第12話(3) 眠れる刃 Breakout
脚本/Krystal Houghton Ziv
監督/Milan Cheylov
【ストーリー】
刑務所の護送車が夜道を走る。オスカーは運転手のデーヴィスに
対して今世紀の音楽にしろと挑発する。そんなオスカーは口に
仕込んだクリップをはき出すとそれを使って手錠を外し看守と
格闘して発砲する。運転手に対しても発砲する中、車は横転する。
ライリーとオスカーは逃亡する。横転したデーヴィスは護送車
から囚人が逃げて看守が一人やられたとし、一人は武装してい
るので危険だとして助けを求める。デーヴィスはオスカーに発砲
して当てるがライリーには逃げられる。
トミーは逃げたのはロバート・ライリー。
有罪判決を受けた殺人犯で刑務所に連れ戻すという。ヤツの知り
合いを洗うんだとすると国境や空港、列車とバスを監視、公共
交通機関に連絡して市内の駅全てにライリーの写真を配布しろと
いう。
現場にはミーガンと共にイーサンが連れ出される。
イーサンはケイトから命じられて来たけど何で俺が医療捜査官
なんだという。今度来た医療捜査官は辞めてしまったのだという
ミーガン。気に入り始めていたのに・・というミーガンだが
イーサンは彼の能力は調教した猿よりも若干劣ると言ったのだろう
と語る。
ライリーの殺人捜査にミーガンは関わっていたという。何度でも
刑務所に送るという。
トミーはそこで倒れているのはライリーと同じ部屋だったオス
カー・ラミレスで共犯だろうという。そんな中ミーガンは彼は
まだ生きて居るとし、救命士を呼ぶ。イーサンは出血で脈拍が殆ど
ないが体にはまだ電気的活動があるのだという。
ミーガンは心肺蘇生して静脈内輸液を投与し、病院に搬送する様
命じる。トミーはオスカーに刑を軽くしたければライリーの
行き先を教えろという。ライリーは逃げたりしないとし借りを
返しに行ったんだと語る。
ライリーが手にしていたメモには「ダン・ラッセル」
「ブラッド・カーター」「マーカス・ウェッブ」
そして「ミーガン・ハント」の名前が書かれていた。
ケイトはエメット・ハリントンと妻のキャロラインはフィラデ
ルフィアでも有数な資産家の家系で超高級住宅に住み、銀行業を
営んでいた。しかしキャロラインは金では幸せになれずエメット
よりも所得の低い男と浮気した。それが彼の屋敷で作業員として
働いていたロバート・ライリーだった。夫には気づかれずに2ヶ月
間、その関係が続いたこと。彼女はライリーと別れようとして
ノコギリで彼女を刺したとされ使用人の二人(ウェッブとカーター)
が証言をしたという。一人は動機を話し、一人は犯行を見たと
証言。ミーガンが彼女の体を検視して爪から彼のDNAを確認した
とし争ったときのものだろうとしたこと。ライリーは復讐の為に
逃亡したのだとしヤツの狙いそうな人物全員に護衛をつける
というトミー。彼に不利な証言をした2人とミーガンや検事、そし
てエメット本人が該当者だという。
そんなトミーに電話が有りライリーが早速着手したというもの
だった。
マーカス・ウェッブが被害者となる。ハリントン家のお抱え運転手
でライリーがキャロリンを殺すと脅したと証言した人物だという
ミーガン。アダムによるとウェッブに連絡を入れたが電話に出ず
警察が来た時には硝子窓が割れていたこと。右胸の上部に射入口
が一カ所、射出口はないという。争った形跡と防御創があるという。
また決定的な証言をしたブラッド・カーターとも連絡が取れない
とし、引っ越したが住所の変更をしていない為だという。検事と
エメットには護衛をつけたという。そこにいるあんたの元カノ
は俺が護衛中だというアラン。それを聞いたイーサンは言葉も
ないという。医療捜査官がやる仕事は嫌じゃないがいつ新しい
人物が来るのかと告げる。今のところ適任者はあなただけなのよ
というミーガンの言葉にイーサンは褒め言葉ですねと機嫌が戻る。
