第12話 霧の向こう側 The Fog of War
脚本/
監督/
【前回のあらすじ】
LAの霧の夜、交通事故で玉突き事故が発生。
ニールは黒のタグは死亡か救命不可能の患者だと告げる。リアン
はどの命を救えるかあなたたちが判断を。リアンは運ばれた子
に母親のことを助けると約束。マラヤはその母親を見たが黒タグ
だった事を告げる。しかしリアムはもう二度と子供に親の死は
伝えないという。マイルズはリアンが勝手な行動をしたせいで
ジョスリンは黄色のタグだったが酸欠になり今では脳障害かも
知れないと語る。医師としての判断だというリアンだが、
マイルズは情にほだされただけだという。コニーの為に他の患者
を犠牲にしたら僕らの責任だとニールも責任を認める。
ジーナは運ばれて来たカーラにマラヤの元カノでしょ?という。
ガスリーはカーラに対して君が亡くなったらお腹の中の子も死ぬ
のだという。マラヤには言わないでと約束。リリーはママと兄
が酷い怪我だという。クリスタは崖下のそんな親子に気がついて
助けに行くが彼女も滑り落ちる。携帯は圏外。母・キャサリンは
誰も気がついていないのかという。ヘザーとマリオはゲイリーの
妻のリサをトリアージするが出血量が多くて助けるのは無理だと
して黒いタグをつける。しかしその後リサの元に二人を連れて
行くと銃を突きつけて治せという。みんなが一旦引き上げる中、
ニールはマリオ、ヘザー、クリスタが居ないことに気がつく。
【ストーリー】
ニールは現場を探し回る。
リリーは星が綺麗だとして見上げる中、クリスタは霧が晴れて来た
事を告げ、リリーに頼みたいことがあるという。マリオとヘザー
はゲイリーに銃を突きつけられてリサの治療をさせられる。
●エンジェルス記念病院。
応援は第一外傷へ行くよう館内放送がある中、リアンはジョスリン
を急いで運ぶ。両側の呼吸音が減弱。ガスリーは胸腔ドレナージは
問題がない事を告げ、出血量は500ccだという。肺は膨らんでいる
こと。エコーで確認するというマラヤ。
瞳孔は正円で対光反射は正常だというリアン。FASTは陰性。
意識レベルが低いのが問題だという。脳出血なのかというガスリ
ー。低酸素障害が起きていること。チューブの挿入が遅れて
脳への供給が阻害されたという。それで昏睡になったというリアン。
誰が挿入したのかというガスリーに私ですというマラヤ。一人で
やったのか?と問われると仕方なくだという。ジーナはリアンに
対して至急オフィスに来る様告げる。
ニールは救命士たちにウチのドクターを見なかったかと尋ねる。
リリーは倒れた車のハイビームを使ってSOSの信号を出す。
ガールズスカウトをしているのでモールス信号が出来るのだと
いう。クリスタは感心する。
ガスリーはカーラの元へいくとマラヤが戻ったことを報告。
君が居ることを言っても良いかと問うと、辞めてくれというカー
ラ。治療を拒んで彼女とは溝があるのだという。お腹の子が大切
だから・・と。今更いがみ合ってどうするのかというガスリーに
対して私だって一日でも長く生きたいのだという。赤ちゃんの為
ってなるとマラヤは協力してくれなくなるのだという。ガスリー
は力になるよと語る。立ち去ろうとするガスリーにオハヨーと声
をかけるカーラはまた一日生きられたことを呟く。
ニールは崖下のビームの信号に気がつく。
大声を出すと下に居るのがクリスタであることも分かる。
二人は赤いタグで一人は緑色のタグの負傷者がいることを報告する
と今助けに行くというニール。
ジーナは現場で何が有ったのかとリアンに問う。
郡の支援チームからの電話で先任者のキャスター医師から苦情が
来たのだという。対象者の調査で会うことになるとしあなたと
ニールの責任が問われているという。
現在センターステージにいるジョスリン・バリー。胸腔チューブ
をマラヤ一人に任せたのだという。私はコニー・ライナーを助け
に行っていたという。瀕死の人を優先したのか?というとコニーは
死なせないという。息子にも約束したと。しかし黒タグだったので
でしょとし、貴重な時間を何故つぎ込んだのかと問う。命を救う
為だというと、一方は昏睡だという。低酸素障害で目覚めるかも
分からないのだという。ニールと判断したというと、ジーナは事実
を知りたいだけだとし助けたいからだという。面倒だろうがこの
