第10話 炎の剛速球 Throwing Fire
脚本/John Mankiewicz
監督/Martha Mitchell
【ストーリー】
スループ野球アカデミー、カリフォルニア州・アーントゼンビル。
リズとチョウとパトリックは被害者の出たアカデミーにやってくる。
野球のスカウトってこんなに稼げるのか。チョウは被害者のバーニー・
スループは現在現役のMLB15人を抱えている人物で、世界中を旅して
若い原石を発掘しているという。そしてここで磨いてプロ契約が
結ばれるのだというチョウ。パトリックはチョウが野球に詳しいと
して野球をしていたのかと問うと少しだけという。ピッチャーか?
と問うと度胸有り、勝負強いとし、今も後悔を引きずっていると
推察する。それでギャング入り、ご両親が時間の無駄だと思い野球
を努させて君は夢を砕かれて気持ちを直接表さずに怒りのはけ口を
ギャングに求めたのだろうというと、野球を辞めたのは靱帯を切った
のだという。みんな一番の後悔は人には云わないというパトリック
にリズは私はみんなにあなたのことを言っていると皮肉る。
検視官は殺害はおよそ昨夜10時半。凶器は見ての通りバット。
殴打は3、4回だという。
そこにバーニーのパートナーだというフィッチがやってくると何でも
協力するので急いで解決して欲しいという。バーニーが亡くなった
場所は「平和の庭」と呼んでいたこと。彼は一年くらい禅にハマ
っていたという。そこは日本庭園のようになっていた。
誰でもここには入れるとし、住んでいる選手6人とその家族、スタッフ
など・・自分は昨日出かけていてポートランドで野球教室をして今朝
早く戻ってきてここで遺体を見つけたという。
そんな中、グラウンドでは選手たちがトレーニングをしていた。
今日くらい休めと言ったが「夢にしがみつけ」とはバーニーの教え
だという。未成年なのでみんな親と一緒だという。
あそこで運動しているのはスコッティ・シンクレアとその父のドク、
スネーク・ガリードスとその父・ジュピターだという。今日5人のスカ
ウトが見に来ることになっているとし、バーニーにとっては最後の
仕事だという。
パトリックは事情聴取する前に家を調べる事を語る。
何処に家があるのか分かるのかと問うと、これは彼の人生の地図だ
とし、「仕事」「庭」「家」・・禅にハマっているのだろうと。
きっと自宅はシンプルなベッドなどがあるだけだろうという。
そんな中練習していたボールが飛んで来てパトリックの頭に直撃する。
パトリックは気絶すると幼少期のことを思い出す。
— 1986年・アイオワ州 —
パトリックは父のアレックスと共にカーニバルでショウを行って
いた。パトリックのことを「奇跡の少年」だとして、目隠しをした
ものが何かを当てさせるというもの。パトリックはアレックスから
色々と質問される。タバコケースの材質は?純銀製だ。パトリック
はそのケースの持ち主の婦人に対して、とても近しい人にもらった
ものでしょと問う。アレックスは「奇跡の少年はお見通しだ」と
して盛り上げる。その方は亡くなっていること。しかも最近のこと
だという。先月だとすると、あなたを愛していたとし、直接言えなか
ったとしても・・と語る。
ショウが終わるとアレックスはパトリックに対して何のマネだと語る。
これは必要の無いリスクだという。しかしパトリックには確信が有り
先祖の品を持って歩いてるのは最近死んだからで、親が死ぬには若す
ぎること。だから祖父母だと。父は調子に乗るなとしてソロは
許さないという。しかしパトリックは普段「仕事の時はビビるな。
思い切ってやれ」と言っただろうと語る。当たっても金にならない
ことは意味がないとし、ショービズで有ってアートではないという。
しかし父は個人の霊視相談の予約が入ったとして、かなりデカイ
ものだという。今の衣装から卒業して新しいトレーラーだって買い換え
られるかも知れないという。一つ心配なのはお前のことだとして、やれ
るのかと問うと、パトリックはもちろんだと語る。
— 現在 —
パトリックは目覚めるが、医者に診せた方が良いと語る。大丈夫だ
というパトリックに対してチョウはこれは何本かと指3本出すと
6本だと語る。気絶していたのよというリズ。パトリックは検視官に
生きた人間を見てくれと語る。
フィッチはバーニーの暮らしはシンプルで週7日24時間仕事オンリー
だったという。屋敷は別れた妻・レズリーに渡して、クリーンで
シンプルな暮らしをしていたという。レズリーとは離婚しないまま
一年前に彼が家を出たという。それを聞いて息子が死んでからか?
