第5話 究極のテスト Serendipity
脚本/Jonathan Greene
監督/Jean de Segonzac
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【ストーリー】
下水に溜まる水質を調べるCDCの職員の二人。
そこを通りかかった女性は、疾病対策センターなのかと問い、
細菌テロなのかと問う。我々は蚊の発生を調べているとし、
水を採って調べているだけだという。ウイルスが発生して
いないかどうかの抜き打ちだと語る。そんな中、下水溝に
何か落ちていると語る。そこには手が見える。女性は人形だと
言って欲しいと告げショックを受ける。
現場に来たSVUのオリビアに対して捜査官は現状を報告する。
新生児の遺体で白人女児、5から6ポンドだという。水位が
増すと川に流れるのだという。エリオットとオリビアは引き上
げられた遺体を見ると、まだへその緒が付いていて糸で縛って
ある事が分かる。自宅出産したのか。出産日に殺される新生児
は多いというオリビア。ということは母親の犯行なのか。
しかし乳児に外傷はなかった。オリビアは検死官は居ないのか
と問うと、発見者が専門家だという捜査官。ただし昆虫専門の
内分泌学だという。その男性によると死体にクロバエの卵が
ついていたこと。産みたてであることから死体は3時間以内に
捨てられたものだという。産後の体で遠出は出来ないハズだ
とし、近所の母親だろうという。
10月6日(月)・フリスアパート
近所のアパートで管理人から妊婦が住んでいると聞く。
名前はブリアナ・モリス。3ヶ月前に入居したという。
最初は妊娠を隠していて、お腹が大きくなってからも騙していた
とのこと。年齢は20代前半だとし、男性は見た事が無いという。
管理人はモリスの部屋から応答がない事を知ると鍵を使って
ドアを開ける。ベッドで女性が死んでいると告げるエリオット。
確かに自宅出産だとするが、それならば犯人は誰なのか。
マンチとフィンは隣人に話を聞く。
マンチが聞き込みする老婦人は小鳥を飼っていた。
時々買い物を頼んだとし、鳥の餌を買って来てもらったという。
私の誕生日の写真だとすると、モリスがまるで笑っていないこと
を知る。寂しい子だったとし、父やボーイフレンドは居なかった
という。いつも独りぼっちだったと。誰か昨晩訪れた人はいない
か、そして物音を聞かなかったかと問うが、補聴器がないと聞こえ
ないとし、小鳥の声で聞こえないという。フィンが聞いたメガネ
男性は、朝6時にノックの音が聞こえたというが、壁越しに聞こえた
だけで、出産の声などは聞いていないという。
フィンとマンチは若い妊婦がいても誰も気遣う人がいないことを
呆れる。
メリンダは現場にいくと遺体を見て助産した人がいる事を語る。
まだ現状では他殺ともなんとも言えないとのこと。出産時に
血や羊水の塞栓、心臓発作で亡くなることもあるのだという。
しかし電話線は切れていないので通報することは出来たハズだと
すると、オリビアはまだ殺人と決まった訳では無い事を語る。
死んだ友人の秘密を守る為に子供を捨てたのかも知れないという
オリビアに対して、子の出産が秘密なのかと問うフィン
自宅で生んだのがその証拠だという。
エリオットは処方薬があるとし、主治医はカーティスだと語る。
カーティス医師の元に行くと、予定日にはまだ早いという。
火曜日に診察したとし、出産の兆候はなかったという。
エリオットは私の子も出産予定日よりも早かったと告げると、精神的
な負担で早まることはあるという。医師も父親のことは聞いて
いないが、彼女は3ヶ月前まで無料診療所に来ていたとし、
転院したのは金を払ったのだという。検査も全てを受けて居たとの
こと。彼女は子供に関心が無く、性別も聞かないし心音も聞こう
としなかったとのことだった。
望まぬ子だったのか?というオリビア。しかし金を掛けている
とし、この病院の検査は保険適応外だと語るエリオット。
医師の秘書から話を聞くと、支払い状況に関してカード払いだが
先週カード決済が不能だったという。カードの名義はロン・ウォル
コットとのことだった。
ロンの元にいく。
するとロンの妻・ケリーが声を掛けてくる。
エリオットはご主人のカードが不正に使われた事を語り2万ドル
だと語る。使用されたのはカーティス医師の元だとすると、
ケリーはブリアナの担当医だという。ブリアナは私たちの子の母
