第19話 過ぎたイタズラ Legacy
脚本/Warren Leight
Alan Kingsberg
監督/Betty Kaplan
【ストーリー】
ジャックはジョーがテッサを脱がせるぞという。ブラントはweb
カメラの前でなんて無理だという。ブラントは脱がないに1ドル。
エリックもジャックと同様に脱ぐに1ドル。ジャックは2ドルを賭け
彼女はジョーのためなら何でもするよという。
ジョーとテッサはchat。
「お願いだベイビー」「プロムの後でね」「待てない、今すぐ
脱いで」「ダメよ呆れた人ねジョー」
結局この賭けはブラントが勝利する。意外だったなとし、それ
ではプロムに行こうと語る。
テッサは母のアンにドレスアップしてもらいジョーとプロムに
行こうとしていた。
しかしchatでのメッセージが入ると
「プロムはキャンセルだ変態女」「ポールに聞いたお前らは
レズビアン」。アンもそのメッセージを目にする。
ポールも母親にドレスアップしてもらいプロムに出ようとして
いた。母は自分のスーツを着ないのかというが、パパのが良い
という。父・ビルは衣装負けしているぞというと、息子に対して
スーツを汚すなと語る。
ポールはプロムに出るとジャックにパンチを掛けられる。
ポールはキアナに声をかけるとテッサはどうしたのかと問うが
嫌悪感を示され、彼女は来ていないが居てもあんたは相手に
されないという。
ラクロスチームに入っていたキアナとテッサ。
私たちが同性愛者だとポールが言ったせいでプロムがダメにされた
というとテッサはポールを後悔させてやると語る。
トレーニングで山道を走っているポールのことを三人のフードを
被った人物によって殴る蹴るの暴行を受ける。
それがキアナたちだと知りポールはクソ女たちめとしてレズ動画
を作成する。
アナ・ノビレ教師の授業。
ティツィアーノの”聖なる愛と俗なる愛”。2人のヴィーナスについ
ての違いを語ろうとしていたところ、突然教室全体の生徒の携帯
がなり出す。そこにはキアナとテッサでレズだとするおちょくった
動画が表示される。それを見たテッサはショックで教室を飛び出す。
クラス中が大笑い。アナは娘を捜して立ち入り禁止のボイラー室
の方に行くと人が首を吊っているのを見る。なんとポールが首を
括っていたのだった。
重要事件捜査班のゴーレンとエイムズはマナーヒル高校へ。
まるで大学の様な学校だった。(s7-10にも登場した)ビアッジ
捜査官によると被害者はポール・フィリップス(17歳)、重役
の子息だという。校長は首つりで重要事件捜査班を呼んだのか。
校長のゲイツによると地元警察とは確執があるのだという。
第一発見者のアナ・ノビレ先生を紹介する。アナによると彼は私
の生徒の一人だったという。エイムズはポールはどういう人物
だったのかと尋ねると殻に閉じこもるタイプで幼稚園から14年、
ずっとこの学園に通っているという。でも年々馴染まなくなって
しまったとのこと。彼はクロスカントリーをしていたというと
ゴーレンは孤独の長距離ランナーだという。ゴーレンはアナの
服に何か付着して居るのを知ってちょっと回ってみて欲しいと
頼む。剥げたペンキがついていると指摘するとボイラー室で付いた
ものだろうという。ポールの体を持ち上げようとしたという。
何故ボイラー室へと訪ねると詳しいことを避け、施錠されてるハズ
のドアが開いていたと語る。
ビアッジに連れてられて校長のゲイツが待つボイラー室の地下
トンネルへ。ここで生徒たちはパーティー三昧なのか・・
校長は昔の設備でトンネルと呼ばれているという。
当校は進学校なのでポールには合わなかったのだろうと。予想出
来た悲劇だったと語る。
ゴーレンはポールの遺体を調べると硬直が始まって居ること。
首の傷は深くはないこと。ロープの橋は水兵結びかというエイムズ
にもやい結びだというゴーレン。パイプにロープを掛けて首を入れ
椅子を蹴ったんだというゴーレン。それにしては床に落ちている
ペンキの剥げ方が少ないという。自殺でも体を激しく抵抗する
ハズだと。
彼の携帯やカバンなどは見つかったのかと問うがビアッジは探して
いるが行方不明だという。ポールの靴の裏の土がまだ新しいと
いうゴーレン。首をくくる前にジョギングしたというのかと
エイムズ。
ポールの両親から話を聞きに行く。
母親はかなり調子もよくてプロムを楽しみにしていたとし携帯
で撮影した息子の写真を見せる。夫・ビルのレガッタの試合で
週末は留守にしていたのだという。ビルは船が趣味だがポールは
船酔いでダメだったこと。息子には自立心を持たせようとしていた
というビル。自尊心をねと。エイムズはビルと妻の仲が悪いことに
気がつく。ゴーレンはクローゼットを見て大きめのタキシードだ
とするとあなたのを借りたのかと問う。何かと私のものを使いた
がったのだという。何かをこぼして洗濯機に入れたみたいだと
いうと息子が死んだというのにタキシードが台無しだとして服を
気にするビル。息子らしいな・・と。ゴーレンは調子が良かった
としていたが投薬治療でもしていたのかと問うと何種類かだと
いう。ビルは話すことを止めようとするが必要なことだとして
