第3話 囚われの身 Tower of David
監督/Clark Johnson 脚本/Henry Bromell、William Bromell
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【前回までのあらすじ】
ブロディはCIA本部の爆破はやっていないがどう見ても彼が
やったようにしか見えなかった。キャリーは逃げないといけ
ないとし、誰も信用しない事を語る。かけておいた保険を
使うというキャリーは友人のジェーンがカナダ国境からモント
リオールにまで連れて行ってくれるのでそこから釣り船で
ニューファンドランドまでいくのだという。しかしキャリーは
同行は出来ないとのこと。
フランクからキャリーに電話が鳴り新聞を見たかと問われる。
新聞には「CIA諜報員、本部爆破テロ犯と関係」との見出しで
取り上げられていた。キャリーは否定するが、聴聞会では
ソールまでもがくだんの諜報員、彼女は双極性障害だという。
ダールはソールにキャリーが記者に電話した事を告げ、自分の
言い分を新聞に書かせるつもりだという。ニコールはキャリー
から話を聞こうとする。ブロディは絶対に犯人ではないこと。
ソウルはそれを知りつつ聴聞会で証言を偽証したのだと。
しかしそんな彼女の元に措置入院命令が下されたとして連れて
行かれる。キャリーはクスリで喋られなくなる中、ソールは
キャリーに逢う。本当に済まないというが、「くたばれ」と
呟くキャリー。
【ストーリー】
ベネズエラ スティア・ラ・アール。
銃を持つ集団が海岸にいるとジープの男がやってくる。
リーダーのエルニーニョは車から降りろと告げる。ヤツを生きた
まま救い出した事を告げ、コロンビア軍に奇襲攻撃されたこと
を語る。二人が殺されてしまったという。彼はトランクの中に
いるとするとエルニーニョはそれを確認する。中には腹部に銃弾を
受けて瀕死のブロディだった。死にかけだな・・と呟くと、急いで
自分達のアジトのあるカラカスに連れて行く。
エルニーニョはグラハム医師の元に連れて行く。
凄いキズだなと告げると、手違いで国境で待ち伏せされたことを
語る。コスメとパコに今からキズを見るとしてグラハムは指示する。
現在出血多量で乏血性ショックを起こしているとのこと。
痛み止めを打つ。パコに患部をつまんでいてもらう。
フランコに言って室内の照明を安定にしてもらう。弾を取りだし
なんとか止血する。エルニーニョは助かりそうかと尋ねると、
抗生物質があまり古くなければ助かるだろうと語る。
この人物を誰か知っているのかと問うと、腹に2発の銃弾を受けた
名も無きよそ者だろうとするが、この男がアメリカの逃亡犯で
生死を問わずに首に一千万ドルの懸賞金が掛けられているのに
何故面倒を背負い込んでまで助けるのかと問われる。
有る人間に昔の借りを返したいのだというと、それ程までにデカイ
借りなのかと告げる。
ブロディは傷が痛むとエスメはスペイン語と交えて話をする。
なんとかブロディを落ち着かせるエスメ。
夜が明けるとブロディはベッドから立ち上がる。エスメは立ち上が
ったらダメだといる。注射をしようとするがもう良いとして
拒否する。外が見たいだけだという。外を眺めると、ここは何処
なのかと尋ねる。エルニーニョがやってくると、ここはカルカスだと
告げ、体を休めないとダメだという。あんたは運が良かったことを
告げコロンビア人に殺され賭けたのだという。懸賞金がかかっている
大金のせいで狙われていると。匿っているオレだって安全ではない
こと。サイフとパスポートを盗まれた事を告げ、旅を続ける為には
パスポートがいる事を告げる。替えはもう作れないこと。
エルニーニョは盗んだヤツを見つけ出すと約束すると今は体を治せ
と語る。
しかし何故俺を助けたのかと問うブロディに対して、キャリー
を知っているかと問うとオレも知り合いだと語る。しかし彼女と
会えるとは思うなと語る。
エスメはブロディの髪の毛をカミソリで剃る。
感謝を示すブロディは、ビルの中を見て回る。ここは建設中の
ビルなのか。歩くのは良い気分だとし、現在杖を付いて歩いて
いる事を語る。エスメは何処まで英語が理解出来るのか分から
なかったが、繰り返し言葉を教えるように伝える。
そんな中ブロディは少年・少女が沢山廃墟のようなビルにいる
ことを目にする。また娼婦がそこにはあることも分かる。
グラハムはフラフラと歩き回るなんてムチャが過ぎるとして
ブロディの行動を非難する。グラハムはここのことをどう思うか?
