第8話 新時代のふたり Episode #5.8
監督/Michael Engler 脚本/Julian Fellowes
【これまでのストーリー】
コーラはダウントンを出たイーディスを心配し、そんな折り二人
が実の親子である事を知り屋敷で娘と暮らせるように呼び戻す。
ギリンガム卿はメアリーと別れないとした為に、チャールズの
アイデアでメアリーとキスしている所を見せる。
マートン卿とイザベルの結婚を祝福するが寂しさを感じるヴァイ
オレット。後日マートン卿の息子達を招いて夕食会を開くが
そこでマートン卿の息子のラリーはイザベルとは階級、立場の
違いからいずれ二人の破局すると語る。身分の違いが二人に
立ちはだかる。その頃ローズはアティカスからプロポーズされる。
【ストーリー】
トーマスは使用人たちに荷物の一覧表を配って回る。
デイジーはここでケーキを作ってロンドンに運べるのかと問うと
パットナムは崩れても直せるという。ヒューズはそのケーキの
出来を見て芸術的だと褒める。パットナムは買い物リストを
見るとヒューズはリポンで買えるものはロンドンでも揃えられる
ことを語る。グランサムハウスにはもう家政婦長は居ないので
ヒューズも同行することになる。これからも雇わなくなるとし
それが時代の流れだろうと。
ローズはみんなの前で衣装のお披露目。みんなローズの美しい
姿を絶賛する。アンナに対してロンドンは楽しみかと問うと、
夫の実家を見に行けるのでちょうどタイミングが良かったと語る。
スーザンにもこの姿を見せてあげたかったという。どうして予定
通り2ヶ月前に帰国しなかったのかとメアリー。コーラは政府の
都合でインド滞在が延びたのだとすると、娘の結婚式だとし
私ならば帰るというメアリー。ヴァイオレットそんなメアリーに
あなたは外交官には向かないわねと語る。
両親は先にロンドンに居るのかと問うコーラ。サウサンプトンに
一泊して私たちと同じ日に到着するというローズ。二人は円満な
夫婦を装う訳ねというメアリー。協力してねと。コーラはここで
結婚式をあげたかったという。登記所での民事婚と教会での祝福
なんてこの辺りでは馴染めないというメアリー。ロンドンの法が
スーザンには都合が良いのでしょうと。ローズはシナゴーグにも
行きたいという。リポンには無いでしょというとイザベルは
ローズに対してあなたの柔軟さは素晴らしいと語る。上手くいけ
ばシンダビー卿が安心するかと思ったというローズ。愛する
アティカスの為。ヴァイオレットは
「愛は無敵とは言わないけど多くの試練を乗り越えられる」
と語る。
ヒューズはカーソンに対して奥様が裏切り者と顔を合わせないの
が心配だったがオブライエンは新しいインド総督の夫人に雇われた
そうだと語る。フリントシャー夫妻には侍女も従者も居ないそう
だとし侯爵夫妻ともあろう肩が奇妙だというカーソン。二人は
破産したのだから仕方が無いとし雇える訳がないというヒューズ。
ローズが富豪に嫁ぐのは願ったり叶ったりだと。レディ・
フリントシャー(スーザン)は保守的な人でこの結婚を喜んでは
いないかもと。シンダビー卿もこの結婚は不満だとしていること。
どちらの家も寛容さが足りないというヒューズ。給仕がトーマスと
モールズリーだけなのが不安だという。下僕を借りるのはどうか
という。ロンドンにいる間一人雇うという手もあると。
シビーとロブはボードゲームで遊ぶ。
ロブは真剣な勝負を挑む中、メアリーたちに負けることも教えない
といけないという。するとメアリーはシビーに思いっきり泣いて
ロバさんを困らせちゃいなさいという。ロバと呼ぶなというが、
シビーは無邪気にロバさんと呼んでくる。
イーディスはトムに対して手紙かと問う。アメリカ・ボストンに
居る従兄弟からのもので現在車を売っているが農業機械も扱いたい
と言っているのだという。どちらもトムの専門ねというと、だから
誘われているんだと。イングランドに支店は有るのかと問うイー
ディスに対して、いやマサチューセッツ州で共同経営者にならない
かという話だという。
メアリーはローズに対してシンダビー卿はどうかと問う。私の
気持ちが変わらないかを期待しているみたいだという。そういう父
親ならばアティカスにもユダヤ系っぽい名前をつけるのではないか
というメアリー。アティカスの本名はエフライム・アティカス
だとし、それでもお義母さんがそうアティカスと呼び始めたことで
ユダヤ人であることを大切にしながら息子の幸せを一番に考えて
いるのだという。
カーソンはベイツとアンナに対してウィリス巡査部長から電話が
有ったことを語る。明日の朝、ヴァイナー警部補が遭いにくる
そうだと。事件は片付いたと思っていたのにとベイツ。
イーディスは妙にあの子に熱心すぎるとメアリー。まるで母親
