第7話 死のスワン・ソング Swan Song
脚本/Rob Hanning
監督/David Barrett
【ストーリー】
ホーリー・シェンプのコンサートのリハをする。ジーク、ハンク、
ビリーが舞台に居る中でヴォーカルのキースは夕べのライブの
記事が掲載されて居るぞと語る。ビリーは何て書かれているのか
と問うと”第二のニルヴァーナ、ブレイク間近”だという。
ヴォーカルのキース・ブルーのシャウトに世界は炸裂する日が
近いとし、俺たちの時代が来るという。ジェームズはどうしたの
かとして彼のギターのことも書かれているという。ジェームズは
まだトレーラーで寝ているのかとして起こしに行くとギターで
殴られて血だらけになっている彼の姿を発見する。
ケイトとライアンは現場に行くと何故カメラが中に入っている
のかとして追い払うよう告げる。バンドのドキュメンタリーを
作っているのだとしてハンク・ロジャースが語る。ラニが
鑑識活動をしている事件現場にもカメラが入っていた。
エスポジートはレンズにヒビでも入れてやるかとするが、監督
に言ってくれと言われ、ケイトはエスポジートにそれを頼む。
リックがやってくるとカメラが回っていることに気がつく。
カメラ慣れしているリックは「小説家で”氷のヒート”」を宣伝
する。そしてケイトのことを指してこちらはニッキー・ヒートの
モデルになったベケット刑事だという。
ラニに何か分かったかと問うと被害者はジェームズ・スワン(27歳)
、ロックバンド”ホーリー・シェンプ”のリードギターだというと、
三バカ大将のシェンプのファンなのかという。死亡は死斑の状態
から見て午前24時から26時の間だと。腕にオブザーブと書かれて
いるとし”注意”って意味だとして皮肉だという。ギターが凶器で
間違い無いというケイト。ギターはギブソン・レスポール・59年型
だというリック。
ライアンはハンクから話を聞く。
ギターはジェームズの元に置きに行ったという。ライブの後に
ボクがチューニングをしてトレーラーに届けたものだという。23
時半頃届けたとし少し会話もしたという。トレーラーの外で
不審者は居たのかと問うと白いバンを見たがナンバーまでは
見えなかったという。
マイタスは何処かに電話していた。エスポジートは監督のマイタス
にカメラを片付けるよう告げる。しかし彼はこの3ヶ月密着して
きたのだと訴える。映像は資料として全て提出してもらうという
エスポジート。マイタスからは大ピンチなんだとしジェームズは
バンドの顔だったこと。亡くなったことで映像をサスペンス風に
変更して犯人追跡劇を撮りたいのだという。エスポジートは人が
死んだんだぞと、製作事務所からの電話にマイタスはエスポジー
トに出てくれと語る。
この状況からするとカッとなって殺したのだろうとし、言い合い
が白熱したのではないかという。27歳の被害者だと聞いたリック
はまた27クラブが増えたなと語る。ジミヘン、ジム・モリソン、
ジャニス・ジュプリンが27歳で他界したという。
そんな中トレーラーの奥で物音が聞こえる。
ケイトは銃を手にしてリックと調べに行くとそこにはバタフライ
という名の下着姿の女性が居た。彼に逢いたくて半年前からバンド
の追っかけをしていて2、3週間前から付き合っているのだという。
トレーラーで一緒に過ごしていたこと。事件の時はどうしていた
のかと問うと、気絶していたのか飲み過ぎていたのかドラッグを
していたのかで覚えていないのだという。何でも良いから覚えて
いることは無いのかと問うとトレーラーで馬の音が聞こえたという。
蹄の音で雪道を歩くようにパッカパッカと。彼は怒っていたか?
