第11話 繭の中の考古学者 The Archaeologist in the Cocoon
脚本/Sanford Golden、Karen Wyscarver
監督/Jeannot Szwarc
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パラシュートで降下した男性は木の枝に引っかかる。
妻に電話して無事を報告する中、木の枝には不気味にも繭の
ような繊維で包まれた遺体が有るのを見つけて悲鳴を挙げる。
ブレナンはクリスティンに対して「いないいないばぁ」と声を
かけてリアクションを見ていた。ブースは何をしているのか?
と問うと、ブレナンはこの子は6ヶ月でハイハイをして7ヶ月で
バイバイを覚えたとし、どの発達過程でも平均よりも早かった
のだという。「いないいないばぁ」の概念だって早くに理解
しているハズだという。ブースは赤ん坊の天才団体への入会
条件でもあるのか?と問うと、「対象の永続性を理解する能力
の指標にもなる」のだとブレナンは語る。
そんな中スイーツがやってくる。何をしているのか説明を求める
とブレナンは、この子には認識能力があるのにあの遊びを楽し
めないなんて変だと語る。ブースはくだらない遊びだとする
が、カズリンスキーの子はウチの子よりも幼いのに理解している
のだという。そんな中ブースに事件発生の連絡が入ると、
悪者退治に行ってくるのでスイーツおじさんが託児所にクリステ
ィンを送っていく事を語る。ブレナンに対して「俺たちが帰っ
て来る頃にはポーカーを覚えて居るさ」と語る。
現場へいく。
被害者のものだと思われる車が停車していた。
ホッジンズは繭のように包まれている遺体を見て「蛾人間モスマン」
かも知れないと語る。カミールに対して何か分かったかを尋ねる
と助手席の血は拭き取られているがシートに付着している血は
指をちょっと切った程度のものではないと語る。刺し殺された
可能性が高いとのこと。
ホッジンズとブレナンはクレーン車を使って木の上の遺体を調べに
いく。ホッジンズはモスマンは目撃者によると空を飛ぶとし、
翼は全長3Mで赤い眼をしているという。しかしブレナンはカナダツル
を見間違えているのよと語り、あなたは科学者なのだから、
遺体も人間である事を語る。突出した眉弓と傾斜した前頭骨から
見て白人男性だという。問題は何故繭が出来たのかを探ろうとの
こと。
シートを切り裂くと血がシート繊維に染みこんでいた。
ギアがニュートラルに入って居ることから誰かが車を落とした
のだろうというブース。それが岩にぶつかり遺体が木の上に
飛び出したのだという。
ホッジンズは繭の正体がわからないのにブレナンが遺体を取りだそう
としていることを見て止める。何かが糸を紡いだがモスマンとは
断定していないとし、突き止めるまでは保存だという。
しかし死因を探る為に小さな穴を開けるだけだとするブレナン。
慎重に穴を開けるがブレナンの顔には多数の芋虫が落ちてくる。
ホッジンズに取り除いてくれと頼む。
事故車の所有者はジェームズ・サットンだというカム。
ホッジンズはその人物を知っていた。冒険家で考古学者の作家だと
いう。リアル・インディショーンズと呼ばれ、世界の滅亡も本
を書いていたという。予言は外れたとのこと。主治医によると
サットンは慢性副鼻腔炎であり、スカロッビングが特徴だという。
被害者の副鼻腔のX線と見比べると一致しているという。
ホッジンズによるとマユはヒファントリアクネア・・アメリカン
シロヒトリだという。幼虫は白い糸を枝に巻き付けて補強し、
その木の葉を食べるのだという。被害者も枝に引っかかったまま
に包まれたのだろうとし、5日間くらいだという。
スイーツは被害者を分析するとし、彼が書いた本はのテーマは
「恐竜」「アトランティス」「謎の磁気の渦」「キリストの妻」
だという。冒険家タイプはよく殺されると告げると、ブースは
「犯人は嫉妬深い夫、際は他の食人族」だという。
ブースはスイーツに娘の件で相談すると、問題はブレナンだと
語る。ブレナンは競争心が激しく、以上に負けず嫌いであること。
ボクが親なら娘が過剰なプレッシャーの中、育つのは心配である
とスイーツは語る。
被害者は本を書き、遺物を販売していたこと。恐竜の卵や
写本、古代の道具、武器の化石など・・。ブースは競争心って
伝染するのか?と問うと、スイーツに対して遺物を買った人物
のリストを調べる様頼む。
カムはホッジンズの元にいくと未だに繭と芋虫に葛藤していた。
しかしホッジンズはカラスを持ってくると、アメリカンシロヒトリ
をエサにするカラスに食べさせる事を告げる。
一方取調室にはサットンの妻・マリーナと、マリーナの兄・アルト
ゥールに来てもらう。二人共ロシア/チェチェン出身で、
マリーナはジェームズは交通事故で死んだと思っていたという。
妹はアメリカに来てまだ一ヶ月で、妹とジェームズはチェチェン
に知り合ったのだという。グロズヌイ郊外、山間部。
キゼノイ湖のグロズヌイで結婚してアメリカに渡ってきたという。
アルトゥール自身は5年前にアメリカに留学し就職したという。
今はクリーブランドに住んでいてエンジニアをしているとのこと。
夫に変わった様子はなかったかと尋ねると、ロシアから何か持ち
帰って来たという。もの凄く興奮していたようだとし、古い物
を持って来ていたとのこと。彼女から保管庫の鍵を手渡される。
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木の上で発見された遺体の回りには何故か繭のようにして
覆い尽くされ遺体を保護しているかのような状況だった。