先も笑顔で過ごしたいならば・・・と言っている傍からリアンは
部屋から出て行ってしまう。
リリーは助けは来るのかとクリスタに問う中上空からヘリコプター
の音が聞こえて助けが来た事を知る。
ゲイリーに対してマリオとヘザーは奥さんは死んでいることを語
る。やれることはやりましたというと銃を下ろして欲しいと頼む。
ゲイリーは逆上し死ぬ訳無いというと自暴自棄になりこの世で
会えるとして銃口を自分に向ける。マリオはそれを止めようと
するが銃声が車内で鳴り響く。
マリオとヘザーは病院に戻るとアンガスやガスリーは心配したぞ
と語る。ゲイリーを運んで戻ってくる二人は、血圧90-60、
心拍数は120、酸素飽和度92で1リットルの出血。ヘザーは気道は
確保し意識レベルは8点だという。センターステージに連れて行く
ようカートを押していく。警察官は詳しく状況を聞かせて欲しい
というが、目の前で撃ったのだとし、今は患者を治すことが先決
だというマリオ。
エイミーに対してOマイナスの血液を2単位と頼む。マリオは
射出口の確認をするとし、皮下の損傷だけで頭蓋内には入ってい
ないという。マリオの気が立っている為にガスリーも少し休め
と声を掛ける。アンガスは射出口は確かにないという。
ジェシーはリアンに対してニールとの件でオレは味方だと語る。
リアンは職務を全うしただけで平気だという。
●
16歳男性(エリオット・レムベック)が運ばれてくる。
現場で輪状甲状間膜切開をしたというと、気道確認をしてCTを
撮れという。クリスタがやったらしいというニール。
リリーに対してクリスタはナースステーションにいて欲しいこと
を告げあなたは家族を救ったのだという。
■感想
前回の多重の交通事故のエピソードの後半戦。
大災害・大事故の現場に於けるトリアージというルールが有る
状況の中で、医者の中にも私情が挟むことがどれだけ許される
のか、患者の遺族の中にも私情が挟まれて自分の身内だけが
助かれば良いのか。
自分の関係するものたちを助けたいと思うのが人間の性だという
のは明らか。その結果犠牲になっている人がいるということを
提示して複雑な葛藤をもたらしている。
問題点としては・・・
1) クリスタが崖の下に落ちて誰からも見つかって居ない
2) ヘザーとマリオは銃で脅されて患者を見つつ、更には目の前
で自殺未遂をされたこと。
3) 現場責任者を無視して助けに行ったリアンの行動
またドラマでは皮肉なことにシナリオ上、対象的に描かれている
ところが見られる。
その最たるは研修医の挿管を巡り、クリスタとマラヤが互いに
違うケースではあるけど、一人の状況の中で挿管を行い患者を
救う流れがあり容体を悪化させていたり、逆に生きながらえる事
に成功していること。
ニールがリアンの前で嫌みな程にきちんとルールを守っているか
確認に来たとしていたけど、「シカゴ・メッド」だとウィルが
ルール遵守をやたらと気にしていたシーンが有ったのを思い出し
た。
またルール違反に於いては数話前に研修医たちが患者の息子が
ダウン症だった為にマリオが迎えにいったケースも有った
よね。それとはどう違うんだ?ということはさておき、指導医
たちがルール違反している状況の中で、これを責められるのか
という問題も浮上する。
「NCIS」を例に挙げるのは反則かも知れないが(見ていない
人も多いので)、S7-5では海軍の上官がイスダラ好きの部下に
罰を与える為にちょっぴり体調を悪くするような薬を混ぜて
いるのを見られて完全に上限関係が乱れたことがあるのだけど
指導医が手本となることが出来なくなるとチームというのは
崩壊へと向かってしまうものだ。
個人的にはリアンのミスだと思う。助かったから良かったけど、
寧ろ助からない方がドラマになったのかも知れないな。
それでもニールがクリスタに語る様に医者だって人間だからね。
■患者たち
・ジョスリン・バリー
リアンが事故現場で子供と母親・コニーを助けると約束した為に
持ち場を離れて勝手な行動をした。
その結果、元々は緑のタグだったジョスリンの容体は悪化して
赤のタグが貼られることになる。
マラヤがチャレンジしたが、挿管が上手く行かずに酸素の供給が
脳にまで届いていないことによる脳障害、脳梗塞などが懸念され
るところ。
ジーナはリアンを助けようとしてくれたけれどリアンは何だか