気取りだとトムに語る。トムはロバートに対して村の家の改築の
件は大仕事なのでやるなら早く始めないといけないという。
資金源をどうするかだという。ロンドンにいる間に考えて決めま
しょうと。
バクスターはアンナとベイツに明日刑事が来るのかと問う。必要
なら私用しなかった切符のことを話すからとバクスターは語る。
アンナはバクスターを頼らず済めば良いとするが・・
翌朝、一堂ロンドンへと向かう。
モールズリーは今度こそロンドンを満喫したいと語る。いつも
劇場や美術館に行こうとしても行けず仕舞いだという。バクスター
は付き合うわよと。
一方慰霊碑の除幕式の日が決まったとし25日だという。結婚式から
帰ってすぐだというカーソン。みんなにも出来る限り参加するよう
告げる中パットモアは遠慮させてもらうと語る。
デンカーはヴァイオレットの元へ。
チャイムが鳴ったのかと問うとクラーギン侯爵という方が今応接間
にいるという。奥様は食事中だと言ったらどうしても待ちたいと
いったとのこと。ヴァイオレットは彼女に侯爵とは古い友達だ
とすると、デンカーはそれでも美しく装っても損はありませんよ
と言われる。
ロバートは除幕式の件で出席者のことに言及する。
連隊の代表と軍の音楽隊を呼ばないといけないとするが、委員長
をしているカーソンは既に手配済みだと語る。ウィリアム・メイ
ソンの父親には良い席を用意してくれとし、ウィリアムは我が家
にも国にも尽くしてくれたのだという。そして使用人には出席する
よう伝えてくれと。
ヴァイオレットはクラーギンに遭うと彼の発言の意味を問う。
「二人にとって最後のチャンス・・ずっと昔にあらゆるチャンス
を手放したハズ」だと。奥さんはどうするつもりなのかと問う
彼女にクラーギンは生き別れてもう長いという。離婚するのかと
問うと何故かと逆に問われ子供でも作りたいかという。私はあなた
と余生を過ごせれば良いのだとし、友達として恋人として私は
スキャンダルではなく愛が欲しい。この惨めさを抱えて人生を
終えたくないのだという。今答えを出せと言うのかと問うと、
私の気持ちは決まっていて変わらないという。すぐには決められ
ないという彼女は、クラーギンに対して
「頑固さをまるで美点のように自慢しないで」と語る。
■感想
最終話を前にしての延長版。
といっても最終話は2話に分割しての放送(スターチャンネルでも
2分割だった)なので今回がラス前という訳でもない。
人生前に進む為に必要なこととは何かということを問いかけると
同時に、そこにはある意味過去とのしがらみが多数存在している
ことが示され、容易なものではないことが描かれる。
前に進む為に手放さなければならないことの一例として・・
・生活拠点を変える
・職業を変える
・長年連れ添った相手との離婚
・己の信念
・称号
・民族 (ユダヤとイギリス)
・恋人
・独身 (スタッグ・パーティー)
・財産 (ブラ・フランチェスカの絵)
・戦没者 (慰霊碑)
・犬 (アイシス)
どれも愛する人との別れを意味するものばかりで、その悲壮感
たるやハンパではない。それでも前に進んでいかねばならない
中でのローズの結婚式。結婚式は両者・両家を結ばせるもの
だけど、その中にもそんな意味合いが多数含まれているという
だからなんとも切ない。
今回はそんなことだから涙する人も多かったね。
独身サヨナラパーティーなんていうのもそんな一面が込められ
ているけど、アメリカではバチュラー・パーティーと呼ぶのに
対してイギリスだとスタッグ・パーティーと呼ぶみたいだ。
折角のローズの結婚式なのにこうも別れの寂しさを演出しても
良いのだろうかという感じもする。逆に逆境の渦中に有っても
愛情という絆で結ばれていればそんな難局も乗り切れるとばかり
の展開が続いたのかな。
シラっとアイシスが亡くなっている辺りは切なすぎるけど、
傷心のロバートの前にやってきたのは、血のつながりのある
もう一人の孫である。
■それぞれのキャラクター
・イーディス
マリゴールドと親密に過ごしすぎてメアリーはまるで気がついて
も居なかったけど、ロバートは誰かに似ていると感じて最後まで
奥歯に物が引っかかった感じがしていた様だけど除幕式の後で
ようやく気がついた様子。
今回のイーディスは比較的大人しい役割だった。
少し過剰に子供の件で心配していた。みんな乳母が居るから大丈
夫だろうとしていたけどイーディスだけはずっと一緒に居たい
と考えている。そういう所がイーディスの良さなのかも知れない
ね。
トムがアメリカに行くことを聞く。
イーディスも自分はロンドンで生活するのが相応しいと考えて
いる感じで、出版社の経営の件もあるしトムは文才もあるのだ
から・・ということで、彼女に自立を促していたような所も有っ
た。
結婚式の前にメアリーの提案でレストランに食事に行こうと
