[終] アストリッドとラファエル5 文書係の事件録 第8話 完全犯罪の台本 Un mariage et quatre enterrements

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アストリッドとラファエル5 文書係の事件録
(Astrid et Raphaëlle) 2025 , FRANCE

制作/Patrick FOUQUE – FTV – JLA

第8話 完全犯罪の台本 Un mariage et quatre enterrements

脚本/Alexandre de Seguins、Laurent Burtin
監督/David Ferrier

【STORY】

●映画撮影スタジオ

マチュー(Loïc Risser)はなんでそんな事を聞くのか・・
僕を信じないのか?と問う。
「信じると思うの」メロディ(Emilie Hantz)
「私は知っている。あなたは警官だったのよ」
「今辞めれば誰も死なずに済む。君は僕が守る」

二人とも会話しながら銃を撃つ準備をして互いに同じタイミング
で銃口を向け合う。「甘く見ないで」というとメロディの方が
先に発砲する。倒れた後、彼に近づき”ニコ”と繰り返し呼びかけ
る。

ポール(Alex Goude)のカットの声・・これは映画撮影の一場面だった。
二人の今のシーンは監督も絶賛する。

しかしマチューは撮り直すべきではないかと問う。
「俺の意見を無視するな。誰のおかげでこの映画がある?
君なんか簡単に降ろせる」

ポールはその言葉に屈して休憩後に撮り直すと語る。

「銃は小道具係(Alexandre de Sèze)が鍵の付いたケース」に入れる。

●休憩中の楽屋

ポールはメロディに先ほどのシーンを絶賛する。
次は再会のシーンの撮影だ。
ポールはコーヒーを淹れる振りをして薬を入れる

私は少し昼寝するので起きなければ起こしてというメロディ。
携帯のアラームを20分後に設置。

メロディが寝た事を確認するとポールは部屋から出ていく。
そして彼は鍵のかかった銃器ボックスから銃弾を本物と
入れ替える。そして銃はメロディがソファーで寝ている部屋
空気ダクトの中に隠し入れる。

●撮影部屋

小道具係が銃器を取り出すとマチューに渡す。

アジア系の助監督は撮影に入るので静かにするよう現場スタッフ
に語る。録音技師、助監督2 シーン4-131。

先ほどのシーンの撮り直しのハズだったが今度は銃弾が発射
されてマチューに当たる。すぐにポールは彼の元に駆け付け寄る
と救急車を呼ぶよう指示する。

「死んでる」

■ニールセン家

テツオは壁のボードの資料が増えていることに気が付く。

乗馬センターの指導員が私の記憶の空白に関係していること。

ドゥニ・シャルトルー(Kévin Rouxel)
20004年7月23日に行方不明者として捜索が始まりました。
しかしドゥニは見つかっていない。私の記憶は彼の部分だけ欠け
ている。

「偶然に思えるがラファエルは偶然は信じないと言います」

・ラファエルからの電話

アストリットに対してラファエルから
「マチュー・マルニエについて知っているか」と問われる。
「彼が死んだ・・状況からして事故だけど憶測でフェイクニュース
が広まるとまずいから嘘か真実かを見分けに行く」

■撮影スタジオへ

広大な敷地にスタジオは建設されていた。

ラファエルとアストリッドはスタジオの敷地内に入る。
制服警官二名を見かけるとニコラは知らないかと尋ねる。
しかし彼らはエキストラだった。

・監督のポール・ジェラールの元へ

早速二人を現場に案内してくれるポール。
マチューは私にとってただの役者ではない親友だった。

事故が起きた経緯を聞く。
「メロディがマチューを撃つシーンで起きたこと」
彼女が引き金を引いたら大変なことになった。

普段演技で使用するのは本物の銃に合法的な空砲を込める。
ベテランの小道具係が管理しているし、撮影で何度も使用
しているもの。

それを聞いたラファエルはそれでも説明はつくハズで、
何らかの理由で実弾が紛れ込んだとか・・

ありえない。厳重に扱っているので不可能だ。

撮影中だったなら”犯行の映像”も有りますよね?
「事故」でしょ?

