[新] DOC あすへのカルテ DOC – NELLE TUE MANI 第1話 記憶喪失 Amnesia

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DOC(ドック) あすへのカルテ
(DOC – NELLE TUE MANI)
制作 : 2020年 イタリア
原作 : Pierangelo Sapegno、Pierdante Piccioni
放送 : イタリア公共放送局 RAI1

https://www.nhk.jp/p/doc-karte/ts/WL5QPY99G7/

第1話 記憶喪失 Amnesia

脚本/Francesco Arlanch、Viola Rispoli
監督/Jan Michelini

【STORY】

■ミラノのアンブロシアーノ総合病院
Policlimco Ambrosiano

アンドレア・ファンティ医師(Luca Argentero)は、MRI検査をする。
医師のロレンツォ・ラッザリーニ (Gianmarco Saurino)と
医師のジュリア・ジョルダーノ (Matilde Gioli)は、その様子を
見守っていた。
そして撮影が終わると診断が終わるまでは待合スペースで待って
いるよう告げる。

撮影された脳の映像を見ると医師たちは、こんな症例を見たこと
が有るかと問うと、この状態で会話が出来る事さえも驚きだった。

・待合スペース

待合スペースでは患者で溢れていた。
その様子を見渡すアンドレアは一人の子供・ピエトロ(Alessio
Di Domenicantonio)に目を向ける。
子供は検査を受けなければならないがそれを怖がって拒否して
いた。ピエトロの母(Arianna Ceravone)が何とか説得を試みる
がその様子を見た看護師のローザ(Daniela Duchi)は無理だろう
として今は辞めておこうと告げる。
リッカルド(Pierpaolo Spollon)はローザから事情を聞くと、
あの子は『二週間前から嘔吐呼吸困難、痙攣の症状がある』
が血液検査を嫌がるので原因が特定出来ていない事を告げる。

そんな中アンドレアがピエトロに話しかける。
顔に傷を縫った跡がある彼は自分の事を海賊っぽいだろうこと
を告げる。会話している内に少年に笑顔が見えたので「勇気が
ある」とし、君は勇敢な子なのかを問う。ピエトロは分からない
が、怖ければ小屋に隠れる事を告げる。自宅は無農薬の野菜作り
をしていて父親が使用している小屋なのだという。
少年に髪の毛一本抜いてもらう。
その髪の毛をリッカルドに渡すと、ピエトロの母に対して、
「お宅の野菜は無農薬ではない」とし、あの子は「慢性の
有機リン酸殺虫剤中毒」であり、父親の小屋の中で吸ったのだ
という。それで全ての症状が当てはまるとし、一番の決め手は
極度に収縮したピンホール瞳孔であること。その髪の毛を
調べ、調べる間にアトロピンを投与すればすぐに良くなるだろう
事を告げる。
アンドレアは少年にこれを食べろとしてキャラメルを一個あげ
る。

・20日前

アンドレアはドイツ・ミュンヘンでの講演に際して飛行機の予約
を今夜ではなく明日にして欲しいとブロンドの秘書に告げる。
木曜日の夜まで戻らないが連絡は何時でもつくこと。

・病院内

ジュリア・ジョルダーノ (Matilde Gioli)がアンドレアの元に
やってくる。
救急外来の女性(アリーチェ・リヴァーリ(Daniela Camera))
の事で彼女はアンドレアに相談する。
『体温38.2、血圧90-50、脱力感と腹部に痛み』がある。
解熱剤と血液検査をして観察入院させろというアンドレア。

しかし入院を拒んでいる。
「尿路感染症の再発」だと信じていること。

それならば帰宅させろというアンドレア。

しかし“目眩がある”のに気がついたという。立つときにふらついて
いたこと。
「項部硬直はあるのか?」「髄膜炎では無いのか?」「家族に
癌患者はいないのか?」
改めて検査するよう告げると、ジュリアはCTを撮ったことを語る。

「白血球値は高い」「ヘマトクリット値は良好」

「血算をもう一度しろ」「血液培養と尿培養を・・」

しかしジュリアはアンドレアが語るオーダーを全て先読みして
行っていた。

会話していると研修医のガブリエル(Alberto Boubakar Malanchino)
ダリオ(Alessandro Bandini)、レナート(Luca Avagliano)が
教授であるアンドレアに挨拶していく。

