第11話 ワルキューレ Valkyrie
脚本/Steven Kane
監督/Olatunde Osunsanmi
【前回までのあらすじ】
ニルスの死に関して聞き取り調査が行われる。ミラーはガーネットに
当時の事を尋ねられてレイチェルがゴミを捨てに外に出てからニルス
の点滴を変えたらその数分後に倒れて血まみれになり、ウィルスで死
んだものと同じようになっていたという。ニルスの死に関する物証
を集めるとガーネットはレイチェルにも語る。レイチェルはニルスの
臓器を解剖したことで空気感染を利用とした画期的ワクチンの伝播法
を開発する。自らが実験台となり第一号と鳴った。トムたちはショーン
たちが使う携帯とアプリを使う通信手段を突き止める。そんな中トム
たちの元にショーンからの通信が入る。ニューオーリンズの民間船団の
ものたちにアメリカ海軍の軍艦が発砲してくるというものだった。
【ストーリー】
トムたちは目の前で民間船団が破壊炎上するのを目撃する。
しかもその後にショーンたちはまるでネイサン・ジェームズ号が発砲した
ことを装うような映像を送信していた。アリーシャは近くの無線の音声
を拾うと、現場の惨状が次々と入って来ていた。
「ニューオーリンズ市警のトリット巡査部長に出動要請を・・最悪だ。」
「娘のアナベルが見つからない。海軍め・・」
トムは無線を切れと告げると、メイソンに対してソナーの破損状況を
尋ねる。雷撃によってソナーの冷却装置のパイプが破れただけなので
修理は可能だが少し時間がかかるというもの。外洋に耳無しで行くのは
自殺行為だというマイク。大統領も映像が見えるニューオーリンズの
民間船団の光景を目にして何も出来ない現状を複雑な面持ちで見て居た。
カーラはトムに対して運河の両出入り口からヘリを使ってソノブイ
(SONO- Buoy)を投下してはどうかという。ソノブイとは遠隔ソナーで
対潜水艦用音響捜索機器であることを大統領に説明する。早期警戒態勢
を取れるようになるというトムはカーラに実行を命じる。ソノブイに
探知があれば無音モード2で潜水艦を狩ると告げる。カーラはパッシブ
ブイ搭載するよう連絡する。それまではソナーの修理をするよう命じる。
上陸チームには救助を続けさせろという。
上陸チーム(コブラチーム)。
徹夜で生存者たちの救助に当たっていた。海岸には20名以上の負傷者
が居るとダニーはトムに報告する。ラムジーの仲間は今のところ
いないとし一般人だと語る。テックスは人質のフリーに対して座らず
手伝えと語る。吸着型の機雷の破片を見つけたというダニーは船底に
仕掛けられていたものだろうという。ラムジー一味は全ての船に機雷
を仕掛けていたのだとし、我々の到着を待ち爆発させたのかというマイ
ク。そんな中アリーシャは新たな放送が流れているとトムに伝える。
再びショーンがモニタに映し出される。
「ニューオーリンズの皆さん、私の名前はショーン・ラムジー。
イギリス王立海軍の少佐で私がここに来たのはアメリカ合衆国海軍の
同盟軍の一員としてだという。それも真実を知る前までだという。
たまたま目撃者によって撮影された恐ろしい映像を見た人も多いはず
だとし、ニューオーリンズの港を攻撃したアメリカ海軍の軍艦だという。
アメリカの国旗を掲げてもあなたたちの味方ではないこと。船は世界
征服の巨大な陰謀を担う鍵となる船に仕立てて新しい世界秩序の確立
するので攻撃の手を緩めることはないという。アメリカ海軍が致死性
のウィルスを作って来た動かぬ証拠をこの先明らかにする。真実を
明らかにする為モバイルネットワークを構築したと語る。」
その映像を見たネッドは流石だなと告げ、ワルキューレは作動している
なとイアンに尋ねる。
アリーシャは信号は丘から発信されているとし、Bluetoothの様だが
長距離ブースターのようなものを使っているみたいだという。デッドマン
アプリは必要がないとし、スマホを持っていれば誰でも視聴出来るもの
だという。仕組みは依然として謎だと。
更にショーンは「ネイサンジェームズ号に告げるとし、大統領を拉致
し、この大惨事を引き起こした張本人だとし、お前も見て居るはずだ
と語ると、よく聞け、決して逃がしはしない。正義の鉄槌を下すと。
安全な港などないぞ」と。
レイチェルの元に診察に行くカーラ。
リオスの所に行けば良いのだけど、軍の衛生兵に妊娠の定期検査という
のも気か引けるという彼女。私は大歓迎だというレイチェル。全て
身体的には正常だと語る。出来るだけ長く船の役に立ちたいという
