第22話 プロファイラー入門 Profiling 101
脚本/Virgil Williams
監督/Felix Alcala
【ストーリー】
ロッシは人の名前が羅列されている紙を目にしているとホッチが声を
かける。ロッシは手伝ってもらえてありがたいが全員が来なくても
良いのにとし、オレが頼まれたことだというロッシ。しかしみんなが
希望したのでというホッチ。ホッチはこの日がロッシにとって特別な日
だということも有り大丈夫かと問う。
グラント教授は学部生向けの犯罪学の授業でこんな豪華なゲストはまず
無いが幸運にも私の古い友人が著名な作家でもあるロッシとFBI行動分
析課(BAU)だという。1時間彼らの仕事について仕事を説明してもらう
という。JJ、プレンティス、ホッチ、モーガン、リード、そして
and on keybordのテクニカル班のガルシアだとして笑いを誘う。
行動分析課、通称BAUは行動科学のリサーチでケースワークを積み重ね
怪物たちを捕まえるという。レイプ犯、テロリスト、小児性愛者など。
専門はシリアルキラーだという。モーガンはシリアルキラーについての
定義を言える人は?と生徒に尋ねると、ジマーマンは2件以上のの殺人
を犯した犯人ですかと答える。惜しいっというモーガンは、我々の定義
では三件以上、そして中身が重要だという。シリアルキラーがどう生ま
れるかということ。これを理解すれば捕まえ方が見えてくるというロッシ。
ロッシはこれまで追って来た事件を例にあげて説明する。
レイチェル・ムーア、ワシントン州スポケーンで家出した17歳。
実家は貧しくて家庭崩壊していたこと。父親は酔って暴力を振るい父に
愛想を尽かした母親は出て行ったという。
JJはもう一人の写真はシアトルの大学生ティナ・ダイソン(19歳)。
彼女は実家が裕福で成績も良く家族から愛されていたという。
この対照的な二人の少女には一つだけ共通点が有ったこと。
被害者学では二人を殺したのがBAU史上最多の殺人を犯したシリアル
キラーによる被害者であること。殺人犯の種類として一つとして
同じ物はないという。行動学的領域が全く違うこと。
遺伝、脳科学、心理学、環境学的に関係してくるというリード。
犯人は育った環境があまりに酷かったというホッチ。
祖母のトゥルーディは長年孫のトミーに過酷な虐待をしてきたという
プレンティス。同時に徹底した心理的虐待も行われたというホッチ。
無視されるか屈辱を与えられるかとモーガン。両親の居ないトミーは
家から放り出されたりして虐待を受けたこと。虐待を受けた殆どの子
は殺人犯にはならない。サイコパスが全員殺人犯になる訳でも無い
という。しかしこの犯人が子供の頃から家庭が酷い虐待を受けてた事実
は後の事件と大いに関係があるという。被害者を浚い、縛り、数日間
は飲み食いさせないというモーガン。プレンティスは被害者の生殖器
を切除して殺害したという。現時点で分かっているだけで被害者は40人
以上。実際には100人以上を殺していると思われているという。
今日これを取り上げるのは1992年以降西海岸のあちこちで遺体が見つかり
続けているからだという。誤解を恐れずに言えば見本だというロッシ。
犯人の幼少期そのものが坩堝で、その中でサイコキラーは生まれたと
語る。
殺人事件でかからねばならないのがこの死者、被害者を見れば犯人の
頭の中が見えてくるというロッシ。2人の遺体(レイチェルとティナ)は
1992年のシアトルで2週間の感覚で発見されたという。最初はレイチェル。
家出人で遺体は路地裏のゴミ捨て場で見つかり検死の結果栄養不良で
脱水だったというガルシア。手首の傷から数日間は縛られていたという
JJ。監禁し、食事を与えられず弱らせて行ったもの。
— 1992年シアトル(回想) —
サディスティックな征服の仕方だというロッシ。検死官のカストロは
防御傷からかなり抵抗していること。下腹部と生殖器に合計53の刺し傷が
有り、レイプの有無は確認出来ないという。被害者の母親とは2年ぶり