余計なお世話と見たのか、自分でもコニーを助けたことは
悪い判断だったのかということを悩んでいる状態だったので
話し合いをまともにせずに出て行った。
何にしても昏睡状態に陥っていて、低酸素障害で目覚めるかどう
かも分からない。
胸のレントゲンを取り酸素低下は換気管不足であり気管チューブ
も用意して正しく再度挿管をやり直そうとする。”正しくやろう”
と言ったニールの言葉にリアンは敏感に反応していた。
ただペンが無くなると酸素の供給が停止するのでガイドに沿って
挿入することに。それを行うと両胸は上手く呼吸が入ったように
上下するようになる。
・
しかし再びリサは容体が悪いとして呼びに来る。既に1.5リットル
の輸血をしていること。気胸だとしたらその量は多いという。
胸腔チューブに何か問題が有るのか。調べるとチューブが何と
肝臓を刺していて肝臓から血を抜いている状態。チューブを
クランプして胸部外科に見てもらおうとするが・・
厄介なのはそこにジョスリンの妹のダイアナ(Ogy Durham)が
来ていたこととコールが、またしても逃走してしまったこと。
サンフランシスコ時代にも同様のことが有ったのだという。
彼は怖い物知らずに振る舞うが実は恐怖心に捉えられているという。
マラヤはその際にリアンからあなたを責めないとするが、
「主任と共に責められるべきだ」と主張する姿が有る。
・
ジョスリンの体調は更に悪化。ダイアナはそっちのミスだとして
責める。出血性ショック。肝臓の処置をする必要が有るが、処置
したいが肝臓には血管が多い臓器でやるには外科チームのサポー
トが必要。しかしこのままだと出血死してしまう。
リアンはバルーンカテーテルょしようという。肝動脈の血流を
止める時間を稼ぐ為にREBOA(レボア)をするという。
みんな反対するがそれ以外に方法がない瑠救う為には大動脈
内バルーンと閉塞法のみ。ジーナによるとERではその処置は認め
られていないというが、そもそもオペ室でもまだ正式なものでは
ないこと。ジーナは目をつむることになる。
・
横隔膜下の出血で収縮期血圧が70以下。
大動脈にバルーンを挿入し膨らませていく。
血液源の上で、ポータブルのレントゲンを用意して正確な場所
を見極めながらと処置。
色々とレントゲンとカテーテルバルーン挿入の繰り返しで見事
ピンポイントで処置した様だ。血圧も正常に戻りオペ室に連れて
いかれる。
・エリオット・レムベック(16歳)
ニールが崖下に落ちたクリスタたちに気がついた為にDr.ヘリ
で救出された。
母・キャサリン(Amy Stewart)も大怪我だけど、カートで運ばれて
来たのはエリオットたった。
輪状甲状間膜切開を現場でリリーとクリスタが行っている。
喉にメスを入れてペンの筒を入れたあの手術だ。
気道は確保されていたと思っていたが、あまり容体はよくない。
・
エリオットのチューブは適切に挿入されているが、捻髪音が聞こ
えるという。オペで処置出来るという。
・
手術室でクリスタは気管切開をすることに。医大の時に献体を
使ってやっ以来のこと。ニールは術野を開くよう告げる。
少なくとも下甲状腺動脈は切っていない。
クリスタは自分のミスでこうなったと感じているが、ニールは
医大卒業式での一エピソードを語って励ました。医者は特別な
人間ではなく現場で怯えるのは普通のことだという。
寧ろそんな状況の中で処置したことに称賛していた。
・
エリオットたちはよくなるけれど、母・キャサリンは脚の感覚が
無い。子供がいるときには嘘をついていた。しかし望みはあると
し、自然治癒力を伝える。
・ゲイリー・マーティン
リサ・マーティンが現場で亡くなり、マリオとヘザーの目の前
で自殺未遂。マリオが銃を止めようとした為に直撃は避けられた
けど、後にその際の怪我が手袋の下から見つかることになる。
・
手術したけどゲイリーは即時想起だけで側頭葉に被弾した影響
で過去のことを全く覚えていない。入院した理由も分からず、銃で
負傷して自殺を図ったことも知らない。何よりもリサのことも
忘れている様子。本当か分からないけどね。
・マリオ・サヴェッティ
怪我自体は大したことはない。ただマリオの場合、危険な現場を
体験したことも有るしかなり気が立っていた。
外傷センターからハズされる中、ヘザーから傷口の縫合をされる。