薬物リストを見せる。ゴーレンはうつ病以外の薬も混ざっている
ことを指摘すると統合失調症の予防薬だという。夫の家系の遺伝
だという妻。彼はそれを恥じているのか。
しかし息子に自殺の兆候はなかったと語る。1年前なら考えられた
が最近は楽しそうだったと。
■感想
今回はゴーレン&エイムズサイドのエピソード。
ドラマでは人々の感じる印象と現実は必ずしも一致しないと
いうことを皮肉った感じのエピだった。
キーワードとしてすり込まれているのは「洋服」「覆面」である。
どんなに豪華に着飾っている人でも一枚服を脱げば本性が分かる
とばかりの流れがあり、服の下に隠れている人間性は果たして
どんなものなのかということが至る所で散見される。
冒頭から発見者に付着してものを見つけたゴーレンが服を見て
「クルっと回って」としていたけれど、母親は娘にそれを求めていた。
フードを被って襲撃したものは結局その行動からバレるし、
ネットを使って理想像を装う人物像も一皮むけば、誰かが勝手
に作った創造物だった。
■さあ重要事件捜査班の出番だっ
今回は何と言っても気難しい感じの案件で、金持ちが集まる
名門校で起きた殺人事件。
ドラマとして面白いのは、一介の生徒の自殺か他殺か分からない
案件にNYPDのMajor Case Squadこと重要事件捜査班がこのケース
を担当した経緯なのかも。
ロスを舞台にした「Major Crimes ~重大犯罪課」でも常にこの
線引きは難しいものとして扱われる。
こういう高校だからこそ地元の警察との連携は出来ていないの
だろうし、逆に買収の構図が有るので正当的な捜査も行われな
かったのだろう。校長は思っている以上に捜査に協力的だが、
難題は何と言っても金を潤沢に持つものたちの子供の親の過保護
なまでのエゴだった。
基本的には子供を守る大人の過剰な対応が起こした犯行で、
子供は親に認められたいが為に色々と擦り寄っているのに
それを理解しているのか居ないのか、親のエゴによって振り回さ
れるものが多く、子供を過剰に守ることが決して子供に取って
良いことに繋がる訳でもないし、自立心を養うという名目で、
被害者のポールの父親は息子を遠ざけようとして行動を起こして
いる姿が有るところを見ると、子供に対して無責任な親の姿が
見て取れる。
しかしマナーヒル高校というのは、ベタで皮肉な名前をつけた
ものだ。
■子供たちの世界
捜査を難しくする要因としては親たちだけでなく、他にも色々と
ある。何よりも子供たちが自衛と称して結束感を持っている
こと。とりわけアメリカの名門学園ドラマではよく見られる
社交クラブの問題も有ったし、同性同士・友達同士の付き合いから
くる結束感も有る。
ただし問題となるのは、それぞれに家庭環境が違うということ。
貧富の差が存在するし、人種だって違う。そして当然性別もその
要因の一つだ。
■子供たちの世界2
やはりネットがコミュニケーションツールとして利用されるという
のが今の時代の子。今の子というとなんか古くさい表現で、これ
を見ている10年以上も前からその傾向はあるけれど、ネットの
怖さは発信者が誰なのか分からない現実が有る。
また一見友達だと思ってもちょっとしたことで仲違いしてしまう
というのもまた子供の世界なのかなという感じだけれど、
怖いのは友達だと思っている相手が実際にはその相手を見下し
道具のようにしか扱っていない現実がある。こういう思考になって
しまうところは親の影響なんだろうね。
■容疑者
今回は色んな人が怪しかった。こんな学校行きたくないな。
高校の数年間なら良いけど小学から一貫校となっているとなんだ
か逃げられない場所みたい。
・キアナ
正直テッサが殺人をするような感じには見えなかった。
キアナがラクロスチームを仕切っている感じだし、テッサに
対して好意を寄せているのは確かな様だった。
色々と不都合な事実の入ったパソコンを削除しようとしていた
けれど、結局は削除ソフトは欠陥で削除されていなかった。
※キアナを演じているSonequa Martin-Greenは、
「The Walking Dead」ではメインキャラとなっているサーシャ
を演じている。
・ビル
ポールの父親。統合失調症予備軍のようでポールの家系はそう
いう遺伝子があるらしい。子供を見ると自分を見ているようで
嫌だったのだろうか。ポールはビルに擦り寄る姿が有るのに、
所々で避けている光景がある。子供が亡くなったのに服のことを
気にしているのを見てこの人アカンと思った。
Forbes誌の表紙を飾る人のようだけど、人間としてはダメダメだ。
■犯人
基本的には子供たちがイタズラするのは自分の存在を親に見て
もらう為とか、その自分の優秀さを誇示するのが目的なのだろう。
三バカトリオ(エリック、ブラント・ジャック)の一人・エリックは
自宅の鍵を2年生に売ってパーティーを開かせた。
それが伝説だと思っているところが本当に馬鹿臭い。その後
会社をリタイアする頃には伝説として自慢話にするんだろうけど。
犯人はズバリ冒頭でワイングラス片手にルネッサーンスと言って
いる三バカトリオの一人のジャックだった。
彼が行おうとしていたのはアナを追い出すこと。