と問うと、それまではバンドのメンバーのことで愚痴って対立
していたが夕べは逆に嬉しそうだったという。まるで心の重荷
が降りているみたいだったと。メンバーの対立の原因は何だった
のか。
ゲイツは撮影を許諾していたことにケイトは文句を言う。
しかしゲイツは私自身には何も出来ないとし良い宣伝になると
して市長が決めたことだという。気持ちは分かるというが・・
カメラがあることを知るゲイツは、自己紹介する。
12分署のゲイツ警部です。この度はニューヨーク市警の広報課
と連携して捜査の撮影を全面的に認めますと。
ケイトは捜査は私の領域で私のものだという。遠慮無しにズカズカ
入る人に協力したくないとリックに不満を述べる。どうせなら
君の魅力を見せたいというリック。
メンバーから事情を聞き、アリバイを一人ずつ尋ねる。
常に一緒にいるので対立だってあるという。ジークは5年間この
世界で生きる為必死にやったという。その結果絆が生まれたのだ
と。業界を知らないジェームズを支えてきたこと。キースは
ライブ後は自分のトレーラーに居たとするとみんなそうだという。
白いバンにつけられていると言っていたというビリー。キース
は一ヶ月前のイサカの講演の頃からだという。警備の数を増やし
たいと言い始めて最近は何も言わないから落ち着いたかと思った
という。昨日1時のミーティングをサボッて6時頃に戻ってきたと
いう。サボるのは初めてでカメラマンは巻かれたとのことだった。
エスポジートたちは密着映像のジェームズの部分を見る。
ジェームズは「ギターは独学だっていうヤツは多いが、俺には
師匠に習った。師匠とは連絡を取っていない」という。一ヶ月
以上前の映像だが、その中にはストーカー男がどの場面でも
写っているという。そして白いバンも写っていた。
ライアンは写真を拡大してバンのナンバープレートを確認。
所有者の住所に向かっていた。
その車の中でエスポジートは俺は軍隊の出身で射撃が得意だから
突入は先頭に立つという。ライアンは何処から突入するのか考え
るのも大事な仕事だとし俺は相棒よりも慎重で中枢を担っている
という。
いよいよ現場に到着すると白いバンを確認。そしてそこに居た
ジョーを逮捕する。ライアンは車の中に有るテープとロープ、
そして血の付いた作業着を見つけるのだった。
ケイトに逮捕したとする報告をする。犯人だとする決め手は
何なのかと問うと、バンの中に血の付いた作業着が入っていた
とし現在その血が被害者と一致するか調べているという。
エスポジートはカメラに向かって市民の安全は俺からのプレゼント
だとし礼は要らないと語る。
■感想
ドラマとしては絆を守るものと絆を断ち切ることでの喜怒哀楽
的な内容となった。
殺されたジェームズが最も大切にしているものは何だったのか。
貧乏ツアーをしているという割りに2万5000ドルなんて金が
よく出せたなと思ったけど、それ以上に彼が所持しているギター
はギブソン・レスポールの59年製。ギターについてよく知らない
人は検索して見れば如何に凄いものなのかが分かると思う。
捜査官としての意外な顔を見せたいとか、マンネリズムを打ち
砕くために通常の捜査の中にカメラを意識させるような捜査官
たちの奇抜なリアクション、目立ちたがり屋の部分を引き出し、
構成した内容。
アメリカのドラマはよくこういう内容のシナリオを作るよね。
元々カメラの前でドラマは撮影される訳で、そのカメラ自体を
ドキュメンタリーという形で取り込んでしまうというアイデア
は悪くは無い。
ただケイトは怪しいヤツから狙われている状態だし、本人だけなら
ともかく家族に被害が及ぶ可能性が高いしあまり捜査官の中でも
殺人課刑事の顔は見せるべきじゃないな。
でもリックの本が売れているみたいなので、ニッキー・ヒ
ートシリーズの中でもその主人公のモデルになっているケイト・
ベケットがどんな人物なのかということは既にマスコミには
取り上げられて世間的には周知の事実なのか。
元々リックが捜査に加わっているのもNYPDのイメージ向上という
か世論への広報的意味があるのではないのか。
小説家ファンならロック好きじゃなくてもホーリー・シェンプの
そんなドキュメンタリーを見てみたくなるところかも。
■事件
ブレイク間近で論評でも”第二のNirvana”と言われている
Holy Shempのギターリストのジェームズ・スワンが自分のトレー
ラー内で殺害される。
これまで売れないロックグループだった彼らは全米を貧乏ツアー
で巡業して、ようやく苦労して売れそうなところまで来ていて
この事態に陥る。バンドはこれまで3ヶ月間ドキュメンタリーの
形で撮影しており、事件捜査に対してもその過程を撮影したいと
いう申し出があった。ケイトは嫌がるが、市長はNYPDの宣伝にも
なるということでゲイツに撮影許可を命じたことで、同行取材が
許されることに・・
■捜査/結論
みんなカメラを意識してオシャレしたり、自分の魅力を宣伝する。
刑事や検死官が自分の魅力をアピールしてどうするって感じ
なんだけど、まぁそういうショウビズ界とも繋がりのある12分署
ならではのことなので仕方が無いのか。
一番驚くのはゲイツが意外とこういうカメラには弱いところか。
こんなにごますりっぽいことをする人とは思わなかった。
ここの所、すっかり賄賂的流れに弱い姿が見て取れる。
ラニもまた検死官室では作業着ではなく綺麗な服着ていたし
大した情報でなくてもわざわざケイトを呼び出してカメラ目線