だという。代理出産なのかと問うと、それを否定し養子だという。
エミリー・ローズという名前を10年前に決めて3度体外受精を
試したが着床しなかったという。ブリアナのことを住む場所も安全な
地域にし生活費や危険な肉体労働もヤメさせたという。
カードの件を尋ねると、期限切れだという。養子仲介会社はどこ
なのかと問うと、共通の友人の紹介だという。マーシー・コクラン
という、ロンの同僚の妻だという。夫はフレーバー研究所に勤務
していて、マーシーが働く相談所にブリアナが電話してきたのだ
という。
10月7日(火)・メトロヘルプライン
マーシーから話を聞くと、ブリアナは妊娠してから一人では育て
られないとして悩んでいたという。彼女の父は失踪し5歳で母から
捨てられたのだという。彼女の赤ちゃんの父は行きずりの男で
最愛の人だと信じていたのに、ニセの電話番号を渡されたのだという。
マーシーは同情して毎晩電話で話したとし、養子を提案したという。
ロンとケリー以上に良い親はいないという。最後の電話は4日前
だとのこと。しかし相談員としてミスを犯した事を告げ、ブリアナと
ケンカしてしまったと語る。原因は私の夫で、ブリアナの秘密を
ロンに話したのだという。彼女は自分で育てたいと言い始めていた
のだという。
捜査報告を受けて夫婦が嘘を付いているのかとしてクレイゲンは語る。
犯行を隠すためではないかというマンチ。ブリアナは夫婦に
とって唯一の光だというオリビア。期待したからこそ多額の出費を
していたのだというエリオット。しかし多額の出費をした上で金
も子も失ったとクレイゲンは語る。母の気持ちが変わったから
夫婦は説得しようとしてブリアナの家を訪ねてそこで産気付いた
のではないかという。取り上げたがトラブルで死んだと仮説を語る。
しかし考えすぎだろというクレイゲンは検視官に状況を聞いてこい
と語る。
メリンダによると子の死因は失血死だという。へその緒を縛る前に
大量出血しているとのこと。母親への殺意は有ったようだという。
これは「バーク事件」と同じく窒息死させたのだという。19世紀
のスコットランドで起きた事件で、犯人は偉大に死体を売ろうと
したのだという。
鼻と口を塞いで点状出血の跡が有るという。胸にくぼみがあり、
彼女の服のボタンの跡で犯人が変わったのだろうと。「ミダゾラム」
という強力な麻酔薬が使われていて、意識が有っても体が動かせ
ない状態だったという。麻痺した状態で出産したのかと問うと、
陣痛促進剤として「ピトシン」が使用されているという。
10月8日(水)・ウォルコットの自宅
10月8日(水)・ブリアナの部屋
10月9日(木)・マンハッタン図書館
10月9日(木)・アーチボルト・ニューランドの診療所
10月10日(金)・モリー・ストラットンの自宅
10月10日(金)・ニューランドの自宅
10月14日(火)・第22法廷
10月15日(水)・地方検事(アーサー・ブランチ)の事務所
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下水の汚染を抜き打ちチェックしていたCDCの職員たちは
下水道の中で生まれたばかりでへその緒の付いた赤ちゃんの遺体
を発見する。白人の女児で遺棄されたのは3時間以内だという。
母親が捨てたのであれば、近所に住んでいるハズだとして
アパートを調べるとすぐにその母親がブリアナ・モリスだという
ことが判明する。しかしそのブリアナもまたベッドで亡くなった
状態で発見される。自宅で出産したのは明らか。
しかし一体赤ちゃんの父親は誰なのか。聞き込みしてもなかなか
ブリアナに対して異性の影が浮かび上がらず、室内に有った薬の
ビンから主治医を訪ねると医師本人からは何の情報も引き出せな
かったが、会計の段階でロン・ウォルコットという人物のカード
で決済されているということで話を聞いていくことになる。
キャボット様無き後、それを引き継ぐべくして表れた検事補
ケイシー・ノバク初の仕事ということで、彼女には酷な感じの
話をぶつけてきたものが有るけれど、ノバクは殺人課の仕事を
担当してみたかったというだけ有って、現場捜査官に捜査にも
同行するという念の入れ様が違うものが有った。
キャボットが居なくなった為に、タイトルも一新されて、
主にオリビアとマンチとホアンの写真が一新されたけど、
それ以外の人物は背景を合成し直しただけで使い回しの写真だった(笑)
