第6話 捨てられた命 Jane Doe #38
脚本/Michael Alaimo
Kendall Sherwood
監督/ Steve Robin
【ストーリー】
閑静な高級住宅地ではマラソンをしている人、子供連れの母親など
が通りを行き交う。ゴミ収集車が家の前に出してあるゴミを回収。
一つずつ回収車に乗せる際にカメラで何が入っているのかをチェック
するが作業員は信じられないものを見たとして、急いで確認すると
人の遺体だった。
すぐに重犯課も捜査を開始する。
サイクスは話を聞いて回る中、プロペンザがやってくる。
サイクスから話を聞くと、被害者は女性で身元不明。遺体はゴミ箱に
入れられており、死因は不明。撃たれてもいないし刺されてもなく、
絞殺の跡など外傷は見られないという。そして証人も防犯カメラ映像
も無いとのこと。サンチェスが周辺のゴミ箱を調べているという。
プロペンザは大至急この辺のゴミを埋め立ててる場所に捜索犬を送る
手配をしろとし、被害者は一人とは限らないことを語る。
フリンはゴミ箱の持ち主は元裁判官の女性でゴミ箱は家の前に置かれ
半分ほど入っていたという。持ち主に怪しいところはないと。
ケンダルに事情を聞く。
死亡推定時刻は?・・・恐らく昨日の午後。年齢は?・・・17歳から18歳
くらいだろうと。ヒザの擦り傷の他、目立った外傷はないという。
この辺の金持ちの子なら過剰摂取なのか?。しかしタオはこの子の着て
いる服は安物だとし手にはマメも出来ているという。この子の家は
この辺ではないだろうと。フリンは被害者の髪の毛を見て、娘が持って
いた髪飾り/バレッタと同じだという。靴を見てみろというプロペンザ。
女の子はどんな状況に置かれてもオシャレは忘れないものだという。
そんな中サンチェスは被害者のものだと思われるリュックを見つけた
とのこと。別のゴミ箱に捨ててあったという。中に有った図書カード
によるとアリス・ヘレラだとし、タオにその住所がどんなところか
調べて欲しいと語る。バイタオルにヘアブラシ、ゴシップ雑誌が入って
いた。ビーチに行く途中悪い男にでも引っかかったのかというプロペン
ザ。フリンは写真を見てくれという。二人で写った写真で一人は被害者
本人、そして年下の女子供と抱き合っている写真だった。姉妹だろうと。
タオは住所はエコーパークでここからだと10分くらいの場所だと
いう。フリンとサンチェスが家族に告知をしてくるという。
プロペンザはケンダルに対してその子の姿を外に見えないようにして
運べと心遣いを見せる。
ヘレラ家。
フリンとサンチェスはドアを叩くと母親らしき人物が出てくる。
アリスの件で来たというと、その女性はウチにはそんな子は居ないと
いう。少女の写真を見せると顔に見覚えはないのかと問うが知らない
という。何か訳ありで図書カードにこの住所を書いたのかというフリン。
サンチェスは近くに居た少年たちにアリスの写真を見せて見た事が
ないかと尋ねると、角を曲がった所に住んでいるという。
空き地にテントが幾つも貼られていた。被害者のクツと同じ絵がテント
に書かれているという。テントの中にいたバグは何をしているのかと
問う。ここに住んでいる少女を知っているかと問うとアリスだという。
2、3ドル恵んでくれたら話すと。
最後に見たのは?昨日だという。アリスはいつからここに住んでいる
のかと問うと2ヶ月くらい前だという。彼女は何処から来たのか?
