第15話 偽りの防弾 Bulletproof
「aka.危険な欠陥品」
監督/Leslie Libman
脚本/Christopher J. Waild
【Story】
同じ高校で名前も同じクリスは仲が良かったがもうすぐ卒業
が迫る。クリス・ホフマン (Ki Hong Lee)とクリス・ヴァ
レー (Jarrod Bailey)。ノーザン大に・・というホフマンに
対してヴァレーはジョージタウン大は無理だったんだろう
というが受かったのだというと、俺の第一志望なのにと
憤怒し、リュックを投げる。するとその荷物は窓の下に落ち
トラックが横転する物音を聞く。
・訓練センター
エリーはインストラクター(Sarah Brown)から格闘術を
学んでいた。トニーとマクギーもその光景を見ていた。
トニーは良く出来ました賞を狙っているのか?と問う。マク
ギーはかつてあらゆる競技部門でトップ成績を取っていた
という。ただし評価方法が変わって相対評価になったことで
トップではなくなったとブツブツ愚痴る。
連邦捜査官になってどうか?と問うとエリーはトレーニング
で気分も上がるが予算の削減のせいで、なかなか予約が
とれないのだという。射撃のテストのインストラクターを
確保するのに一週間かかったとのこと。でも銃はもらえた
という。二人は女同士汗まみれの戦いの見物なのか?と問う
と、そうだと言いたい所だが事件発生だと語る。
シャワーを浴びてくるというが、ギブスが待っているんだぞ
というと、汗のダウンスウェットのままで行くのかとエリー。
・現場 / Jacqueline’s Bakelyと書かれたトラック
荷台に積んであるのは軍のライフルではないというギブス。
こっちはアメリカ海兵隊の軍用食のパンでは無さそうだ
という。この店は2年前に廃業しているとのこと。トラック
は未登録で運転手は消えたという。手がかりを残して居る
ハズだというギブス。
「新米!」とエリーのことを呼ぶトニーとマクギー。
運転手の手がかりは?と問うと、運転手はこのトラックで
暮らしていたズボラ男だという。汚れた服が一杯有り、見
るのも汚らわしいマットレスやポルノだらけ・・これって
「新人イジメでしょ?」というエリーだが、「仕事の内だよ」
とマクギー。ハンドルの血痕、割れたフロンガラスに青い
ペンキみたいなものがついている。あのバケツは?と問う
マクギーに対して、彼がトラックで暮らしていたという
証拠・・トイレにしていたようで外に出るのも嫌いだった
みたいだという。何を調べたか?というトニー。
この状態は、密輸品や見ちゃ不味いものを隠すのにピッタリ
だというマクギー。
事故の原因はスプレー式の塗料。ガラスについていたのと
同じだが誰かが投げたのか?仮にそうでも凄い確立だという
トニー。ライフルじゃなく防弾チョッキが積まれていると
ギブス。物品番号が全てに書かれていないという。
・NCIS / アビーのラボ
アビーはライフルを調べる。銃は嫌いだという彼女。
海兵隊にメーカーから納入されたのは全て安全と管理上の
理由から物品番号がつけられるという。防弾チョッキは
軍に納められなかったのでついていないか・・最初から
納めるつもりが無かったか。性能実験をしたのか。
「正規品」は30口径の徹甲弾が当たっても肋骨が折れる程度
だという。見た目は同じだが欠陥品は敵の弾が当たると
中に入っているセラミック板が割れて尖った破片が着用者に
めり込むのだという。これはつまり欠陥品だと。
トニーは防弾チョッキのメーカーに電話したと語る。
エリーは欠陥品を作って置いてと主張したのか?と尋ねる。
念の為に担当者を派遣しますと言われたとトニー。
一方マクギーはデライラと電話していた。
「ここの人は誰も気にしないよ。」
マクギーはここへデライラが遊びに来たいと言っている
としパーサの件が片付いてみんなにお礼が言いたいとの事
だった。
何が問題なのか?車イスに乗っていて人に見られるのを
気にしているのだという。まだ現実を受け止められないの
