第9話 奇妙な果実 Strange Fruit
脚本/Janine Sherman Barrois
監督/Constantine Makris
【ストーリー】
ビショップ家ではマイク(Jason Mac)と妻のシェリル
(Alexandria Cree)がベッドで寝ていた。シェリルは夫に
付き合わされてフルマラソンに出場。二度と参加しないと語
る。そんなベッドでの会話をしていると突然外で物音が聞こ
える。マイクは銃を手にして見回りに行く。外を見に行くと
そこには凄い光景が有った。シェリルに対して911に電話して
くれと語る。
シェリルは爆弾か何かかと思ったという。
水道局/WWP(WOOD BRIDGE WATER POWER)のグレッグ
(Jeremy Woodland)は水道管が破裂すればそう思うのも仕方
が無いとし、水道管を調べる為に隣の家に入りたいという。
ジョンソン家には後で言って置くから入っても大丈夫だと
語る。
JJはセクションチーフとなったマテオ・クルーズ
(Esai Morales)とオフィスに向かう途中で会話する。何も
言わないつもりなのか?不倫だと思われているわよと。
せめて任務のことだけでも言ったらというJJ。彼女はみんな
の視線が気になるとしリードは質問攻めだしロッシは初日か
ら・・・と。そんな会話しているとガルシアとロッシがやって
くる。ロッシはガルシアに呼ばれたから来たというが、
彼女はちゃんと最後までメールを読んで無いんでしょと
語る。現場は地元だとし話はJJから聞いてという。怖い街
だなと。
ホッチによると鑑識が水道工事で裏庭から白骨体2体を発見
したことを語る。ブレイクは住民はどんな人なのか?と問う。
リードは35年前から棲んでいるジョンソン一課。模範的な
市民だそうだと。ブレイクはいつ埋められたか分からないのか
と問うとモーガンは検視官待ちだという。住民は?と問うと
父親チャールズ(Glynn Turman)と息子のライル(Seth Gilliam)
は職場から向かっているとし妻のティナ(L. Scott Caldwell)
は部屋に居るとのこと。奥さんはドッキリなら良いのにと
思っているとモーガン。
そこにJ&J工務店の車が駐まるとチャールズが帰って来たと
して警察官(Clay Blanchette)がティナやホッチらに語る。
ティナはチャールズに対して裏庭の死体なんて知らないと
言ってあげてと言うと、ライルが突然走って逃げ出す。
ホッチが走り出し銃を手にして両手を挙げて投降するよう
告げる。何もしていないというライル。
一体誰の死体なのかとティナ。私が関わっている人物なのか?
老人ホームと朗読のボランティアの日だと語る。モーガンと
JJは行くのは諦めて欲しいと告げる。
チャールズは何故別々に事情を聞くのかと問う。
ライルは怖くて逃げただけだとロッシに語る。
ライルは国はどうかしている・・盗聴したり銃規制を緩め
たり、罪もない市民の家にFBIを送り込んだり・・。
ホッチは所定の手順を踏んでいるだけで君の家で遺体が見つ
かったのだと語る。家族とは関係無いと否定する。
木村観察官(Paget Kagy)の元に話を聞きに行くリードとブレ
イク。
彼女によると骨盤と股間接から見て二人共女性の死体。
年齢は胸骨の硬さから二人共30代前半だと語る。
クルーズはホッチに取り調べの段取りは?と問う。
ショックとストレスを区別していくというホッチ。ストレスを
追加した後に良い知らせを聞かせる。シロなら安堵の表情、
クロなら態度には表れないという。
チャールズを取り調べるのはロッシ、ティナにはモーガン、
ライルにはホッチが取り調べに当たることになる。
ティナに対してモーガンは、あの家には何年住んでいるのか
と問うと35年だという。3人家族で立派な家だという。
下宿人でも居たのかと問うと元々三人暮らしだという。
主人が工務店をしていて改築が趣味だとすると、俺も好きだ
と語る。
改装についてはキッチンは3回はやったし2階のバスルームは
2土やったというチャールズ。家族の手伝いはと問うと、妻
はインテリアマニアなのでベッドルームのカーテンを4回
変えたし裁縫室の壁の塗り替えは8回はしたと語る。裏庭は?