出身地は?ミシガンかミズーリ。。。Mが付く街だったという。アリスの
名字は?知らないという。
フリンはその金でちゃんと食い物を買えよと語る。バズを呼んでテント
を撮影させようという。アリスの持ち物を全部本部へと連れて帰ろうと。
図書カードは手軽な身分証になるとし不法移民がよく使うというプロペ
ンザ。タオは図書館でアリスを知るものはいなかったという。でもホーム
レスは水道をよく使いに来るとしていたとのこと。指紋一致のデータは
ないとし、不明で風貌が一致するものは227人いるという。黒髪で
黄褐色の肌、茶色の目の少女。
モラレスは薬物検査の結果はまだ出ていないが、でも薬物を使った形跡
は見られないという。注射痕や残留物はないので過剰摂取での死因は
消しても良いと。肺一杯に塩水が入っていたこと。海か塩水プール
で溺れたのかというシャロン。メキシコから来たのではないかという
タオ。しかしモラレスは歯の詰め物はコンポジットレジンだとし、メキ
シコの場合は銀が使われるという。上の前歯の左2本は義歯とのこと。
そして質のいい物が使われて居るという。前歯2本を折るなんて穏やか
じゃないと。更に背中にはタバコ痕が付いていた。プロペンザは家出
の理由が分かったなとし虐待の可能性を指摘する。
モラレスは手首が完全に骨化していない成長過程だとし、15歳くらい
だという。名前は分からないが今はアリスで十部だという。名前は
有るというシャロン。
テントで聞き込みしたサンチェスによるとアリスは一人を好んでいた
という。行方不明者リストのロペス・カミーラとは不一致。
モラレスによると溺れたのは海ではなく海水ではなかったという。
アリスが発見された付近で温水プールが使われて居る家を探してという
シャロン。
ラスティはバズから歴史のレポートを渡される。ルイジアナ買収事件を
面白くなんて書けないという。ラスティはホワイトボードを見てこの
子たち全員行方不明なのかと問う。今捜査している被害者と似ている
子たちで家族から届けが出ている分だけだという。他にも大勢いる
のだろうと。
アリスの写真を見たシャロンは壁がステンレス製なのでセントルイス
のゲートウェイアーチではないかという。ミズーリなのか。
アリスが雑誌から切り抜く写真の中に表紙が3枚有ったというタオ。
そんな中オフィスにはシャロンに呼ばれて夫・ジャックがやってくる。
プロペンザは再会に喜ぶ。シャロンはジャックにオフィスで待っていて
と語る。
タオは3枚の表紙とも同じ購読者の住所が載っているという。
遺体発見場所のすぐ近くだとし、家にはプールも有るという。家主を
調べたら昨日泥棒が入ったと通報が有ったというと、フリンとサイクス
で家を訪ねてくれと語るシャロン。
ジャックはシャロンに久しぶりに連絡をもらって嬉しいという。シャロン
は前置き無しに本題に入るとし養子を取ろうと思っていると語る。
一応夫のあなたの許可がいるという。それってラスティのことかと
問うともう18歳だろうと。大学進学も考えているしバイトも探している
という。近いうちに家を出るんだろうというと、法的家族が必要だと
いう。今後も支えてあげたいというシャロン。家族ならば間に合っている
だろうトイウジャック。私たちは家族じゃないとし、子供の親同士と
いうだけだと彼に語る。
■感想
今回は親子と子供、そして家族について考えさせられる話だった。
ドラマとしてのテーマというか本質的なことはジェーン・ドーとして
葬られる際に司祭が語っていた気がするけど、血のつながりだけが親子
としての絆とは言えないものが有るし、名前の有る無しによってその
価値が決まるものではないということ。
そしてその次にドラマの問題として浮かび上がってくるのが、虐待に
よって被害を受ける子供が後を絶たないことや、家出人の少女の多さ。
ドラッグ中毒患者に見るドラッグ問題。そして相変わらず銃社会らしく
町中で飛び交う銃弾の問題なんかも挿入されたり、貧富の問題が存在
したりして、アメリカで起きている様々な問題がこのドラマのエピソ
ードの中に込められていた。それも他民族が入り交じるロサンゼルスを
舞台にしているということも忘れてはならないところなのかも知れない。
そしてその土地柄、貧富の差が大きく、金持ちの周りには貧困層