ホッジンズはこれは蛾人間モスマンの可能性を示唆するが、
ブレナンはあっさり否定し、白人の人間である事を語る。
被害者はジェームズ・サットンという冒険家・考古学者だと
いうことが分かり、妻のマリーナと弟のアルトゥールから
尋ねると二人はロシアのチェチェ共和国で知り合い結婚していて、
妻のマリーナは2ヶ月前に渡米したばかりである事を知る。
サットンは亡くなる前にロシアから何かを持ち帰っていたことを
知る。
ドラマとしては勝ち気なブレナンの負けず嫌いな性格を通して見る、
協力・協調の関係を描いたもの。
価値感の違うものたちが互いに牽制し合い、我先に能力を誇示する
為に競争心を露わにするブレナンの性格とクラークの姿が有った
けど、最終的には二つの価値感の違いは、それを乗り越えて融合
していくものだということを示唆するものだった。
今回はテーマ的にも分かりやすいものが有ったので、ドラマと
しても見やすかった。
これまでのBONESならば心理学者 vs 法人類学者の対決の構図が
有り、ブレナンvsスイーツとなったけど、最近のスイーツはブース
と対決・対立することが多いので、ブレナンが噛み付く相手が
クラークなどに見る同じ科学者たちというところに繋がっていく。
現在の殺人事件と2万5千年前の殺人事件。
どちらが興味深いものかと言えば考古学的に見れば当然古代の
殺人事件だろうし、その中にはある意味では新発見に繋がるもの
が有るかも知れない、異文化交流の流れが有り、これまで常識では
考えられなかった、ホモサピエンスとネアンデルタールの共存・
共栄の関係に有ったかどうかの流れが有った。
またそれとは平行して、現代に於ける文化的価値感の相違の中には、
キリスト教原理主義的人物と、それとは別の考古学的見地から見る
天地創造的概念を持つ物たちの醜い争いが有り、両者の間に
異文化を受け入れるだけの余地があったのかどうかということを
精査していく流れを形成していく。
キリスト原理主義者たちは天地創造されたのは、6千年前のキリスト
誕生と共に生まれたものだと信じているものたち。しかし科学者たち
は宇宙が出来て130億年が経過し、地球は誕生してから45億年が
経過していることを証明している。
神を信じるのか科学者を信じるのか。
スイーツとキリスト原理主義の男性・ウィルソンと語り合う際に、
マタイ伝を持ち出したり、申命記を持ち出したりして、互いに
正しいものを主張していくところは面白く出来ていたし、ウィルソン
に容疑の目を向けるも、十戒を守るとする中で、聖書では嘘を付くと
偽証になりますよとして、神はサットンを殺害することを命じたのか
と問うていく辺りの流れは面白く出来ていた。
2万5千年当時、民族的・宗教的対立の構図の中で殺人事件に発展
したこと。それと同時に現代の世界に於いても同様の殺人事件が
起きているところにまたこのドラマの皮肉さ加減と人間が科学と
いうもので数々の謎を解明していく中でも、人間が持つ本来の
性格というものは変わっていないということを示していてなんとも
皮肉な物がある。
ラボ内でも対立の構図があったけど、結局殺人事件はチェチェン
共和国に残っている家族の名誉を守るための殺人へと発展して
いく流れが有り、科学者達は知識を武器にして戦うけれども、
文化的に未成熟なところがある地域では、今尚この手の残虐な
事件が残っているところなど、なんとも難しいものが有るんだよね。
「救命医ハンク セレブ診療ファイル」の中でもインド人の
ディヴィアが親の決めた相手と結婚せずに勘当になりそうな
ことになったけど、まだまだ世界には色んな文化が残っていると
いうところなんだろうね。
結局繭はアメリカシロヒトリでした。
小学校の時に学校の校庭の木に春になるとアメリカシロヒトリが
もの凄い糸を張っていたのを思い出すな。
最終的にはドラマではブレナンが身を引いた格好だった。
ブレナンは娘には私の欠点は受け継がないで欲しいとし、
「競争心が強く、尊大で他人の気持ちに無神経なところ」が自ら
の欠点だと認識していた。自分で気が付いて凄いというブースに
対して、あなたも欠点を直してと告げ、答えを言わないところが
またブレナンの意地悪さが面白くエンディングで反映された格好
だった。
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テンペランス・ブレナン (Emily Deschanel) “ボーンズ”、法人類学者
シーリー・ブース (David Boreanaz) FBI捜査官
アンジェラ・モンテネグロ (Michaela Conlin) 骨格から似顔絵
ジャック・ホッジンズ (T.J. Thyne) 知識が豊富、実家が金持ち
カミール・サローヤン (Tamara Taylor) スミソニアン責任者、”カム”
キャロリン・ジュリアン (Patricia Belcher) 検事
ランス・スイーツ (John Francis Daley) FBIの心理学博士
Dr.クラーク・エディソン (Eugene Byrd) 考古学
ダイアナ・マルキン (Amy Yasbeck) 出版社の女性
アルトゥール・トヴァー (Zoran Korach) マリーナの兄
マリーナ・サットン (Anya Monzikova) ジェームズの妻、妊婦
ウェイン・ウィルソン (Gary Grubbs) テキサスの石油王、キリスト教原理
主義
— (Joe Williamson) Parachute Guy
クリスティン・アンジェラ・ブース (Ali Louise Hartman)
クリスティン・アンジェラ・ブース (Susanne Allan Hartman)