●病室 / 23番の患者

エリーザ(Simona Tabasco)が患者の対応をしていた。
症状は高熱だった。
アンドレアは患者(23番)のアリーチェ・リヴァーリが高熱にも
関わらず立っていることを指摘し、私が動いて良いというまで
はベッドで休んでいてくれと患者に語る。
しかしアリーチェは横になっているヒマないとし、産休から仕事に
復帰したばかりなのだという。

カルテを見るアンドレアは最初に脇腹の痛みを感じたのは何時か
尋ねる。昨日の夜のこと。もっとも2ヶ月前にもあり、その時は
ただの尿路炎症だった。結石を取り抗生剤で治まった。
今日はかかりつけ医が居ない。
アンドレアは彼女の呼吸に違和感があるのに気がつく。
アンドレアはジュリアに以前にも頻呼吸だったのか尋ねる。
「正常だった」とのこと。
聴診器を使って調べる。
そして何故既往歴の中に経皮的腎砕石術の話がなかったのかと
尋ねる。エリーザは聞いていないとのこと。
アリーチェは何故結石の除去法が分かったのかと不思議に思うが、
あなたが言わずとも身体が語っていること。背中にはまだその
跡がハッキリ残っていると語る。
ロレンツォに連絡しすぐに心臓のエコー検査をオーダーするよう
命じる。アリーチェは抗生剤をさっさともらって退院したいと
するが、

「私が医者であなたが患者。私が決めてあなたが従うのだ」
と語る。

●病院・エントランスホール

その頃、エジーディオ・パヴェージ(Maurizio Fanin)が病院に
やってきて、それを見かけたテレーザが声を掛ける。
「アンドレアと話したい」。
しかしテレーザは先生は患者の家族とは話さない方だとし、
一応話してみることを語る。
エレベーターに乗るパヴェージは服の中に拳銃を隠し持っていた。

●スタッフステーション

病室に39番の患者が居ないというアンドレア。担当は誰なのか
と問う。その場にいたものは緊張が走る中、担当は
研修医のダリオ(Alessandro Bandini)だった。
何故患者がいないのか?と問うと、ダリオは自分が一時退院の許可
を出したという。娘さんの結婚式があるとの事で、乾杯は炭酸水
の約束で・・。それを聞いたアンドレアは「白衣を脱げ」と語り
激怒する。患者は重度の肝疾患を持つアルコール依存症。
それなのに結婚式に行かせるとは・・。アッティリオもそれを
承知しているというダリオ。患者を名前で呼ぶことに更に怒りを
覚えるアンドレア。ガブリエルはダリオをフォローしようと
して今から呼び戻してはどうかというが、アンドレアは
「君は医者なのか、弁護士なのか」と問う。
マルコ・サルドーニ (Raffaele Esposito)は他の科に欠員が
出ているので事務局に連絡するか?と問う。そしてマルコは

世間にはこんな言葉があるとし『二度目のチャンス』を口にする。
39番が昏睡状態で戻ってもそれが言えるのか。

アンドレアは二人の新人医師が居ることに気がつき誰なのかを
問う。新しい研修医のアルバ(Silvia Mazzieri)とリッカルド
(Pierpaolo Spollon)であることを語る。

「ようこそ」

【感想】

『イタリアの医師で作家のPierdante Piccioniの実話をもとにした
小説に着想を得て制作されたドラマ。イタリアで過去13年間に
放送されたテレビシリーズの中でNo.1の視聴数を獲得!』

という感じのメッセージが現在放送しているNHKや配給している
SONY PICTURESの公式サイトに書かれている。

イタリアの映画は見たことがあるけれど、イタリアのドラマって
いうのは珍しいな。今の時代ネット配信があるのでそう珍しいもの
でも無くなっているのか。

英語圏以外の国のドラマを見ると固有名詞がえらく難しいことが
あったり、名前と顔がなかなか一致せずに、
「この人は誰だっけ?」
ということが多いのだけど、このドラマでも御多分に洩れずに
名前と顔が記憶から抜け落ちる。

特にドラマを難儀なものにしているのがヒゲ。ヒゲがライバル。
ロレンツォ、エンリコ、アンドレア・・みんなヒゲ。

とにかくドラマを見て時間の経過と共に覚えるしか無さそうだ。

時間の経過と言えば、このドラマに於いては時間的概念も重要な
要素の一つである。

ヒゲが生えること。それは時間が経過した事を意味する。

「テレーザに皺がある。老けたな」
彼が撃たれて大手術をした後、目覚めた際に語った言葉だ。
まぁそのテレーザも「変わらずの糞やろう」と言い返していた
けどね。

このドラマに於いても12年前(2008年)当時の出来事が回想シーン
として描かれ、二人の子供を持つ幸せな家庭としての主人公の
姿と共に、2020年現在の無慈悲なまでの世界に引き戻される。