その際ヘザーは姪っ子から“ドック”と呼ばれていたと語る。
ドックとはアニメに出る医者のことらしい。オレにそういうこと
を知らせるとそう呼ぶよというマリオ。
二人は窮地を乗り切った関係からなのか、キスする光景がある。
危険な場を共有したことでアドレナリン全開なのか。
・カーラ・ニヴェン
ガスリーがカーラの担当医で彼女からはマラヤには言わないでと
言われていたので話せなかったけど、予備室にいることを語る。
3人は友人だとするが守秘義務だというガスリー。担当医になった
こと。そしてカーラには君に会うように説得したことを述べる。
・
マラヤはカーラの元に行く。
ジョスリンの件ではすぐに容体に変化がないと言われたから。
マラヤはカーラは陣痛誘発のオキシトシンを使うことを聞いた
という。今夜も乗り越えてみせるというカーラだけど待てない
状態である事を語る。
カーラはマラヤに頼み事をする。
赤ちゃんはフィリップと名付けること。そして死ぬ前に赤ちゃん
を抱っこさせて欲しいという。
・
産婦人科でカルフーンがオキシトシンを使い妊娠を促す。
無事に生まれた後すぐに小児ICUに移すという。生まれて急いで
挿管をすることに。バイタル、血糖値の確認。アプガー指数3点。
アンビューバックで酸素を送ると赤ちゃんは一安心。
しかしカーラが脳梗塞だか脳浮腫だかを起こす。アトロビンと
ステロイド、エピネフリンを投与して何とか意識を強引に呼び
戻す。赤ちゃんと抱くという願いが残っている為。
抱いた後にマラヤは彼女は延命を望んでいないとして死を見守る。
■その他
・ニールとリアン
この二人の関係はどうなってしまうのかな。
仲間として今後もルール違反をある程度見過ごしていくのか。
それとも今回のことが教訓となるのか。
ニールはリアンが言っていたことだとして引用する。
「自信がないよりも厄介なのは過信だ」。
ニールはリアンに一人の命は救えたが正しかったのかと問いかけ
る。
最後にリアンはニールを呼び出すと、自分の判断は不味かった
かとと尋ねる。
リアンはその後マラヤの元にも行き、ジョスリンが持ち直した
事を告げ、窮地に追い込んだことを謝罪。マラヤも酷い事を
言ってしまったとして謝罪する。
「コニーが探しに出た私は正しいのか、今も自分に問いかけて
いる。子供に出会わなくてもそうしていたのか。」
しかしリアンはあの時は感情的に動いていたということを認めて
いた。
・ヘザーを巡るアンガスとマリオ
ヘザーがまたちょっと徹夜でハイな状態なのか、アンガスに対し
ても話を聞くという彼に深いハグをする姿勢を見せる。
アンガスはちょっと勘違いしたようで、この辺は男の単純な所
ではあるんだけど、アンガスはマリオにヘザーとのことを話、
更にはガスリーにも相談する姿が有る。
マリオはもっと早くにアンガスに話せば良かったのに、相手の事
を考える性格が生まれたことが災いとなってしまったのか?
アンガスはヘザーはボクの目の前で弱みを見せた。涙していた
んだと語る。ハグしたけど気持ちが伝わってきたと。
最後にヘザーはマリオに対して何故冷たくするのかと問う。
正しいことをしたいが人は変わるということでロッカーでHする。
■使用された曲
・
■出演者
Dr.リアン・ロリッシュ …… 主任指導医
ジェシー・サランダー …… 看護師長
Dr.ニール・ハドソン …… 指導医
マリオ・サヴェッティ …… 研修医、NY大
クリスタ・ロレンソン …… 研修生、ブロンド
マラヤ・ピネダ …… 研修医、優秀
アンガス・レイトン …… 研修医、マイクの弟
リサ・パーク …… 看護師
エイミー・ウォロウィッツ …… 看護師・ブロンド
イサベル・メンデス …… 看護師
Dr.ジーナ・ペレロ …… ER部長、マークが停職の代理
ヘザー・ピンクニー …… 外科・研修医
Dr.リンジー・カルフーン …… 産婦人科医
キャサリン・レムベック …… 母親、首の骨を骨折
ゲイリー・マーティン …… 妻のリサが赤タグ、脅迫
リリー・レムベック …… 助けを求める
エリオット・レムベック …… リリーの兄、気管が傷つく
ジョスリン・バリー …… 緑タグから赤タグへ、気胸
ダイアナ・バリー …… ジョスリンの妹
カーラ・ニヴェン …… 元研修医、妊婦、白血病
フィリップ・ニヴェン …… カーラの息子