第6話 絶望の逃避行 Devotion
脚本/Shintaro Shimosawa
監督/Stephen Cragg
【ストーリー】
フラリン家は3時間賭けてようやくイリノイ州ジョリエットにやって
くる。父のケビンはこれから少し森を入った所にある湖畔にいく
事を告げる。妻のスーザンはウンザリ、娘のシンディは母親にずっと
男の人が付いてきている事を告げる。スーザンは見渡したが居ない
為に一緒に森林へと入ってくる。
家族写真を撮るのは祖母の為だという。パパも子供の頃にここで
撮影したので、祖母に見せれば喜ぶとのこと。シンディはお腹が空いた
事を語る。タイマーにセットして写真を撮るが、バッテリーが切れて
シャッターが下りず。仕方なくケビンは駐車場に駐めて有る車まで
バッテリーを取りに行くとそこでフードを被った男に頭を殴られ、
クロロホルムを嗅がされる。気がつくとケビンは三脚イスに立たされて
いて首には木の上からロープが吊されていた。女性が対面で木に
括られていた。女はなんでこんなことをするのかとしてもう自由に
して欲しいというが、フード男は「守れない約束はするな」として
女性に見て居るよう告げケビンの命綱である三脚を蹴り飛ばして
殺すのだった。
オフィスにベスがやってくるとサムは10分後に出発だと語る。
一昨日の夜にオマハで48歳の土木作業員・アメメン・アグエロが誕生日
を祝っていたレストランでトイレに立ちそのまま戻らず、30分後
に駐車場で遺体で発見されたという。喉からクロロホルムが検出されて
いた。憎悪犯罪か、人種差別犯罪なのか。夕べはイリノイ州ジョリエッ
トで、ケビン・ラフリンが同じようにして殺されているのだという。
一人目はヒスパニック、二人目は白人なので人種差別の線は無いだろう
というベス。一撃で倒してクロロホルムで気絶させ縛り首にしている
こと。遺体の写真には手を合わせて命乞いするような格好をしている
というプロフェット。顔はパンパンで目は鬱血し首には擦過傷がある
ところを見ると相当苦しかったハズだというベス。州警察によると
ハイウェイ沿いに犯人は動いていて出口付近で犯行が行われている
という。
車に同乗する女性はどうして私に見せるのかと問いもう自由にして
と語りかける。
州警察のポッターによると、ケビンは車の傍で襲われていること。
妻子と湖畔で写真を撮りに来て一人で車に戻りそこで消えたのだ
という。奥さんからの通報で一時間後に森で遺体を発見したとのこと。
最後まで有ったのが被害者の車だという。現場に知が数滴流れていて
引きずった跡があるが他は雨が洗い流してしまったという。犯人
も車で来ているハズだとすると、サムはミックとベスで車が駐まって
いた場所を調べてくれという。プロフェットには襲われた場所から
殺害現場まで歩いて犯人が何を見たのかを調べて欲しいという。
サムは妻子と話すとのこと。
妻のスーザンから話を聞くサム。
夫を捜したけど真っ暗で見つけることは出来なかったという。首つり
だったのかと問うと、夫とは高校で出会って以来親友でも有ったと
いう。娘はまだ6歳なのに父親が居なくてどう育てるのかと嘆く。
サムは見守ってあげてほしいと語る。スーザンは娘のシンディは
フードを被った男を見たとし、付いてきていると語っていたという。
私には見えなかったので確かめることをしなかったのが間違いだった
と。サムは自分を責めないで欲しいとしあなたが防げたことではない
と語る。
一方ジーナは娘のシンディと会話する。ジーナは自らをFBI捜査官だ
として警察よりももっと強いと語る。困ったときはいつでも助ける
ことを約束すると娘はジーナにハグしてくる。
ミックとベスは森の中を歩いて行く。
ミックはライフル用のミネドットレティクルを使って山道を見つけ
ると、この先には必ず何か有るという。案の定抜けた先にはタイヤ痕
が有り幹線道路からは離れていた。ベスはタイヤ痕からトラックでは
なく乗用車だという。バイアスタイヤが使われていてアメリカ製の
もの。しかも車は相当古いもので、85年よりも前の車だという。
青いものが落ちているというと、何かロウソクみたいだという。
パラフィンか?とすると恐らくそうだという。
サムに犯人が車を駐めていたところを見つけたと報告する。すると
サムは西1時間の所にスタンドが有り、そこで娘が犯人らしいフード
の男性を見て居るので二人で行ってくれと語る。ドライブって大嫌い
だとベス。
プロフェットとジーナは三脚イスを置いて被害者を立たせて12分で
気絶させ引きずり縛り付けて吊す。相当素早い行動が必要で腕力と
背筋力がいるので犯人は男性だろうという。ポッターは何故絞め殺さ
ずに吊したのかと問うと、これはメッセージか何かだろうという。
妄想を持っているのかというジーナ。何かを脅すためかも知れない
というプロフェット。現場写真によると足跡が木に続いていること
が不可解だった。被害者が苦しむのが見たかったのか。縛り首では
なくリンチなのだろうと。更にサムはカカトの跡があるとし、木に
もたれて座っていたこと。木の皮がすれていることからロープで
縛られていたのかも知れないという。その人物に見せる為に誰かを
木で縛ったのだろうと。
■事件の概要
ネブラスカ州・オマハで土木作業員・アメメン・アグエロ(48歳)が
殺害され、翌日にはイリノイ州ジョリエットでケビン・ラフリンが
殺害される。
更に捜査しているとオハイオ州、アイオア州で事件が発生し、
ハイウェイの出口付近で起きていることから早急に解決を求められる
というもの。
殺し方が特殊で、被害者をクロロホルムで気絶させて首つりさせて
殺していた。そして現場の状況下に同行者が居るであろうことを
匂わせ、どの人物も家庭的なブルーカラーの人物であること。
■感想
決してつまらないわけではないけど、面白いのかといわれるとそうでも
ない。
即決を求められる状況の中、色んな可能性があるのに、どうも方向性
を定めるために、違う意見を排除する流れの中に説得力を感じないと
いうか何故そちらを選んだのかに関しては、イマイチそうなのか?
