第7話 ソルベ Sorbet
脚本/Jesse Alexander、Bryan Fuller
監督/James Foley
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【前回までのあらすじ】
チェサピークの切り裂き魔を彷彿とさせる事件が発生したがウィル
は寧ろ感じないことを語る。レクターの元にカウンセリングにや
ってくるフランクリンはおびえていた。偽の情報を流せば本物の
切り裂き魔は黙って居ないはずだとして、偽の情報をラウルズを
使って流す。訓練生のミリアムは勇敢な女性だったとして切り裂き
魔に殺されたであろう彼女の腕を見つける。
【ストーリー】
バージニア州クワンティコ・FBIアカデミー。
ウィルは生徒たちに切り裂き魔は3匹ずつ殺害すること。最初の
犯行は9日間だったこと。アナポリス、エセックス、ボルティモア
で発生し、1年半後に別の三匹がボルティモアで殺されたこと。
自分が”匹”と呼ぶのはそれが犯人の感覚だからだと語り、切り裂き
魔にとって被害者は人間ではないとし豚だという。11ヶ月後に
7人目の被害者が出て、2日後に8人目が作業場で殺されたこと。
あらゆる工具を突き刺して他の被害者と同じく臓器を抜き取っていた
ことを語る。開腹して臓器を切除する手口から見て解剖学か外科の
知識もあり、かなり残虐な人だという。FBIの訓練生ミリアムは被害者
たちの医療記録を調査中に失踪していること。9人目の被害者に
思われたが手がかりはなく、誰かが2年後の今、切断された腕が見つかったとい
う。犯人が望んだことだと、自分が考えたパターンに忠実に一貫
して劇場型の犯行を繰り返している事を語る。
オペラ歌手の講演にいくレクター。その後ろでは彼の患者のフランク
リンがレクターのことを見ていた。曲を歌い終わるとレクターは
真っ先にスタンディングオベーションで喝采するとそれに続くように
してフランクリンが同様に真似をする。楽屋にレクターは挨拶にいく
とあなたの手料理が恋しいという。くればいつでも振る舞うというが
彼女はショーも見ないといけないという。料理するあなたの姿がすてき
だという。昔はパーティを開いてくれたことを語り最近はサッパリ
ねとすると、彼は良い案を閃いたという。ご馳走は向こうから現れる
という。食事は生き物で命を食しているのだという。
そんな中レクターの元にフランクリンがやってくる。彼はトバイアス
という黒人を連れてくる。オペラ以外の生活は謎に包まれているとして
レクターを観察していた。彼(フランクリン)はステージよりもあなた
に釘付けだったというトバイアス。レクターはここではそういう話題
はふさわしくないとして続きは来週彼と話すと語る。
ジャックは遺体安置所にいく。
すると電話が鳴っているのを耳にする。遺体が収容されている扉
を開けると、先日のミリアムの腕が持っていた携帯が鳴っている
ことに気がつく。しかしそれはジャックが見た夢だった。
ジャックは目覚めると携帯の音で起こされる。
ジャックはウィルを連れて事件現場に行く。
まだ外は暗く、ホテルの浴槽で死体が見つかったとし、臓器が取り出
されていたことを語る。現場は保存してあるとのこと。奴の犯行
が見てから講義に行ってくれとするが、ウィルはジャックに教室に
戻す気などないのだろうと語る。
あと2人殺すのか。切り裂き魔ならばヤツはすぐに2人を狙うはずだ
という。しかしウィルはヤツに翻弄されてはだめだという。ミリアム
の腕はあなたへの挑戦だという。犠牲者は無残に殺されていた。さら
し者になっているがミリアムだけは違ったこと。殺しを再開する
のか。ヤツはあなたに直接連絡したのだとし、再開する気ならば