と問う。掃きだめのような我が家。通称「ディヴィッドの塔」と
呼ばれているのだという。建てたのはダビデ王ならぬディヴィッド
・プリレンボーグという利益以外に頭のない銀行家。不運にも
完成前に死亡し、彼無しにして経済も悪化の一途を辿り、工事は
ストップ。行き場のない人が住み着いてこうなったという。
「何故ここにいるのか?」と問うと、それは危うい質問だと言われる。
人にそんな事を聞けば自分にも同じように質問をされることになる
のだと。外の世界は厳しく、無慈悲な非難にサラされるが、ここは
違うこと。誰でも受け入れるのだという。だからみんなこの家に
いるのだという。ブロディはオレはここには居られないとし、体力が
戻ったら出て行くという。するとみんなそう思うものだとし、現場になろ
うとしてると語る。
ブロディはビルから外を眺めているとコーランが聞こえる。
ブロディはアラビア語で何かを呟く。
体力回復の為にブロディは運動をしていた。
エスメはブロディを呼びに来ると、エルニーニョの元に連れて行く。
するとブロディが盗まれたパスポートやサイフ、そして時計を
取り返してくれていた。盗んだ人物はアイツなのか?と問うと、
本人は認めている事を語る。そうだというと、エルニーニョが
彼を殺そうとしているのを見て止めようとするが、無慈悲にも男
をビルの下に投げ飛ばしてしまう。やり過ぎたというが、エルニーニョ
は盗まれたのが俺らならば放って置くところだが、だがあんたには
懸賞金がかかっていることを知られたらすぐにタレコミされるのだ
という。そうなんっても良いのか?と問うと部屋に戻れと語る。
ブロディはここを出て行く決心をする。
エスメは出て行くのかと尋ねると、別の場所にいくと語る。
行ってはダメだとするが、ここには居られない事を語る。
表になんとかして出たいので協力して欲しいと語る。
エルニーニョにもその頃を告げ次の場所にいく事を語る。
殺されかけたんだぞとして止められるが、ここには居られないとい
うブロディ。あの泥棒のことを気にしているのかとすると、助けて
くれて感謝しているが、自分はもう元気であり次の場所に行かねば
ならないという。そんな場所などないぞとし、キャリーにも
会えない事を語る。いっそCIAに電話して懸賞金を山分けするか?
と。キャリーはあんたの居場所なんて気にしていないとし、ここが
あんたの家だとし分かったなと語る。
グラハムはブロディの元にやってくると、エルニーニョはあんた
が恩知らずだと行っているという。彼の言うとおりここがキミの
家だとし、事実を受け入れられないのは分かるが、そんな心の声
を追い払うべきだという。ドイツで生まれたクスリが有るという
彼はこれを打てば気が楽になる事を語る。名前はヘロイッシュ。
これでキミも強くなれると。しかしもう必要ないとして注射は
打たず出ていって欲しいと語る。
— アメリカ —
キャリーはDr.マロニーと面接していた。6時間眠れたので頭もハッ
キリとしているという。水は飲んでいるか・・頭痛は起きている
かetc..質問を受ける。ずっと飲んできている薬なので副作用には
なれている事を語る。めまいの発作は有ったかと聞かれ1、2度有った
ことを認める。ソールにはもう回復したと伝えてくれというキャリー。
何故ソールが出てくるのかと問われると、CIAに報告するのでしょ
と語る。しくじったことは悪かったけど、もう大丈夫だと伝えて
くれというキャリー。薬の服用を辞めたのは間違いだったと。
しかしあなたは薬を飲むことで「鈍る」と言っていたと指摘される
と、大袈裟に考えていた事を語る。3週間も経過すれば恨みも消える
と語る。ここに入れたのはソールの善意だと思うかと問われ、テロ
と見られる人物との妄想関係と断ち切らせると彼は言っていたが
それは正しいと思うのか?本心からそう思っているのか?正直に
言ってくれないと治らないと医者に言われる。私がぶちこまれた
のは隔離する為でおかしいと思ってるからでしょと語る。ここは
精神科病棟だと。ソールに言ってくれれば私も帰れるしDr.だって
もっと時間を有効に使えるのだと語る。しかし医者はキャリーに
もう少し協力的にならないと面会も許可出来ない事を語る。
薬が効いているかも疑わしいとると、私が悪かったとソールには
伝えて欲しいと告げる。
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アメリカ・カナダ国境からブロディを逃走させたキャリー。
そんなブロディは流れ着いてやってきたのはベネズエラの首都
カラカスだった。ブロディには多額の懸賞金がかけられている
ことも有り、コロンビア兵によって殺されかけていたが、
カラカスで活動するギャングたちによってその事実を知りながら
