第3話 命の重さ Pre-Existing Conditions
脚本/David Marshall Grant
監督/Lee Rose
【ストーリー】
リアンはコーヒーを飲みながらボーっと救命室を眺めていた。
マークがやってくると交通事故の患者が2人来るぞという。
リアンが無反応だった為に聞いているのかと問うと、焦げ臭い
とかないかと尋ねる。無いという彼女にそれなら脳腫瘍の心配
は無いだろうと語る。搬送口へ行って2人の兄弟が運ばれてくる
ので担当してくれという。弟が重症だと。
・コード・ブラック/36時間。
もう36時間もコード・ブラックが続いているというマークは研修
医たちにも延長・続投してもらうという。彼らならば大丈夫よ
というと君はどうか?と問う。13日間も休みが無いと。気にしない
でというリアン。
そんな中救命士からの運ばれている救急車の中からの連絡で心停止
したという。あと5分で到着すると。
一方アンガスは45歳・男性、トラックのスロープから落下し、
腰と背中に痛み、恐らく胸部打撲と肋骨と骨盤の骨折をしている
患者だという。ガスリーは呼吸はどうか?というと、患者のスタン
リーは早く治療をしてくれという。喋れるなら呼吸は問題無さ
そうだとし、鎮静剤と鈍的外傷検査が必要だとして予備室に
移せとガスリーはアンガスとリサに指示する。
マラヤは患者を搬送するとしクリスタに対して今から車が来る
から手伝ってという。クリスタはトイレくらい行かせてというと
私はオムツしているけど・・とジョークを飛ばす。
アンガスとリサはスタンリーの容体が悪化していることに気が
つく。血圧の低下。骨盤のレントゲンと外傷検査をしようとし
モルヒネ8mmだという。マリオは骨盤の固定を忘れるなとし、前後
圧迫型の骨盤には欠かせないという。胸部打撲はあるのか?
アンガスはあるという。肋骨骨折も有るというと、マリオは
自分ならそっちを気にするという。救命の基本は「気道」
「呼吸」「循環」だという。骨盤だけ救っても意味がないこと。
リサは更に血圧が低下していますというと、エコーとOマイナス
の輸血を4単位準備してという。俺なら骨盤内出血より胸腔内
損傷を心配するというと全部考えているというアンガス。
ニールは患者なのかとすると兄弟2人だというリアン。
兄・ケヴィンと弟のパトリックが運ばれてくる。
21歳男性複数の胸郭変形だという救命士。ケヴィンは弟を助けて
くれとして比較的元気があった。
パトリックは一時的意識喪失だとするとマラヤに心臓マッサージ
を始めるよう指示する。リアンはその間にも挿管するとし
重炭酸ナトリウムと生食の投与を命じる。そしてケヴィンには
モルヒネだという。
マラヤは声門を通貨。イザベルは両側の呼吸音を確認したという。
心臓マッサージを続けてという。シートベルト跡があるが何が
考えられるかとニールはクリスタに尋ねる。臓器損傷だという
クリスタ。胸部エコーをというニール。
リサは血圧が60-40に低下。危険だとアンガスに言う。
骨盤内出血は無いのに何故なのかとアンガス。他が原因だという
マリオ。骨盤骨折なら後腹膜出血だというアンガス。
心停止だというリサ。骨盤骨折で固定の時に痛がっていたので
明らかに骨盤無い出血だというアンガス。それなら急に心不全
を起こすか?というマリオ。胸腔内損傷なのか。肋間動脈出血か、
心臓損傷だってあり得るというマリオ。心臓のエコーをという
アンガスだが時間がないという。開胸しろとでも言うのか?と
いうアンガスに止血にはそれしか無いだろうというマリオ。僕達
は研修医だし開胸は最終手段だというアンガス。
やらなきゃ死ぬぞというと、考えるのは悪い癖だとし自分を信じろ
という。決断しろというマリオに対して開胸するので準備を
告げる。
クリスタはパトリックの腹腔内に大量の液体だとし多分血液だと
いう。ケヴィンは弟の元へと言うがダメだとしレントゲンだと
して連れ出すニール。そっちはCTにいける?というリアン。
すぐ行くとし外傷検査、胸部と骨盤のレントゲンだというニール。
ケヴィンが外に出た瞬間、リアンはマラヤに心臓マッサージは
辞めるよう指示する。もう手は尽くしたとし、心静止で除細動を
かけられない理由は?と尋ねるリアン。電気ショックを与えても
反応しないからだというマラヤ。他に何か出来ることは有るか
とリアンは告げた後、死亡宣告午前7時1分パトリック死亡と言う。
開胸したアンガスとマリオだが、なんとスタンリーの心臓は
動いていた。心拍がないから開胸したのに・・何のためにやった
のかこれでは分からないという。脈拍は有ったのに確かめなかった
のではないか?とマリオ。エコーをやっておけば良かったという。
