第14話 盗まれた1足 Sneakerhead
脚本/Aaron Rahsaan Thomas
監督/Emilio Estevez
【ストーリー】
「毎分5800足生産、靴紐2兆種類、スチールシャンク4本、ステッチ3万針」
セキュリティの厳しいブラジル領事の家には警備員のユソンが見回りした
後、モニタ室へと向かう。しかし天窓から男が侵入してくる。
スキャンを無効、警報、カメラ、電話を無効にすると二人目が降りてく
る。モニタ室で異変を感じたユソンは銃を手にして館内を見回りに来る。
ユソンは一人を見つけて止まるよう告げる中、油断した所で二人目の
男がユソンにスタンガンを押し当て気絶させると引きずっていく。
国務省の外交保安局のブラウナー・ダンに呼ばれたFBIのドンとデビッド
は現場に行く。デビッドはセキュリティが解除してあるとしてハイテク
強盗だと語る。しかしダンは物盗りではないとしブラジル領事館には
高価な美術品は手つかずで残っていたという。警備員はと問うと
我々が来た時から居なかったとし、まじめな人物だという。
防犯カメラ映像を見るとカメラが侵入時間だと思われる時間は写って
いなかった。バイオメトリックス式の警備システムを破っているという
デビッド。しかしニッキーは詰めが甘かったとし、隣の建物のガレージ
にカメラが付いていて窓が写っているのだという。
映像だと確かに警備のユソンが2人の男に襲われていた。
実際に現場に行って確認するがここに居るはずなのに居ないという。
ニッキーは絵から話しかけられているというと、ドンはそこが金庫に
なっているだろうことを疑う。案の定隠し金庫になっていた。バッドマン
方式だというデビッド。ダンは音声認識ロックかというと、FASRだと
し噂は聞いていたというデビッド。オーナーの声とパスワードに反応
するが、ダンは領事は身内の用事でブラジルにいるのだという。中に
居るものが窒息してしまうという。金庫の設計者は誰なのか。消防隊
に頼んだらどうかというニッキーに無理だというデビッドは強化スチール
のドアだという。ドンはピッキングだというと、チャーリーに電話する。
チャーリーは本人が居なくても映像から声を拾えるという。ネットで
領事のランダル・ネスポラのビデオを集めたという。肝心のパスワード
をどう見つけるのかというデビッドに対して、「ウェーブレット解析」
で音の組み合わせを次々と試せば良いのだという。僕らの言葉にある
音素は44で音声の最小単位だという。音声認識もそれをベースにしている
のだという。スクラップ置き場で使えるパーツを探す時に上手くいく
組み合わせのパーツを見つけるのと似ている原理だと語る。
チャーリーの行った通りにやると見事ドアが開き中にはユソンが縛られ
ていたが金庫の中には大量の靴が入っていた。絵や宝石なは目もくれず
にスニーカーを盗んだのかとデビッドとニッキーは驚く。
しかし何で靴なんだ?というデビッド。ドンは寧ろなんで金庫にしまう
のかという。ネスポラは相当なシューズコレクターなのだというニッキー。
理解出来ないというデビッドだが、マンガマニアが何を言っていると
デビッドに語るドン。靴は人気ブランドばかりでしかも廃盤のレア
ものや限定版だとし、何百万ドルにもなるというニッキー。これは
ステータスシンボルだという。高級住宅地なら高級車に乗ること、
ストリートならクールなスニーカーがそれに該当するというニッキー。
随分と詳しいなというドンに対してコンプトンとワッツと4年も警察を
やればねと語る。被害者は1足だけ盗まれているところを見ると余程
特別なものなのだろうと。依頼なのかブラックマーケットに流すのか。
24時間以内に動くはずだという。
リズはネスポラが来たという。
ネスポラからはスニーカーにうんちくを延々と聞かされたという。
ネスポラはブラジルの限定品の靴の話をすると300ドルで買って5千ドル
で売れたのだとし投資だったという。盗まれた靴についての写真は全部
あるとのこと。2Kプライマーという靴メーカーのものだった。凄い靴な
のかと問うと、プライマーシリーズのニューモデル第一号でシリアルNO
は001のものだという。オークションで25万ドルに手に入れたという。
5年後には幾らになると思うのかと問われる。殆どの靴は一年以内に