カーラ。レイチェルはその気持ちはよく分かると告げる。ありがとう
とカーラはレイチェルにあらゆる意味を込めて語る。
そこにトムがやってくるとレイチェルで二人で話が有るという。
ワクチンの新しい拡散方法の準備は出来たのか。安全で人口密度の高い
所に上陸して新型ワクチンの保持者がその住民に接触すれば良いだけ
で、それで広がるという。握手でもハグでも良いとのこと。
連鎖的に広がっていくだろうこと。ワクチンを自分に注射したと言った
が艦内のクルーにも保持者になっているのかと問うと、まだ誰も伝染
していないとし、追加免疫の必要が有るので注射をするという。
ただし感染力を維持できるのは5日から8日だというレイチェルは
上陸地点が見つかるまで待つのをお勧めすると語る。レイチェルは立ち
去るトムに何かを言いかけるが言い出せなかった。
■概要
・ネイサンジェームズ号が到着したニューオーリンズには民間船団が
多数感染を恐れて海上で暮らしていたが、突然大爆発を起こす。
それから暫くして全米に向けた放送が発せられ、そこにはショーンが
海軍が攻撃するような映像を細工・加工したものが流される。
・上陸部隊のコブラチームは、海岸でそんな被害者の救出に当たりつつ
捕虜にしていたフリーに対して、ショーンの仲間が居ないかどうかを
探らせる。
・カーラは取りあえずネイサンジェームズ号のソナーが回復するまで
ソノブイをヘリから投下して監視すべき出はないと語る。
・マイクはショーンたちはラボの位置だけでなく、アメリカ政府の機密
情報を多数入手していて、それらの情報を巧みに編集しているという。
例えば北極圏を航行した水兵を海軍はブルーノーズとしているが、
ワクチンの開発の為にブルーノーズ計画の為に北極圏で原始株を採取に
行ったことを逆にウィルスを武器化する為の作戦のようにしている
という。
・デッドマンという通信手段の謎を解き明かすが、更に彼らは全米一帯
に情報を知らせるためのワルキューレと呼ばれるネットワーク通信
システムを構築していた。探知機で調べると海上から強く電波が発信
されており、ゲーターは三角法から信号の発信地は北緯28度32分・
西経89度22分の地域だと突き止める。無人航空機ドローン(UAV)を飛ば
しその地点の映像を調べると、石油リグ(Oil rig)がその発信源である
ことが分かる。
■感想
今回のエピソードを入れてシーズン2も残り3話。
最近何かとお騒がせなイギリス人によってアメリカを陥れようとして
いる流れが有り、何故そこまで狂信的意識を持ってアメリカを敵視
しているのかイマイチ理解出来ないところも有る。
確かにアメリカが世界警察と称して各地に軍隊を派遣して恨みに思って
いる人は居るのだろうけど、このイギリス人はどういった背景があるの
だろうか。天然免疫を持っていたというだけで特権意識を持ってしまった
のか。元々支配欲が強い人物だったのか。
とにかくアメリカ軍やアメリカ政府がこのような大事態に発展する前に
情報の秘匿をしていた事が逆に陰謀のように写ってしまうというのは
皮肉としか言いようがない。
先週の感想でも書いたけど、ドラマとして見ればウィルスの拡散編を
そろそろ終息させて、今度は情報自体をウイルスに見立てて、人々の間
に誤解した内容が伝わっていく様子として描いていくのかなと思わせる。
最近のネット社会の傾向を見れば情報を訂正しないままでいると
誤った情報が容易に拡散していくし、こんな状況だとそんな情報の
裏取りが取れないままで拡散されていく中で、少しでも正しい情報が
含まれていると人々はそういう情報に踊らされてしまうところが有る
んだろうね。
これからは生物化学の分野の活躍ではなく、寧ろ工学系の人がメインと
なって活躍していくのか。
その為にレイチェルとは入れ替わるようにして、バレリーという名の
人物を抽出したのか。
アメリカではこういう情報系に精通する女性の存在って欠かせないね。
どうも日本だと工学系というと男性的な印象が強いので、女性が
ネットワークの構築とか出来るのかという感じもするけど、アメリカ
の場合だとまず女性の役割を持たせるよね。「エージェント・オブ・
シールド」のスカイとか「パーソン・オブ・インタレスト」のルート
はこのタイプって感じ。
・ヴァレリー・レイモンド役のTania Raymonde
何度か取り上げたけど、「コールドケース 迷宮事件簿」でスコッティ
とグダグダな関係を続けるフランキー役として登場。
