第7話 孤高のサーファー Charlie Don’t Surf
脚本/Steve Hawk
監督/Emilio Estevez
【ストーリー】
「風速31m、暴風96時間、概要2414km、波高15m」
サーフィンをするところを撮影するドキュメンタリー映画のグループ。
ラジオではカリフォルニア南部から中部の海岸地域に波浪注意報が
発令されたと語る。
チャンネル諸島の国立公園局のレンジャーのネイサン・ワッツは
双眼鏡を使って監視していた。
カメラクルーは暫く撮影していた後、ボードが一枚海に浮いている
ことを知りネイサンが海の中で死んでいるのを発見する。
“元プロサーファー水死”。
新聞の見出しにはそう書かれていた。ネイサンの父親のキース・ワッツ
はアランの元にやってくると息子は命知らずの無茶をする子ではない
と語る。アランはそのことはよく知っていると語る。ドンとチャーリー
もキースの元にやってくると何と言って良いのかと語る。彼は心から
サーフィンを愛していたとし、せめてもの事とは大好きな海で亡くなっ
たことだという。ネイサンはチャーリーよりも恐がりだったこと。ドン
に対して息子の件を調べて欲しいと頼む。不幸な事故ではないのかと
すると、根っからのサーファーだが向こう見ずではないとし、波が
大きければ用心をしていたという。息子は殺すと脅されていた様だと
し、逮捕された人たちはそのお礼をすると言われていたという。
しかしドンは事件性が有ればとっくに調べていると語る。念のために
ファイルだけでも見直して欲しいと言われてアランもそうしてあげる
様告げる。
コルビーはドンがサーフィンの資料を見ているのを知り興味が有るのか
と問う。ネイサン・ワッツとドンが幼なじみだと聞いて驚く。
本物のスポーツマンだとし、現役時代は神業だったという。コルビーは
ハワイ駐留時代にサーフィンを覚えたという。引退後ネイサンはチャン
ネル諸島のレンジャーになり、5年前に確かサーフィン雑誌に記事が出て
たという。一人で好きなだけ大波に乗っているとしてその生活を気に入
っているようだったと。
事件ファイルを調べるが特におかしな場所はないというドン。傷は
ボードのヘコミと一致し髪の毛にはファイバーグラス。大波でひっくり
返って溺死したのだろうと。しかしコルビーは変だと語る。ネイサン
はグーフィーじゃなくビッグドッグ・スタンスでレールを掴んでチューブ
に乗っている写真を見たことがあるという。彼はレギュラーなので
ボードに乗るときに左脚が前になるのだという。リーシュコードは右足
につけるハズで左脚についていること。前脚につけるヤツなんて素人
くらいだと。
デビッドはネイサンの同僚のウィルソンから話を聞く。
ネイサンに肩書きをつけるなら警察かサーファーかと問うと本物の
レンジャーで誰よりもこの場所を愛していたという。ロスが近いが
ウチ5つ島では広くても道がないこと希少な生物、古い遺跡、海洋保護区
恐らく人から来る人も分かっているのだろうという。他の国立公園と
比べても楽しいという。
ネイサンは誰を逮捕していたのかというとコルビーはラッコですと
語る。よく話を聞くとねいさんは沖合で保護動物のラッコを殺している
ダイバーを見つけて逮捕していたとし、逆恨みをかったのだろう
と。その逮捕者はベントゥーラ・ハーバーにいるらしいとのこと。
チャーリーがやってくると、データがあればネイサンが溺れた地点の
特定が出来るとし「海流の分析」でと語る。
ドンはネイサンの彼女のメリッサ・コンロイと遭って来るという。
彼女はサーフィンインストラクターで水着モデルでも有った。
アランとキースは、ネイサンが最初に海に入る時に苦労したことを
語る。親の離婚で変わってしまったこと。あの子には可哀想なことを
したというキース。アランは立派に育てたことを告げる。
ニッキーとコルビーはベントゥーラ・ハーバーにいく。
ニッキーはラッコを殺すなんて・・と告げヒゲはやしてニコニコして
可愛いじゃんかと語る。しかしコルビーは牙もあるとし一日50個の
ウニを平らげるという。ウニ漁のダイバーにとっては天敵だという。
毛皮の乱獲で数が減ったのでチャンネル諸島に何十匹か連れてきて
繁殖させようとしていたという。
そんな中コルビーは目の前にいる小型クルーザー船の人物に話を聞く