の再会だがこれではなというロッシ。
— 現在 —
プレンティスは53カ所刺すっていうのはかなりの労力だという。
何を意味すると思うかと学生に尋ねる。ランスは憎しみ、デヴィンは
欲求不満、ビアンカは怒りだと語る。プレンティスは全部当たりだと
告げ過剰殺傷といって個人的理由による殺人の場合が多いものだという。
あるいは精神の破綻が有り虐待の傾向によるものだというホッチ。過剰
殺傷は経験の未熟さも多いこと。初めての殺人だというモーガン。
徐々に手口を確立していくこと。レイチェルは犯人について教えてくれる
という。彼女は若いので恐らく犯人も若者であること。ジマーマンは何故
そう思うのかと問うと、JJはレイチェルはシェルター暮らしでバイト
もしていたから自暴自棄なタイプではないこと。誰彼構わずについていく
人物ではないという。
そんな中ロッシに刑務所長からの電話で席を外す。暴動が起きたという
知らせ。どうしても今日逢わないとダメだというロッシ。
犯人は被害者を何かでおびき寄せたか不意を見て襲ったか。
若い方が簡単だというモーガン。犯人像が固まったのはもう一人が見つ
かってからだというホッチ。ティナ・ダイソンは夏休みで帰省した際
行方不明になり、シアトル郊外で発見されたというJJ。重要な手がかりが
みつかったのは遺体よりも拉致現場の方だというリード。
— 1992年シアトル(回想) —
ティナとアンジーとジャニスは年齢を偽り当時のロックバーに入った
こと。その後ティナが飲み過ぎて吐き気をもよおし、友人の一人・アン
ジーが店の外に連れて行き、もう一人の友人のジャニスは店に残って
いたこと。しかしアンジーはティナにそろそろジャニスを呼んで帰ろう
としてティナに目を離した際に誘拐されたものだった。
— 現在 —
— 1997年サンフランシスコ(回想) —
シアトル支局のホッチとロッシと出会い。
“子宮ハンター”とマスコミが報道。
— 2005年ロサンゼルス(回想) —
ロッシは執筆。BAUの育成。プロファイラー、広報担当官、テクニカル
分析官、天才も加わった。
— 2009年シアトル(回想) —
BAUは専用機でシアトルへ。
トーマスがグレイスを殺害しようとしているところを逮捕。
— 2010年 —
刑事施設の被収容者かせロッシにコレクトコール。犯人のトミーから。
— 2012年 —
現在
■概要
・ロッシは旧友のグラント教授に頼まれて学生たちの犯罪学の教壇に
立つ。ロッシに依頼が来たものだったが、BAU全員の希望でみんなで
学校に行き講座でFBI/BAUの仕事やプロファイラー、シリアルキラー
について語る。
・その教材として取り上げられるのはロッシが捜査官人生をかけて逮捕
したと言って良い程の凶悪なシリアルキラーで、100人以上の殺人を
犯して、今でも刑務所に収監されていた。
・BAUのスタッフたちは時々学生たちとやりとりしながらもこの事件の
詳細を語っていく。
・しかしロッシの元には時折不可思議な電話が届いていた。
■感想
現在ホッチのケリで降板だ訴訟だと騒がしいクリミナル・マインド。
このシーズンの頃はJJが降りるとかプレンティスが降りるとか
色々と言われていたような気がする。常にギャラの問題とか交渉問題
が難航するドラマだよね。
今回のこういう形式のドラマも斬新で面白かったな。
終始プロファイルをしているように犯人像を分析している感じが
するけど、この人が100人以上殺していると聞くと、今回のドラマで
捜査官たちが語った1992年、1997年、2005年、2009年で発生した事件
なんてまさにその一端だけをすくい取ったようなもので、彼らがみて
居ない事件などあまりに多いところで発生していたんだよな。
今回の案件は、犯人のシリアルキラーの行動分析と同時に捜査技術
の進化の歴史とか、BAU誕生に至までの過程をさらりと描いたもので、
現代のプロファイルやBAUによる捜査が如何に優れているのかという
ことを誇示したようにも感じる。
どの段階からロッシがホッチと知り合ったのかとか、ロッシの執筆時代
