[終] アストリッドとラファエル Astrid et Raphaëlle 第10話 五線譜の暗号 Invisible

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アストリッドとラファエル 文書係の事件録
(Astrid et Raphaëlle) 2020 , FRANCE

制作/FRANCE TÉLÉVISIONS、JLA PRODUCTIONS
、Be-FILMS
、RTBF (Télévision belge)
原作/
制作/Alexandre de Seguins、Laurent Burtin
プロデュース/Jean-Luc Azoulay、Jean-Sébastien Bouilloux

https://www.nhk.jp/p/astridetraphaelle/ts/PG1M4JJQQV/

第10話 五線譜の暗号 Invisible

脚本/Alexandre de Seguins、Laurent Burtin
監督/Elsa Bennett、Hippolyte Dard

【STORY】

■あるアパートの一室

口笛を吹きながら黄色い手袋を身に着けて念入りに洗剤を使用し
掃除するスキンヘッドの男性。
冷蔵庫には女性の写真を貼る。
全てが終わると用意してきた道具箱を片付けて持ち帰る。
部屋を出て行く際に男は床で血まみれになって死んでいる女性を
目にしていく。

■犯罪資料局 /
Service de Documentation Criminelle

・食堂

ドロタとラプラスは最近のアストリッドについて語り合う。

「彼女は変だ。最近仕事をほったらかしてばかりいる」(Dorota)
「あの刑事とつるんでいるからだ・・内規に違反している」

ラプラスはアストリッドがやってくると意図して爪楊枝を落とす。
そして彼女に対して、

「何本落ちているか君なら分かるだろう」

と問う。

それに対してアストリッドは、

「私には分からないが代わりに爪楊枝を6本使って使って正三角形
を4つ作れるので試して見てください」

と告げる。

ガイヤールはそのやりとりを見ていて感心すると共に彼女に対して
ある提案を語る。

「ここ数か月の君の進歩のこと。当初は賛成できなかったが
ラファエルのお蔭で君は成長した。」

「でも私は何も変わっていない自閉症のまま。これからも同じで
有り、このままで居たい」

ガイヤールにとってはそこが凄いところであり、自分らしさを
失わずに自信を付けていること。

『人と違う私を皆笑うが、私は人と同じ彼らを笑う』
(They laugh at me Because I’m different, I laugh at them
Because they’re all the same.)

「ドゥニ・ディドロ/Denis Diderotの言葉なのか?」

「いいえカート・コバーンです。ラファエルの息子のテオに
教わった」

「後見人の件に関してガイヤールは改めて考えたが、解消しては
どうか?君は自立していてもう私の保護は必要としない」

・仕事するアストリッド

いつも通り彼女は仕事を始める。

(回想シーン)

父・アンギュスはいつもアストリッドの傍にいた。
頑張っている娘に対して「お前を誇りに思う、立派に仕事をして
いる」と褒める。
アストリッドはそんな父に対して“あの話をして欲しい”と語る。
何十回と聞いて居る話だった。

※あの話については以下の”その他”の項目で。

そんな会話をしていると電話が鳴る。

■犯罪現場

アルチュールとラファエルとアストリッドは現場に行く。
現場を見る前の情報としてアルチュールは分かっている事を語る。

被害者はカミーユ・ババン(25歳)。
アパートに住んで2年。
侵入の形跡は無い。

とても凄惨な現場だ。

・室内へ

フルニエとフレデリックらと被害者の状況・状態について語る。

被害者のカミーユは喉を切られてほぼ即死。
死亡推定時刻は夕べの22時前後。
凶器は遺体のすぐ傍に有ったナイフ。

アストリッドは遺体を見ると目をつぶっている被害者の事を指摘
する。

「来た時からこの状態だったのか?
目は死んだ瞬間の状態のままになる。即死ならば目を閉じたまま
切られたことになる」(Astrid)
「犯人は瞼を閉じたのではないか?」(Raphaëlle)
「ついでに祈ったか?」(Fournier)

フルニエは瞼も調べるがどうせ結果は変わらない。
それよりも犯人の痕跡探しに専念した方が良いという。

フレデリックは痕跡はあちこちで見つかったが被害者の爪の間から
皮膚辺と体毛が有った。恐らく抵抗して犯人を引っ掻いたのでは
ないか。また凶器は血まみれだが指紋もベタベタとついていた。
ラファエルはデータと照合すれば解決だろう事を告げる。

■パリ警察署 / commissariat de Police

ニコラは被害者のカミーユ・ババンの日常には何ら問題がない事
を語る。職場での評判は良く、敵も無し。裁判沙汰・争いごと
なども無し。私生活では恋人・シモン・キュッソン(Oscar Berthe)
がいて、現在取調室で待機しているという。