この12年間に起きた出来事はかなり重たいもので、

・息子、マッティアの死(10年前に心不全で亡くなった)
・妻、ファブリツィアとの離婚(8年前のこと)
・娘、カロリーナとの疎遠に写る関係

身内との関係がどうなっているのかは言動を見て察する他
無いが、容易に察することが出来るのも事実。

埋もれた記憶の中には現代の世界に於ける発生源とも言える
医療過誤問題の真実が含まれている。

失われた12年を思い出す事は、すさまじいまでの真実の洪水
によって彼自身の人格が崩壊する恐れが有りそうな程に
人には体験しないような事が多く含まれている。

また大した問題ではないかも知れないが、アンドレアはリッカルド
とは知り合いとのこと。
妻子との関係の整理が終わっていないにも関わらず彼はジュリア
と付き合っている様子。そのジュリアに好意を寄せるロレンツォ
の姿。

●医師としての辛さ

このドラマでは医師としてのマイナスな側面が多くのところで
見られる。
どの職業でもある事だが、患者の治療の為に私生活上の時間と
いうのが限りなく足りない為に生活リズムは病院が中心で回って
いる。
息子の死についても、医者が息子の病変に気がつかなかったの
だろうか。

更に医療過誤の問題なのかアンドレアには「調査対象」「賠償金」
という言葉が耳に入ってくる。

冒頭では主人公が脳検査をしているので、何が起きているのか
を探ることになる。
何の予備知識もない状態で見ているので、アンドレアの脳には
何か爆弾を抱えているような病気や障害などの問題が有り、
その病気のお陰で他人には判断するのが難しいことが見えたり、
患者に対する洞察力・観察眼、そして医師としての診断力の鋭さ
を見いだせているのかと思わせる。

時間の流れを構成上前後にするようにして、その辺の事情を描く
ことでより興味が沸く作りになっている。

●医者として必要なもの

ドラマの人間関係は複雑といえば複雑だが、恋愛ドラマのような
形で構成されている所もある。

現在の内科医長マルコとの立場は非常に複雑だ。

そして12年間の空白は、妻との離婚、息子の死の現実とはきちんと
向き合えてはいない。

そんな主人公に降りかかっている現在の問題、過去の問題が
後になってジワジワと浮かび上がってくる。

更なる問題として彼は脳にダメージを受けたみたいだが、医者と
しての信用性の問題にも繋がる。脳にダメージがあるから患者の
息子を死なせてしまったのではないかと言われても仕方が無い
状況だ。その為、現場での彼の活躍はそのような問題を
圧してでも必要だと思わせる存在感が求められる。

精神科病棟から診断を下していくという、患者の立場として助言を
与えていくのだろうか?

【患者】

●ピエトロ

まだ幼い子で検査を怖がる子供。母親が病院に連れてくるが
ピエトロは検査を拒否して待合室で座っている。
検査が終わって結果待ちのアンドレアが声をかける。
アンドレアは自らを海賊に例え、少年が怖い時には父親が農業
に使っている小屋に逃げ込むことを聞きだす。
そして”勇敢”という言葉を利用し、髪の毛を採取。
ピエトロの両親は無農薬野菜だとしているが実際には農薬を
使っており、子供は「慢性の有機リン系殺虫剤中毒」だとする。
その根拠として極度に収縮した「ピンホール瞳孔」であること。

治療:アトロピン投与

メモ:ピエトロの事を見守る視線は在りし日のアンドレアの息子・
マッティアのことを思い出しているようだ。

●アリーチェ・リヴァーリ

産休明けで仕事に復帰したばかりの女性。
夫と共に救急外来に来院(かかりつけ医・主治医が休みの為)
体温は38.2、血圧は90-50。
脱力感と腹部に痛みがある。更にめまいも出ている
項部硬直、髄膜炎、家族・縁者に癌患者は無し。
白血球数は高く、ヘナトクリット値は良好で38%。