だという。そんなマクギーにトニーは・・
「気にするのを辞めさせるのを頑張るのを辞めることだ」
と語る。
ギブスがやってくると捜査状況を尋ねる。
トラックの運転手は?。
マクギーは現在リュックについて調べているが指紋はダメ
だったという。トニーは収穫は汚物、狭い所に加えて
エリーは高い所も平気だと分かったという。
“いじめと思う”というエリーに”仕事の問題”だと語る。
リュックの底に「ボディ先生」の国語の授業のノートが
あり筆跡と下手な文章からして学校をサボってばかりいる
男子生徒だと思われるというエリー。トニーはコロンビア
ノース高校のボディ先生には既に筆跡を見てもらったとし
サボリ魔だと判明しているという。そして既にここに来て
もらっているとの事。
クリス・ヴレリーとクリス・ホフマンから話を聞く。
二人は一心同体のダブル・クリスだろうと。
俺の責任なので俺を逮捕してくれというホフマン。
ヴァレーは2、3泊で良いとし奨学金が欲しいのだという。
非行少年の更生を支援する奴とか志望理由書にこれを書いて
ノーザン大に出願したら受かるかも知れないという。
知って居ることは全て話すが逮捕が条件だという。
■感想
冒頭の短いコントドラマの中には必ずドラマのテーマの
ヒントが隠されていると共に確実にそれらの人物が事件
なり殺人現場なりを見つける仕様である。
ドラマ冒頭では高校生二人、クリス1、クリス2とされて
いた。この二人の行き違った運命、そして比較すべき対象
的人物というのが今回色々と示唆していた面が大きい。
マクギーも評価方法が絶対評価から相対評価に変わった
ことに不満を持っていたけれど、その人となりの
主観を取り除き、客観性などの問題を含めて個人としての
価値・存在感というものを抽出した格好を見出していく。
アメリカの兵士の多さからすると、一人辺りの命の重さに
対する個々の存在感は企業や個人の欲によって見過ごされ
がちなものがある。
個人の価値観と主観が今回はふんだんに盛り込まれていた。
NCISの伝統にもなっているのではないかと思えるけど
「新米」は必ず汚れ仕事をさせられる。
マクギーは漆の中に入っていったしトニーからは散々
ゴミ箱から証拠品探しを命じられた。そして今回そのババ
を引いていくのが新しくNCISのメンバーになりつつある
エリーである。
まだ色々と実技試験などパスする問題が多いようなので
ライセンスは出て居るが一人前ではない。
特に銃に関する価値観はエリーにはまだ実感のないことの
ようで、ギブスに標的を狙う時の気持ちを聞いていた。
そして今回のエリーが行う作業全般に於いてそれが
「新人イジメ」なのか「仕事の範疇」なのか。
伝統と言えば伝統になっているんだけどね。
■事件
パン屋の配送トラックが横転し中から軍に支給されるハズ
の防弾チョッキが出てくる。しかし軍支給の際には物品番号
で管理されるハズであり、その番号が消されていたので、
それは廃棄されるべきハズのもの。
何者かが裏から流出させたものだと思われた。
しかしそれを積んだトラック運転手が誰だったのかは不明。
トラックも未登録で、積んで有った防弾チョッキは欠陥品
として兵士に支給されるものとは違うとされる。
調べていく内に防弾チョッキのメーカーが判明し、そして
そのトラックの持ち主の特徴を目にした二人の学生にたど
りついて話を聞いていく。
・捜査の開始 / 流出する廃棄物
ドラマとしてはチョッキの製造業者が分かって居るので
それを引き取り誰が流用・流出しているのかという問題
だよね。
チョッキを作っているのはディアボーンシステムズ社。
そこからどうやって繋がりを見出していくのか。
ただこの繋がりは余程暗号を使ったりトリックプレイでも
していないとすぐに見破られるよな。案の定見つかったしね。
・防弾チョッキは欠陥品の過去
過去にも事故を起こしていた。だからこそ裁判になったり
もしているのだけど、その不幸な事故は2年前のこと。
海兵隊のフレディ・リン軍曹が銃弾を受けて下半身不随に
