第16話 粉ひきの娘 The Miller’s Daughter
監督/Ralph Hemecker 脚本/Jane Espenson
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フックはマンハッタンにいたゴールドのことを鉤手で刺す。
しかもそこには毒が塗ってありストーリーブルックの町に戻ら
ねば治らないものだという。フックが乗ってきたジョリーロジ
ャー号(海賊船)で戻ろうと。メアリーはコーラとレジーナが
ゴールドの短剣を探していることを察知する。闇の王の短剣を
コーラが持てばゴールドを思い通りに操れること。
ブルーフェアリー(コーラが扮した)は昔メアリーの前で、この
ロウソクを使えば母・エヴァの命を救うことが出来るが、その
代償として誰かの命の交換が必要だと語る。コーラが母を
殺したことを知ったメアリーはコーラに復讐を誓う
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— 昔 —
コーラは酔っぱらいで粉ひきの父に対して、今朝までに届ける
約束だとして、ゴハンを食べる為に働くよう求める。
コーラは、ハビエル王の城にいくと、粉ひきした物資を運ぶ。
しかしたまたまその城に遊びに来ていたエヴァ王女は、荷物を
抱えて運ぶコーラに意地悪し、足を引っかけて倒してしまう。
その拍子に持っていた粉は辺りにバラ巻かれてしまう。
エヴァ王女は靴が粉で台無しになったとすると、王はコーラに
謝罪するよう告げる。しかしコーラはそっちが転ばせたのだ
として小娘に謝る必要はないという。そんなコーラに対して
ここにいるのは北の王国のエヴァ女王だとし、我が国にとって
は大事な客だという。お前は粉ひきの娘だろうという国王は、
跪いて謝罪しなければ二度とお前から粉は買わないと言われ
謝罪することになる。
— 現在 —
ジョリーロジャー号を操縦するニールとヘンリー。
刺された毒が心臓に達しようとしているゴールドは苦しそうに
しており、そんな彼にエマは声を掛ける。エマは彼に短剣を
コーラとレジーナが手にしたらあんたを操れるのかと問うと、
ウチらも殺されたりするのかと尋ねる。ゴールドはこのまま
死んで欲しいと思っているのだろうとするが、エマはそれを
否定しあんたはヘンリーの爺ちゃんであり、私たちの家族なん
だという。私があんたを助けると告げる。
デビッドとメアリーに電話で現状を伝えたエマ。
ゴールドが毒で死にそうな為にこの町に向かっていること。
短剣は盗られた事を告げ、邪悪な人が何をするか分からないと
メアリーは告げる。その会話を盗聴していたコーラは不機嫌に
なり、盗聴スピーカーを投げ飛ばしてしまう。コーラは相手に
情報が伝わってしまったことが問題だとし、ゴールドは頭が良い
し考える時間もあるという。しかしコーラは短剣に目を通すと
ルンペルの名前が消えかかっている事を知る。名前が消えたら
闇の王の力は丸ごと宙に散って消えてしまい取り戻すことは出来
なくなるという。死ぬ前にゴールドを使ってヘンリーを取り戻さ
ないといけないというレジーナ。しかし死にかけでは無理だとし、
なんとかもってもらわないと困るという。私がこの剣で彼を
刺して彼の力を取り込むというコーラ。私が闇の王になれば力
を得られて出来ない事はなくなるという。しかしレジーナは
そんなことをしたらヘンリーが許さないという。レジーナはコーラ
が何の為に力を得ようとしているのかと問うと、家族を守る為
だという。単に力を手に入れたいだけじゃないのかと問うと、
コーラは力を手に入れることが家族を守ることなのだという。この
戦いに負ければ私たちは死刑になるし、屈服することになるのだ
と語る。
— 昔 —
城での舞踏会。
王様は財政難の為にヘンリー王子を金持ちの女性に売ろうとして
いた。その為に国中の金持ちの女性たちを舞踏会に招待していたので
ある。コーラはドレスを盗んで城に潜入するとヘンリー王子に
そのことを呟く。コーラはわざと王子だと知らずに実直な言葉を
かけた為に王子はコーラを気に入る。しかし国王がヘンリーに
対してダンスの相手を変わってくれという。国王はコーラに
対してお前がどんなドレスに身を包んでも粉ひきの娘だというの
は分かるという。息子を高値で売ろうとしている王様がよく人の
悪口を言えるわねと言うと、国王は確かに数々の戦争によって
国の財政が逼迫しているが、それでも粉ひきよりは上だという。
お前が差し出せるのは麦わらくらいだろうという。コーラはそんな
言葉に憤怒し、私はもっと価値が有るのだと語る。私ならば麦わら
を金に紡げるという。でも私を侮辱したあんたには決してやってあげ
ないと告げると、せいぜい息子を高く売りなと語る。
すると国王はコーラのことをみんなの前に突き出すと、この女性
