第20話 最大の危機 The Fifth Man
脚本/Don McGill
監督/Ken Sanzel
【ストーリー】
「押し込み強盗8件、ダイヤモンド96個、鍵1つ、第5の男」
理科大襲撃が有ったことも有りチャーリーのオフィスが引っ越しになる。
アランはラリーはどうしたのかと問うとバークレーで宇宙物理学会に
出ているという。それは良い口実だというアラン。
チャーリーはこの大学での初日、ここに立っているボクをビーダーマン
がジロジロ見て「おおっ天才坊やってのは君の事か?」と言ったという。
しかしアミタはそれはもう過去の人だとしチャーリーも坊やではない
という。ビーダーマンの前はニューベリー、その前はノックス、そして
ハイタワー。数学の偉大な先達ばかりで、ボクが彼らの跡を継ぐのだ
という。アランは座るだけで御利益がありそうだと語る。それを聞いた
チャーリーは何かに閃く。「ニューラルネットワーク」について前から
考えていたがその答えはずっと僕の目の前に有ったのかもと。歴史的な
ネットワークだという。理科大は大勢の研究者が居る。そのウチで特定
の人や特定のグループだけ成功して、その他がパっとしないのは何故か。
チャーリーの閃きのために引っ越しの準備はアランとアミタが担当し、
チャーリーはその方程式を引っ越しようのダンボールに書いていく。
翌日にアランとニッキーがやってくると大発見の予感だと語るチャー
リー。しかしニッキーはずっと電話していたのだという。
ドンに頼まれた計算は終わったのかと問われると押し込み強盗の件か
という。7日で7軒もやられた事件でモデリングを頼まれたのだという。
手口の特徴、偽の通報の手口。
一味の手口なら「ペイオフマトリックス」でいけるハズ。
偽の通報は?「ボロノイ分割」でパターンを研究すればホットゾーンを
割り出すためのプログラムが出来るという。犯人グループのプロファ
イルも同時に可能だという。一味が何人いるかまで分かると。
ニッキーはドンに合流しハリコミする。2日もかかって何をしていた
のかという中、チャーリーの分析だと4人組で荒っぽい手口から若者。
エリアも絞れて監視しているのだという。
トム・ペティ曰く「待つのは辛い」だというニッキー。ニール・ヤン
グ、スプリングスティーン・・ニッキーはビヨンセやジェイZのファン
だと思っていたのかと問う。ドンは君の趣味は想像出来ないと語る。
ドンは今回はデビッドに捜査主導を頼む。
電話でドンから連絡を受けたデビッドとコルビー。パイロットが新任
副操縦士に飛行機を任せてくれたのかというコルビー。出世しても
割り当てはこんな車なのかという。デビッドも確かに酷い車だと語る。
そんな中ニッキーに電話が入り、ヘリが発見したとしグレーのバンで
4人組だという。ニッキーはコルビーたちに住所をメールすると語る。
強盗が押し入ったであろう家に行くと、サラは口を塞がれていた。
自分たちはFBIだと名乗り犯人のことを尋ねるとゲストハウスの方だ
とし夫のギルもそっちに居るという。すると突然デビッドとコルビー
はゲストハウスで犯人と鉢合わせして銃撃戦に発展する。激しい
争いに発展する中、犯人は隙を突いて4人共逃走。しかも手際の良い
ことにデビッドたちが追いかけて来られないように車を手榴弾で
爆破させていく。グレーのバンがシトラス通りを北上しているとして
応援要請をする中、ニッキーはアイツらはプロだと語る。しかし
そうしている間に突然ニッキーは頭を殴られ、ドンは後ろから何者
かによってよって深く刺されてしまう。
病院に緊急搬送される。
デビッドは例の4人組は重装備で力負けしたと語る。5人目が居て
隠れて不意打ちを食らったと。ドンは現在手術中だと駆けつけた
アランやチャーリー、アミタたちに語る。ニッキーは大丈夫かと
問うとかすり傷だという。うっかり油断したとして責任を感じる中
チャーリーは悪いのはボクだとし予測出来なかったと語る。
そんな中デビッドは現場のドアから指紋が検出されたが、ボヤけて
いて使える形にするまでは2日はかかるという。チャーリーに手を
貸してくれという。「ウェーブレット・アルゴリズム」を使えば
良いという。アランはみんなに仕事をしろというとここでは私が
ドンに付いているからと語る。
■概要
・チャーリーは大学の研究室のオフィスを引っ越しする中で、