なっている。それが銃弾によるものなのか、それとも銃弾が
当たったチョッキの破片によって脊髄を傷つけたのか
分からない。
改めて調査し始めると、それを使っていたであろう軍人の
母親たちが集結して来てNCISにも圧力をかけている。
一度は裁判の中で問題は防弾チョッキではないという判決
が出て居る。
当時のことを聞きに行くと下半身不随の男・フレディは
なんとスカイダイビングをしながら空から降りて来た。
彼はジロジロと見られることにもウンザリして自分から
思い切ってスカイダイビングの会社を設立している。
当時の事を尋ねるとカブール郊外で相当な銃撃戦が有って
背中に4発喰らっていた。そして防弾チョッキも砕けていた
があれだけ撃たれたら仕方がないと本人も認めている。
「怒りと恨みを手放す。それが第一歩だ」
■事件の中盤
取りあえず防弾チョッキの流通経路を調べないとね。
一度クリスの情報を元にしてデカくて太っててTシャツが
ピチピチ。銃のロゴを使っていたということで展示会の
ロゴだと判明する。
そこには主宰者のフェイ・ガスマン(Challen Cates)と
防弾チョッキなど戦地に物資を届けるボランティア支援
団体のカレン・アップライン (Sarah Aldrich)が居た。
そして彼女の話では物資の調達にドラボーイと呼ばれる
人物”コーリー・ラクシン”というフォールズチャーチに
住む人物のことをガスマンから聞く。
・ガスマンの死
ガスマンは自宅で殺されていた。口封じの為に殺された
であろうことは明らかで暖炉の火の中には書類なども
処分されている。
ダッキーとアビーたちは発砲され防弾チョッキが壊れた
時の状況をシミュレーションする。ギザギザの深い傷とか
裂傷の長さからして正規品と欠陥品の違いを証明すると
共に軍曹の傷跡との一致を語る。
・軍曹の母・マロリー(Shannon Cochran)
マロリーは何処で自分が息子に防弾チョッキを送ったのか
全く覚えていない。
エリーによると新しい証拠として、展示会にいた慈善団体
の女性のカレンが軍曹の母から小切手を受け取りギフト
パックに入れて当時物品を送っている。
カレンを監視している中、捕まえるとなんと持っていたのは
生理用品。カレンは何でも兵士たちの要求に応えるとして
そういう用品のメーカーにも拘っていたようだ。
エリーとの会話で生理用品のメーカーについて会話していた
けれど、男性陣が多い中では話しづらそうな内容だったね。
・全ての欠陥品を回収する為に・・
全く似た様に軍需企業が欠陥品を送ってそれを黙って居る
というシナリオは見た事が有るな。弁護士ドラマだったか。
国防総省に連絡して警告を出してもらう。その際にはデラ
イラも協力し、エリーも利用された。
「私は車イスだからポイントが高い」
「驚くほど親切にされる」
「世の中良い人が多いから・・」
「誰かが欠陥品で金儲けして、その誰かを誰かが殺した」
■クローズド
“マクスクービー”ことマクギーがあることを発見する。
防弾チョッキは法律で特定のリサイクル業者と契約して
いること。メーカーにとっては欠陥品を出せば赤字は必至
だが四半期の利益を見ると黒字を出して居る。そして
そこにはハニーカットのサインが有った。
彼は国税庁ともやりとりをして言い合いでは負けなかった
ので取り調べには臆するものがない。
リサイクル業者からリベートをもらっているだろうとして
書類では隠せないことを指摘すると、リサイクル儀容社は
転売ではなく炭化ケイ素を売るのだという。セラミック材の
材料だが他にも車のブレーキやLEDライトなどにも使用されて
いる。
リサイクル業者が何をするのか知らなかったとするが、
最近24時間以内に6回も電話している。ガスマンはリサイ
クル業者のオーナーでも有った。
彼女に連絡を取って彼女を逮捕しにいくがそこで銃撃戦に
なる。激しい銃撃戦でエリーにも銃弾が当たってしまい
ガスマンにも同様に当たるが、欠陥品を身につけていたもの