最近のオリビアは髪型にメッシュも入れてかつての頃に比べて
ニューヨーカーらしさというものが出てきた感じがするので、
流石に古い写真とのギャップがあるので差し替えたのか。
マンチも随分4話と5話の間で髪型を一新させて来た。
さて今回は久しぶりに実話を元にした題材のエピソードだった。
SVUの場合、実話を元にして構成されたエピソードはS4-24話以来
のこと。SVUはクリミナルインテントに比べて実話を元にすること
は少ないので珍しい感じ。
興味深いのはやはりケイシーが赴任したことも有り、ケイシー自身
がこの仕事を通して現場で捜査している性犯罪特捜班の難儀な一面
を肌で実感しつつ、改めてオリビアに対して現場捜査官の精神的
状況なの、恋愛問題、私生活の問題に触れたという部分かな。
オリビアはボーイフレンドが居ないとする際に「仕事の話をするま
ではいつも順調で、最初は誰も引かないけど、事件の内容に興味を
持ち話を聞きたがるが、でもそれきりになる」と語っていた。
ケイシーはその点男性は楽かも知れないと口にしていたけど、
「フィンとエリオットは仕事と私生活を切り離し、マンチは離婚して
いる。(オマケにボルチモアで喫茶店の経営を破綻させている(笑))」
と語っていた。男性と女性で何故男性が楽なのかよく分からない
のだけど、確かにこういう事件を扱う人の精神状態は気になる
ものが有るので、付き合う人は大変そうだ。
冒頭ではブリアナと子供殺しの容疑者を追っていたハズが気が付く
と捜査はそこから派生して、小児性愛者の事件に発展していく。
医師のアーチボルトがブリアナのお腹の中の赤ちゃんの父親ではないか
とする疑いが出る中で、妙に聞き分けよくDNA鑑定に応じたなと思え
ば、彼からは赤ちゃんの父親ではないが、迷宮事件の解決だとして
1998年の幼女レイプ事件の被害者モリーに付着していたDNAと一致。
ただ結果的にアーチボルトはレイプ犯ではなく、ブリアナの子の
父であり殺人犯だったということだけど、犯罪者は犯罪者を呼び起こ
してしまうものなのか。
ブリアナが殺害された際に、ミダゾラムとかピトシンという薬品が
使われていることからも容疑者は絞られるなと思っていたけど、
これがまた意外と都合良く冒頭で容疑者にされたロン・ウォルコット
が研究者だったりして薬品に詳しかったりするし、上手い事
カモフラージュしているものが有った。
CH3COO5H11という酢酸イソアミルがラボに有り、それはバナナ風味
だとする流れ事態は、その後の展開を示唆するキーワードとして
の刷り込みが有ったのだろうか。
小児性愛者の犯罪の手口は、ハチミツをアソコに塗り、子供に
舐めさせるというものだった。性癖、犯行の手口は変えられない
だろうということで、類似事件を探り、新たな被害者を発見する
が、一か八かの賭けに出たケイシーの策略は失敗。
エリオットたちは必ず余罪がある為に時効前の事件を彼から
聞きだそうとするが、これもまたケイシーによっと止められた。
最近のオリビアのセリフはちょっと性器をダイレクトで語る
シーンが多い気がする。「DNA鑑定を恐れて痕跡を隠した」・・
「ペニスもね」という彼女。すっかり男性社会にも溶け込んでいる
格好だ。
しかしこの手の性犯罪は圧倒的に男性から女性を襲う事件が多い
ので、オリビアのように女性捜査官のいることの有りがたさを
感じるところも有り、モリーが心を開いたのはオリビアだったし、
彼女の胸を貸してモリーが号泣するところなど印象に残るところ
だった。
最終的には小児性愛の犯罪をしていたのはアーチボルトではなく、
DNA鑑定に於ける採血を偽装した際に、利用した血の持ち主だった
ワケだけど、体内にチューブを埋め込んでおくとか、凄い荒技
だったね。ドーピング検査なんかでもこういう手口で他人の尿を
使うことが有ったみたいだけど、流石に今は無理だろうね。
そもそも最近の刑事ってDNAを採取する際に血液ではなく、頬の
裏側の皮膚片を綿棒で取るシーンが多い。その綿棒が汚染されて
いたという「CSI:科学捜査班」のエピソードも有ったりしたことが
有るけど、容疑者にされてしまう人に取っては人生を左右する
ことなので大変そうだ。
犯人はピーター・ネスラー。海釣りが趣味だということを
ケイシーは見抜いたことで名誉挽回したけど、犯人の男が付けて
いたボートの名前は「ハチミツ号」。どんだけハチミツに執着
しているんですか!?