がこれから麦わらを金に紡ぐとし、その技を見せてもらおうと
語り出す。コーラは時間をかけて集中しなければ出来ないと
すると、鍵をかけた塔に幽閉するので一晩経っても金を紡げなけれ
ば殺すという。しかし紡ぐことが出来れば息子の后にすると語る。
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ゴールドはフックによって毒に刺されて命の危険にさらされる
中、治療するためにはストーリーブルックに戻る必要があると
してフックの海賊船を使って町に戻る。しかし町にはコーラと
レジーナが闇の王の短剣を持って待ち構えており、いずれにしても
危険な状況だった。エマはゴールドのことを今ではヘンリーの祖父
であり家族でもあることを告げ助けることを約束する。
過去に遡る度にコーラが悪いのか、ルンペルが悪いのか、白雪の
母・エヴァが悪いのかレジーナが悪いのか、分からなくなってくる
ものが有るな。
それぞれのキャラクターが複雑に絡み合い、悪を生み出す複合的
な要因として存在してくるので、一瞬見ただけではなかなかその
元凶を突き止めるのが難しいという・・。
これまでゴールドとコーラの非道の数々を目にしているのだけど、
出発点はどの人物も普通に生活していた訳で、それを見る限りでは
性善説が成り立っており、犯罪は環境説に起因するということと
して描かれている。
今まで気になっていたのは、コーラがどういう経緯で魔法を身につ
けたのかということかな。レジーナに対してルンペルが魔法を
教えるシーンは描かれていたりしたけど、今回はコーラがルンペル
からそれを教わるシーンとして描かれていた。
その際、過去からの契約がまた色々と複雑な形となって存在して
おり、単純な憎しみというだけでは片付けられない状況であること
だけは確かな様だ。
コーラとルンペルのねじれた関係というのがなかなか興味深く
描かれた。その二人のねじれた関係を繋いだものが、エヴァだと
いう辺りは皮肉なものだ。
前回初めてメアリーの母・エヴァが登場したけど、その際にはまだ
白雪/メアリーという子供は出来てはいなかった。
前回エヴァ役を演じていたRena Soferだけど、今回はまだ若かりし
頃のエヴァであり演じているのはEva Bourneだった。
前回メアリーに対して王女としての品格を教える立場だったけど
今回はそんなエヴァも”若かりし頃”の姿が有って、他人に
対する敬意や配慮はまるで見られず、人の尊厳を無視するような
態度を取っている。人格が形成する前に他人を傷つけたことによって
それが人から恨みを買う原因となっているところはなんとも
言えないところだ。
さて今回のエピソードは完全に「グリム童話」の一節を引用する形で
進行された物語だった。ルンペルはワニ男だが元の物語はゴブリン
がそれに該当する。最初に産まれた子供を受け取ることを契約
にして金を紡ぐ魔法を授けていく。
上述したことにも繋がるけど、コーラとルンペルの間には愛情と
いうものが存在していたこと。それ以上に二人共粉ひきで有ったり
糸を紡ぐ人物として何の因果か共通していること。
そんな事情を顧みると、コーラもルンペルもそれぞれ相手の死を願っ
ているものなのかが分からないものが有るし、ルンペルはコーラ
によって裏切られたと感じて居るけど、コーラは自分の野望を
達成する為に自らの心を抜き取り冷酷非情なまでの人物像を築き
あげたが、それを求めたのがルンペル自身の言葉が発端となっている。
力を手に入れる為には闇の王の短刀を使ってルンペルを殺す必要が
有るコーラと、それとは対象的にルンペルは自分の命を繋ぐ為には
身代わりとなるコーラ自身の其の身が必要であること。
勿論コーラ以外の別人の命を使えば良かったのだろうけどね。
あのネズミ男とかその為に活かして置いても良かったのかも。
コーラがハートを取り戻した瞬間に自らが犠牲になり、ルンペルの
命を繋ぐという究極の愛の形みたいに思えるし、前回の展開を踏襲
すれば、白雪に人の命を左右するロウソクを使うかどうかの選択を
与えるという意味では上手くシナリオを絡ませた格好だし、何よりも
レジーナ自身がコーラに対して願う気持ちが母親を失う形として
存在してしまうという何が何やら分からない状況だ。
命の危険が迫りゴールドは本音を漏らしたのか。
それとも未来を見通せるルンペルは助かることは既に周知の事実と
して受け取っており、人の心を操るが為にそんな態度を取っている
のかよく分からない。
ベルに対してかけた言葉は本音だと思うし、ニールと交わした
握手も望んでいたことだろうけど、死なないと分かっていて仲直り
に利用したとするならば、やはりゴールドは信用できないことになる。
そもそもルンペルは何故未来を見通せることになったのかについて
も言及されておらず、数話前にルンペルの前に現れた”予言者”の