・アストリッドはフルニエに声をかける。

フルニエはポールに対して2発撃ったのか?と問うと、
ポールは1発だと語る。

血のりの袋に気が付くアストリッド。

今回は本物と偽物を見分けるのが難しそうだ。

・映像を見る

ポールから撮影した映像を見せてもらう。
「午前中のテイク」「事故の映像」

ラファエルは違いが全然判らなかった。「演技で死んだ振り
をした」のと「本当に死んだもの」との違い。
監督はどうしてあんなすぐに分かったのか?
長い間の経験です。嘘を見抜くプロになっている。

アストリッドは二つの映像を同時に再生できるか尋ねる。

違和感が有る。マチューのシャツのボタン
右側は一つ、左側は二つ外れている。ジャケットのポケットの
ファスナーの位置が違う。引き手の位置。
棚の上のランプの向きも逆です。左と右。
優秀なスクリプターだ。
更に違いは銃が違う2つともベレッタ92だがモデルが違いま
す。犯行に使われた銃はベレッタ92A1、左の画面のものは
ベレッタ92FS。ベレッタ92A1はレーザー照準器を取り付ける溝
がついていますがベレッタ92FSの銃身には無いです。

「銃は午前と午後では別のものが使われていた。どういう事
なのか?」
「小道具係なら何か知っているハズ」

・小道具係(Alexandre de Sèze)に聞く

監督によればあなたが管理していたのでしょう?

ベレッタ92は一丁しか。
実弾入りの方は銃身に溝がついています。
空包を詰めたのは私。昼休みの前に装填した。
撃つ前にもマガジンの中身は確認しています。
銃が私のものでならとしたら誰かが休憩中にすり替えた。

銃は鍵付きのケースに入れてはあるが寝る時もずっと鍵を
首からぶら下げているわけではない。

ラファエルは監督に対して語る。
「私は勘が働くんです。マチュー・マルニエは事故で
死んだのではなく殺された」

■感想

「アストリッドとラファエル」のシーズン5の最終話。

少し今回だけの感想や言及ではなくシーズンを通した総括的な
書きようですが・・

色々とシーズン5の開始のエピソードからネタ振りは多くして
有った。中でも、

・アストリッドとテツオの恋愛関係の発展
・ラファエルがニコラとの間で妊娠・堕胎
・アストリッドの中で芽生える新たな発作の原因と正体
・そして今回の単独エピソードであるマチュー殺害事件、ポール殺害
事件、そして・・

ドラマでは大切な人の為に何が出来るのかがテーマとして
描かれた。それは相手に対する固執とか執着、愛情や友情の押し売り
ではなくて、嘘や偽の愛情とも違う。
相手の立場になって物事を見ることの大切さという事がラストの流れに
凝縮されていた。

法律順守、社会規範の塊のような正論だらけのアストリッドの中で
複雑な感情を持ち込み、いかにして彼女の中でそれを消化していく
のか。まるでモニタリングのような感じだけど、その道を歩む
事で彼女の生活はより豊かなものになっていくではなかろうか。

テツオのフランスでの滞在が不許可になり、打算的に彼との結婚
を考えてみる機会を一度は与えた。彼の何が好きだったのかを
考えさせる為。そして彼女が無意識に流した涙。日本の漫画や
ドラマでも好きだと意識していなかった相手が突然離れることに
なって気が付く底深いところにある感情を呼び起こした。
それと共にアストリッドは掘り起こしたくはない記憶まで飛び出して
来てしまうのだけど・・

そしてラファエルのエピソードではニコラとの関係が成就する過程
でお腹の中の赤ちゃんを失うことを経験する。大事なのはその後
の展開だ。二人の関係はもちろんの事、それを利用して近づいて
来た母親パトリシアの中には娘への愛情が少し捻じ曲がるような
印象で伝わってくる。

ではアストリッドとラファエルの間で見せた愛情は何だったのか。

分かりやすいのはバチェラーパーティーを含む結婚の形を取り違えて
いた点だ。ラファエルは自分がやりたいことをやろうとして
彼女を困惑させた。しかしすぐにウィリアムなどのアドバイスも
あり、今の人間関係・生活リズムに相応しいものを用意して
彼女のやりたい事を見つけ出す。
最後の難関を協力・集結によって問題を処理していった。

ネタバレだが最後は市長(Aurélie Luziau)が立ち合いの元で
結婚することになるけど、実は大どんでん返しで、ラファエルと
ニコラが結婚してしまうのではないかと思った。
やはり最終話の中でもアストリッド自身の過去の記憶/発作の方が優先し
殆どテツオとの関係は希薄なものとして映ったし、結婚式でも主役だ
ったのはアストリッドではなくラファエルに移ってしまうオチ。

■マチュー殺害事件

今回のエピソードの中では映画が撮影されているというシチュエー
ションを利用した殺人事件だった。嘘の上塗りのような茶番劇の中
で起きる事件で、シナリオに便乗させる形で恨みを持つ相手を
殺害して事故を装い、用意されたシナリオではリアクションが
変わってしまうことへの一端を示した形だ。
よく映画の中でも人を叩いたり殴ったりするシーンがある。
遠近法・画角、音響効果で実際には触れで殴られてはいない
ものが多いが、実際にリアルさを追求する作品によっては相手を
実際に殴るものがある。特に顔をビンタする場合、殴られることが
ある程度分かっていると演技者の体は自然と防御的姿勢を見せて
しまうことがある。
この監督は本物の銃で相手が撃たれることが分かっていた為に
必要以上に素早い反応で相手が撃たれた事へのリアクションを
とってしまう。