アランの発言をヒントにチャーリーは前から考えていた新たな理論
について答えが出そうだという。アランたちに引っ越し作業は
丸投げして、チャーリーは公式作りに励む。
・そんな中ドンから二日前に頼まれていた押し込み強盗の事件の犯人の
手口の割り出しの協力に関してニッキーから結論が出たのかを
直接聞きにこられる。チャーリーは急いで理論を展開して犯人像や
犯行のホットゾーンを割り出す。
・チャーリーが計算によって割り出したのは4人組であらっぽい手口
から若者で、エリアも絞れば監視出来るというが・・・
■感想
チャーリーが理科大としての道を歩むのか、それともFBI捜査官の
協力者の道を優先させるのかで、今回は悩まされた挙げ句、睡眠不足の
上に計算結果を見誤り、その結果ドンを命の危機にさらしたというこ
とでショックを受ける。ニッキーもまた相棒としてドンを守れなかった
ことを恥じる。
「隠れた事実ではなく数字しかみて居なかった」
みんなチャーリーに依存しすぎだろうということで、この件でもう
少し理解しよう!って感じだし、それと同様に今回の指揮をドンが
デビッドに任せたことで、至る所でドンとデビッドの捜査方針が
比較され、デビッドとしてはちょっぴり息苦しそうだったけど、
デビッドは自分はドンとは違うとしてリーダーとしての方針について
はドンのことばかりを踏襲せず自分の道で歩もうとしていたし、
改めてどの人物もドンが自分たちを守ってくれていたということを
感じる作りで、亡くなる前に病床に伏せる恩師を前にして大反省会
のような状況に陥った。
「HAWAII FIVE-0」のS5-16でダノがアンバーの元夫でストーカー化
しているフランクに刺された時のように、今回のドンもある意味凄い
角度で刺されていた感じ。あれで助かったら大したもんだって感じ
だけど、結局助からなければドラマにならないからね。
チャーリーが予測したものは決して間違いばかりではなかった。
特に5人目の刺客がいたというのは想定外のことだったけど、犯人が
4人組だということを言い当てた。
しかしその相手は若者ではなく、きちんと職業を持った人物で優秀な
化学の教師が居たり、それぞれにエンジニア、ラボの技術者、消防士
として働いているものたち。
話を聞いていくウチに、4人の犯罪者たちの目的は金ではなく復讐だ
ったこと。4人共クロアチアの同じ町ブレズコの出身で、アメリカに
移住して12年のものたち。
ブレズコは過去セルビアの民兵組織が民族浄化作戦によって大虐殺が
有った土地で、なんと彼らはアメリカに移住してくる中で、その虐殺
を主導していたスロボダン・ラドビッチのことを偶然に知った為に
行動を起こしたようだ。
■捜査に於ける数学の先生たち
・ニューラルネットワーク / 認知発想理論
チャーリーが冒頭で閃きを経て計算していたもの。
理科大には大勢の研究者がいるのに何故特定の人や特定のグループ
だけしか成功していないのかということで、ニューラルネットワーク
を作れば横の繋がりが出来たりするのかな。
・ペイオフマトリックス / ゲーム理論の応用
犯人一味の手口を知る為にペイオフマトリックスを使って割り出そうと
する。
しかし手口からして相手は若者の4人組ではなくてあくまでプロの
傭兵のようなものたちが犯行を行っていた為にチャーリーの分析は
間違っているのではないかとして自信を失う。
アミタが助け船を出すようにして前提が間違っているのかもしれない
として、狙いは盗みではなく、先入観を捨てて調べる事を告げる。
これって学者が陥りやすいものなのかな。
・ボロノイ分割
押し込み強盗が行う偽の通報に関してはボロノイ分割でパターンを研究
すればホットゾーンを割り出すためのプログラムが出来るとしていた。
それは犯人グループのプロファイルが分かり、犯人の人数も分かると
いうものだった。
・ウェーブレット・アルゴリズム(解析)
現場のドアから指紋が検出されたが不鮮明のものだった。
そこでチャーリーが鮮明にして照合する為にそのアルゴリズム/解析に
よって通常2日はかかるものを短縮して解析。その結果2007年最優秀
教育学賞の教師で貧しい人にも手助けして市民表彰を受ける人に該当
してしまう。
彼女と遭っていたとアリバイ証言していたカルドゥムに対してフリー
ウェイでの工事の件で嘘だと見抜いたデビッドは見事だった。
・多属性合成モデリング