は亡くなり、エリーは肋骨の打撲で済んだ。
■その他
・変な価値観(迷信も含む)
・今回は冒頭では迷信を信じて居るジミーの行動が不自然
だった。養子縁組の話が正式に決まり生まれるまでは
縁起の悪いことは出来ないという。
・今回はアビーが語った事もその人となりの価値観が含ま
れる。
「私は魔法、祈り、論理を平等に信じている」
・アビーがダッキーら検視室でジミーのガムをもらったが
祝い物のガムだと知ってすぐに縁起を担いでやめた。
そして冒頭でジミーが懸念していたように
「硬い有機物を叩くと厄払いになる」とは迷信だとダッキー
は語るがジミーは木製のものを叩いていた。
・トニーとエリーが張り込みの際に彼女は色々と神経質に
なっていた。その際トニーに色々と尋ねるが彼は
中華についていたフォーチュンクッキーを渡していた。
ただトニーの食べていた割り箸は状態が良くなかったみたい。
・エリーはギブスにスナイパーとしてターゲットを撃つ時
に何を考えるのかを尋ねる。「殺す事だ」とあっさり。
・クリスたちは逮捕されたがっていた。
逮捕されると奨学金が出るなんて有り得ることなのか?
ヒーローになることを嫌いヒールになりたがっているよう
だった。
・映画ネタ
・「ゴッドファーザーII」みたい
エリーは射撃訓練に於いて「紙の人形」を打つ際に間違って
子連れの母を撃ってしまったという。タオルで銃を隠して
いるのかと思ったとした際に、トニーが語る。
・プロフェッサーX、ダン中尉、ストレンジラブ博士
「X-MEN」「フォレスト・ガンプ/一期一会」
「博士の異常な愛情」。
ローガン・ケイル、ジェイク・サリー
「タイタニック」の老婦人。
これはデライラとトニーが車イスを使っている人の登場人物
を例にあげてより多くの作品を出せるかの勝負をしていた。
・「7月4日に生まれて」のトムクルーズ、「帰郷」の主人公
もそうだ
エレベーターでデライラとマクギーが一緒に乗った時に会話
の流れで出て来た。
・デライラを利用
国防総省と連絡をつけることになった為に彼女に仲介を
頼む。
そして最後にマクギーは車イスになっても前向きになって
いるフレディの姿を見せた。
デライラはその気になってスカイダイビングにマクギーも
連れていくことに・・
■Used songs
・NCIS Theme by Numeriklab
■Cast
リロイ・ジェスロ・ギブス (Mark Harmon) 主任
アンソニー・ディノッゾ (Michael Weatherly) “トニー”
ジヴァ・ダヴィード (Cote de Pablo) 元モサド、NCIS
アビゲイル・シュート (Pauley Perrette) “アビー”分析・解析
ドナルド・マラード (David McCallum) “ダッキー” 検視
ティモシー・マクギー (Sean Murray) コンピュータ
ジミー・パーマー (Brian Dietzen) ダッキーの助手、検視
レオン・ヴァンス (Rocky Carroll) NCIS局長
エレノア(エリー)・ビショップ (Emily Wickersham) NSAより
デライア・フィールディング (Margo Harshman) 国防総省・車イス
カレン・アップライン (Sarah Aldrich) 故郷の小包基金設立
ベンソン・ハニーカット (Adrian LaTourelle) ディアボーンシステムズ社
フェイ・ガスマン (Challen Cates) 武器展示会の主宰者
マロリー・リン (Shannon Cochran) フレディの母
フレディ・リン (Kurt Yaeger) 元海兵隊・軍曹、現在
クリス・ホフマン (Ki Hong Lee) 高校生 (2)
クリス・ヴァレー (Jarrod Bailey) 高校生 (1)
(Sarah Brown) 女性インストラクター、ビショップが格闘訓練
(Celeste Cook) FBI捜査官
コーリー・ラクシン
ベナム・パーサ パキスタン人、テロリスト