ガスリーがやってくると二人にお前達は何てことをしたのかと
言われる。
お偉いさんたちが開胸を巡って担当したアンガスから話を聞く。
胸腔内には何処にも異常はなく心臓はピンピンしている。マーク
はやってくれたんとし無駄な開胸とは・・と。今頃上はカンカン
だと。骨盤の整形外科手術に加えて後始末の開胸手術まで必要
だというリアン。マークは弁護士も必要だと。何を考えていた
のかとアンガスを問うと説明するよう告げる。骨盤と肋骨の骨折
に胸部打撲で心停止。原因は胸腔内損傷か肋間動脈出血だと
思ったという。医者なら診断出来るでしょと。ガスリーはエコー
で検査しようと思わなかったのかと問うと、僕らは時間が無いと
話していたのだという。心拍が戻ったのは?と問われ、マリオは
輸血を2単位し同時に輸液もしていたのかと。原因は骨盤骨折に
よる出血。コードブラックになって2日目。マリオは外傷室へ
アンガスは待合室に行くよう告げる。その方が安全だからだと。
マークは私は昔逆の睾丸を切ったことがあるとし慰めになった
かと告げる。
■感想
テーマとしては話したいのに話せない現実が至るところで
起きたことか。
アンガスとマリオの二人の開胸の件もそうだし、兄弟の事故
の件で母親に死亡を知らせる際には電話で詳細は知らせること
は出来なかった。
そして今回は患者の中でも特異な刑務所の患者がやってくる。
どんな罪を犯したのかをクリスタは知りたがっていたが、
プライバシーの壁に阻まれる。
このドラマ、特定の目指すべきものが無く淡々としている感じ。
敢えて言うなら研修医から正式な医者になる為に努力して経験
を積んでいるのだろうけど、それぞれの背景こそ多少描かれて
いるけど病院での生活が長いので、私生活上での語り合いも
少なく、少々妙味が足りない気もする。
これだけ患者が多いので右から左に流れるからね。
今回はとりわけ医師としての決断に自信のないアンガスと同期
の研修医で有ってもまるで仲間意識をもって接しようとせず
寧ろ蹴落とそうとしているマリオの姿に憤り感を感じるシナリオ。
アンガスはいじめっ子タイプかと思ったけど、全くの逆。
彼は過去にもイジメが有ったけど、その連鎖を食い止めるだけの
強さを持っている人物だった。そのことを聞いたガスリーからは
ヒーローは君だと言われていた。
患者の一人が湾岸戦争に参戦し、現実だったのかどうかが分から
なくなる中で道しるべとなるべき「国防従軍記章」を所持していた
ことでそれが現実だったとする流れを見ると、目立たないけど
影のヒーロー的存在が一つのテーマだったのかな。
指導医たちは研修医にその都度質問する。
こういうケースの場合にはどうすれば良いか。
そんな時に限ってもの凄く忙しくて時間がない。時間の切迫感に
よって押しつぶされるものと余裕を持って選択肢を考えられる
ものの差がやはり経験であったりするのかな。
■患者
・スタンリー(45歳)
オブライエン兄弟が運ばれてくるという知らせが来る前に先に
運ばれて来た人物。トラックのスロープから落下して腰と背中
に痛みを感じ、恐らく胸部打撲と肋骨、骨盤の骨折が疑われた。
ガスリーは彼の措置に関してはアンガスに任せることになる。
アンガスの傍にはマリオも居た為に一緒に患者を診ることに
なる。看護師にはリサがついていて、バイタルがみるみる悪化。
マリオとアンガスは意見が割れてアンガスは骨盤を疑っていた
がマリオは何度もつよく胸腔内損傷のことを口にしていた。
そんな話をしている間にもどんどん容体は悪化。
アンガスは骨盤骨折の固定の時に痛がったので明らかに骨盤内
が出血箇所だという。しかし急性心不全を起こすくらいだから
骨盤より胸腔内だろうというマリオ。開胸として止血にはそれ
しかないという。
マリオがここで良い事を言ったとしたなら
「考えるのは悪い癖だ。自分を信じて決断しろ」ということ。
開胸を決断したけど結局心臓は動いていた。脈拍が有ったのを
確かめなかったのかとしていたけど、看護師の仕事ではない
のかな。エコーをやっておけば良かったとして後の祭り。
胸が開いている患者を見てガスリーもなんてことをしたのかと
告げる。
結果マリオは外傷センターに戻り、アンガスは待合室の外来患者
を担当することになる。
二人は一緒に作業し、そしてマリオの意見を採用したのにこの
仕打ち。でも担当医はアンガスなのだから決断の責任は彼に
有ったとしか言いようがない。
・ケヴィンとパトリック(21歳)の兄弟
交通事故で運ばれて来た患者。
ケヴィンが兄でパトリックが弟。
ケヴィンは比較的軽傷だったかな。後に腹部に血が貯まって倒れ
ていたけどね。
問題なのはパトリック。複数の胸郭変形。名前を聞いただけで
相当ヤバイのは分かる。