ラストは全ての前振りとばかりにアーサー・ブランチから
一連のことはテストだったことを聞かされる。ケイシーはこの仕事
はしたくないとしているのに、ブランチさん聞く耳持たず(笑)
■その他
・ケイシー役のDiane Neal
「スーツ / Suits」のシーズン2に登場するアリソン・ホルト弁護士
役で登場。
・メトロヘルプラインに勤務していたメーシー役のRebecca Wisocky
最近Dlifeで放送中の「デビアスなメイドたち」でエヴリン・パウエル
というちょっと影のある女性役で出演中。息子を失う家庭で
夫が変態趣味に興じているけど、子を失ったことは自分の責任だと
感じて居て、なかなか反論出来ないという役目。
エリオット・ステイブラー (Christopher Meloni) 刑事
オリビア・ベンソン (Mariska Hargitay) 刑事
ドナルド・クレイゲン (Dann Florek) 主任警部
ジョン・マンチ (Richard Belzer) 刑事
? (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
アレクサンドラ・キャボット (Stephanie March) A.D.A 検事補
オダフィン・チュツォーラ (Ice-T) “フィン” 刑事
メリンダ・ワーナー (Tamara Tunie) 鑑識
ジョージ・ホアン (BD Wong) FBIにも精通する精神科医
アーサー・ブランチ (Fred Dalton Thompson) 地方検事
ケイシー・ノバク (Diane Neal) A.D.A 検事補
トレバー・ランガン (Peter Hermann) 弁護士
ロン・ウォルコット (Jack Gilpin) フレーバー研究所、夫
ケリー・ウォルコット (Barbara Garrick) 妻、不妊治療、モリスから養子
Dr.カーティス (Dan Ziskie) モリスの主治医
Mrs.ニューランド (Caralyn Kozlowski) アーチボルドの妻、医師
— (Marylouise Burke) Curious Woman
マーシー・コクラン (Rebecca Wisocky) メトロヘルプライン勤務
Dr.アーチボルド・ニューランズ (Martin Donovan) 整形外科医
— (Joel Marsh Garland) Building Manager
ルイス・プレストン (Audrie Neenan) 判事
Miss ギデンズ (Karen Mason) 図書館
ジョセフィーン (Anna George) 図書館・検索係
ピーター・ネスラー (Alexander Tufel) 犯人
モリー・ストラットン (Jolie Peters) イタズラされた
Dr.ディーン・カーン (Nick Sullivan)
— (Don Puglisi) Assistant
アリシア・ハーン (Paulina Gerzon) 8歳、イタズラされた
キャロル・ルセロ (Bonnie Rose)
— (Dan Mahoney) 隣人
— (Greg Vaccarello) 制服警官 /冒頭でオリヴィアに説明
— (Edwin Briscoe) 制服警官
— (Carol Maillard) 秘書
— (Anne L. Nathan) Volunteer
コートニー・ジョーンズ (Olivia Crocicchia) 6歳、誘拐される