あなたに電話してくるだろうという。何か連絡は有ったのかと問うが
ないと語る。ヤツの仕業ならば2人の被害者をまたもくろんでいるだ
ろうと語る。前回は見逃したが今回は決して見逃さないと語る。
現場入りするとカッツは主実してまた傷を開いた跡があると報告。
縫合部分を素手でこじ開けているというゼラー。そしてベッドから
浴室まで肉片が飛び散っているとのこと。犯行は別の場所だろう
として血が少ないというウィル。被害者を運んだならその車内
で手術をしたのではないかとして、まずは車を探そうという。
ウィルは自分で傷口を開けたのだとし、腎臓はなかったのだと推察。
胸の傷は?と問うと、鎮静剤で眠らされていた彼は目を覚まして
混乱したのだろうと。争っている内に心臓が止まり、彼の胸を
開いたのだという。肋骨を広げて手で心臓をつかみ心臓マッサージ
をしているという。ウィルはジャックを呼ぶと、これは殺しでは
なく彼の命を救おうとしたのだという。
しかしゼラーはそんな馬鹿な推察は信じられないとして、切り裂き魔
の仕業だと主張する。外科的な知識と技術、臓器を取り出す手口、
同じ犯人と見られる特徴が22個も類似しているという。しかしウィル
はそれは可能性に過ぎないと告げる。切り裂き魔ならば被害者の
舌を聖書に挟みしおりにするようなヤツだとしてこれは違うという。
この犯人は医学生か何かで小遣い稼ぎに闇医者の真似をして失敗した
のだろうという。
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■新たなキャラクターの登場・ベデリア・デュ・モーリア
同じ精神科医の女性。演じているのは「X-File」で一世を風靡した
Gillian Andersonが演じている。
ベテリアのような人物が登場してしまうと、ウィルとレクターの
関係が微妙になる。ベデリアの方が精神世界にもレクター自身にも
精通している為に駆け引きにおいては、ベテリアとレクターのやり
とりの方が興味部分が多いからだ。
彼女はレクターのことを診ており、精神科医が精神科医を診ている
という状況だが、過去にレクターがERの外科医をしていた過去を
考えると、その時代からのつきあいだったりする可能性が高い。
ベデリアとしてはレクターの正体を見破っている感じで、
レクターとの会話でも、「あなたは良くできた仮面をつけている」
という。たとえ話のようにして語られたが、「仮面をつけた患者が
仮面というよりも人の皮をすぶっている。」としてレクターのことを
示唆していたし、「孤独なはずだ」とレクターに意見をぶつける。
しかしレクター本人は自分が孤独であるのを否定したいような口ぶり
だった。
ベデリアとも親しいだろうとしていたけど、彼女はレクターに
「あなたは患者で仲間だが友人ではない」と語る。本性ならば
知っているがあなたが大事だというベデリアとは一体どんな関係なのか。
■二つの殺人鬼
今回ドラマとして難しいのは、2つの別の殺人鬼が存在していたと
いうことか。一方はレクターが犯人・切り裂き魔で間違いないが
もう一方はレクターがウィルの捜査を誘導したように臓器移植の金稼ぎ
の為に犯行を行っている人物がいることを疑っていく。
この二つの流れを選り分けていく作業はウィルには出来るみたいだけ
ど、寧ろ外科経験のある鑑識班の方がより分けられそうな感じはする。
ゼラーは今回、ウィルの意見に賛同できない感じで、切り裂き魔説
を押していたし、ウィルを小馬鹿にするようなちょっぴり皮肉混じりの
話し方をしていた。
一方の殺人鬼がもう一方の殺人鬼の被害者を助けるというこれまで
複雑な構造が存在している。
■レクターが人を殺す意味は?