と問うとティナがプールを作りたがったが結局泳ぐ暇はない
ということで作らなかったとのこと。
ホッチはライルに聞く。一度独立したが7年前に共同アパート
住まいから戻った理由は?と問うと、周りがクズばかりで一軒
が良いと思ったという。葉っぱを吸ったり友達と戯れたり
出来るだろうと。裏庭では芝生も刈ったりしていたという。
死亡時期の特定についてリードは尋ねる。
木村観察官は腐敗の程度と骨の状態から2人共10年前。
死因は絞殺だという。しかし1つ気になることがあるとし
ライルと同世代だという。ガルシアは10年前に失踪者が
街から出たか調べてくれと。骨盤の状態から見て女性器を
酷く傷つけていると。被害者の身元とライルの繋がりが
あれば”ゲームの開始だ”とロッシ。
■感想
ここの所BAUの面々は仕事以外の所でガス抜きするような
シーンが挿入されたのだけど、今回は差別問題が取り上げ
られた話でそれどころではなかった。
タイトルの奇妙な果実はビリー・ホリディの曲からつけられ
たもの。禁断の果実というタイトルはよく聞くけど奇妙な
果実というと色々と想像を含ませるものがある。ここでは
まさに黒人がリンチされ木に吊されて焼死させられたことを
歌詞として歌ったもののようだ。
アメリカの映画だと黒人と白人の差別問題を取り上げられる
映画は多く徹底的に白人至上主義によってやられる内容だ
ったり、現実を取り上げる内容もある。別のドラマを引き
合いに出して悪いけど、先日の「殺人を無罪にする方法」
S3-10でもそんな問題が取り上げられたところがある。
このドラマ、白人と黒人が付き合っているところも有って
現代的な一面を覗かせつつもやっぱり、差別的な流れも挿入
されている。
ミカエラとアッシャー、ローレルとウェスという黒人と白人が
付き合っている流れがある中で、アッシャーはミカエルかと
思って触れた相手から散々なことを言われる。お前が白人だ
からだよと。
さて今回は何と言ってもセクションチーフのクルーズが
登場した。S9-4が最初の登場だったけど、あまりに存在感
が無かった。演じているEsai Moralesというとキャリアは
もの凄いのにね。
元々このポジションは嫌な役割をこなさなければならない
ので仕方が無いといえば仕方が無い。
ホッチが捜査に集中出来るように添えられたキャラクター
なのだろう。
■ジョンソン家に見つかった遺体
皮肉にも白人夫婦の家のマイクとシェリルが寝ている際に
水道管が破裂したことによって水道局が隣人の庭を掘った
結果遺体が見つかった。一体だけかと思ったら二体・・・
三体と次々と見つかっていくという。
女性器、男性器を酷く傷つけられていることから見ても
その恨みが何かはある程度想像はつく。
ジェンダー的なものも含まれ、母親がライルが生まれた時に
男性と聞いてがっかりしたとされていた。アメリカは黒人の
男性には優しくない国だという。しかし実際にはそれ以上の
秘密が待ち受けている。その為に息子のライルの犯行を
臭わせる前半部も有った。
この遺体には2種類の意味合いが有る
・10年前に失踪したものたち。
・35年前に殺されていたものたち。
最初に見つかった三体の遺体では、女は10年前、男は35年前
だとされる。ライルが犯人説としてあがっていたが、40歳の
現在35年前の遺体を見れば彼が犯人ではないことは明らかだ
った。
・セントラルパーク・ジョガー事件
ロッシがチャールズを取り調べする中で語った言葉。
警察が無実の少年に自白を強要した事件のようだ。
その後FBIは警察には虚偽の自白の訓練をしていることを
語っていた。
■ロッシ vs チャールズ
実は今回の事件は二度に渡り時代を超えて殺害が発生する
ことを臭わせていた。その為に二人の犯人が居てもおかしく
はない。遺伝子のことを語っていたので、父親がソシオパス
なら息子にも伝染するようにして殺害する可能性は有る。
息子はカッとなりやすい性格だということを冒頭から
強調していたが・・それとも対象的に比較的早い段階から
ロッシはチャールズが犯人であり共犯者はいないと断言して
いた。
この二人の対決だったけど、途中で難攻不落でソシオパス
にはそれぞれの捜査官が聴取に当たる。
チャールズの心を懐柔する為には同じ黒人のモーガンをぶつけ
て見たり、またロッシはベトナム時代に黒人の恩人が居たり
二番目の妻も黒人であることを強調した。
「ニガー」「イタ公」など禁止用語が飛び交っていた時代
みたいだけど確かに昔のロングアイランドと言えば
マフィアなどイタリア系が居着いて力を振るっていたところ
があるのかな。
・過去
チャールズは1964年にベルモントベイ高校の卒業アルバムを
持っていて、高校2年生までは毎年トロフィーを持っていた。
ブレイクは3年生の時にはそれがないことに気がつく。
チャールズの父は執事で母親は家政婦。これは南部に住んで
いた黒人にはよく聞かれる仕事だね。現在までのアジア系の
ベビーシッターみたいなものか。
■検視・鑑識