「スイッチ 〜運命のいたずら〜」のストリートアーティストのザラ役
としてベイ・ケニッシュと仲良くなっていく相手として出演して
いる。
■アメリカ海軍へのアメリカ国民の不信感
ショーンの発言によってあっさりと市民たちは洗脳されてしまった感じ。
こんな状況なので仕方が無いと言えば仕方が無い。
シーズン2に入ってすぐにグランダーソン議員が特権階級だけを保護する
ようなオリンピアという施設を築いていたことも有るし、権力者ならば
自分の権利を守る為に市民を犠牲にしそうだからね。
ただ驚いたのは石油ラグにまで一般市民のものたちが爆破に来たこと
かな。RPG弾をガンガン発砲していたけど、場所が石油ラグだという
ことを考えれば一発で大爆発していてもおかしくない気がする。
海岸ではコブラチームが徹夜で作業して救助していたのに、フリーが
ちょっと海軍のものがいると叫んだだけで、敵は一気に排除しようと
する流れへと向かうからね。
■ミッチェナーは敵か味方か
内部の機密情報が漏れていたことが判明。ただ機密情報自体は
ホワイトハウスも襲われていたし、そこで奪われたと考えても間違い
はない。ミッチェナーも実は何かを人質に取られて意図的に誘拐される
ように誘導されてネイサン・ジェームズ号に入り込んだのではないか
という思いも未だに払拭できない。
ニューオーリンズが燃える光景を目の辺りにしたこと。
そして今回は再びショーンがトムたちに挑戦を仕掛けるようにして
ワルキューレを使って市民達に敵対意識を植え付ける際に、ミッチェナー
としてはワルキューレを破壊するのではなく寧ろ逆手に取って自分が
国民に語りかけて説得することを語っていた。
そして国民に語りかけるビデオ撮影をしていた時には、マイクは大統領
の言葉が胸に突き刺さったのか良いコメントだったとして感動して
いたけど、結果としてワルキューレは破壊されたし、市民団があの
場所を知っていたというのもちょっと都合が良い感じがして、元々
大統領がそれらを流す意図は無かったのではないかと思わせるところが
無きなしもあらずだ。
■ショーンは用意周到すぎる
そもそもショーンとワルキューレを設計したヴァレリーが精通している
のかどうかもよく分からない。彼女は一人であの場所に居たけど、
ボートがある訳でもないし、どうやって一人であそこに滞在していた
のだろうか。
ヴァレリー
テュレーン大学(Tulane University)の工学部の研究員のIDが
有るとして、名前を隠そうとしていたけどウルフにあっさりと見破られ
ていた。彼女は21歳の時にMITでコンピュータサイエンスの修士号、
25歳でテュレーン大学で工学物理学の博士号を取っていた。
ワルキューレのネットワークには世界で600万の購読者が居るとして
真実に耳を傾けているとしていたけど、その600万人は大多数は死んで
いると語る。
彼女が現実を知らずにショーンのウソの情報を流した為にここまで
大事になってしまったこと。情報を流すものの責任というものを
改めて痛感させるね。
トムがヴァレリーの会話は面白かった。
「ショーンを手伝っているのは共通の敵と戦っている為」
「(海軍が)ウィルス拡散が任務をショーンから聞いた」
「彼を信じたのか?」
「エジプト風邪のことも、政府はいち早く掴んでいたのに一晩で
フェーズ6に意向。政府が何の手も打たずに見て居たからだと。」
「優れた洞察力だが肝心の部分を見落としている。これだけ素早く
感染を広めることが出来たのはエイリアンのお陰だ」
「常套手段だね。真実が探られそうになるとまた陰謀オタクが現れ
たと笑う。変人の戯言だと。」
■激しい攻撃を受け被害者は5名
イーグルチームとして、トムたちは石油リグを調べに行く。
今回は衝撃的な感じでメインキャラの多くの命が奪われてしまった。
艦長によると4人の命を失ったという。
・バルブを締めていたリン兵曹長がRPGの爆薬によって凄い吹っ飛び方
をしていたのが一番印象的だった。
・チャン中尉はアリーシャと共に通信センターやリグの動力源、主電源
を探している中で、ディーゼル発電が燃料として利用されている
ので当分稼働しているだろうことを付く止めるも、結局攻撃を受けて
アリーシャの命が危なかったけど、チャンの方が骨折していたりして
最終的には命を落とした。
・ウォーカーはボートを守っていたけど、真っ先に脱出経路を撃たれて
殺された。
・そして何と言っても亡くなってしまった一番のショックはラビット
だった。
ラビットはバークがミドリ色の靴紐をしていることに突っ込みを入れて
