第5話 信頼関係 About a Boy
監督/Charlotte Sieling 脚本/Meredith Stiehm
【前回までのあらすじ】
サンディは偶然に死んだ訳ではない。最初から仕組まれていた。
殺したのはISIのファルハド・ガージ。ISI対テロチームの下で働く
殺し屋だとキャリーはソールに伝える。ISIのタスニームは、
イスラマバードの大学で働くデニスに接触。彼が大使館の妻・マーサ
のPCから情報を抜き出して漏洩した事をネタに、彼女はワシントン
のFBI本部に小包が届くので、頼み事を聞けばイスラマバードを無事
に出すという。クインはキャリーの頼みでまたイスラマバードへと
戻ってくるが、クインは精神鑑定を受けてポリグラフを受ければ
CIAから辞められる状態だったことを語る。キャリーはそんな時に
来てくれてありがたいとするが、それなら何故カブールには来てく
れなかったのかと尋ねる。ファラはアーヤンを尾行していると、
神学校からヘイサム・ハッカニが出てきて遭っているのを目撃する。
キャリーはアーヤンを秘密の場所に連れて行くとパスポートとビザが
用意出来たらロンドンに脱出させるという。そんなキャリーは彼に
裸で迫る。
【ストーリー】
アーヤンとキャリーはベッドで朝を迎える。アーヤンは布団を静かに
まくり上げると裸のキャリーの体を見て余韻に浸る。アーヤンは自分
はここを出て行こうとするが、ここに居てくれと告げると、これから
朝ご飯にデニッシュとコーヒーを買ってくるという彼女。
カディールとパルヴェスは、ハッカニが目撃された神学校が見える場所
を大家と交渉して借りようとする。大家は売春宿にするようならば
ダメだとし、怪しげなヤツには貸せないとするが、セックスはしないし
3万ルピーを支払うという交渉で契約を成立させる。
すぐにクインとファラはその場所を拠点にして、ハッカニの動向を探ろう
とする。またハッカニが現れるかどうかは分からないが、彼と精通する
聖職者が来る可能性は高いだろうと。クインが銃を用意していることに
驚くファラだが、何がおきるか分からないことを語る。何か有れば
パルヴェスとカディールが対応策を考えていることを告げる。
ファラは不安だという気持ちをクインに伝える。元々私が頼まれたのは
記者を演じるだけだったのに、今では作戦の中心にいること。アーヤン
を尾行してハッカニを見つけたというクインは、ドップリだなと語ると
君には特性があるんだと告げる。
ソールは事態が緊迫しているのにアメリカに戻ることを不本意だと
キャリーに伝える。貴方は元長官だとし、ロックハートに説明して
口止めの方も忘れないでくれと語る。結婚式の空爆で相当彼は叩かれて
いるのでISIの陰謀だと知れば小躍りして喜ぶだろうというキャリー。
ソールも彼は政治利用しか考えていないので喋りたがるだろうという。
彼が口外すればハッカニの作戦は台無しだという。ソールはどんな手で
見つけるのかと問うと、甥を側に置いているので囮にするつもりだと
いう。若いし情に脆い人物だという。決して焦るなよというが、猶予
が3日間だと聞いて、それだと信頼関係を築くのは難しいのではないか
という。とにかくD.Cに戻ったら連絡するというソール。
アーヤンの元に戻ると、彼は気が変わったとして部屋から出て行こう
としていた。これから友達のキランの家に行き、学校に戻るとするが、
キャリーはキランの父親に追い返されるし、学校は退学になっている
のだと語る。あなたは現状が分かっていない様だが、あなたの顔は
国内だけでなく欧米に知られているのたという。あの動画であなたは
即標的にされるのだとし、誰が空爆で家族を殺したか、マズイ攻撃の
生き証人なので暗殺リストに入っているのだという。アーヤンはキャリー
の言うことは滅茶苦茶で昨日はISIに気をつけろと言って今日はCIAの
ことを話していると語る。どちらも危険なんだとし、動画の掲載自体
があなたの仕業ではないにしろ、投稿された以上は狙われるのだという。
決して舐めてはいけない事態であり、一歩外に出れば拉致されるのだと
いう。夕べのことを後悔しているのでしょ?というキャリーに対して、