みたいに感じるところが多い。
そもそも今回はハイウェイを通っていることが分かるのだから、
多少なりとも速度と時間の計算によって距離範囲はある程度想定出来る
し、何よりも遺体を助手席に座らせての走行なので、何処かで必ず
それを見て居る人も居るはずだ。
冒頭での殺しはケビンという父親だったけど、あの殺しをする為には
ケビンを現場に運ぶだけでなく、妹の遺体も壊さないように運ばなけれ
ばならない為に相当繊細さを要求されるし、力も体力も時間がかかる
ものでも有る。
ジーナな今回の事件を通して彼女の心の傷が垣間見られるところも有り、
自分が家族を持てないのは事件を見る中でかわいそうな子がまた一人増
えるような感覚を、自らの境遇に照らし出して、寂しい思いをさせた
くない気持ちが強いみたいだ。
サムはそんな彼女に
「家族はこの世で唯一確かな物。一人じゃ道に迷う」
としていたけれど、多くの人は一人で居る事情もあるよな。
今回の件はかなり特殊だった。
統合失調症を持っているかも分からない状況の中で、会話で解決
を試みる。
父親は息子の統合失調症に手に負えず、妻が亡くなったと同時に
子供を捨ててニューヨークに家族を持って、市議を目指した様だ。
そんな市議としてのスローガンを目にした彼は、自分たちを捨てた
復讐の為に、動いていたけれど、妹に見せる必要が有ったのか。
妹が常に唱えていたのは、自由と解放だった。
兄はそんな妹の気持ちと自分たちのことをこんなに追い込んだ父親
への憎しみに挟まれて、混乱していた様子。
ガルシアの捜査も統合失調症の患者からではなく、寧ろ幹線道路を
走っている交通監視カメラから、該当する車を見つけること
は出来なかったのだろうか?
現在家庭を持っている市議だけど、息子と娘を捨てて今に至る父親
の姿見てどう思ったのだろうか。
最後は一連の流れを終わらせるために死んでいる妹を射殺し、
マイケルを正気に戻したのかも知れないけど、一時的には正気に
戻るかも知れないが、やはり完治は難しいと思われ、助けが必要
だよね。
時々なかなか身内の死と決別できずに遺体を傍に置く人はいるとは
思うけど、アメリカ人も火葬せず腐敗防止剤を使って棺に入れておく
という習慣はそういう意識が働いているものなのか。
■使用された曲
・Place To Be by Nick Drake
■出演者
サム・クーパー (Forest Whitaker) 「レッドセル」のリーダー
ベス・グリフィス (Janeane Garofalo) 副リーダー
ジョナサン・シムズ (Michael Kelly) “プロフェット”、ベテラン
ジーナ・ラサール (Beau Garrett) 若手の女性プロファイラー
ミック・ローソン (Matt Ryan) かつて英国のある特殊部隊
ペネロペ・ガルシア (Kirsten Vangsness) 元全米屈指のハッカー、BAU
— (Christopher Nissley) Opening Narrator
マイケル・ビノダ (Lukas Behnken) グラントに捨てられた息子
タミ・ビノダ (Annie Burgstede) マイケルの妹、自殺
グラント・ニコルス (David Aaron Baker) 市議会候補
クリスティン・ニコラス (Jennifer Riker) 妻
エリカ・ニコラス (Ava Allan) 娘
スーザン・フラリン (Amanda Foreman) ケビンの妻
ポーラ (Elmarie Wendel) スタンドの売店の人
ゲイリー (Kevin West) モーテルの店主
Sgt.ポッター (Mirron E. Willis) 州警察
オーティス・メレディス (Joe Peracchio) トンネルで911をする
シンディ・フラリン (Shyloh Oostwald) ケビンの娘、目撃者
— (Adeye Sahran) グラントのアシスタント
ケビン・フラリン (Nathan Anderson) イリノイ州・ジョリエット被害者
— (Terri Douglas) 声