サンプルを取ってラボに分析させてという。
ケイトの元にダン・ラッセル検事がやってくる。
ライリーを刑務所に戻せるよう検視局は総力をあげて協力する
というケイト。エメットは妻を殺した男の逮捕の確約を求めて
いるとし下院選に勝つには何百万ドルもかかるとしハリントンに
売り込むチャンスだぞというダン。彼が金持ちかは関係がない
とし逮捕は仕事だという。2時に彼の家に行き話をしてくれという。
君は何故出馬したいのか?というダンに対して、より社会に貢献
出来る地位に就く為だという。その為の手段だろうというダン。
ミーガンはトミーに対してあの人が私がライリーから守るのかと
不満。イーサンの方がマシよというが、今のは褒め言葉じゃない
という。
遺体を検視局で切開すると銃弾は45口径、ライリーが看守から盗
んだ銃と同じだという。ライリーは犯罪には無縁の生活を送って
いたこと。キャロラインを捨てちゃうまでは・・とイーサン。
愛は人の醜さをあぶり出すのねと。
そこにカーティスがやってきて報告書を何で俺が取りに行くのか
と不満を述べる。報告書にはウェッブの遺体には抗菌クリームが
付着していたこと。被害者の傷になんでクリームが付いているの
か?殺した後で普通手当てするか?
ミーガンはトミーに電話しライリーの件でちょっとした違和感が
あることを語る。
ミーガンは駐車場で車に乗ると後部座席にはライリーが乗っていた。
銃を突きつける彼だがあんたを傷つけたくはないという。聞いて
欲しいという彼は力を借りたいのだという。俺は殺していないと
証明してくれというもの。私はあなたに不利な証言をしたのよと
いうミーガン。しかし法廷の他の連中には思惑が有ったとし殺人
の罪を俺に着せたのだという。エメットの妻のキャロライン
と浮気を知り彼女を殺して俺に罪を着せたと証人は偽証したのだ
という。裁判で言えば良かったでしょというが、俺の話など誰も
聞かないという。今日ウェッブに真実を言わせたとしエメットの
金で偽証させられたのだと。借りジョが俺と別れようとしていた
んだと。ミーガンはウェッブが殺されたことを告げると俺は発砲
していないとし侵入はしたしもみ合いにもなったがヤツに偽証を
求めさせる為にそうするだけで、撃っては居ないし殺しても居ない
という。キャロラインの事も愛していたとし傷つけたりしていない
という。エメットは全てを奪ったのだと。
■感想
シーズン3(FINAL)に入ってすぐにレイシーが襲われたというのに
またしてもミーガンが狙われるのかって感じで、ちょっとワン
パターンな感じのエピになるのかと思われた冒頭の流れ。
今回のテーマは人が完璧な生き物ではないということを示す流れ
が有ったことでしょうか。
全員が何処かしらミスを冒して人生を犠牲にしそうにする流れが有る。
そんな「自分を許す」という事も語られたけれど、何処かで人生
には折り合いをつけなければならない部分っていうのは有りそう
だ。
今回のライリーは姦淫の罪を犯しているけれど、それがきっかけ
で4年の服役というのはかなり厳しいものがある。
冤罪ではあったけど、逃亡する際には一人の人物が死んでいる訳
だし、結局誰がどう責任を取り収拾をつけていくのかまるで理解
出来ないロジックが生まれてしまった。
ライリーはこの件で誰かを訴えることが可能なのか。
訴えるとしたらフィラデルフィア検視局になるのか、それとも
ハリントン家になるのか検察になるのか分からない。
少なくとも偽証した人物、そして殺害した実行犯は罪に問われる
ことは間違い無いのだろう。
■今回の事件
4年前に資産家ハリントン家の妻キャロラインが刺殺される。
殺したのはハリントン家で作業員として働いていたロバート・
ライリーだとされ、有罪判決を受けている。ただライリーは
キャロラインと不倫の関係に有り、それを知った夫のエメットが
