意図は話してないか?
至近距離から撃ったであろうこと。
医学的所見とは言えないとしていたけど、少なくともマスケット銃
で頭を撃ったことではないようだ。頭を撃てば中身が吹き飛ぶほどの
ことになるみたいだしね。
■貴族モーヴァワザンを調べる
宗教が争いの原因ではないかとされる疑惑が出てきた。
息子で被害者のジャンは新教徒で、モーヴァワザン家のエミールは
カトリック教徒。
色々と刑事の如く銃士たちが調べていくと、ジャンの自宅から証拠を
消滅させようとして書類が燃やされていた痕が有り、残った書類から
見るに、
「新教徒の賛美歌」
「3000kgの火薬を3週間前に郊外の工事用で購入」
している書類の燃えかすが残っていた。
またしても火薬ネタなのかと小一時間だったけど・・その火薬は何処に
あるのか。
■すぐに犯人が分かる
なんとなくこういうドラマってすぐに犯人はピンと来るよな。
理解出来ないのは息子を殺してまで金を得て名門家を復活させようと
していたこと。しかしその方法はとても名門家とは名ばかりで、
冒頭での裁判で貴族が良い人とは限らないといっていたところのこと
が起きていた。
■昔の仲間は裏切れない
アラミスも先日のエピソードの中で暗殺未遂を起こした仲間を見捨てる
事は出来なかったけど、今回盗賊のキャリーもまたポルトスを殺して
全ての罪を着せることは出来たけどそれはしなかった。
その為、その後の展開ではキャリーが自分を殴ったと知った時に、
ポルトスもまた彼と戦いたくない事を告げていた。
闇から抜け出た人に取ってはポルトスの存在ってやはり大きく嫉妬に
近いものとして写るのだろう。しかもそのポルトスに恋をしているフリー
という女性に対してキャリーもまた彼女を愛していたという過去が
有る。フリーは自分の居場所はここにあるとして固執していたけれど
それと同様にポルトスに対する愛情も固執して一途なところが有った。
■その他
■シャロン役のAshley Walters
NHKやDlifeでも放送している「華麗なるペテン師たち」のS4から
加入する詐欺師のビリー・ボンド役で登場。
■エミール役のAnton Lesser
イギリスの有名な俳優さん。
今流行の「Game of Thrones」や「Waking the Dead」のS2で教授役
で出演した。
■使用された曲
・
■出演者
アラミス (Santiago Cabrera) 銃士、剣の腕、色男
アトス (Tom Burke) 銃士、リーダー、剣の一番の使い手
ダルタニアン (Luke Pasqualino) 銃士を志す青年
ポルトス・デュ・ヴェロン (Howard Charles) 銃士、パワー、情熱
トレヴィル (Hugo Speer) 銃士隊長
コンスタンス・ボナシュー (Tamla Kari) 下宿屋の女主人
ジャック・ミシェル・ボナシュー (Bohdan Poraj) コンスタンスの夫
ルイ13世 (Ryan Gage) フランス国王
アンヌ王妃 (Alexandra Dowling) フランス王妃
カーディナル・リシュリュー (Peter Capaldi) 枢機卿 “アルマン”
ミレディ・ド・ウィンター (Maimie McCoy) 謎の女
— (Matt Slack) キャプテン
— (Michael Cochrane) 裁判官
シャロン (Ashley Walters) “奇跡の町”、黒人のリーダー
— (Helen Cotterill) 酒を飲む女性
フリー (Fiona Glascott) “奇跡の町”、ポルトスの元恋人
プパート (Brian Pettifer) 葬儀社
エミール・ド・モーヴァワザン (Anton Lesser) 貴族モーヴァワザン当主
— (Vaclav Chalupa) エミールの部下、暗殺者
ジャン・ド・モーヴァワザン (Christophe Gilland) エミールの息子
フェラン (Michael Jenn) 牧師、新教徒
— (Mark Williams) 病理学者