第9話 死の行軍 Self Fulfilling Prophecy
脚本/Erica Messer
監督/Charles Haid
【ストーリー】
サマーヴィル陸軍士官学校。
トーズ副官は生徒たちだけで森でキャンプしている為に、5分後に
出発だとして呼びに来る。6日間のキャンプは何のためだとして
自分の力を見せる為だろうと呼びかける。しかしキャンプ地には
誰も人が居なかった。探し回るトーズはキャンプに出ていたものたち
5人が全員木の上で首を括って亡くなっているのを目にする。
ホッチはストラウスに資料を見たとしてやってくる。
自殺のようだが現地に行かないと判断出来ないという。職員や生徒に
遭わずに査定は出来ないとのこと。連邦補助金の候補になっている学校
でとんでもない事態が起きたという。長官もあの学校の出だという。
自殺なら理由が有るハズで無視出来ないと語る。
ブリーフィング。
ホッチは今朝フロリダのサマーヴィル陸軍士官学校の生徒5人が
首を吊っているのが見つかったと語る。遺体は現在検視中だという
ストラウス。現場写真は?生きて居る可能性が有ったので、みんな
下ろしてしまって写真はないという。亡くなったのはジミーバー・ペイジ
フィリップ・マンフォード、ジェリー・ボーデン、ジャック・フリッグス、
タッカー。カルフーン。現状保存は諦めるとして何か手がかりはない
のか?と。現場の木に「すみません」の文字が掘られていたという。
車で一時間の距離にある森で6日前に上級生の野外演習中の事だという
ストラウス。
新入生のベイリー・シェルドンが2週間前、学校の寮で自殺していた
こと。シーツの結び目が一致しているという。キャンプにシーツを
持って行くのか?というロッシ。死ぬつもりでいたとか?というJJは
連鎖反応かもと。示し合わせたのか。キャンプに参加したのは6人
だが1人が行方不明だという。ジョシュ・レディングという生徒。
怖じ気づいたのか、仲間じゃないのか。構内はインターネットが
使えないのでガルシアも同行してくれと語る。ストラウスも行くとし
一点の曇りもない歴史を誇る学校だとして、捜査は内々に頼むという。
ジョシュが気がかりだとして一週間サバイバル状態だった。
移動中の飛行機。
ガルシアはサマーヴィル陸軍士官学校は第2次世界大戦中創立の
士官学校で校風は当時のまま。生徒の社会階層は様々で12歳から18歳
が一つのキャンパスで寮生活をしているというJJ。教職員は、
ロン・マッシー校長が30年、教員はOBが大木、トーズ中尉もこの30年
寮で校長の副官として変わっていないという。こういうところは
社会構造が独特で崩しにくいというモーガン。ネットを使わない
理由もそこだという。昔無かったものは今も要らないとしていること。
強気な教訓だとし「ヴィヴェレ・エスト・ヴィンチェレ」(生きることは
勝つこと)だというロッシ。軍人教育じゃ自殺など教えないだろうと
いうモーガン。リードは最初に死んだベイリーは13歳で一番下の学年
だという。彼の死が鍵だろうというホッチ。
学校へ。
マッサー大佐のオフィスにいく一同。
半旗は?と尋ねるが、大佐はまだみんなに知らせていないのだという。
然るべき時に伝えるという。遺族には知らせているとし、レディング
夫妻は先ほど到着してチャペルにいるとのこと。ジョシュは見つかった
のかと尋ねると、移動距離は一時間に1.5~1.6kmだろうという大佐。
リードは捜索範囲は1万5千平方キロ近くになると語る。
この辺の森はトーズが知り尽くしているというと、二人に行かせる
という。あとは構内の調査をするという。ガルシアはコンセントが一番
多い場所を尋ねると図書館だと言われる。
ベイリーの自殺の検視報告のコピーはないのかと尋ねるホッチ。
監察医は今朝の5人の死で多忙だという。
自殺前日のベイリーの様子が知りたいとすると、新入生の寮があると