と問うと、3歳の息子・マイケルは風船を飲み込んで窒息してしまった
のだという。レズリーは未だに立ち直れていないとのこと。
バーニーは仕事で気を紛らわせていたのだという。
スネークをドミニクで見つけてスコティーはカンザス州で見つけた
とのこと。レズリーはその間ずっと殻に閉じこもっていたという。
リグズビーに奥さんのことを調べるよう電話する。
レズリー・スループ・・ヴァンペルトにそのことを告げるリグズビーは
彼女の肩に手を置く。仕事中よと。
レズリーはがぶがぶ酒を飲んでは誰とでも寝てしつこくバーニーに電話
してはわめいていたという。そんなことをしても子供は生き返らない
こと。私は子供はいないというフィッチ。
パトリックはバーニーが死んだ後、あなたがこのアカデミーを引き継
ぐのかと問うと、金は殺人の動機のNO1だという。バーニーとは明らかに
好みが違うとし、金時計、イタリアンスーツ・・・に見えるように
作った台湾製。趣味嗜好が違えば二人は衝突も有ったのではないか
という。あなたには何が有ったのか。バーニーにはスカウトの才能が
有ったしここは彼のアカデミーだという。嫉妬心は動機のNO.2だと
語る。彼は私の親友だとするとバッドで叩き殺すなんてしないと語る。
■概要
・カリフォルニア州にある野球アカデミーの運営者のバーニー・スル
ープが自宅兼アカデミーにしている敷地内で殺害されて発見される。
彼は世界中を旅して若い原石を見つけ、このアカデミー内で私生活
共に野球の教育をし、スカウトに売り込むということをしていた。
・彼には実質的に別れた妻・レズリーがいるが、二人がそうなった
のはマイケルという息子が3歳にして亡くなったもので、バーニーは
仕事と禅に目覚め、レズリーは完全に崩壊したような自堕落な生活を
していた。
・アカデミーではパートナーとしてフィッチが居て、現役MLBの選手
を15人排出。そして現在は住み込んでいる選手候補生は6人いるとの
ことだった。
・死亡推定時刻は昨夜の10時半。バッドで3、4回殴打されたというもの。
亡くなった場所は彼が平和の庭と呼ぶ日本庭園だった。
■感想
今回は捜査官のパトリックとチョウの人生の一端を見るような
エピソードだったかな。
半ズボン・パトリックと半袖・チョウ(笑)
殺害現場でパトリックが野球のボールにぶつかり何度となくフラつく
シーンがあり、そこから回想シーンに繋がるという興味深い流れが
有るけれど、正直ここまでフラフラしている光景を見ると、相当
ヤバイ気がするんだよね。
パトリックは他人の人生を読むことは有ってもなかなか自分のことに
振り返ることはない。それはチョウも同様で私生活は謎の人って
印象が大きいけれど、そんな二人の過去がどうだったのかという
ことを端的に示したのかな。
冒頭でのパトリックとチョウのやりとりの中で、パトリックはチョウ
の過去を言い当てていた。野球選手を目指していた過去。
その後何故彼がギャングに入ってしまったのか。
やたらとチョウが野球に詳しかったということも、パトリックが
チョウに興味を抱いた原因になったのかも。
■夢を実現させる為に・・・
チョウというとやはり韓国系の人だと思うので、人生に於ける親の
影響力・決断にかける親の存在というのは相当大きいはずで、
大抵は子供が目指すものに子供以上に固執するのが韓国系の親だったり
するのだけど、皮肉にも今回はそれを行った人物が殺害に関与して
いたというものだった。
チョウの場合、野球を挫折したには二つの可能性を示唆する
ものがあった。一つは両親が野球を諦めさせたこと。もう一つは本人
が語る靱帯を切ったということ。
今の韓国はどうだか分からないけど、常にスポーツマンは篩に
かけられていくので、中途採用枠というのはなかなか認められず、
新規採用が求められる。その枠に入れなければ何処かで諦めなければ
ならず、わざと留年してまでその枠に入ろうとしようとする。
一方今回殺害に及んだものは、年齢を詐称してまで合格を勝ち取ろう
とするものだった。
22歳といえば野球ではもうベテランの部類になること。
スカウトが連れてきたものの全てが大成するとは限らないのが
実力の世界のスポーツ。ドミニカから来た少年にアメリカン
ドリームを求めたい親の気持ちというのも死活問題だと思うので、
多少のズルをしても結果を出したいところが有るのだろう。
■パトリックの少年期
今回はアイオワ州の1986年の映像が回想シーンとして描かれ、
パトリックの親子がドラマとして描かれた。