いうことで”ルールズ”に行く。そこはイーディスが初めて
彼と食事のデートをした思い出の場。まさかメアリーはそれを
知っているとは思わないけど、まぁなんというかこの姉妹は
タイミングが悪いんだよね。
・メアリー
今回のメアリーはあんまり嫌悪感のないキャラクターだった。
勿論嫌みな口は叩くのだけど、彼女以上に今回は強烈キャラが
出まくりだったな(笑)
子育てに対する口論の中、トムがアメリカに行くを前提にして
イーディスが話している際に、メアリーは「トムは行かないわよ」
と語っていた。
いざ本当にトムがいくということを聞いた際には
「何もかも壊れていくみたい。シビルにローズ、私の味方は
みんな居なくなる。これであなたまで居なくなったら耐えられ
ない。」
「イーディスと二人にする気?私が殺人を犯したらあなたのせいよ」
と。
・ブランソン
トムはモテモテだな。
イーディスからもメアリーからも唯一の理解者・味方だと
されていた。トムが従兄弟に誘われてボストンに行くかどうかの
決断に迫られている。
というか既に規定路線のようにして、行く事を前提に物事が語ら
れている状況だ。本当に今のこの土地から離れて暮らすことが
良いのかどうか。
■イベント / エピソード
・結婚の妨害工作
ローズとアティカスの結婚が迫る中で、誰かがアティカスのスキ
ャンダルをデッチ挙げてそれを阻止しようとする。
ちょっとした犯人捜しのエピソードとなり、誰もが疑うべきは
反対しているシンダビー卿かレディ・フリントシャー(スーザン)。
当初はシンダビー卿が犯人だとして疑いの目を向けていたけど、
シュリンピーはスーザンが小切手を渡すところを見ていて、
そこに問い合わせて娼婦に渡していた事を知る。
また結婚式の当日にはスーザンは離婚しようとしている(実際には
離婚したのかな)ことを思わずみんなの前でバラして壊そうと
していたけど、それもレディー・シンダビーのお陰で収まる。
シンダビー卿が文句を言おうものならば、離婚してやるとして
ユダヤ教徒の弱点を突いたようだ。
結婚の妨害工作の件でローズは語っていたけど、ヴァイオレット
も程度は違うけどイザベルとマートン卿との関係に於いては
邪魔しようとしていたよね。
ローズが語る様に
「こんなことされる程憎まれているなんて不気味」
・謎のロンドンの夜
アンディことアンドリューがロンドン滞在中に下僕としてやって
くる。デンカーはそんな彼に目を光らせて夜な夜な彼を何処か
に誘うという光景が有る。
この二人はどちらもあまり素性が分かっていないことも有って
なかなかつかみ所のない感じだったけど、スプラットが出かける
前にデンカーに頼まれた荷物の運搬を誤魔化したのを見透かされた
ところを見ても切れる女性という感じで、まぁオブライエンの
代わりのキャラクターってところなんでしょうけど・・
アンディが困っているのを知ってトーマスが動き出すところが
また格好良かった。そんなトーマスに惚れてしまいそうだ(笑)
夜な夜なベルベットバイオリンという店に連れ出していた様で
デンカーはカモを連れて来る代わりに酒代がタダになっていた
みたい。ポントゥーンというゲームでトーマスはアンディの負け分
を全て精算し、そしてそのデンカーにもちゃんとツケを払わせた。
「次からトーマスおじさんに相談しろ」
・アンナ容疑者
二人目の目撃者が現れたということで、ベイツの容疑が晴れる。
そしてグリーンがどういう人物なのか。
女性に暴行を繰り返していた人物だということで、カーソンが
言っていた様な人物ではないことを指摘されていた。
ベイツの容疑が晴れたのは二人目の目撃者の証言では小柄な人物
だったということ。
スコットランドヤードへの出頭要請。
ただあくまで警察官たちは手続き上のことだと語っていたが
そこに居たのはアンナと同じ背格好をした人物。
似ているので目撃していたとしても判別不能だろうって気がする。
最後にヒューズが涙してカーソンと会話しているシーンと、
ローズが「ここまで憎んでいる相手」という会話、
スーザンが他人を使って貶めるという方法論を見て、
犯人が誰なのかピンと来てしまった(笑)
ベイツが捕まった時のことに言及していたけどあの時そう言えば
ベイツって囚人と刑務官に憎まれるようなことをしたんだよね。
最初ベイツの元妻かと思ったけど元妻が死んで刑務所行きになった
エピソードなのでもうこの二人を陥れるのは彼らしか居ない
ですわ。都合の良い目撃者が出て来たし。
・三人で美術館
モールズリーが今回バクスターとデイジーと共に美術館巡りを
するシーンが有った。モールズリーもまた過去にどん底を
味わっている人物なので、彼がデイジーを励ます言葉はある意味
では説得力があるような感じもする。
■その他
・レディ・シンダビー
彼女はヨークシャーの地に特別な縁があるようで、ロバートは