アルチュールが事前に話を聞いた所では、カミーユと彼は揉めて
いない、凄くショックを受けていて、その反応は本物。
両親との問題はなく毎週会いに行って確執も無い。

ラファエルは何かを見逃している・・殺される理由があるはずだ
と口にする。

・取調室

シモンから話を聞く。
殺される理由については全く分からないという。
みんなから好かれる人物だったこと。
地下鉄や周辺住民とのトラブル、仕事関係での問題について尋ね
たり、シモン本人に問題が無いかを尋ねる。
それらの問題は一切無いがも問題があるとしたら、
カミーユは俺が嫌がるので一人の時にたまに大麻を吸っていた事。

・署内

「貞淑なトゥルヴェル夫人だ」
「麻を売ったヴァルモン子爵がアパートにいるかも」

「映画「危険な関係」(原作:コデルロス・ド・ラクロ)でしょ?」
トゥルヴェル役はミシェル・ファイファー/Michelle Pfeiffer。

あのアパートで昔麻薬の密売で逮捕された奴が住んでいる。
その人物はマルク・バレンヌ(Vincent Moscato)。元彼女を殴り
3か月の服役したばかり。GPS付の電子ブレスレットで監視中。
最近の足取りを見るとマルクは犯行時刻は自宅にいた・・
あるいは上の階の被害者の部屋かも知れない。

・フレデリックからの電話

今フレデリックからの連絡があり、被害者の爪から採取した
サンプルと凶器の指紋が同じアパートに住むマルクのものと
一致したという。

■事件発生のアパート

捜査官たちはマルクのことを監視し、突入するタイミングを見計
らう。半裸だった彼の元に捜査官は突入する。

一方その頃同時刻にアセギャ (Vincent VARINIER)は宅配業者が
彼の部屋に荷物を運ぶ。イコル社宛てと書かれていた。

■パリ警察署 / commissariat de Police

・取調室

マルクから話を聞く。
彼は自分は誰も殺していないことを主張する。
カミーユに対しては一年以上大麻は売っていないし、出所して以降
自分でやるのも売るのも辞めている。保護観察中で彼女を殺す訳が
ない。彼女は本当に優しかった人だったと。
しかし”凶器についていた指紋”、”爪や現場から出て来たDNA”は
全てマルクのもので一致している事を告げる。
その事実を突き詰めても彼は無罪を主張する。

ラファエルはこの後、自由勾留判事に引き渡され、未決勾留を命じ
られることを説明する。

・取調室の外

ラファエルは今の取調室でのやりとりを見ていて何か気が付いた事
がないかをアストリッドに尋ねる。
彼女は何か語る。

「何かが違う。パズルのピースが合わない」
「でも証拠はそろっている。あなたはまだ現場の経験が浅い。
でも気持ちは分かる。事件解決した後も何かスッキリしない
こともある」

【感想】

いよいよシーズン1の最終話。
既にNHKの海外ドラマ放送枠では、次のドラマである
「DOC(ドック) あすへのカルテ」というイタリアのドラマの2話目
が放送している。2LAPSの周回遅れ。

最終話で個人的に期待していたのは、

・アストリッドの父が何故亡くなったのかの説明。

そしてシーズン2のNHKでの放送も決定しているので、

・アストリッドの今後の去就について。

どちらもあまり深くは言及されなかった。

今回初めてアンギュスを過去の回想シーンとしてではなく、
現代の生活の流れと融合する形で登場したということは興味深い。
彼女だけにしか見えず、他人には見えないものを前提とした言動
そのものは、奇異な目で見られたとしても、本人にとって心強い
ものであろう。

父親の愛や存在は常にアストリッドの心の中で生きており、彼女の
成長を見守っている。そしてそれが彼女が生きる上で欠かせない
お守りのような役目・役割を果たしている。

現実の後見人としてはガイヤール局長がアンギュスが託されたて
いたが、皮肉にもバトンタッチした人物も命を落とした。

アストリッドに取っては二度目の悲しみだが、後見人のガイヤール
をどれほど愛情ある人物として見ていたかは彼女の言動の中で図る
しかない。

その局長もラファエルとの出会いなどを通して最早後見人
そのものの必要性はないだろうと考える。しかしこれが変なフラッグ
となっている所が切ない。

障害は個性というのは私はあまり理解出来ないのだけど、
自立するのが難しい状態の人が一人立ち上がり、何も出来ないと
思われているものたちに対して、一泡吹かすようにしてその力量を
見せつけ、彼らの持つ価値観を完全に覆らせたという流れは、本来
とても爽快感があるのではないか。
この辺はもう少し強調されるべきだし、そこでの消極的な流れが
少々残念ではある。