為にバッジを見せるとスキッパーは突然船を走らせる。コルビーは
走っている船と飛び乗るとスキッパーを逮捕する。
メリッサはモデルとして撮影していた。
ドンはメリッサと接触しネイサンのことを聞くと彼女は事故じゃ無かった
のかと問う。付き合って2年くらいで、素敵な所で二人きりの世界。
サーファンのドキュメンタリー映画を作っている人がいて取材をして
いたが彼はマスコミ嫌いだったという。彼はどんな事を話していたかと
問うと、誰かを捕まえたとか無許可のボードがどうとか言っていたという。
私は何ヶ月か前に別れてから島には言っていないとし、彼が愛していた
のは海だけで俗っぽいことを嫌っていたのだという。それはまるで宗教
のようだったと。彼女の理想の世界で生きていたが現実の世界では
食べていかねばならなかったので別れたとのことだった。
■概要
・プロサーファーとして有名だったネイサン・ワッツは突然原因不明
の引退をして、国立公園局のレンジャーとしてチャンネル諸島の
警備の仕事をしていた。そこはロスから比較的近いものの人気の少ない
無人島だったが、最近ではサーファーのスポットとして有名になって
いた。
・ネイサンとは幼少期から付き合いのあるエプス家。
昔のネイサンはチャーリーよりも臆病でドンは野球を勧めていたという。
・当初は被害者の傷口とサーフボードの傷口が一致したことから、
波浪注意報で大波が来ている波乗りをしにいって溺れたと思われて
いたが、サーフィンはかじっているコルビーは矛盾点を見つける。
・ネイサンの父・キースからも再捜査をしてほしいと頼まれていたこと
も有ってコルビーの発言より事件性があることを感じて捜査を開始する。
■感想
今回はEmilio Estevezの監督のエピソード。
ナンバーズではこのエピソードとS5-14の2つのエピソードでメガホン
を握っている。もう何度も書いている気がするけど、彼は80年代の
ブラッドパックと呼ばれていた頃の俳優集団の一人。弟にはチャーリ
ー・シーン、父にはマーティン・シーンが居る。同じブラッドパック
世代のデミ・ムーアと婚約していた事もある。
最近では俳優業よりも監督や脚本などを手がけることが多くなったかな。
今回の事件はロサンゼルスらしく海で起きた事件。
コルビーがサーフィンに精通していたから良かったものの、どう見ても
今回の案件はスルーされてもおかしくない案件だった。
ニッキーがまた知ったかぶりして波の大きさのことをサーファーに語る
ので、恥をかくみたいな感じだったかな。
冒頭からネイサンが双眼鏡を見ながらサーフィンしているものを見て
「バカめっ」と語っていたので、この人が犯人になっていくのかなと
思わせた。しかしネイサンが殺されたとなると、犯人はどう見ても
ネイサンの同僚のウィルソンしかないんだよな。
ずっとこの人の動向が気になって観察していたけど、結構FBIの捜査本部
にも来ていたし、ずうずうしさが有った。
しかし正直まさかモデルの彼女が関係しているとは思わなかった。
あの女性はネイサンの稼ぎだけでは食べていけないとしていたけど、
彼は州保安警察官の一人であり給料だってちゃんと出ているんだからね。
寧ろ住んでいる場所は問題が有るけど・・
今回はアミタが登場せず。
ドンが人生に悩んでいるシーンというのも今回は描かれなかった。
ただ子育てに対する父親の視点が加味されて、被害者の親子関係に
対してアランが同様の寂しさを訴えていたけど、4歳のチャーリーに
チェスで負けたとか、11歳のドンに野球の投球練習の相手にもならない
とされたとか、キース以上に寂しい父親としての威厳みたいなものを
アランから思わず感じるという・・。
でも息子たちはまだ生きているからアランは幸せだろう。
例え捜査官の息子故にいつ撃たれることか心配は尽きなくともね。
■捜査に於ける数学の先生たち
・海流の分析、波の高さの分析
海流の分析で遺体が溺死した場所を探ろうとしていたけどデータが少な
くて失敗。
波の高さは虫眼鏡を例にあげてガラスの湾曲を引き合いに出したり、
海の波も光の波も同じ屈折したり集中したりする事を告げ、
海洋大気圏局のデータと推進測定データを用いてアニメを作っていた。
波の大きさについて
1m以下はアンクルスラッパー