信仰に反するもので、罪を犯したくないし、敬虔で居たいのだという。
キャリーは昨日のようなことはもうしなくても良いとし、それでも
深刻なのでロンドン行きまでは出ないでと語る。
デニスとマーサ。デニスは今夜の予定を尋ねると、コンサートだと
いう。貴方も来るのよというが、自分は遠慮するというデニス。
パキスタン音楽に飽きたと言う。帰国のことを怒っているのだろう
と問うと、帰国は辞めたという。急な事だったし君にも悪いとして
ビルには次の学期からにしてもらったという。するとマサーは仕事の
オファーなんて信じると思うのかと問うと大学には私の友人もいるの
だという。あなたの論文盗用は消えてなんかいないとし、作り話は
しないでという。帰りたいならばハッキリそういえば良いという彼女。
ここに残るというデニスにどうしてなのかと問う。
ファラはクインはハッカニを見かけた場所を監視していた。
監視している間に二人は会話する。
キャリーとは仕事をして2年になるというクイン。気心が通じるんで
しょと語ると、貴方もプロの嘘つきなのかと問う。キャリーはこの仕事に
ウソは必須だと教えてくれたという。弱みにつけ込んで人を思い通り
に操るのだというクインは、その彼女は時に醜いまでに人を騙して
操り、利用するのだという。敵を倒すのに手段は選べない仕事だと
いう。そんな中聖職者が出てきたというファラ。
■感想
キャリーはなんとかしてアーヤンと信頼関係を築いて彼の口からハッ
カニが生きて居ることを聞き出そうとする。しかし信頼関係を築く
期間は3日間という縛りが有り、それ以上留めておくのは逆効果だと
分かっていた。
一方帰国しようとしていたソールだが空港でISIの殺し屋のガージを
見つけて尾行する。
今回の流れを大きく分けると4つになるかな。
■キャリーとアーヤンの信頼関係
アーヤンは今のところドラマとしてのキーマンだけど、今の状態だと
特に緊迫感も切迫感もないのでこの流れが必ずしも一番楽しいという
ものでもなかった。
キャリーは相変わらずそんな男と体の関係になるという構図が有り、
そんなキャリーに気を許していくという一連のパターンがこれまで通り
構築された。今度の相手は大学生で元々異文化の男性だ。
アメリカ人ブロディが宗教問題を軸としたアイデンティティの問題で
頭を悩ませていたのに対して、アーヤンは元々イスラム教徒であり、
信仰心を越えるところに有る愛や肉欲、そして家族の問題が存在して
いるところは何とも言えないね。
朝になって、キャリーが横で寝ている中、ちょっと布団をめくってしま
うという行動がなんか男性としてよく分かる(笑)
敬虔で居たいとするアーヤンの未成熟な信仰心を誘惑で落とそうという
ところはかなり解せないところだけど、彼はそう悪い人間では
なさそうだ。最後はキャリーが自分には赤ちゃん(フランシス)がいる
ことを打ち明けたことで、彼もそんな純真さからキャリーに対して
ハッカニが生きて居ることを打ち明けた。何と言ってもベッドで女性が
涙するというのは、男性にとってはクリティカルヒットに近い衝撃が
あることには違いない。彼女は涙の理由を「幸せだから」ということで
それがアーヤンとの心理的駆け引きの中で信頼を勝ち取る決定打にも
なったのだろうけど、この涙が本物なのか演技なのか分からないのは
男性という生き物だ。
ハッカニは重篤な病気にかかっているようで、この辺はビンラディンと
似たようなところがあるな。
アーヤンへのインタビューの中でハッカニの性格などを色々と取材と
称して聞くシーンが有り、叔父の人生の指針は「イスラム教義」と
「タリバンとしての勇気」だと聞くことになる。
かつてはソ連と戦っていた時代には、ソ連をたたき出したことを語る。
その時代、アメリカがタリバンを味方していた時が有るので、世界警察
アメリカの態度を見ると、どうも真の平和の為に動いているとは
思えないところがあるんだよね。
■ソールとガージ
ベナジルブット国際空港でソールはガージを目にする。
ヨハネスブルク行きのフライトを待っていること。東インド航空223便。
南アフリカにはヤツを尾行できる人員が残っているかとクインに連絡