彼女以上に才能に富んでいて社会貢献しているものなど居ない。
そう気がついたものたちで今回は溢れていたし、出来ればあの当時
診断を下した精神科医たちに見せつけてやりたかったね。

また彼女の存在によって自らの姿勢を改めて正す人物もいた。
資格も経験も劣る彼女に専門家が一部でアレ、教わるような言動に
改めて自らの怠慢さを覚えたことだろう。

人には色んな人がいる。
そして物事を解決したり理解するには色んな角度から見る必要が
ある。
最終話を含めてドラマに於けるシーズンではそんな主張が込めら
れていた感じがする。

そして今回の犯人もまた性格・人格がねじ曲がるような人生を
歩んで来たのだろうが、そんな人格を作ったのは誰でもない周り
のものたちの行動が反映されたのではないかと思ってしまう。

形は違えどアストリッドと犯人を上手く対比するように出来ていた
と思う。

■事件・捜査に関して

●殺人事件

被害者:カミーユ・ババン (25歳)
被害者が殺された現場アパートには2年前から住んでいる。

カミーユを知るものたちは誰から聞いても”優しい”人物。

恋人・職場の同僚・同じアパートに住む元麻薬の売人。

●現場の証拠とねつ造

凶器のナイフは遺体の近くに落ちていて腹部を刺さしていた。
爪の間からは皮膚と体毛、そしてそこら中に指紋が付着している。

DNA検査により麻薬の売人であり同じアパートに住むマルク・バレ
ンヌが捕まる。

目の瞼の状態は亡くなった時のままになる。
即死ならば目を開けた状態ならばそのまま目を開いた状態だ。
たまにドラマを見ると目を開いて亡くなった被害者に対して
関係者が目を閉じと弔うことは目にする。

・しかしアストリッドにもニファエルにも違和感がある。

取調室でのマルクの言動を見て無罪を主張する彼。

何よりも容疑者の「殺人の動機」がまるで見付からない。

●科学捜査

・角膜の混濁

人は目を開けたまま亡くなると、死亡直後に角膜は混濁
してしまう。
しかし目を閉じて居ると混濁するまで24時間かかる。
見付かった時には目は混濁していた。

・テトラヒドロカンナビノール陽性

被害者の爪の中から採取された体毛の分析結果。
マルクは拘留中の薬物検査では陰性反応が出ている

大抵の場合、毛髪検査では2ヶ月前の薬物反応が分かる。
(髪の毛だともっと長く調べられそうだけどね)

しかしDNA鑑定にも限界はある。
サンプルには13マーカーでのみ抽出して行われるので確実なもの
とも言えない。

・過去の同一の犯行事件

同一ではないが13件の過去の事件が類似するとの事。。
何処に同一性があるのかよく分からないけど、似たような殺され方
をした上に容疑者が無実を訴えたケース。
更にアストリッドによると共通点は被害者の大量の出血死。
そして犯人の署名的行動の一つとして瞼を閉じる行動を取る。

●事件終盤

・犯人に拉致されるアストリッドを発見するまでの流れ

血液検査の結果などの報告書をドラマの中盤頃に出てきた鑑識の
可愛らしさが残るような人物・アセギャがアストリッドの元に
届けに来る。
しかし彼女はその結果が不自然で有り矛盾な点を指摘する。
それを指摘するとアセギャはナイフを取り出し、彼女の首元に
突きつけて拘束しようとする。
室内に来たガイヤールは刺される。

アストリッドは捕まり、彼の所有する工場地帯の倉庫に
連れて行かれ椅子に縛られる。

アストリッドはラファエルとの携帯電話の流れで時間を稼ぐ
ように言われる。

その間にラファエルはアストリッドの残したメッセージを読み解く。

5段の棚に置かれている資料は五線譜になっている。
はみ出した資料を五線譜の流れとして見てみると、

「FACEF」

しかしト音記号としてでは無くへ音記号として読むと、

「ACEGA」

となる。これはフレデリックと共に働いて居る鑑識の一人アセギャ
の名前だった。

彼はイコル社名義(ICHOR S.A.R.I)で注文している。
イコルはギリシャ神話で「神々の血液」のこと。
アセギャの自宅を経由してから倉庫を突き止めることになるので
時間的には相当の時間はかかってしまった。

・最後

コンビものではよくあるけれど、「クリミナル・マインド」辺りだと
最後は囲まれて無理だと観念すると犯人は自殺する行動を取ろうと
する。
それも自死するのではなく、警察に発砲させる為に人質を
殺そうとしたり銃弾の入っていない銃を向けて他人の銃弾を受けた
りする。しかしここではタイミングを見計らい、アストリッドの
身体の重心を低くさせてラファエルが登場すると同時に犯人に発砲
した。