のことや、三度の離婚のこと、そして何よりも途中からBAUが出来て
参加したことで解決したことが描かれる。
以前もロッシは同様にずっと追いかけている未事件が有ってBAUの
力で解決したというエピソードが有ったよな。
BAUが進化して天才とテクニカル分析官が加わったとした際に、
ガルシアもリードが「どうも~~~」と思わず語っていたところが
笑えた。「私は刑務所で言えば何でも調達してくれるナイフなキャラよ」と。
出来ればリード先生の天才ぶりを見せる為にも生徒が無茶ぶりして
リードがもの凄く詳細なデータを語り始めるシーンとか見たかった。
そういえばBAUの歴史だけどギデオンのことが全く取り上げられなかっ
たね。
■捜査
当然最初のロッシは髪の毛がフサフサ。
みんなも時代に合わせて微妙に髪の型を変えていたね。
ホッチとロッシの出会いは97年のサンフランシスコだった。
ホッチはシアトル支局をしていることを語っていた。
捜査として当時足りなかったのはBAUの存在だとしていたけれど、
何よりも広報担当のJJが居ない為にマスコミ対応のまずさから情報を
コントロール出来ないことで逮捕が遅れたということも有るな。
一巡してまたしても92年当時に発生した事件の場所で殺人が起きた
為に、色々と考えを巡らしていく。
犯人像として必ず娼婦を殺した後に子供を持つ主婦を殺していたこと。
臓器/生殖器を狙ったりしていたみたいだし、2005年の頃からは声帯
を切り取るようになっていた。
時代と共に狙うターゲット層が変わっていくのも自分の年齢に合わせた
ところがあるようで、20代、30代、40代と年齢が重なっていったところ
は何でなのかなという感じもする。
■捜査2
マスコミがコントロール出来るようになると犯人を挑発するような
行動を取って逮捕したような嘘をつく。その後どういうアクション
を見せていくのか。
2009年のことで、ターゲットメディア戦略を出したとJJは語る。
シアトル市警とワシントン州警察による地道な捜査のお陰で逮捕
出来たこと。
ロッシによるとこちらをバカと思えば機を抜いてミスするし、手柄
を横取りされたと怒ってくれても良かったとし、こちらからゆさぶり
をかけた事を語る。
■その他
・プロファイル
犯人の人格や特徴をリストアップすることで容疑者像をしぼり込んで
いくというJJ。基本的作業に犯人の取りそうな行動を羅列していくの
だという。
2005年当時は30代前半から半ば、白人男性・社交性はなく自己評価が
低くいつも一人でいる。金が必要なので仕事はしていること。日雇いや
雑用で一時的で単調な作業だという。何処にでも仕事につけるだけの
愛想はあるが決して目立たない人。被害者を何人も監禁しておける
スペースを所有していること。移動手段も必要なので被害者を運ぶ
トラックやワゴンを持っているという。
・ジマーマンが突っ込み役
美味しい役目を持っていた生徒。
専用ジェットなんて有るのか?と尋ねたり、答え/結論を急ぐ質問を
するジマーマンに黙れジマーマンと思わずロッシに突っ込まれていた。
・2009年に逮捕
トーマスは1966年に16歳の母ジョージナがレイプされて生まれた子
のようで、出産時に子宮摘出し出血が多くて亡くなったようだ。
そういう経緯があるからなのか、祖父母に育てられたものの、祖母
のトゥルーディはトーマスを虐待して育てていた様だ。
イーグルハイテクール時代にいじめられっ子だった彼が自分をいじめた
相手に向かってナイフで逆襲したとしていたけど、正当防衛とか
認められないのかな。少年院で3年、刑務所で7年服役したという。
その際精神分析医には祖母はロクに食事を与えずに犬小屋に住まわせたり
したことを語っていた。
・死刑判決
しかし取引材料として彼は40人を殺したとされていたけど、実は101人
殺していることが分かり、終身刑はやむなしとしながらも一年に
一人殺した相手を話すので、東海岸の刑務所に移ることを要求した。
・祖母を殺さなかった理由は?