近年このシチュエーションと似た形の事件がハリウッドでも起きた。
2021年撮影中の西部劇の映画「ラスト」(Rust)の場面でAlec Baldwinが
手にしたブロップガンから実弾が発射され、撮影監督が亡くなり
監督も負傷。日本の映画の撮影でも日本刀/真剣が使用されてしまった
ケースもある。

完全犯罪というタイトルから、もう少し何かあるのかと思ったけど
殺人は単純明快なものがあり、視聴者が目にしている所で起きた
トリックだったので特に頭を悩ますようなこともなかった。
バシェール警視正の言うように証拠を以てそれが犯人を特定できる
ものなのかということ。特に銃弾の中に大腿骨が混ざっている
辺りはスラグ弾ではなく散弾的な弾の飛び方をしたと思われる。
使用されていたのはベレッタ92。

ポールとラマルクの接点・接触は何処にあるのか分からないけど、
こんな単純な犯罪トリックをいちいちラマルクのシナリオに
なぞる必要が有ったのかどうか。

ポールが浮気した妻の相手・マチューを自殺に見せかけたようと
した。そして今度はポールがラマルクによって自殺したように
見せかけられる。
自身が乗って来た84年型ポルシェ924のボンネットに屋上から
突き落とされ落下する。

■アストリッドの過去

またアストリッドの事件が今回の単純な事件の流れを補うように
して、難解なものとして推移していくが、3枚の絵からヒントもなく
強引に事件解決への道として与えられる課題としては視聴者側
からすれば意味不明な感じにも思える。

時間の尺の取り方があまりに雑過ぎて、一時間半くらいのドラマを
無理矢理押し詰めて、ラストの10分くらいで片付けた印象だった

このドラマの悪い点は最後は取調室のようなところで説明する
下りが実に長いが、今回もそれは例外ではなかったことだ。

過去のエピソードの中からアストリッドに興味を持っていた
ラマルクだけど、今回のアストリッドの過去の件は、何故そこまで
詳しい事情を知っていたのだろうか?

アドリブ的演技の下手さ加減から完全犯罪は不完全なものに
なってしまうという皮肉さなども加味され、その流れは同様に
自分の力を過信したラマルクにも言えるところではある。

疑問に思うのはラマルクとしては何処の辺りからアストリッドの
過去の件に関係して彼女の事件を掘り下げるシナリオを用意していた
のかという点だ。
あのアパート自体を買い取っていたみたいな感じだし、相当前から
用意していたのだろうか?

パズルを解いて徐々に核心に近づくものの、結局最終的には
スマホで聞こえた雑音の一つと。ポールが亡くなった際にアパート
から逃げ出したものが居ないという証言から犯人は逃げたのでは
なく元々このアパートにいることが分かる。
ラファエルが行ったトロイの木馬作戦によって屋上におびき出す。
この辺の流れは少々お粗末な感じにも思えたけれど・・

自殺しようとするところはカンバーバッチ版「SHERLOCK」っぽい
ところがあるし、屋上を舞台にして銃弾が腹部に突き刺さる辺りは
「NCIS」でのケイトリンのエピソードや「BONES」でのブレナンパパ
のワンシーンを思い出す。

過去に虐待されていたアストリッドたち。
馬が虐待していたドゥニ・シャルトルー (Kévin Rouxel)を蹴とばし、
干し草用のフォークに刺さったようだ。
このエピソードを見ると思い出すのはイギリスの近衛兵の馬かも
しれない。

3年くらい前だったか観光地の一つイギリスのバッキンガム宮殿の前庭
に居る近衛兵が乗る馬に嚙みつかれた観光客のことが記事として掲載
された。
それ以降、動画サイトにも定期的に掲載されていて日本でも
切り抜きショート動画として掲載されているので目にした人も多い
だろう。

YOUTUBE「BUSKA IN THE PARK」(@busk1976)
TIKTOK tiktok.com/@busk1976

「馬に近づいてはいけない」などルールが書かれているにも
関わらず観光客が無視すれば怒り出す。そして礼儀正しいものには
馬からのサービスがあるが、全ては馬の単独行動というよりも
手綱を握る近衛兵への心証がその行動を起こさせている。

■その他

●名前が二つ

登場人物がポール・ジェラールと名乗った際にアストリッドは
名前が2つだと語る。ポールは名前だがジェラールは名字だが
どちらも名前に見えるみたいだ。ジェラールはドイツ系フランス
の姓・名。

●二つ二つ二つ

二つと言えば今回は真実と嘘、偽と本物、現在と過去など二つの流れが
目立って響いてきた。中でも対照的に映ったのは、事件の当事者・
加害者として疑われてしまう二人の人物、ポールとアストリッドだ。