少年パトリックは「奇跡の少年」と称して霊感商法を使って金儲けを
企む父・アレックスに利用されている。
ただ少年というだけ有って、1986年に描かれたパトリック自身も
年齢的な限界が差し迫っていることが描かれる。
カーニバルに於いて、人間観察をしてトレーニングをする親子の姿。
まるでパトリックの家族はヒッピーのような暮らしぶり。
アメリカではホームレスの一歩上の暮らしをしているのがトレーラー
暮らしとして描かれるよね。
「グレイズ・アナトミー」の美女・イジーがこの出身だったよな。
コールド・リーディングのようなことをしては相手を自分のペース
に引き込むのが上手かった。
最初にタバコケースを持っている婦人を見た際には、タバコ=男性と
いう印象が有ったのか、パトリックは祖父からもらったものではな
いかと語るが、すぐに彼女の顔の反応を見て祖母だと言い直している。
その後とても可愛らしい車椅子の少女・セリアはガン(肺の腫瘍)で
余命幾ばくもない為に、それを取り除く為の家宝の水晶というもの
を売っていた。
「あの子は死ぬんだよ。死んじゃう子を騙すのか?」
「人は誰でも死ぬ。今一番欲しいものを与えられる。それは希望だ」
「この先やるか、今決めろ。負け犬になるか、負け犬を操る側に
なるか」
「奇跡の少年は少年だから良い。半ズボン姿も限界だ」
その後受け入れて阿漕な商売をしてきたのかな。
その時代にパトリックによってダマされた人物とその関係者が
レッド・ジョンの可能性が高そうだね。父親ではないかという感じ
もしないでもないが・・
■ヴァンペルトとリグズビー
今回は完全にこの二人は離れたところで捜査していたよなぁ。
ヴァンペルトは、自殺しようとしていたレズリーから銃を取り去って
自殺を阻止する為に架空の姉を仕立てて、境遇が同じだということを
語り、見事交渉術を披露した。
また被害者に生命保険金2千万ドルがかけられていることを知った時の
二人のやりとりが面白かった。
「2千万ドルの受取人はレズリー?」
「その金額なら俺だって君を殺すよ」
「あっそ~」
「冗談だよ」
■その他
・パトリックの父・アレックス役のNick Chinlund
代表作は映画「コン・エアー」になっているな。
映画では悪人勢揃いの連邦保安局の特別機の中に居た・グレイジー・
ビリー役としてニコラス・ケイジ役の男性に機内で殺されてしまった。
ドラマでは「デスパレートな妻たち」ではシーズン初期の頃、
サリバン刑事役として、フーバーの死の捜査をしていた。
・アカデミーのコーチ・フィッチ役のJude Ciccolella
「24」でS1からS5までノバク補佐官として、大統領を支える役が
印象敵かな。
・レズリー役のLesley Fera
「Pretty Little Liars」でスペンサーの母で弁護士役のヴェロニカ
役。
■使用された曲
・
■出演者
パトリック・ジェーン (Simon Baker) 犯罪コンサルタント、CBI
テレサ・リズボン (Robin Tunney) CBIの捜査チーム・上級捜査官
キンブル・チョウ (Tim Kang) CBI捜査官・元軍人
ウェイン・リグズビー (Owain Yeoman) 放火事件のエキスパート
グレース・ヴァンペルト (Amanda Righetti) CBIの新人捜査官
若い頃のジェーン (Chris Brochu) 1986年アイオワ州
ナーシスコ・ルブレロ (Matt Cedeno) MLB選手
アレックス (Nick Chinlund) ジェーンの父親、詐欺師
フレディ・フィッチ (Jude Ciccolella) バーニーのパートナー
レズリー・スループ (Lesley Fera) バーニーの妻、息子・マイケルの死
ジュピター・ガリードス (Frank Gallegos) 父親
スネーク・ガリードス (Alejandro Chaban) 息子、22歳、ピッチャー
— (Ellen Geer) 祖母
ドク・シンクレア (Brent Sexton) 父親
スコッティ・シンクレア (Ben Bledsoe) 17歳、息子、ピッチャー
— (Amy Crofoot) 若い女性
— (Omar Leyva) 庭師
セリア (Abigail Mavity) 車椅子の少女
— (Cole Coleman) カーニバルの客
— (Gwen Holloway) 女性
本人出演 (Art Ortiz)
— (Tim Scanlon) 警察官
— (Jackie Zane) カーニバル俳優