この殺人鬼は何故祖母を施設に入れて殺す事はしなかったのだろうか。
潜在的に祖母には逆らえないという刷り込みが有ったのか。
・力を持っているロッシ
刑務所が暴動騒ぎになっているのに今年も話を聞きに来られたという
のはロッシが相当司法省などに顔が利く権力のある人物だと考えている
ようだ。実際にはホッチに頼んだ格好だし、JJなんかも顔が利く人が
良そうだけどね。
・生徒の質問が核心を突く
生徒のビアンカだったか、それだけの悲劇と接して辛くはないかと
尋ねていた。上手く解決した事件は忘れられるがこういう事件は
自分の一部になるのだという。
よく耐えられますねというと、
ロッシはアイルランド人の作家の言葉を引き合いに出して語って
いた。
「悪人にとっての勝利は善人が何もしないことだ」と。仕事は職業
ではなく私の人生。一人救う度にやり甲斐があるという。
・特別な日
ロッシの誕生日なのかな。それとも被害者の誕生日?
トミーは毎年自分が日時を決めるみたいなことを言っていたみたい
だけど、最後はロッシのハッピーバースディを歌っていたからなぁ。
■使用された曲
・
■出演者
デビッド・ロッシ (Joe Mantegna) BAU創設に携わったベテラン
アーロン・ホッチナー (Thomas Gibson) リーダー
デレク・モーガン (Shemar Moore) 爆弾処理が得意
スペンサー・リード (Matthew Gray Gubler) ドクター
ペネロープ・ガルシア (Kirsten Vangsness) 解析
ジェニファー・ジャロウ (A.J. Cook) 国防総省
エミリー・プレンティス (Paget Brewster) BAU
トーマス・イエーツ (Adam Nelson) 連続殺人犯
グレイス・パウエル (Rene Ashton) 2009年シアトルの被害者、一命を取り留める
ダイアナ (Cyndi Martino) 2009年シアトル、グレースの友達
クリスタル (Denise Carole) 2009年シアトル、グレースの友達
デビッド・ジマーマン (Zack Weinstein) 生徒
スローン (Ashley Leggat) 生徒
ビアンカ (Kai Paynter) 生徒、黒人女性
デヴィン (Sally Hughes) 生徒、ロン毛
ランス (Nate Thomas) 生徒、黒人
マーシャ・グラント (Elizabeth June) 犯罪学の教授、ロッシの友人
Dr.カストロ (Daniel Guzman) 1992年シアトル警察の検視官
Dr.リン (Eileen Fogarty) 2005年のロスの検視官
トゥルーディ・イエーツ (Kay D’Arcy) 2009年、トーマスの祖母、ガン
トゥルーディ・イエーツ (Kelly Lynn Warren) 1977年、トーマスの祖母
ティナ・ダイソン (Tara Shayne) 19歳、裕福被害者、ティナとバーへ
アンジー (Kellen McGee) 1992年のシアトル、ティナとバーへ
ブリアン・マットロフ (Julie Dove) 2009年シアトル、トミーの情報
10歳のトミー・イエーツ (Alec Gatlin) 連続殺人犯
15歳のトミー・イエーツ (Tom Phelan) 連続殺人犯、イーグルハイスクール
ベッカ (Elizabeth Southard)
マリー (Eugenia Care)
リン (Linda Larson)
ドナルド (Paul Morgan Fredrix)
ジョン (Richard Henning)
ルース・トーマス (Shannon Sullivan) 被害者サラの母
スティーブ (Dan Hewitt Owens)
ジョージナ・イエーツ (Jolie Adamson) トーマスの母
— (Elan Goldstein) 大学生
— (Stephen Janousek) 大学生
レイチェル・ムーア () ワシントン州スポケーンで家出、17歳
ジャニス () 1992年のシアトル、ティナとバーへ
ラナ・クーパー () 35歳、娼婦、グリフィス公園
ビッドウェル捜査官 () ホッチの前任者
ヘンドリクス議員
ロシェル・ジェンキンス () 40歳主婦・2009年シアトル。また戻った
サラ・トーマス () ルースの娘
クロエ () グリフィス公園で遺体
ジェシカ () クロエの母
シャーロット・デイヴィス () 2010年に名前を出した被害者
ロイ・イェーツ () トゥルーディの夫