■事件以外のこと

ラファエルの休暇

バシェールはしっかりしている人なのかお惚けな人なのか
よく分からない。
麻薬の売人の拘束・取り調べの段階で事件解決だとし、ラファエル
に休暇を取るよう命じる。

3日間も休暇を取ることになったけど、ラファエルはアストリッド
にそれを語る際に、少し躊躇していた。それとも誘うべきか迷った
りしたのかな。

しかしこの休暇はドラマ的に言うと明らかに相棒との引き離し作戦。
バシェールは意図していなくともドラマ的にはそうなる。
そして休暇に出かけた後になって電話で呼び戻されるパターン。

反省するものたち

フルニエがわざわざアストリッドが働く職場までやってきた。

これまではアストリッドの独りよがりな発言として一応耳に入れる
ような形だったけど、知識が豊富なだけでなく多角的な視点で
物事を見て判断するアストリッドの行動に感銘を受け、そして
いつも通りに検視していれば見逃していたであろう今回の案件も
見逃さずに居たのでお礼を述べる。

それを聞いていた為か、受付でヒマしているラプラスとかドロタ
なども改めてアストリッドの活躍に対して称賛され、今更ながら
「みんな仲間」という言葉を受けた。

■その他

●映画「危険な関係」

被害者が真面目な人物で麻薬を売った犯人との繋がりが有った
ことで、ニコラとラファエルの間で、グレン・クローズや
ミシェル・ファイファーが出演した映画を例に出したやりとりがある。

私は1999年にCSスターチャンネルがミシェル・ファイファー特集を
した際にこの映画を見て感想も書いた記憶がある。学生だった
頃の話(笑)。後でフォーマットを編集して当時の感想をアップして
おきます。

●「フーガの技法」

アストリッドに対してアンギュスが語る話。

「フーガの技法」は間違いなくバッハの最高傑作だ。
彼の音楽は複雑に入り組んだメロディラインで構成されている。
前奏での主題の提示、そしてヒントを与える。
次に旋律を重ねて絡め、交互に編み込んでいく。すべて2つの手で。
そして第2の旋律が来る。バッハの魅力は聞けば聞くほどそれぞれ
の旋律が頭の中でバラバラにほどけていく所。パズルのピースを
崩す時と少し似ている。

●チェロ組曲

ラファエルにとっては川の流れ、頬を伝う涙のような曲だとする。
アストリッドにとっては数式の流れのようであり、計算された
音の組み合わせとなる。

●バッハの音楽に偶然はない。

その証明をアストリッドは語って聞かせる。
ピアノ曲の中で4つの音が聞こえる。

「シのフラットとラとド、そしてシのナチュラル」

楽譜に書かれた文字は英語やドイツ語だとアルファベットで表記
されるが読み方は変わってくる。

ドレミファソラシド
ハ ニ ホ ヘ ト イ ロ ハ
C D E F G A H C
ツェー、デー、エー、エフ、ゲー、アー、ハー、ツェー
Do Re Mi Fa Sol La Si Do

上述したシのフラット(B)、ラ(A)、ド(C)、シ(H) = BACH(バッハ)

自分の名前を自作の曲の中に隠している。

●三次元でものを見る

・GPS測定による利点と欠点
・爪楊枝を数える
・旋律、五線譜、4重和音
・らせん状の遺伝子
・5段の棚の資料が飛び出している

【SOUNDTRACKS】

・The Angel by DeLaurentis

【出演】

アストリッド・ニールセン (Sara Mortensen) 犯罪資料局・文書係
ラファエル・コスタ (Lola Dewaere) 刑事・警視
ニコラ・ペラン (Benoît Michel) 刑事
カール・バシェール (Jean-Louis Garçon) 刑事・警視正
アラン・ガイヤール (Geoffroy Thiébaut) 犯罪資料局・局長
アンリ・フルニエ (Husky Kihal) 監察医
アルチュール・オンギャン (Meledeen Yacoubi) 警部補
アンギュス・ニールセン (Aliocha Itovich) 父、警察官

テオ・コスタ・ルジェ (Timi-Joy Marbot) ラファエルの息
マルク・バレンヌ (Vincent Moscato) 容疑者
(Gérard Miller) 精神科医
ジュリアン・フレデリック (Julien Frédéric) 鑑識課
エステバン・アセギャ (Vincent VARINIER) 鑑識課
ラプラス (Laurent Lévy) 犯罪資料局、眼鏡
シモン・キュッソン (Oscar Berthe) カミーユ・ババンの恋人
ドロタ (Aleksandra Yermak) 犯罪資料局、ブロンド女性
(Izabella Maya) 精神科医、赤い服の女性
(Dominique Bastien) 裁判官・後見裁判

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