いう。私物は全て父親が持って行ったという。ジョシュの部屋もその
ままにしてあるという。彼は新人部隊を指揮していたこと。
「人が生き抜くためには兄弟愛が必要不可欠である」という大佐に
カルロス・ロムロかというモーガン。生徒は兄弟同然ということかと。
そんな中、タッカー・カルフーンの両親が見えたという。
ショックを受けた少年たちを何故森に行かせたのかというホッチ。
トーズはサバイバルテストは前々から決まっていたこと。延期できな
かったのかというと、生徒の自殺から2週間だろうというロッシとプレ
ンティス。翌日の授業は見合わせたが戦場では毎日人が死ぬという。
ここは戦場じゃないし彼らは子供だというプレンティス。卒業する頃
には立派な軍人になっているという。自殺は初めてで、生徒だけの
キャンプも習慣になっているという。何故そのキャンプにトーズは
6日目に訪れたのかと尋ねると、悪天候で夕べは雷雨だったから様子を
見に来たという。生徒からの連絡はどうしているのかと問うと狼煙で・・
という。本能に従いテクノロジーに頼らないという。無線、武器も
無し。サバイバル訓練はストレスで逃げ出すものだろうと。ジョシュ
もそれだという。一人だけ離れていたこと。孤立していたのかと問う
とよく一人でいたという。
■感想
なかなか難しい問題だったかな。
ジョシュという生徒が家庭では手に負えない程の暴れん坊だったのに
士官学校では年下の生徒を守ろうとしていたところを見ると、そう
悪い面ばかりではなさそうだけど、13歳の子供時代からこんな学校に
入れられるというのはちょっと尋常ではない感じもする。
ストラウスが卒業した学校みたいな感じだけど、正直大した学校には
見えず、昔ながらの価値観をただ押しつけるばかりの士官学校で、
ドラマの中でもモーガンが語っていたけど、こういう所は独特の社会
構造があるんだろうね。
更正施設というよりもブートキャンプなんだろうけど、見た限りでは
そう悪い子もいなさそうに見えた。
ドラマ自体はこの学校で行われている実態は殆ど描かれることなく、
いじめ問題にばかりスポットが当たってしまうので、学校自体の存在
意義を問うには流石に材料が少ない。
ただ指導者が異常な価値観を持っていると社会に出たときに困るので
はないかという感じ。
いつかはここを出て行く訳だし、情報が流出することは明らかだけどね。
■テーマは距離感だったかな
物質的な距離感としては、洗濯室がやたらと寮から遠いとか、
共同生活に於いて90cmしか離れていないベッドの感覚はプライバシー
を無視する程に近いとか言っていた。
親しき仲にも礼儀があるというようにして、人間関係にもその距離感は
存在していて、上下関係に見るもの、親子関係に見るもの、世代間
ギャップに見るものなど次々とそのワードが含まれている。
「ああいう少年は人間教育を拒む。年長者に対する敬意を持たない
世代だ」
そして森に逃げたジョシュを追いつめる為に座標を送っている副官
と、息子を自殺に追い込んだものたちを逆に追いつめる父親の光景。
■ストラウスを退出させる為のエピソード
ストラウスという頭でっかちな女性が上司として存在しているのも、
ここの卒業生だったから・・ということで片付くのかな。
校長が行っていたような理念をストラウスも引き継いでいたと。
ストラウスは学校を調べる際に内密に・・としてBAUの面々に語る姿
が有るも、最後は自分がアルコール依存症だと判明し、ホッチから
は極秘に入院出来るよう手配するとして皮肉な結びで終わるような
流れを演出する。
しかし無理に相手をかばうことによって、今回は信頼を失うという
連鎖が訪れていた。ストラウスはこの学校を守りたいが為に、
マッシーを当初はかばっていたが、ウソついてばかりだと分かると
途端に信頼を失い激怒することになる。
そしてそのストラウスのことをかばっていたホッチはモーガンから