で報告するなど、この二人が一番カメラの前で変わった印象が
有ったかな。
元々知る人ぞ知るラニはセクシーダイナマイツだし(笑)
ただ厳密に言えば現場にカメラが入る事で証拠がダメになったり
ラニにしても裁判にでもなれば証拠を問われることにも繋がり
そうなことを平気でしている所が有ったね。
白いバンの男は、ジェームズと関係を持っていたバタフライの
父親で、グルーピーから連れ戻そうとしていたもの。
よくロックに魅了されたものたちをカルト集団に例えられる事
もあるけど、そんな所から引き戻そうとする父親の姿も印象的
だった。
盗作疑惑が浮上したり、バンド内の不和の問題をミスリードの
流れに引き込んだりする。
ジェームズはバンドを辞めてソロでデビューしようとしている
のではないかとしていたけど、実際にはその逆で寧ろ脱退させ
させられる人物がこれまでの功績・貢献を無視したジェームズ
に憤りを感じて思わず殺害してしまったものだった。
芸能界でもテレビ業界では特に出演者にはキャパシティ
の問題も有って、よく同じキャラクターが出てくると、牽制し
合うところが有るけれど、実力がないものが押し出されてしまう
のもまたシビアな所が有るんだな。
ジェームズの師匠であるハンク/バック・クーパーをカルト教団
から救い出したことで、その彼をベースに採用したことで、
ジークが押し出されたことが結果として殺意の原因となった。
「(ビートルズの)ピート・ベストみたいに(メジャーデビューする
前に)切ろうとしたのでつい我を失った。」(Zeke)
「ピートはドラマーだとしビートルズで言うならベースのスチュ
ワートじゃないか?」(Ric)
■その他
・映像は真実を映し出す
今回の事件解決に至る要因となった一つはジェームズがカメラ
の前で語ったことが有る。親友の存在、そしてギターを教えて
くれた師匠のこと。
リックとケイトが思わず話し合う中で抱擁している姿が写される。
ゲイツがフィルムチェックをする中で、そのことがバレたので
はないかと心配するが、ゲイツは自分の後ろでリックがふざけて
いるのが許せないとしてオフィスに呼び出されていた。
気になるのはマイタスがドキュメンタリーの一部をカットして
くれたのだろうか?それともゲイツはその映像は目にしていたが
心の内に留めてくれたのか。カットされたものが渡されたみたい
には言っているんだけどね。ここの所ゲイツの優しさを見せる
シーンがあるからな。
最後にはケイトは秘密と称してカメラマンを用具室に閉じ込めた。
バタフライが被害者のトレーラーに閉じ込められていたし、
被害者の親友だった男性もまた教団によって縛られ閉じ込められ
ていた。
・エスポジートの歌
リックが楽譜を見てそのパワーコードの難しさを見抜いたところは
ちょっと出来過ぎかなって感じだったけど、エスポジートが
最後にこの曲を歌う光景が有った。
エスポジートとライアンがドラマ中では、自分の役割こそ大事だと
して張り合っていたことも有って、最後はみんな仲良くって感じで
良い雰囲気になったね。
■使用された曲
・Castle Theme
Written by Robert Duncan
・To the Moon by Tone Depth
・Back Out On The Road Again by Cast
・Lies by Cast
・Back Out On The Road Again by Holy Shemp (TV Band)
・Wait for You by Derek Evry
■出演者
リチャード(リック)・キャッスル (Nathan Fillion) 作家
キャサリン(ケイト)・ベケット (Stana Katic) NY市警12分署殺人
マーサ・ロジャーズ (Susan Sullivan) キャッスルの母親。女優
アレクシス・キャッスル (Molly C. Quinn) キャッスルの一人娘
ハヴィエル・エスポジート (Jon Huertas) ベケットのチーム
ケヴィン・ライアン (Seamus Dever) ベケットのチーム
ラニ・パリッシュ (Tamala Jones) 検視官
ヴィクトリア・ゲイツ (Penny Johnson Jerald) 主任・警部
キース・ブルー (Andrew J. West) “ホーリー・シェンプ”ボーカル
ジョン・キャンベル (C. Thomas Howell) 世界啓蒙団体教祖
ジョー・シルバー (Daniel Roebuck) バタフライの父
バック・クーパー / ハンク・ロジャーズ (Nick Thurston) 信者
ジーク (Chris Coy) メンバー、ギターリスト
サム・スピア (Amir Talai) 作曲家、スワンを盗作で訴える
キャロライン (Kristen Miller) 世界啓蒙団体、カルト集団脱退
ビリー・バッシュ (Max Arciniega) メンバー、ドラム
ジョエル・マイタス (Brian Maillard) マネージャー
バタフライ (Sarah Scott) スワンの彼女、グルーピー
ジェームズ・スワン (Hunter Jackson) 27歳、リードギター、被害者
— (Lydia Hull) Front Desk Clerk
— (Brian Kong) Uniform Officer
— (Aussie Guevara) キースの彼女
— (Justin Sandler) New Guitarist