が取り巻くようにして存在している。大抵移民となれば立場の弱さ
から、そういう金持ちたちの経済奴隷のようにしてハウスキーパー/
家政婦のような形で雇われたりするという構図がアメリカのドラマを
みて居る人にはよく見かける光景だと思うけど、大抵金持ちの主人
は働いている人の事情を聞くことはない。その為に最小限に名前だけ
を知っていて、それ以外のことについての情報が少ないことが
問題として存在していた。
しかしジェーン・ドーの遺体というと「CSI:科学捜査班」の一エピソード
を思い出すな。
■人間に課せられた運命
人生は選択の連続だと言われるけど、既に子供の頃から虐待を受けたり
すると選択の幅も狭くなる。人生はもっと複雑なものだと思うけど、
究極に突き詰めていくと選択肢は2つとなる。
これまでラスティの性別の問題で、性的嗜好は男か女かの問題が存在して
いたし、告白するべきかどうかの選択の問題も存在していた。ラスティ
の産みの親の登場によって、産みの親か育て(保護養育)の親かの選択が
出て来た。
そしてその問題をクリアしようとして、シャロンは夫のジャックに
養育か離婚かの2つの選択肢を与えることになる。
ラスティは今回の被害者を見て、「共感」するところが有った。
ホームレスとしてアリスと同じような境遇に有った彼は、自ら語って
いたけど、重犯課によって自分の存在を見つけてもらわなければ
今回のアリスのような末路をたどっていた可能性が高いという。
人の出会いとは不思議なもので、ラスティが重犯課と出会ったのも
連続犯の証人となったことであり、犯罪者が自分の運命を助けるという
格好となったし、アリスのようにジャンキーと共にしていたものに
取っては犯罪に巻き込まれる可能性が高いのだろう。
■人々の関心と依存症
近くで貧しい暮らしをしている人も居れば、近くで優雅に暮らしている
人も居る。その違いは一体何なのだろうか。
今回は被害者のアリスは努力しており、決してこれまでの生活に溺れて
怠惰な生活を送っていた訳では無い。
金持ちのボンボン、サッドがセクハラまがいの動画を撮影しているにも
関わらず、アリスはそうとは捉えずにサッドが語る「驚いた顔を撮りた
かった」という言葉を信じて疑わず、雇ってくれた雇い主にも義理立て
して、仲間が盗みをするのを拒絶して結局殺害された。
近くで貧しい暮らしをしていたということを隠していたアリス。
それを隠さなければ信用されずに雇われることが無かったのだろう。
前回のエピソードを思い出すと、被害者がついた「ウソ」が問題を
大きくするところが有った。今回被害者がついていたウソは自衛のため
であり、前回とはその内容こそ違えど、ウソをつかねばならない状況
に有った。
近くでこんなに貧しい子たちが生活しているのに、誰も手をさしのべ
ないところが寂しいね。これは日本でも同様なんだろうけど、日本の
場合、女性や子供がホームレスだというケースはあまり耳にしない。
ジャーナリストによると女性のホームレスもそれ相応にいるみたいだけ
ど、身の危険からその身を隠しているのではないかとされている。
■名もなき少女の死に心を痛める重犯課
子供が事件に巻き込まれると、アメリカの捜査官たちの目の色が変わる
ことがよくあるけれど、今回の重犯課も被害者がまだ幼い15歳(推定)の
少女だったことも有り、随分と感傷的な部分が有った。
少し前までサンチェスがこういうのに弱くて、暴走してしまうところが
有ったけど、ここの所感情の抑制が効いているな。
今回はプロペンザが随分と気を使っていた印象が有るしシャロンもまた
同様だった。上の方の階級の人が今回は随分と捜査に於いて彼女の
名前や出身地を探る為に奔走していた。
■容赦ないジャンキー
結局アリスを殺したのはジャンキー仲間だった。
もっともアリスは仲間とは思って居ずに、シャロンとジャックの関係の
ように、成長する過程に於いて最低限必要なものとしてみて居たのかも
知れない。死んだ今となってはその言葉もむなしいところ。
イーストサイド/ヘリオトロープの質屋の防犯カメラに写っていたの
は、バグとベガス大の服を着た男の姿。
今回のドラマでは如何にも金持ちのボンボンが遊び半分でメイドを
していたアリスに手を貸して殺害してしまった風のストーリーを予感さ