完全に信用を失っていた。
「あんたオレが他人を信用しないというがオレに言わせればあんた
こそ誰も信じていない。」(モーガン)
モーガンって、プレンティスの件でホッチたちから嘘をつかれていた
訳だし、彼だけがあまりそういう不満を述べなかったところが有った
けど、ここに来て不満も生まれてきたのかな。
ストラウスが初めて登場したS2-23から数えて、15エピソード目。
リハビリを終えて戻ってくるのか。ちなみにまだ彼女今後もクレジット
されていますね。どういう登場の仕方をするのか楽しみです。
■事件自体がよく分からない
子供が相手とはいえ仮にも多少の軍事訓練などは受けているのでは
ないのか。そんな相手5人に対して、一斉に殺害できる程の
腕を持つ人物が、軍隊経験者以外にいるのだろうか。
しかも木の上に吊すという行為自体相当な力がいるはずで・・
前日に天候が荒れたと前振りしていたので、証拠が洗い流された
って事なんでしょうけどね。
■遊び心が少ないエピだった
・漆
プレンティスが漆にかぶれてロッシが回避したという流れくらいで
しょうか。
漆にかぶれるというやりとりを見るとどうしても「NCIS ネイビー
犯罪捜査班」のトニーとマクギーの関係を思い出してしまう。
ここではロッシがトニーでマクギーがプレンティスということになる
のか。プレンティスの存在感が薄かったので、こういうところで
目立ってしまったか。
「葉っぱが3枚はかぶれ放題」
「ロッシは何故無事なの?」
「イタリア人は賢い」
・オバケ
図書室でのリードとガルシアのやりとりだったかな。
リードがわざと音を立ててガルシアを驚かせようとした。
古い建物は耳に聞こえない音波が出る。自覚もなく感覚に重荷が
かかり不安やパニックを起こしてオバケでもいるんじゃと思うように
なる。目は耳が聞き逃したことを感情に埋め合わせる。
そんなガルシアはリードの前で終盤、
「統率能力を疑うよ」(リード)
「彼の能力は”ノー 力”ね。なんちゃって」
■使用された曲
・Come On by Mushroomhead
■出演者
デビッド・ロッシ (Joe Mantegna) BAU創設に携わったベテラン
アーロン・ホッチナー (Thomas Gibson) リーダー
デレク・モーガン (Shemar Moore) 爆弾処理が得意
スペンサー・リード (Matthew Gray Gubler) ドクター
ペネロープ・ガルシア (Kirsten Vangsness) 解析
ジェニファー・ジャロウ (A.J. Cook) 国防総省
エミリー・ペレンティス (Paget Brewster) BAU
エリン・ストラウス (Jayne Atkinson) BAU長官
ロン・マッシー (Rene Auberjonois) 大将、サマーヴィル陸軍士官学校
トーズ (George Gerdes) 副官
ジョシュ・レディング (Kevin Fonteyne) 新入生の世話係
ウィル・レディング (Michael Harding) ジョシュの父
Dr.アレクサンダー (Tim Powell) 検視官
カーター・キャンベル (Matthew David) ジョシュと親しいものはいないと
ランディ・パーカー (Sterling Ardrey) 洗濯室の少年
ベイリー・シェルドン (Mitchel Blackfield) 13歳、新入生
クリス・シェルドン (Don Williams) ベイリーの父
ティフ・レディング (Jeanine Jackson) ジョシュの母
ジミーバー・ペイジ () キャンプ中に首つり
フィリップ・マンフォード () キャンプ中に首つり
ジェリー・ボーデン () キャンプ中に首つり
ジャック・クリッグス () キャンプ中に首つり
タッカー・カールソン () キャンプ中に首つり、暴行が激しい