血算、血液培養、尿培養をオーダー。

過去(2ヶ月前)に尿路感染症を患っていて経皮的腎砕石術で結石を
除去している。

呼吸がおかしい事に気がついたので心臓のエコー検査もオーダー。

患者は常に抗生剤を打ってすぐに退院したい事を口にする。

心臓のエコー検査後、内視鏡検査をしている最中に高頻度の
心房細動を起こす。
すぐに除細動器で心拍を正常値に戻す必要があるが、研修医である
アルバに除細動を用意させて、そのまま検査は続行。その後に
パドルで心臓をドカンドカン。

結果はバクテリアが一つの弁を侵食していたようだ。
まさに抗生剤で治りそう。

●アッティリオ

重度の肝疾患を起こしている。アルコール依存症が原因だ。
しかしダリオは娘の結婚式に行かせたいという彼の一存で
一時退院の許可を与えてしまう。
結果亡くなったのだっけか。

●アンドレア医師

彼は現在の世界に於いて患者の父親によって撃たれた。
「頭を撃たれて4時間のオペ、5時間の昏睡。」
幸いにも弾丸は前頭葉をかすめただけ。
しかしそのかすめただけの弾が記憶と共に過ぎ去っていく。

彼の中での感覚は2008年6月9日。
実際には2020年。過去12年の記憶が奪われた。
診断は逆行性健忘症。

20日後の世界では、アルツハイマー患者の脳に似ていると
される。しかし思考は明晰。
過去に世界で同様の症状が18件あり、スイスのルガーという患者
が一人だけ回復した例がある。

【その他】

・キャラメル

「MOUMOU」。アンドレアが好きだったもの。一日一個だけと
いうことで息子にもあげていた。

・アンドレアの名言

彼は「Dr.HOUSE」のハウスの信念のように彼なりに患者の行動
については信念がある

『決して患者を信用するな』
『私が医者で君は患者。私が決めて君が従う』

・二度目のチャンス

研修医ダリオの勝手な行動に怒ったアンドレアが「白衣を脱げ」
と叱った際にマルコが語る。
元々はアンドレアが言った言葉。
しかし彼は銃弾に倒れたことはマルコに非が有ると知って
二度目のチャンスを与えられるのか。

・ジョヴァンニ・パヴェージの死

マルコが投与許可を出したサトナル500mmが原因で亡くなる。
父・エジーディオは医者に会いたがるが、内科医長だった
アンドレアは「患者の家族とは会わない」ことにしている様だ。

しかし矛盾がないだろうか。患者は嘘をつくからこそ家族に
逢って話を聞くべきではないのか。

【CAST】

アンドレア・ファンティ (Luca Argentero) 元内科医長
ジュリア・ジョルダーノ (Matilde Gioli) 内科医、アンドレアの恋人
アニェーゼ・ティベリ (Sara Lazzaro) 外科医、元アンドレアの妻
マルコ・サルドーニ (Raffaele Esposito) 内科医長、秘密を持つ

エンリコ・サンドリ (Giovanni Scifoni) 精神神経科医
ロレンツォ・ラッザリーニ (Gianmarco Saurino) 内科医
リッカルド・ボンヴェーニャ (Pierpaolo Spollon) 内科医師、アンドレア知人
アルバ・パトリツィ (Silvia Mazzieri) 内科研修医
エリーザ・ルッソ (Simona Tabasco) 内科研修医
ガブリエル・キダーネ (Alberto Boubakar Malanchino) 内科研修医

テレーザ・マラルディ (Elisa Di Eusanio) 看護師長
カロリーナ・ファンティ (Beatrice Grannò) アンドレアの娘
マッティア・ファンティ (Luca Morello) アンドレアの息子
若い頃のカロリーナ (Giulia Patrignani)
アイリーン・セラード (Maria Rosaria Russo) マルコの妻????
レナート (Luca Avagliano) 医師

ダリオ・コローラ (Alessandro Bandini) 研修医
アリーチェ・リヴァーリ (Daniela Camera) 患者(23)、産休明け
ローザ (Daniela Duchi) 長髪の女性看護師
エジーディオ・パヴェージ (Maurizio Fanin) 犯人、息子が医療過誤で死
ファブリツィ・マルテッリ (Pia Lanciotti) 外科医長
Mr.リヴァーリ (Francesco Wolf) アリーチェの夫

ピエトロ (Alessio Di Domenicantonio) 少年
(Arianna Ceravone) ピエトロの母、夫は無農薬野菜農家
イヴァン (Matteo Taranto) パッチアダムスのスマイルセラピー
パンドルフィ教授

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