せるものだったけど、結局は、アリスを利用したジャンキーのスライダー
が、犯行をばらせるのを防ぐ為にアリスを殺害し、そしてバグまでも
殺害しようとした。
乗っていた車は赤茶の80年代後半のポンティアックトランザム。
プレートは「2WAQ233」とタオが連呼していた。
サンチェスが車に向けて発砲した為に、シャロンの旧職場のFIDに
調査されたとして語っていたね。
■ジャンキーの証言
裁判ではジャンキーの証人は証言としてあまり価値がないような扱い
になるけど、取り調べに於いての自白はどうなんだろうか。
今回はホッブス検事が監視の下で、堂々とバグが亡くなったとして
嘘をついている重犯課のプロペンザとシャロンの姿が有ったのでどう
なることかと思った。彼女はその「ウソ」から第二級で取引するしか
ないとしていたけど、その後の会話を聞いて第一級での起訴に切り替えて
いくことになる。
■この事件には続きが・・
アリス殺害犯については既に周知の事実だけど、アリスは一体誰なのか
ということになる。児童施設ではジェシーという名前を使っていたが
果たして彼女はどういう事情が有り、何処から来た人物なのか。
UCLAの言語学者によると、アリスのアクセントはバージニア、ピートモ
ントからメリーランドの南部も含まれる地域のものだということ。
残念ながらそれが判明していくのはシーズン4みたいだ。
s4-4とs4-9にクレジットされているがどんな形で決着していくのかな。
アリス役を演じていたJade Benderさん。何処か「サンダーマン」の
フィービー役のKira Kosarinさんに似てる。
更に驚くべきことに、ジャンキーのスライダーは今後もs4が終了
するまでに10のエピソードに登場する。この事件、取調室の「ウソ」
がもしかすると大きな問題になってしまうのかも。
そして何よりもラスティの養子の問題については、シャロンがジャック
と対決していきそうで、また泥仕合になっていきそうだ。
気になるのはシャロンの実子の二人ってまだ出た事がないけど、
何をしているんだろうか。
養子になったらラスティ・レイダーになる。
なんかマンガのキャラクターみたいでダサイとかカッコ悪いとか言って
いたけど嬉しいのではないかな。
■使用された曲
・
■出演者
シャロン・レイダー (Mary McDonnell) FIDから重犯課へ
ルイス・プロペンザ (G.W. Bailey) ベテラン
アンディ・フリン (Tony Denison) プロペンザの相棒
マイク・タオ (Michael Paul Chan) 分析力
フリオ・サンチェス (Raymond Cruz) ギャング捜査に強い
バズ・ワトソン (Phillip P. Keene) カメラ
エイミー・サイクス (Kearran Giovanni) 特捜班から異動
ラスティ・ベック (Graham Patrick Martin) 母親が失踪中
モラレス (Jonathan Del Arco) 鑑識
ラッセル・テイラー (Robert Gossett) 新本部長
ケンダル (Ransford Doherty) 検視官
ジャクソン・レイダー (Tom Berenger) 弁護士、シャロンの夫
アンドレア・ホッブス (Kathe Mazur) 検事
ジャスティン・ピットマン (Alyson Stoner) “バグ”、ジャンキー、19歳
スライダー (Garrett Coffey) ジャンキー
ジョアン・キャス (Amanda Wyss) サッドの母親
サッド・キャス (Adam Hagenbuch) ラスベガス大
ハーレイ・ジョイナー (Adilah Barnes) ネバダの未成年保護施設長
— (Cullen Douglas) Minister / preacher
ジェイ (Russell Dennis Lewis) サッドの友達
Mrs.ヘレーラ (Alejandra Flores) アリスが住所にしていた家
アリス・ヘレーラ / ジェシー (Jade Bender) 被害者、15歳くらい
— (Martin Grassberger) Jogger
— (Tara Kuhnert) ママ
リッキー () レイダーとジャックの実子
エミリー () レイダーとジャックの実子