助言が心に響いている格好だけど、ヘンリーがルンペルを滅ぼす
ものとして存在し、レジーナがルンペルを助けるものとして存在して
いるところなど、子供の存在に対する皮肉な形が至るところで描かれ
ていて、こういうところはアメリカのドラマの凄いところのように
思えるね。
コーラがヘンリー王子と結婚することになる際に、「純白無垢
な雪の色のドレス」と自ら称したけど、ルンペルは「未来が見える
とあちこち皮肉だ」と語った通り、白雪のことを指している格好
だし、今回は色んな所でそんな皮肉さ・因縁の関係というものを
見せられた感じだ。
「愛は弱さに過ぎない」「愛か力を選ぶならば心を持っていると
邪魔になる」。
コーラと国王のやりとりは、このドラマのテーマに対する「愛こそ
全て」に対して疑問符を投げかけた格好で、また興味深いものが有っ
た。
しかしそもそも今回コーラはヘンリーと結婚しているのであれば
レジーナは王女としての地位を確立していたのに、何処でどうねじ
曲がってしまっているのだろうか。王位継承権の話をしていたので、
その程度の地位では満足出来ないというところに繋がって居るのか。
それともレジーナはルンペルによって連れ去られて、その後貧しい
生活を強いられてしまったのかな。
そういえば最近、ストーリーブルックの町の件で外部から来たという
グレッグ・メンデルの流れは停滞してしまっているね。それどころではない
のは分かるけど(笑)
※ヘンリー役を演じているZak Santiago。
現在テレビ東京のランチチャンネルで放送している
「S・セガール劇場」でシーズン2から刑事イーディ役でレギュラー
出演する予定。カナダのドラマ「コンティニアムCPS特捜班」
ではミラー捜査官(Miller)として出演しているけど、
皮肉にも今回のこのドラマのサブタイトルはThe Miller’s Daughter
だ。
■その他
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メアリー・マーガレット・ブランチャード (Ginnifer Goodwin) 白雪姫
エマ・スワン (Jennifer Morrison) ウソをついている人を見抜ける、ヘンリー母
レジーナ・ミルズ (Lana Parrilla) 悪い女王、元ストーリーブルックの町長
デビッド・ノーラン (Josh Dallas) チャーミング王子、メアリーの彼
ヘンリー・ミルズ (Jared Gilmore) エマの息子。レジーナの養子
アーチー・ホッパー (Raphael Sbarge) ジミニー・クリケット(コオロギ)、カウンセラー
Mr.ゴールド (Robert Carlyle) ルンペルシュティルツキン、不気味な町の名士。質屋
グラニー (Beverley Elliott) 赤ずきんの祖母、ホテルと食堂を経営。孫のルビー
ルビー・ルーカス (Meghan Ory) 赤ずきん、食堂でウエイトレス
ベル・フレンチ (Emilie de Ravin) 精神病棟に閉じ込められていた
— (Barbara Hershey) コーラ、レジーナの母
修道院長 (Keegan Connor Tracy) ブルーフェアリー
— (Colin O’Donoghue) フック船長
— (Zak Santiago) ヘンリー王子、ハビエル王の息子
— (Eva Bourne) エヴァ嬢、北の国の王の娘
— (Joaquim de Almeida) ハビエル王
— (Rose McGowan) 若い頃のコーラ
— (Gerry Rousseau) コーラの父
ニール・キャシディ (Michael Raymond-James) ベルファイア
— ダンサー —
(Daniela Dib)(Cody Green)(Mackenzie Green)(Julia Harnett)
(Louise Hradsky)(Kirstyn Konig)(Calida Kuzek)(Jeff Mortensen)
(Kevin Sateri)(Elizabeth Tookey)(Kyle Toy)(Tyrell Witherspoon)
グレッグ・メンデル (Ethan Embry) ストーリーブルックにやってきた
七人の小人 (白雪姫を助けるドワーフ)
— (Mike Coleman) ハッピー
ウォルター (Faustino Di Bauda) スリーピー
— (David-Paul Grove) ドク
— (Jeffrey Kaiser) ドーピー
Mr.クラーク (Gabe Khouth) スニージー 、雑貨店
— (Mig Macario) バッシュフル
リロイ (Lee Arenberg) グランピー、何でも屋
— (Ken Kramer) ボシー