マラヤに心臓マッサージをさせてパトリックのことはリアンが
担当し、ケヴィンはニールが担当していた。
パトリックには重炭酸ナトリウムと生食を投与し、なんとか
挿管していく。
一方ケヴィンはシートベルトの跡がついていてニールとクリスタ
が対応。この場合は臓器損傷を疑うとするとニールはケヴィン
を腹部エコーに連れて行く。
エコーに連れて行く間にリアンもなんとかパトリックを除細動に
かけたいとしていたけどそれも叶わず死亡した。
●パトリックの死
今回は母親のマーガレットに死亡した事実を連絡することになる。
ジェシーからその手順を教えられてマラヤが伝える役目。
しかし電話口では詳細は話せない決まり故に病院に来てもらう
ことを告げる。
母・マーガレットがやってくると弟パトリックが死に兄のケヴィン
が生きて居ることに憤りを感じる。母はジャンキーにケヴィン
には絶対に車に乗るなと言っていたが、パトリックは兄のことを
幼い時から崇拝していて良い格好したかったのだろうね。
ケヴィンを見た母はお前が死ねば良かったと怒鳴っていた。
●ケヴィンの悪化
低血圧、頻脈になりつつある。
中心静脈ラインの準備。精密機器が故障でも検査は出来るとして
血液を採取すると、濁った血で酷い出血が体内にあった。
試験開腹の準備をするがケヴィンは死にたがる。
リアンが母親を説得して自分も飲酒運転の車によって子供2人と
夫を失ったことを話した。
生きて居る彼だけでもすぐには許せずとも助ける為に声を掛けて
あげてほしいということで、上手く仲直りさせていく。
ただケヴィンはドラッグをしていたので刑務所行きは免れないが。
「この世にあるたった一つのタイムマシンはただひたすら前に
進む事しか出来ない。」
・ディラン(38歳)・刑務所の患者
意識不明、呼吸不全で運ばれて来た。
腎不全による尿毒症。ニールとクリスタが担当することになる。
なんと男は殺人鬼なのかな。
クリスタと居る時にはやたらと恐怖を煽り、人の恐怖や絶望感
を見るのが好きな様だ。そんな人物でも助けなければならない
のが病院の仕事。
ニールはクリスタに血液ガスの分析、電解質濃度を調べるとし
腎不全で気をつけるべきはカリウム量。高濃度だと最悪心停止
するという。
検査の結果数値は高かった。時限爆弾のようだということで
インスリン、ブトウ糖液、アルブテロールなどを投与し、
なんとかカリウム濃度を下げる必要が有った。
終身刑の相手でも権利は平等。
「憲法修正8条」には人権が守られているだろうと。
リサが静脈を探すが見つからない。ドラッグをしていた人物は
静脈をダメにするみたいだ。
呼吸不全から肺水腫になり透析することになる。そして透析装置
をクリスタが初めて挿入することになった。
ガイドワイヤーなどを使ってカテーテルを挿入。動脈を刺せば
大出血になるということで神経を使うものだった。
体調が悪化。カルチコール投与。たった2ccでこんな殺人鬼が
生きて居られるなんて・・・とクリスタは注射を躊躇う姿が有っ
たな。
ニールにクリスタは治療担当を変わって欲しいとするが、母から
の教えを聞かせた。
「強い振りをするのも強さのウチ」
・待合室の患者
・カーティス夫人
目が痒くて喉が痛く鼻水も・・と。アレルギーがあるかどうか
を尋ねる。
・ティファニー
ポールダンサーなのか。脚の痛みを訴えてやってきた。
・TJ
早くしろと文句を言っていた。爪の水虫の患者だったかな。
・ドナルド
頭が痛いという元兵士。過激派にゴルフクラブで殴られたと
訴える。カーティス夫人によるとあの人は常連だということ。
途中で呼吸がおかしくなる。カーティス夫人があげたピーナツ
アレルギーでアナフィラキシーショック。
アンガスが喉頭鏡を使って気道の確保を行う。
その際ドナルドが緊張を解くためか歌っていたね。
みんな知っていた曲みたいだったけど何の曲だったのかな。
あとで調べて見るか。
・ゾーイ(19歳)
友達A&Bと共にやってきた患者。友達はフェスに行っていたという
がリアンはドラッグを疑う。嘘は友達の為にならないと言われて
正直にエクスタシーをしたという。マリオによると体温調整を
阻害する薬物。パームデザートに3日いたとのこと。
リサによると体温は42度。友達は疲れだとするが、病名は
非労作性熱中症というもの。解熱したいが体温管理装置が使用中。
しかたなく昔の方法で氷などで冷やして覚ます。
ずっと体温が下がらない。
点滴をしようにも出血まで酷い。
FFPとクリオ製剤、血小板を使う。熱に弱いのは血液。高体温が
続くと血液中のタンパク質が変性や分解してしまう。
出血を止めると血液が凝固するという最悪な状況。
脈が触れなくなり心停止。エコーし右心拡張の大きな血栓。
つまり肺塞栓症。心臓マッサージをする中、血栓を溶解剤を