何と言ってもテストステロンが発見される。
91年に処方されたものでライルのもの。筋肉増強用だとして
いた。
・遺体の身元が最初に確認出来たのメアリー・アン・ベック。
10年前に失踪。ライルと同級生で一緒に写っている写真も
ある。
1973年5月22日生まれ。2003年7月8日に失踪。
・次に見つかったのはDNAから男性の白骨体がジェームズ・
モーセだと判明。
モーセはメアリー・アンの父親のカール・ベックの友人。
カールやモーセは「クレンズ」という人種浄化組織に入って
いる。60年代にはKKKの支部として近くに存在していた。
■犯人像・プロファイル
・性器を切っていること。
・男女を問わずに性的な制裁を与えていること。
・何処かの時点で男女からセクシャリティーを問われたの
だろうと。
■現在にも続く怒りの感情
怒りの感情というのは長く続くものだ。
結果となってしまうが、チャールズは3人の男によって当時
痛みつけられた。それは一人の女性オードリー・コリンズの
嘘から始まったもの。
カール・ベック、マイク・ミルズ、ジェームズ・モーセは
AJバロウズ高校の同級生。カールには父親違いの姉の
オードリーが居てチャールズとは同じ高校だった。
オードリーが門限に遅れたことで親に怒られるのを回避する
為にチャールズによってレイプされたと嘘をついた。
そのせいでチャールズは逆さズリにされて大事な性器を切ら
れてしまった。
マイクやカールに対して復讐する事が出来なかった為に
代替的に彼らの子供を殺害したというのが真相だった。
マイクの娘のレイチェル、カール・ベックの変わりにメアリー。
しかしこう言ってはなんだけどオードリーのした事は
あまりに酷すぎる。
・ウソについて
ロッシも過去中学3年生の時に黒人の野球のチームメイトを
仲間に言われて虐めたことが有ったという。ロッカーに閉じ
込めて罵詈雑言を浴びせて小便をかけたという。
ロッシはモーガンに謝罪していたけど、モーガンはどちらか
というと完全な黒人とは言えない。しかし一点でも黒人の血
が流れていればクロになるそうだ。
・チャールズの弱点
何と言ってもライルは実の子ではないこと。
高校時代にオードリーのせいで性器を切られた訳だからね。
親子ではないことを知られたくなくてそれを理由に自供を
始めた。ただ殺人鬼の息子としてライルを手放さないという
のもある意味ではエゴが含まれていそうだ。
■その他
・ジョシュの名言
「野球は俺を変えたが二級市民から二級の伝説になった。
ただそれだけのことだ」。
MLBも昔は白人と黒人で分けられていた。そして統合すること
になるけれどそういう映画も有ったな。
■使用された曲
・Criminal Minds Theme
Composed by Mark Mancina by Ha Ha Tonka
・Strange Fruit by Billie Holiday
■出演者
デビッド・ロッシ (Joe Mantegna) BAU創設に携わったベテラン
アーロン・ホッチナー (Thomas Gibson) リーダー
デレク・モーガン (Shemar Moore) 爆弾処理が得意
スペンサー・リード (Matthew Gray Gubler) ドクター
ペネロープ・ガルシア (Kirsten Vangsness) 解析
ジェニファー・ジャロウ (A.J. Cook) BAU
アレックス・ブレイク (Jeanne Tripplehorn) S8新加入、大学教授
マテオ・クルーズ (Esai Morales) BAUセクションチーフ
ティナ・ジョンソン (L. Scott Caldwell) チャールズの妻
ライル・ジョンソン (Seth Gilliam) 息子
チャールズ・ジョンソン (Glynn Turman) J&J工務店経営
シェリル・ビショップ (Alexandria Cree) マイクの妻
マイク・ビショップ (Jason Mac) シェリルの夫
木村タマコ (Paget Kagy) 監察官
グレッグ (Jeremy Woodland) 水道管が破裂したと語る。
(Clay Blanchette) 警察官
若い頃のチャールズ・ジョンソン (Kian Morr)
若い頃のカール・ベック (Grayson Duvall Wittenbarger)
若い頃のジェームズ・モーセ (David Ryan Speer)
(Jenna Osterlund) 学生
エメット・ライル メアリー・アンと同窓生
オスカー・グラント
トレイヴォーン・マーティン
メアリー・アン・ベック 10年前失踪
ジェームズ・モーセ 浄化組織”クレンズ”、枝に吊して・・
カール・ベック 浄化組織”クレンズ”、メアリー・アンの父の友人
マイク・ミルズ 交通事故死、モーセとベックと同じAJバロウズ高校
レイチェル・ミルズ マイクの娘、10年前に失踪
オードリー・コリンズ 35年前ガンで死去
ジョシュ・ギブソン MLB選手
サンチェル・ペイジ MLB選手