することになる。
流石にソールのガージへの尾行はお粗末なところが有った。
ソールはCIAの中でも分析官であってどちらかというと現場での諜報活動
という意味では後方支援的役割だったので、誰か頼れる人がいれば
良かったんだよね。キャリーは任務遂行中だし、それ以外に頼れる人
が居ないというのが切ない。
結局ソールは捕まってしまった。
ガージが連絡していたのはタスニームだった。
そしてウルドゥー語が飛び交うタリバン支配下の山岳地帯に向かう車の
トランクの中に捕まっている。
ファラやクインたちの流れとニヤミスしている辺りがまた興味深い
ところだった。
■ファラとクイン
この二人はハッカニが居た神学校近くで監視活動を行う。
その際ファラとクインが会話していたし、時間が有る時にはファラ
はカディールたちから現地語を習っていたね。
ファラはイラン系の人だっけか。
クインはファラには才能があるみたいな感じだったけど、流石に
キャリーのようになるのは難しいだろうね。
ファラとクインで尾行する姿が有り、何とかして無人機で彼の車を
追跡したかったところ。しかしキャリーと連絡が取れずに、Bプラン
として追跡装置をつけようとするも残念ながら近づくことは出来なか
った。
クインとしてはキャリーが任務の為とはいえ、アーヤンと寝ている
現実には相当嫉妬している感じ。
クインはキャリーのことを「弱みにつけ込んで人を思い通りに操る」
人物としていたけど、その言葉にはちょっぴり憤る姿も見え隠れ
していた。
■タスニームとデニス
デニスは完全にタスニームによって操られている。
タスニームはカーンと同じISIの人物だと判明。カーンはソールの次の
行動が読めないとしていたので、拉致して聞きだそうとしていたのか
な。
タスニームはデニスがジョンと接触している時にウルドゥー語を使って
いた。”ジャバクヘル”って最後に語っていたけど、どういう意味だった
のだろうか。
ジョンはここの女性がアメリカ系のホテルのバーに来ることなどない
のでデニスに何か有るということを疑惑に思っている様だ。
デニスは一度は踏みとどまったけれど、二度目はキャリーのオフィス
に侵入して色々とカメラを使って現在のCIAの支局長のことを詮索して
いた。
■使用された曲
・Homeland Main Title
Performed by Sean Callery Feat. Chris Tedesco
■出演者
キャリー・マシソン (Claire Danes) CIAカブール支局長
ピーター・クイン (Rupert Friend) CIA職員・イスラマバード支局
ファラ・シェラジ (Nazanin Boniadi) CIA職員・金融
マーサ・ボイド (Laila Robins) イスラマバードの大使館員
アンドリュー・ロックハート (Tracy Letts) CIA長官
ソール・ベレンソン (Mandy Patinkin) 民間軍事請負業者
ミラ・ベレンソン (Sarita Choudhury) ソールの元妻
アーヤン・イブラヒム (Suraj Sharma) 結婚式に空爆される、学生
ジョン・レッドモンド (Michael O’Keefe) CIA・イスラマバード、支局予定だった
デニス・ボイド (Mark Moses) イスラマバードの大学教授、マーサの夫
アザール・カーン (Raza Jaffrey) パキスタン情報局(ISI)
タスニーム・クレシ (Nimrat Kaur) デニスに仕事を依頼
バニー・ラティーフ (Art Malik) パキスタン情報局(ISI)の元大将
ヘイサム・ハッカニ (Numan Acar) 過激派、タリバン
パルヴェス (Meren Reddy) チームキャリー
ファルハド・ガージ (Tamer Burjaq) パキスタン情報局(ISI)、アーヤン脅し
カディール (Zahir Bassa) チームキャリー
— (Mahmood Muhammed) 警官
— (Shabbir Ahmed) 店主
— (Claire Berlein) 女性
— (Jamal Mukaddam) Clerk