使うというマリオ。ニールは正解だと語る。
上手く処置した後にニールはマリオに君は立派な医者になれるが
医者はスポーツではないので得点を数えるのを辞めれば多くの
命を救えるとのこと。
■その他
・トイレの友
冒頭からマラヤとクリスタがトイレのことを話題にしていた。
パトリックが死亡した後に二人はトイレに行き隣り合って会話
していた。一人でも生きて返したいという。ケヴィンの方は
安定していたが、CTスキャンが故障中という。
・アンガスとマリオの性格
リアンとニールがアンガスが処分された際に、マリオは仲間を
庇おうともせずに責任を全部押しつけたことを語る。勝つこと
しか頭にない。仲間を蹴落とすタイプだという。しかしニール
は人は変われることを告げると、彼に合った指導法があるはず
だという。しかしリアンは指導はしないとし、篩に掛けるだけ
だという。規格外は弾かれるだけ。
・ママとパパの会話
息子が息子に殺されたという患者を見た後に会話する。
リアンは自販機でスナックを買っていたけどマズイという。
キッチンの食事が売り切れだから仕方がないとし、ママのこと
を「太っちょうの栄養アドバイスは結構だ」としていた。
映画でスターになれる顔だろうとしていたが、問題はおっぱいだ
という。それだけ太っているというのか。
・マラヤを迎えに来たエヴァは?
なんか良い感じの雰囲気だったけど、彼女ってゲイパートナーが
居るのか?
・アンガスとマリオ
アンガスは待合室を担当した事でティファニーという女性と
知り合う。脳しんとうの兆候があるとしていたけどホントなの?
ロッカー室でアンガスとマリオ。
祖母と会話していたマリオはアンガスが来て語りかけるが
「今、君とだけは話したくない。」
興味深いことに今回は話したくても話せないことが色んな面で
出て来たし、話したくないという事情が至るところで訪れたね。
人の死を知らせることも話したくない。凶悪犯とは話したくない。
自分のミスは話したくない。自分の過去は話したくない。
■使用された曲
・
・
■出演者
Dr.リアン・ロリッシュ (Marcia Gay Harden) 主任指導医
ジェシー・サランダー (Luis Guzman) 看護師長
Dr.ニール・ハドソン (Raza Jaffrey) 指導医
マリオ・サヴェッティ (Benjamin Hollingsworth) 研修医、NY大
クリスタ・ロレンソン (Bonnie Somerville) 研修生、ブロンド
マラヤ・ピネダ (Melanie Chandra) 研修医、優秀
Dr.ローリー・ガスリー (William Allen Young) 指導医
アンガス・レイトン (Harry Ford) 研修医、マイクの弟
Dr.マーク・テイラー (Kevin Dunn) ER部長
イザベル・メンデス (Ellia English) 看護師、ぽっちゃり
ハンナ・レイノルズ (Emily Nelson) 受付看護師
リサ・パーク (Angela Relucio) 看護師
マーガレット・オブライエン (Gail O’Grady) ケヴィンとパトリックの母
ケヴィン・オブライエン (Aaron Christian Howles) 長男、問題児
ディラン・マイケル・ロス (Matthew John Armstrong) 刑務所の患者
ティファニー (Shanti Lowry) ポールダンサー、患者
ドナルド (Dan Martin) 退役軍人、待合室
スタンリー (Jeff Davis) 45歳男性、トラックのスロープから落ちる
ゾーイ・フラー (Lonny Aufrie) 高熱、非労作性熱中症
Mrs.カーティス (Amy Tolsky) 患者?待合室
エヴァ (Jelly Howie) マラヤのゲイ友?
TJ (Diego Rodriguez) 爪の水虫
— (Aris Mendoza) EMT
— (Grace Van Dien) Friend One
— (Megan Neutze) Friend Two
Medic
(Kelly Michaels)(Andres Perez-Molina)
— (David Ausem) 医学生
— (Christina Cannarella) ER看護師
— (Nancy Schmitt Farkas) Threatening Patient
— (Annunziata Gianzero) Dialogue Coach
— (Mick Kennedy) Trauma Nurse
— (Lisa Pevc) Trauma Nurse
— (Margaret Newborn) 患者
パトリック・オブライエン