アナを追い出す為にはテッサが裸になる動画を撮影する必要が
有り、その為に彼女の理想の男性のジョー・カーディナルという
人物像を作り上げた。
被害者のポールがテッサ相手に写真画像を切り貼りして仕返し
する動画を作っていたが、どれもネットを使った手口。
ジャックの恐ろしいところはかなり前からアナ先生に復讐しよう
として計画を立てて居たところなんだろうね。
その為にテッサがどういう人物を好むのかをリサーチし、親である
アナまでも巻き込む。
ただ悉くジャックの計画は失敗しているところも有った。
最後の葛藤は父親と子供を戦わせるというものだった。
ジャックに取っては父親の庇護など必要無いと思っているのに
なんでも行ってしまう。親は何時までも子供は子供のままだと
思っているのに対して、ジャックは認められたい意識が強かった
のだろう。
また父親がジャックに対して教え込んだ差別的意識が間接的に
人格を分離・乖離させるような行動を取らせたのかも知れない。
皮肉にも統合失調症だったのはポールではなくジャックだった
のではないかという感じの流れになった。
■その他
・私立校には親の代行権がある
未成年のものには基本親の同意無しには取り調べが出来ないけれど
私立高校の場合、学校内でのことは校長に一任される権利が存在
する。ロッカーを捜索したいという際には校長の権利でそれを
行うことも出来る。
・選択を迫る
今回は色んなところで色んな人物に選択を迫る。
「刑務所が良いか、それとも名門大か」
「どちらが恥だと思う?殺人犯か同性愛者か」
「忠誠心かイェールか選びなさい」
・捜査官の私生活が役に立つ?
ゴーレンにとっては統合失調の患者に対してそれを見守るもの
の存在というのはとても複雑なものが有ったのではないかと。
被害者のポールの家族のことをゴーレンは気にかけていた。
エイムズはポールが襲われている動画を見た際に、従姉妹が
ラクロスをしているとして、フード姿で襲いかかる三人組が
競技用のゴーグルをしてラクロスのクロスを持つ手で
“アタック”が並んで攻撃すると語る。
ロスは10代の2人の息子がいるということで、ジョーのSNSの
プロフを見た際に「ウォール」の使用頻度が低いことを指摘する。
■ゲスト出演
・アナ・ノビレ先生
演じているのはJoanna Adler。
Dlifeを見ている人ならば「デビアスのメイドたち」でのオーパル
シンクレア役で分かるかも。
・殺人犯ジャックの父役のJohn Shea
「ゴシップ・ガール」ではハロルド・ウォルドーフ役、
「ミュータントX」では科学者・アダム・ケイン役として出演。
■出演者
ロバート・ゴーレン (Vincent D’Onofrio) 天才刑事
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ダニー・ロス (Eric Bogosian) 警部
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視局
マイク・ローガン (Chris Noth) 刑事
ミーガン・ウィーラー (Julianne Nicholson) 刑事、ローガンの相棒
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
Mr.ウォーカー (John Shea) ジャックの父
H.ジャック・ウォーカー3世 (Anthony Carrigan) 策士、ジョー
アナ・ノビレ (Joanna Adler) マナーヒル高校教師
テッサ・ノビレ (Sarah Steele) 17歳、マナーヒル高校
キーファー・ゲイツ (Jefferson Mays) マナーヒル高校校長
Mr.リッチモンド (Peter Francis James) キアナの父、弁護士
キアナ・リッチモンド (Sonequa Martin-Green) リーダー格
ビル・フィリップス (Matt Salinger) 父親、レガッタ好き
Ms.フィリップス (Betsy Aidem) ポールの母
ポール・フィリップス (Peter Oliver) 17歳、統合失調症予防
Ms.ブラッドリー (Kristin Griffith) コネチカットの全寮制高校
イラ・ウィプル (Gary Patent) NYPD・テック班
ビアッジ (Teddy Canez) 捜査官
ティム・ウィリアムズ (Craig Wroe) ブレントの父
ブレント・ウィリアムズ (Woody Boley) 3人の一人、家の鍵を売る
ジェフィ (Dylan Hartigan)
エリック・ネッシング (Matt Bush) マナーヒル高校、3人の一人
スタンフォード (Tom Titone) ウォーカー家の弁護士
スカイラー (Mark Delabarre) ウィリアムズ家の弁護士
ミカエラ (Catherine Downey)
— (Joseph O’Keefe) CSU Tech
リンダ・シャーマン (Alana Cadiz)
— (Melissa Gangi) 高校生
— (Mark Vincent) リムジンの運転手