その件で話していた。昔よく来ていた場所だから気に入っている
という彼女。
イギリスの血筋があるのかとした際に、シンダビー卿の祖先は
1850年代に移住したが妻の祖先はリチャード3世の時代から
イギリスに住んでいるという。
新婚旅行にはコニングスビーのメルフォード邸を訪れるとし、
レディー・メルフォードはアティカスの母親の従姉妹だという
ことでユダヤの血が流れているということなのかな。
・ロバートのサプライズ
最後に同じ慰霊碑には入れることは出来なかったけど、別の場所
に慰霊碑を作ってくれた。アイシスの墓は何処にあるのかな。
■使用された曲
・Downton Abbey – The Suite by The Chamber Orchestra of London
■出演者
ロバート・クローリー (Hugh Bonneville) グランサム伯爵
イーディス・クローリー (Laura Carmichael) 次女
メアリー・クローリー (Michelle Dockery) 長女
コーラ・クローリー (Elizabeth McGovern) 伯爵夫人
バイオレット・クローリー (Maggie Smith) ロバートの母
イザベル・クローリー (Penelope Wilton) マシューの母
チャールズ・カーソン (Jim Carter) 執事
ジョン・ベイツ (Brendan Coyle) 従者
アンナ・スミス・ベイツ (Joanne Froggatt) メイド長
デイジー・メイソン (Sophie McShera) 料理人
トーマス・バロウ (Rob James-Collier) 副執事
エルシー・メイ・カーソン(ヒューズ) (Phyllis Logan) メイド長
ベリル・パットモア (Lesley Nicol) 料理長
ジョセフ・モールズリー (Kevin Doyle) 無職->下僕
トム・ブランソン (Allen Leech) シビルの元夫
フィリス・バクスター (Raquel Cassidy) コーラの侍女
ジョージ・クローリー (Oliver Zac Barker) メアリーの息子
シビー・ブランソン (Fifi Hart) トムの娘
マリゴールド (Eva & Karina Samms) イーディスとグレッグソンの娘
アンソニー・ギリンガム卿 (Tom Cullen) “トニー”、メアリーの幼馴染
ウィリス (Howard Ward) 巡査部長
ヴァイナー (Louis Hilyer) 警部補
スプラット (Jeremy Swift) バイオレットの執事
アティカス・オルドリッジ (Matt Barber) ユダヤ人、ロンドンの銀行
クラーギン公爵 (Rade Serbedzija) ロシアからの難民
メイベル・レーン・フォックス (Catherine Steadman) チャールズの元婚約者
Missデンカー (Sue Johnston) ヴァイオレットの侍女
エバンス (Dean Ashton) 墓石店
アンディ (Michael Fox) 下僕
ヒュー・”シュリンピー”・マクレア (Peter Egan) ローズの父
スーザン・マクレア (Phoebe Nicholls) ローズの母
LADY シンダビー (Penny Downie) アティカスの母
LOAD シンダビー (James Faulkner) アティカスの父
アティカス・オルドリッジ (Matt Barber) ユダヤ人、ロンドンの銀行
— (Sophie Cosson) 売春婦 / アティカスと・・
— (James Phelips) ウェイター
LADY マンビル (Sarah Crowden) コーラたちに話しかける。ユダヤ系の件で
バジル・シュート (Darren Machin) “ベルベット・バイオリン”経営
Mr.メイソン (Paul Copley) デイジーの親代わり
— (James Francis Andrews) Wedding Guest
— (Ethan Chapples) アティカスの兄
— (Alexander Cooper) Rules Waiter
— (Roman Green) 退役軍人
—(Jefferson King) 捜査官
LADY アナベル・マクレア (Maya Lindh) ローズの姉
— (Hugh O’Brien) 警察官
— (Albert Tang) Club Guest
— (Nathan Webb) Lieutenant NRV
ウィリアム・メイソン
アーチー・フィルポッツ () 1917年2月5日、享年19歳
ローズベリー伯爵
ハンナ・ロスチャイルド
Sirジョン・ブルック () ローズの従兄弟
アン・メルフォード () ユダヤ系でアティカスの母の従姉妹