買ったものだという。それだけ買えば恨みを買っていたのではないか
とするとこれは非公開オークションで落札したものだという。ララ・
ブエレディアという2Kシューズの責任者だという。
ドンはリズに対して昇進おめでとうと語ると、組織犯罪対策班のリーダー
だという。今週中にデンバーに発つというと大きなチャンスだという。
スニーカーを盗むのは馬鹿な若い泥棒だという。音声認識を捜査する
方法は凄腕のプロをマネしたものなのか。チャーリーに聞いて見ると
いうドン。「ヒューリスティックアプローチ」かなというリズ。
■感想
今回はチャーリーシーンの兄・Emilio Estevezが監督したエピソード。
S5-7に続いて2度目。
一番気になるのは、先日S5-12の中でリズは昇進のチャンスということ
で、組織犯罪課の課長職の件でデンバーに面接に行くとしていた中、
その面接に受かって正式に昇進したということで、これが最後の
捜査として挑むというもの。しかし結果からすると、リズは行かない
決断をした。キャリアよりも大切なものというのを捜査する中で
見つけ出していく訳だけど、その大切さを実感させる意味で、今回の
シナリオは興味深く描かれている。
事件はブラジル領事のセキュリティの厳しい家に侵入した犯人を追う
というもので、盗まれたものは一足のシューズだった。
そのシューズがまた一足25万ドルの値がつくプレミアもの。
靴と言えば象徴的に扱われるのが「Sex and the City」のキャリー・
ブラッドショーだけど、靴を見ればその人の性格なり仕事や市民階級/
生活レベルなどが分かるとされるけど、靴に拘りのない人から見ると、
そういうところに金を使うことに何の意味があるのかって感じにも思え
る。
スニーカーとなるとどちらかというと女性よりも男性の方がなじみ深そ
うだけど、ララとニッキーが会話の中で
「スニーカーはサブカルというよりも大切な思い出」
だとして昔のポケットのついた靴/カンガルーを買ってもらった時には
自分自身に自信がなくても輝いてみせてくれるものだったとしていた。
それと同期しているのかは分からないけど、今回チャーリーたちが
使用したハイテクマシンのハイパースペクトルイメージングは、
いわゆる非破壊検査用のもので可視光線から紫外線などの光を見て
情報を集めるものだとしていた。
また今回はコルビーとアミタが休みだったので、リズとニッキーが捜査
で組むシーンも有り、靴についての話だったりをしていたり、リズが
もうすぐデンバーに行くという際にラリーと交わす会話の中にラリーの
これまで悩んできた経験の一端を語って、人生にとって大切なものと
いうものを伝えては、リズにもそれが何かというものを掴んで行かせる。
■捜査に於ける数学の先生たち
・ウェブレット解析
ブラジル領事の家の金庫は音声認識&パスワード式のロックだった。
その為にチャーリーはウェブレット解析によって音の組み合わせを試せ
ば良いとし、その中でも音声の最小単位である言葉を利用して解除させ
ていた。その際例に挙げたのは車のスクラップ工場で必要なものを
集める為の工程だった。
・ヒューリスティックアプローチ
リズはチャーリー言語に多少通じるところが有り、時々難しいことを
いう。スニーカーを盗むのは馬鹿な若者、しかしセキュリティを破って
侵入した手口はプロの犯罪者だということで、犯人像を絞る際に、
この言葉を口にする。
・事前確率分布サーチ
スラム街で靴が片方だけ盗まれてしまう。
正しく靴の価値が評価されていない場所で盗まれたことで、チャーリー
は現場の見取り図を見せてもらい、靴が拾われた場所は分からないけど
これサーチを使えば捜索すべきゾーンは絞り込めるとしていた。
ニーズとデザインを秤に掛けて靴を選ぶということで、ラリーは
「船から落ちたスニーカー」の話を引き合いに出していた。
韓国発オレゴン行きの貨物船から積み荷のスニーカーが全部海に落ちて
しまったこと。ブランドごと。左足か右足かでオレゴンからハワイ
まで流れ着いた先が違っていて学者がルートをたどり漂着パターンを
割り出したと語っていた。
・ハイパースペクトルイメージング/センサー
本物が盗まれてアルバニア系組織は盗んだ本物の型のスニーカーから