も彼を助ける。助けられた当時ブロディは腹部に二発の銃弾を
受けて今にも亡くなりそうな状況だったが、なんとか劣悪な
環境の中、弾を摘出し、助かることに。話を聞くとリーダー格
のエルニーニョはキャリーに借りがあるということだった。
今回はちょっぴり中休みって感じにも思えるエピソード。
ただブロディの消息に関してはシーズン3に入って初めて伝わって
来たので興味深い描かれ方をしている。
ブロディが懸賞金目当てで、指名手配・賞金首にされて身動きが
取れない今の状況を、精神科病棟で不当に閉じ込められて
いるキャリーの流れとリンクして、益々キャリーとブロディが
意識を共有するような体験をしているという辺りがまた皮肉にも
運命を感じさせる。
貧民街で暮らしているギャングたちの中でも、義理と人情が残る
ものたちが居るんだなと思うと、金とか権力で突き動かされて
いる現代の世の中に有って、それらに決して屈しないそれぞれの
人間性とか民族性、結束感など人を測る物差しが違うところを
感じさせて、なかなか人は複雑なものが有るね。
世の中で最も信者の多い宗教だけが身を守るものでもなく、心の
より所になるとは言えないところも有り、決して自分の信じる
宗教や価値感だけが、世の中を動かす物ではないことが描かれる
。ブロディの耳に聞こえるイスラム教のコーランの音を聞いて、
自然と足が向き、そこならば助けてもらえるだろうことを悟るが、
実際にはイラスム教徒の中でもプロディのことを原理主義者だと
捉えて敬遠される流れが有り、最早何処にも居られない状況として
描かれている。
それこそエルニーニョが語る様に、あの場所以外に彼の行くところ
は有ったりするのかどうか。
キャリーの流れもまた複雑なものが有った。
ソールが本当にこのままキャリーに対して何の手も打たないのか。
キャリーのソールへの不信感は時と共に収まる処か、早い内に
手をつけないと最早取り留めのない状況になっていく。
映画「ランボー」シリーズで国や軍によって見放されたものたち
が愛国心国の為に戦いつつも裏切られてしまったところを見ると、
キャリーにはそんな思いを感じて居る部分が有るのだろうし、
ブロディに関しては一度は洗脳されていて副大統領らを殺そうとした
ことも有るので、多少微妙には写るのだけど、それでもやはり
真実を無視して、情勢を正常化させようとしている流れには憤りを
感じるところも多い。
それにしてもあの建設中のビル、なんか凄かったな。
■使用された曲
・Sean Callery Feat. Chris TedescoのHomeland Main Title
・Sean Callery Feat. Chris TedescoのHomeland End Title
キャリー・マシソン (Claire Danes) CIA
ニコラス・ブロディ (Damian Lewis) 2003年行方不明、軍曹
ピーター・クイン (Rupert Friend) デビッドの部下、CIA職員
ジェシカ・ブロディ (Morena Baccarin) 妻、マイクと不倫
クリス・ブロディ (Jackson Pace) 息子
デイナ・ブロディ (Morgan Saylor) 娘
ミラ・ベレンソン (Sarita Choudhury) ソールの元妻
ソール・ベレンソン (Mandy Patinkin) キャリーの上司
アンドリュー・ロックハート (Tracy Letts) 上院議員
ダール・アダル (F. Murray Abraham) CIA職員
フランク・マシソン (James Rebhorn) キャリーの父
スコット・ライアン (Tim Guinee) CIA職員
Dr.キャス・ウィザーロップ (Stephen Schnetzer) 精神科病院
エルニーニョ (Manny Perez) ギャングのリーダー
エスメ (Martina Garcia) エルニーニョの娘
— (Erik Dellums) 医者
アビー (Marcia DeBonis) 精神科病院
アマンダ・ランバート (Jennifer Marsala) 精神科病院
ポール・フランクリン (Jason Butler Harner) ベネット・パー&ハミルトン法律事務所
マルティネス (Blas Diaz) フランコ?
パコ (Carlos Olivieri) 子供
— (Rafael Fuentes) イスラムの尊師
— (Iliana Garcia) 尊師の妻
— (Raul Alcocer) 泥棒・ブロディのサイフを盗んだ
— (Aurelio Lima) Shotgun
— (Kathy Walton Pulley) Mental Patient
マイク () 精神科病院・患者
サラ () 精神科病院・患者
ジム () 精神科病院・患者