2m以下はヘッド・ハイ
4m以下はダブル・オーバーヘッド
10m以上はモンスター
というらしい。
・意味のある偶発現象
ラリーとチャーリーが実地試験と称して海に行った際に、物理現象の中
には数値化出来ないものも存在するとして、それは意味のある偶発現象
だとラリーは語っていた。
・栽培地予測モデル
マリファナが栽培されているということで、2年前に国立公園管理局が
マリファナ農場を摘発したことがあるという。しかしチャンネル諸島
は地形が複雑でなかなか特定が難しいとした際に、チャーリーは以前
に国土安全保障省の依頼で空から集めたデータと栽培地予測モデルを
使って特定の植物を探したことがあるという。
・ジャンケン
カオス理論によればグーチョキパーの分布は純粋にランダムだが、
確率分析の考えでは最初に何を出したかによって決まってくるもの
があるようだ。しかしチャーリーは今後ジャンケンで勝負する機会が
あるかもしれないので解説はしなかった。
しかしこの流れデビッドがコルビーとジャンケンして文句を言っていた
けどいつもデビッドがチョキを出して負けているというのであれば、
何らかのクセがあるというのは気のせいか?法則でもなく人間の行動の
習性だよ。
・デコンボリューション演算子
マリファナの栽培地域を探す為に色々と模索する。
スペクトル領域は周囲に自生している植物と変わらないので
スペクトルセンサーを使ってのマリファナの特定は難しいという。
それでデコンボリューションを使うことになった。ハイパースペクトル
航空画像と組み合わせてマリファナの特定を行っていくことになった。
要するに自生する他の植物からの干渉を除外し、さらに学習集合に
基づいて特定のスペクトルパターンを認識するようなアルゴリズム
を作ったという。
■その他
・海 = 宇宙理論に結びつけるラリー
先日のマジックの時もそうだけど、海と人類の進化のネタを無理矢理
結びつけて、彼の得意分野の宇宙物理学に繋げていくことが多い気が
する。
ティモシー・リアリー曰く、
「人類の進化の頂点にサーファー有り」
「過去と未来を繋ぐ波に乗って常に今を生きることが出来るのはサー
ファーのみ」
「宇宙とのダンスだ」と語るのはコルビー。
ラリーは誰の言葉かと尋ねていたが、パトリック・スウェイジの
「ハートブルー」(Point Break / 1991年)だよと語る。
良い俳優さんでしたが2009年に亡くなってしまいましたね。
日本では「ゴースト/ニューヨークの幻」でのデミ・ムーアとの共演で
おなじみの方。
・マリファナ農場の罠がチープ
ニッキーとコルビーが罠を見つけていたけど、その仕掛けがまた
チープだったな。
■使用された曲
・Hang Me Up to Dry by Cold War Kids
■出演者
ドン・エップス (Rob Morrow) FBI捜査官
チャーリー・エプッス (David Krumholtz) 数学者
アラン・エップス (Judd Hirsch) 父
デビッド・シンクレア (Alimi Ballard) FBI捜査官
ラリー・フラインハート (Peter MacNicol) 物理学者
アミタ・ラマヌジャン (Navi Rawat) 学生
コルビー・グレンジャー (Dylan Bruno) FBI捜査官
ニッキー・ベタンコート (Sophina Brown) FBI捜査官
ネイサン・ワッツ (Brad Gerlach) 国立公園局・元プロサーファー
キース・ワッツ (Kevin Tighe) ネイサンの父
キャメロン・ウィルソン (Brad Hunt) 国立公園局
メリッサ・コンロイ (Rachel Roberts) モデル、ネイサンの元彼女
パット・ドラモンド (Ryan Bittle) 元プロサーファー、麻薬捜査を受けていた
ケビン・ワルショー (Joey Kern)ドラモンドの仲間
フランク・へーゲン (Bernard White) サーフボードを作っている
M.E.ライデンアワー (Leslie Silva) 検視官
— (David Pease) Fashion Photographer
スキッパー (Eric Lange) 違法にウニ漁
レイチェル (Rachel Ann Mullins)