本物そっくりの偽物の靴を作っていた。本物がどれなのか誰にも分から
なくなってしまい、チャーリーは切断して断面を見て素材を比較したり
浮力を調べれば偽物か型から作られたものかの違いが分かるとしていた
が、価値を知るララからは「まっ二つにしろと?」「水に濡らせと?」
と信じられないみたいな口調をしていた。
結局ハイパースペクトルイメージング/センサーを使う。光を見て
調べるものだという。照射したものから、一連の画像の形で情報を集めて
3D画像を作成するとしていた。
■事件の解決まで・・
プレミアの靴を欲しがっていて、尚かつ購入できる人物というと限ら
れて来る。購入したのはオークションによるもので、その金額は25万
ドル。オークションの主宰者のララによると、最後まで競り合ったのは
ネスポラ以外にはDJのヴィック・モリッツ(ビット・オー・ナッツ)。
・モリッツを演じるEugene Byrd
「BONES」でジェファソニアン博物館で博士号を持っているクラーク
博士役。「ARROW」ではアンディ・ディグル役としてS3以降に
出てくるのかな。
Dlifeベースでドラマの感想を書いている為に「メンタリスト」の
S2-22に出て来たラッセル・ビグロー役は記憶に新しい。
■その他
・リズはやっぱり行かないことに・・・
昇進が決まって辞令も出ている状態ではないのかな。
ドンは戻ってくると言っても受け入れるとはまだ言っていないと語って
いたけどね。
・リズの家族構成
リズは何よりも家族を求めていた。
兄は国務省にいて大忙し、弟は刑務所、父親は他界している。
昇進・キャリアは兄との競争心かも知れないし、逆に家族はバラバラ
の状態なので、リズが求めているのが秤に掛けられた結果、やはり
家族ということになったのだろう。
・ララの夢
協力的な姿勢を見せてくれたララ演じるEVE。
髪型を見ると、「ハンナ・モンタナ」時代のマイリー・サイラス
みたいで可愛い方だった。
今の仕事から独立して、安くて良いスニーカーを作るのが夢。
倉庫を借りていたところを見て怪しいと思ったところも有ったけど、
純粋に過去にその辺りに済んでいて、活気の良い場所にまた戻したい
意図も有ったみたい。ニッキーもその地区を担当していたことが有り
仲良さそうに会話していた。
■使用された曲
・My Mistakes Were Made for You by The Last Shadow Puppets
・Accidentally by Sharon Little
・Crazy Rap
Written by Patrick Woodland
■出演者
ドン・エップス (Rob Morrow) FBI捜査官
チャーリー・エプッス (David Krumholtz) 数学者
アラン・エップス (Judd Hirsch) 父
デビッド・シンクレア (Alimi Ballard) FBI捜査官
ラリー・フラインハート (Peter MacNicol) 物理学者
アミタ・ラマヌジャン (Navi Rawat) 学生
コルビー・グレンジャー (Dylan Bruno) FBI捜査官
ニッキー・ベタンコート (Sophina Brown) FBI捜査官
リズ・ワーナー (Aya Sumika) FBI捜査官
ランダール・ネスポラ (Bruno Campos) ブラジル領事、スニーカーマニア
ジャン・ステファノワ (Patrick Bauchau) 元窃盗
ヴィック・モリッツ (Eugene Byrd) “DJ ビット・オー・ナッツ”
ナドロージ・リア (Gene Farber) アルバニア系リーダー
カーテス (Dan Martin) 捜査官
ララ・ブエンディア (Eve) 2Kシェーズ社員、独立したい
リー・ディダムス (Thomas Blake Jr.) 車両窃盗、ステファノワ家、殺害
— (Chris Coy) Beastie Boy
— (Brennen Taylor) ネスポラの息子
ミッチ・ユソン (David Kilde) ブラジル領事の警備員
ブラウナー・ダン (Damien Leake) 国務省・外交保安局
エキン・ゼトロック () 不法在留のアルバニア系
ケイツ () 捜査官
ペタンクール () 捜査官
エリオット教授 () コブラにそっくりだ