被害者は8人だったがいずれもアレッシのクライアントの名簿に書かれた
人物がターゲットとして選ばれていた事が分かる。
どの人物もアレッシを雇う前には破産寸前だった家庭が多いこと。
マネーロンダリングに利用していたことが判明していく。
・ビッティングコード
アレッシの金庫には何処かの貸金庫が有り、それが無くなっていた。
アレッシが第5の男であるラドビッチに鍵を渡す姿が防犯カメラ映像
に写っていて、その鍵のテコボコした特徴的なものをビッティングコ
ードだとし、専用のプログラムが有れば写真からでも鍵を分析出来る
というものだった。
・経路の最適化
アレッシが貸金庫を宝石店で借りていたとしていたけど、一体何処の
宝石店なのか分からなかった。そこでアレッシは会社から往復一時間の
範囲にある貸金庫に隠していたことから最適化を行い場所を特定して
いく。
・ダイクストラ法
経路の最適化を使う過程でチャーリーはカリフォルニア運輸局のデータ
を元に交通フローの計算をしたが場所の特定が難しかった。
しかし閃きでAtoZジュエリーという場所を特定していく。
■その他
・チャーリーはおとり捜査
今回のミスの挽回をする為だけでなく、いつもドンに守られている
チャーリーとしては自分もドンを守って対等な関係になりたいと
思っていたかのようだった。
相手はドンさえも殺した人物だし、人殺しなど本当に何とも思って
いない如何にも紛争地の民兵の男。相当ヤバイことが予想される中、
ガラスキ先生がレーザー旋盤を使って作ってくれた貸金庫の鍵を
使って犯人が取りに来ることを待って、FBIに取り囲ませていた。
・アランとロビン
ロビンは今回ポートランドに行っていたので遅れてやってくる。
ドンが重傷で目の前のICUの部屋で命と戦っている際に、アランは
ロビンにドンが生まれた時のことを聞かせていた。
とても難産だったこと。ドンはその時から強情だったとして和ませて
いた。アランは出産直後のドンを手にしたが、何をして良いか分からず
ビートルズの曲を全曲歌って聞かせたことを語る。
「人生思いがけないことばかり。準備は出来ないと。いざ何か起こった
時は上手くいくよう祈るだけ」
そのアランも神頼みをしていた。
・リズとニッキー
ニッキーが相棒のドンを怪我させたことでショック。
リズはドンと付き合っていた時のことを引き合いに出してニッキーを
励ましていた。
「場数を踏めば辛い経験も増える」。
ドンの言った言葉だという。彼は自分のことは二の次で私を守ること
ばかり考えていたとし、物事は思うようにはいかないと語る。
・デビッドとコルビー
デビッド初の捜査主導はあまり良い結果には思わなかった。
デビッドとコルビーの間でもちょっとしたわだかまりが起きていたけど
今後ともこういうシーンが増えていくのかどうか・・・
■使用された曲
・Teardrop by Jose Gonzalez
■出演者
ドン・エップス (Rob Morrow) FBI捜査官
チャーリー・エプッス (David Krumholtz) 数学者
アラン・エップス (Judd Hirsch) 父
デビッド・シンクレア (Alimi Ballard) FBI捜査官
ラリー・フラインハート (Peter MacNicol) 物理学者
アミタ・ラマヌジャン (Navi Rawat) 学生
コルビー・グレンジャー (Dylan Bruno) FBI捜査官
ニッキー・ベタンコート (Sophina Brown) FBI捜査官
リズ・ワーナー (Aya Sumika) FBI捜査官
ロビン・ブルックス (Michelle Nolden) AUSA
トム・カルドゥム (Shea Whigham) 31才、ロサンゼルス統一学区教師
ギル・フィッシャー (Michael Gaston) 被害者の夫
サラ・フィッシャー (Debbon Ayer) 被害者の妻
アイバーソン (Shannon Cochran) 医師
カレン・クルズ (Delilah Cotto) アレッシの秘書
— (Alan Blumenfeld) 店主
スロボダン・ラドビッチ (Michael Khmurov) 48才、セルビア民兵組織
— (Katie Roberts) ICU Nurse
ボリス・アンチッチ
イヴァン・ラドマン
ミラン・ヤンコビッチ
デニス・アレッシ