ポールはアドリブを使ったことで完全犯罪がバレたと責められた。
そしてアストリッドは融通が利かないことでも知られている。
特に真犯人とも思える人物からの電話に出ようとしないアストリッド。
何故かと言えば・・
「知らない番号から来た電話には出ない」

●アストリッドのスマホを巡るラファエルとの攻防

この下りは面白かった。

知らない番号から来た電話には出ないとするアストリッド
しかしラファエルは解決させるためにも出るべきだと考える。
何度も出ない彼女にしらっと通話ボタンを押すラファエル。

そもそもラマルクからの電話に出てはいけないとしたのは
ラファエルでもあるのだ。

「私たちを登場人物にして弄んでるの」(Raphaëlle)
「その手は食わない。こっちの番よ」(Raphaëlle)
「手は食わない?」(Astrid)

かつてのこのドラマの中では比喩的表現ですねとか突っ込みが入った
のだけどその暇すら与えない忙しすぎる終盤だった。

●コーヒーは不味いので出しません

ポールを警視庁に呼んだ際にラファエルがジョークを言う。
警察署のコーヒーは不味いという設定は万国共通。

●エリック・エルネストの推理小説

【黒衣の男の空砲】(BALLE À BLANC POUR HOMME EN NOIR)

マチュー・マルニエ殺害に使われた手口の一つ
空包に大腿骨が使用された事件は小説の中に有った。

●この部屋に入るとみんなお喋りになるんです

取調室に誘導されてきたポールに語るラファエル。

●エリック・エルネスト

過去のエピソードとして二度登場している。
彼が書いた書籍は100冊以上だとか。

シーズン1の6話「閉ざされた部屋」
https://dramatimez.sakura.ne.jp/blog/?p=8021

シーズン3の4話「開かれた部屋」

アストリッドとラファエル3 文書係の事件録 (Astrid et Raphaëlle) 2022 , FRANCE 制作/FRANC...
に出演している。

●市長が牧師

市長が大切な方々を代表してお二人の幸せを祈る。
法律にのっとの民法を読み上げた。

第212条、第213条、第214条、第215条、第371条。
第371条第1項 親権とは子供の利益を究極目的とする
親が負う権利と義務であり子が成人するか同等の法的能力
を認められるまでの間、父および母に与えられるもので子供の安全
健康および倫理を守り・・

●「近い内に会おう。幸運を祈る」

ラマルクが残したセリフだが、アストリッドは最後の結婚式でも
この言葉が引っかかっていた。最後にクリフハンガー的結末を
用意したけれど、シーズン継続でも終了でもどちらでも可能な
形で終わらせている。

■使用された曲

■出演者

アストリッド・ニールセン (Sara Mortensen) 犯罪資料局・文書係
ラファエル・コスタ (Lola Dewaere) 刑事・警視
ニコラ・ペラン (Benoît Michel) 刑事
カール・バシェール (Jean-Louis Garçon) 刑事・警視正
アンリ・フルニエ (Husky Kihal) 監察医
ノラ・モンスール (Sophia Yamna) 警部補・デジタル

テツオ・タナカ (Kengo Saito) タナカ商店
*アンヌ・ラングレ (Valérie Kaprisky) 警察学校・犯罪科学担当教官
マチルド・ニールセン (Elisabeth Mortensen) 母
*テオ・コスタ (Timi-Joy Marbot) ラファエルの息子
*ニルス (Handy Gedio) 7歳、アンヌの息子、アストリッドの異母弟

ウィリアム・トマ (Jean Benoit Souilh) 社会力向上クラブ
マックス (Clément Lagouarde) 社会力向上クラブ・長髪
*アリス (Lizzy Brynn) 社会力向上クラブ、メガネ女性
*ブノワ (Clément Langlais) 社会力向上クラブ
*アンジェル (Angèle Rohé) 社会力向上クラブ・若い
サミ・グルメ (Dominique Engelhardt) 途中から社会力向上クラブに参加

ポール・ジェラール (Alex Goude) 映画監督
アラン・ラマルク (Stéphane Guillon) 小説家、犯罪者
(Sylvie Filloux) 若い頃のアストリッド
(Romain Baele) 若い頃のサミ
ドゥニ・シャルトルー (Kévin Rouxel) 失踪中。乗馬の指導員。サメの歯のペンダント
メロディ・デュプレシー (Emilie Hantz) 女性俳優・主演
(Akihiro Nishida) タナカ叔父さん
(Pierre-Alain Chapuis) サミ・グルメの父
マチュー・マルニエ (Loïc Risser) 男性俳優
(Alexandre de Sèze) 小道具係 L’accessoiriste
(Aurélie Luziau) 市長 Le Maire
(Agathe Bokja) 助監督 Assistante réalisatrice

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