自分が孤独だという意識からの解放が目的なのか。
友人を自分の元にとどめておく為に料理を振る舞い、もてなしては
関係をつなぎ止めている感じがする。
しかしレクター自身、友情とは何かということの本質を理論では理解
しても感覚では理解していないのではないかという感じがしないでも
ない。そんな「友情とは何か」ということをフランクリンとのやりとり
を通して感じることも出来る。「彼との友情で君は何を得るのか。」
そもそも友情とは損得問題なのかということで、レクターの中の
心理を垣間見られるシーンの一つかもしれない。
■再び現れた切り裂き魔
ウィルの講義の中で「チェサピークの切り裂き魔」のこれまでの事件
のおさらいをしていた。犯人は3人(3匹)を一ターンとして殺しを
行っていること。
ウィルは犯人に取って人間ではなく「豚」だとしていたけれど、このドラマ
ではよく「鹿」が象徴的なものとして登場することがある。
今のところ9人の被害者が出ている様で、9人目はFBIの見習いのミリアム
かと思われていたが、それが本当かどうかは分からない。
しかしジャックが仕掛けた「模倣犯」を本物のように取り扱ったことで
レクターの中でも再び何かが動き始めたのか。
冒頭のオペラコンサートが終わった後に、女性から最近パーティーが
行われていないことを示唆されていたので、パーティの”食材”を得る
為に殺人を犯したのか。
レクターの殺しの対象者は、一度は彼と会っている人物のようで
名刺とレシピを選んでいるシーンが有る。レクターは料理に合いそうな
人物を記憶に留めているのだろうか。臓器を貯蔵しているとしていた
けど、レクターのような人物ならば、生かして置くことが一番の
貯蔵庫になっている感じがする。
ウィルが語るように殺す相手は、レクターに対して無礼な人物で間違い
ないみたい。いずれフランクリンも食材になる?
■ジャックにも幻覚・幻聴が見え始める?
ウィルだけでなくジャックの中でもミリアムの腕と携帯が見つかった
ことで、そんな幻覚・幻聴が見られるシーンがいくつも起きた。
必ず遺体安置所に確認していく映像だけど、何を意図しているのだろうか。
そして今回はウィルの夢遊病なシーンはなかった。
■使用された曲
・Hannibal Theme by Brian Reitzell
・Le veau d’or (from Faust)
Written by Charles Gounod
・Piangero la sorte mia, Giulio Cesare in Egitto (HWV 17) by Emily Klassen
・Prelude No. 13 in F sharp major, Op. 28, No. 13
Written by Frederic Chopin
・Requiem in D minor K626: Lacrimosa
Written by Wolfgang Amadeus Mozart
・Patria Oppressa! from Macbeth
Written by Giuseppe Verdi
・Op. 8, L’inverno (Winter), Concerto No. 4 in F minor : II. Largo
Written by Antonio Vivaldi
■被害者
ウィル・グレアム (Hugh Dancy) 犯罪プロファイラー
Dr.ハンニバル・レクター (Mads Mikkelsen) 天才法医学精神科医
Dr.アラーナ・ブルーム (Caroline Dhavernas) 元心理学教授のFBIコンサルタント
ビバリー・カッツ (Hettienne Park) FBI行動科学課の一人でジャックの部下
ジャック・クロフォード (Laurence Fishburne) FBI行動科学課のヘッド
ジミー・プライス (Scott Thompson) 鑑識、紳士風
プライアン・ゼラー (Aaron Abrams) 鑑識、無精ひげ
Dr.ベデリア・デュ・モーリア (Gillian Anderson) 精神科医
アビゲイル・ホッブズ (Kacey Rohl) 生き残り
ミリアム・ラス (Anna Chlumsky) 新人FBI捜査官、成績上位5%
Mrs.コメダ (Ellen Greene) レクターの級友
Mr.コメダ (Michael Park Ingram) レクターの級友
トバイアス・バッジ (Demore Barnes) フランクリンと一緒にいる男
レノラ (Emily Klassen) オペラ歌手
アンドリュー・コールドウェル (Shant Srabian) 被害者
— (Rob Norman) Police Office
— (George Masswohl) Garage Manager
デボン・シルベストリ (Pierre Simpson) 民間救急車
Mr.マレー (Adam Winlove-Smith)
フランクリン (Dan Fogler) レクターの患者