いたけど、彼とは良い感じの関係を持っていた。バークがマジメなので
何処かに寄港することでも有れば真っ先に二人は組んず解れつを
一晩中過ごしていただろうことが見え隠れしていた。
背中に爆破した欠片が刺さっていて下半身は動かない中、ケツを蹴っ飛
ばすというカラ元気を見せていたが、結局亡くなってしまった。
テックスはお尻を撃たれたけど、この人は死にそうにないな(笑)
トムも気丈に振る舞っていたが、内臓は相当破片で傷ついていて
手術していたようだ。
■使用された曲
・The Last Ship Opening Theme
Written by James S. Levine & Jim Dooley
・The Last Ship End Credits Theme
Written by James S. Levine & Jim Dooley
■出演者
トム・チャンドラー (Eric Dane) 中佐(艦長) (CO CDR)
レイチェル・スコット (Rhona Mitra) 博士、CDC/鳥類ウイルス学者
マイク・スラッタリー (Adam Baldwin) 中佐(副長)
ラス・ジーター (Charles Parnell) 先任曹長 (CMC)
テックス・ノーラン (John Pyper-Ferguson) グアンタナモ・刑務官
ダニー・グリーン (Travis Van Winkle) 大尉、海軍山岳戦闘ユニット
Lt.カーラ・フォスター (Marissa Neitling) 大尉、戦闘指揮所(CIC)
Lt.アリーシャ・グランダーソン (Christina Elmore) 大尉、通信士官(CIC)
Lt.カールトン・バーク (Jocko Sims) 黒人
Lt.アンディ・チャン (Andy T. Tran) エンジニア、中尉
ジョン・”ゲーター”・メヒア (Michael Curran-Dorsano) 通信士(CIC)
ウィル・メイソン (Chris Sheffield) 通信士(CIC)、少尉
ドック・リオス (Maximiliano Hernandez) 医療、兵曹
アンドレア・ガーネット (Fay Masterson) 少佐、機関室長
リン (Chris Marrs) 機関士、兵曹長
ニルス (Ebon Moss-Bachrach) ウィルス拡散の本人
ショーン・ラムジー (Brian F. O’Byrne) 敵のリーダー、アキリーズ艦
ネッド・ラムジー (Nick Court) ショーンの弟
ジェフリー・ミッチェナー (Mark Moses) 住宅土地開発長・長官
クルス (Ness Bautista) 機関士
ウルフ・テイラー (Bren Foster) SCPO、兵曹長、オーストラリア海軍
レイ・ディアス (Adam Irigoyen) セント・アンドリュー湾リーダー
オコーナー (Paul James) 兵士
Lt.ラビット・ビーバス (Inbar Lavi) イスラエル国防軍、中尉
ミラー (Kevin Michael Martin) 兵士、気弱
Dr.ミロウスキー (Bruce Nozick) 博士
ヴァレリー・レイモンド (Tania Raymonde) コンピューターサイエンス修士号、工学物理学の博士号
フリー (Stephen Monroe Taylor) 捕虜の一人
イアン (Mark Rhino Smith) 原子力潜水艦
ベアトリス (Hope Olaide Wilson) ジャマイカ人
カール・ニシオカ (Ben Cho) 通信士(CIC)
バーニー・コウリー (Amen Igbinosun) “ベイコン”
— (Sidney Brown) 水兵
— (A Leslie Kies) 女性
— (Mark Kubr) Armed Human
コメント
情報がウイルスのように拡散していくという文章、なるほどと思いました。
ウイルスの治療薬ができた後の話の展開って、どうするのだろうと思ってましたが、いろいろと、面白いストーリーが展開されそうですね。
てててさん、書き込みありがとうございます。
まだまだ立て直しに時間はかかりそうですね。一度拡散した情報をどう修正して信頼回復に努める
のか。
シナリオとしてはどういう敵を主人公たちの問題としてぶつけていくのかですよね。外国人だけが
敵ではないのだろうけど、何処まで免疫者グループが欧州やアジアに存在するのか。
シーズン3はクレジットから見るとアジア編っぽい感じがするのでどうなることか。