金の力を使ってハメたのではないかとされるものだった。
ライリーは同房だったオスカーの力を借りて脱獄し、そして
その無実を訴えることになる。その為に偽証した人物の口を割らせ
て、ミーガンに改めて無実だということを証明しろと迫って
くるものだった。
■金の力は愛や正義感をも凌駕するのか
シーズン3に入って金と愛の話が多いね。
金はケイトが選挙戦に出ると言い出してから意識し始める所が
大きくなった感じだけど、今回は偽証するために10万ドルが
使われたり、ケイトとダンはハリントン家が資産家で選挙戦には
味方につけておくに越したことはないと考えて関係を保とうと
している。
そして何よりも今回殺害されたというエメットの妻のキャロラ
インは資産家の夫を裏切り、屋敷の使用人のライリーと愛情を
交わしていた。
一番意外なのはエメットは寛容な心を持っていたところか。
冒頭からエメットは悪者だと決めつけていた所が有るし、
演じているのは悪役が似合うAlan Daleだし(笑)
実際に金で何とかなると思っている節があるのかも知れないけど、
浮気した妻とは別れようとは思っていなかったみたい。
■証拠
・抗菌クリーム
ライリーが脱獄してから最初に騒動を起こしたのはマーカス・
ウェッブだった。彼と争い彼の家に押し入りそして争った形跡
も見つかった。しかし被害者のウェッブは体内の傷跡に抗菌
クリームが塗ってあった。殺した後にクリームを塗るとは考えら
れない。
・銀行口座
裁判で証言した2人の証人のウェッブとカーター。
ウェッブを脅した結果金を受け取って偽証したことを認めたような
事を口にしていた。
事件捜査は金の流れを掴んで行くのが一番か。
裁判の2ヶ月後に海外口座/ケイマン諸島から10万ドルの振り込み。
調べて見るとエメット名義の口座からの振り込み。
後に小切手の筆跡痕を調べれば誰が送ったか分かるとして犯人を
問い詰めることになる。
・眼球に眼振・・色覚異常
一人の証人のカーターは色覚異常で赤色が識別できない。
それにも関わらず当時の法廷では赤いシャツのことを口にしてい
た。
・遺体に群がるカツオブシムシ
遺体は霊廟に入っていたけど、カツオムシブシが群がっていて
全ての軟組織を食い尽くしていた。しかしそのお陰で分かったの
は骨とは違うものが発見された。
キャロリンの当時の死因は鋭的外傷。上行大動脈が切断された
ことによる失血死。刃は第二肋間から体内に入り肋骨の前部を
削っている。X線で調べたときには何も分からなかったが、骨と
同じ密度のもの/欠片が見つかる。
ケイトの専門分野な為にそれを調べると、人骨ではなくハバース
管じゃなく細管がある牙(象牙)の組織。何かの樹脂に覆われてい
る為に象牙のナイフだとされた。当時凶器だとされたノコギリは
スチール製だった。
・象牙のナイフのDNA
柄には血液が付着。そのナイフにはキャロリンの血以外にもう
一人女性のDNAが付着して居た。
■その他
・イケメンなのに存在感なしのアダム
今回冒頭のやりとりでトミーとミーガンが過去に恋人関係だと
いうことをイーサンたちが居る前で話していた。
その後ミーガンはアダムのことを無視していたけど、何となく
デリカシーの無さにガッカリキャラ。
アダムとしては仲間である以上は色々と私生活のことでも語り合い
たいのだろうけどね。
会話せずにいるミーガンの姿が滑稽。
・犯人ステイシー役のTracy Middendorf
「24」S2でカーラ・マシソン役、「The Last Ship」では
チャンドラー艦長の妻のダリアン役だった。
■使用された曲
・Body of Proof End Credits Theme
Composed by Daniel Licht
・Tie A Yellow Ribbon ‘Round The Old Oak Tree by Tony Orlando And Dawn
■出演者
ミーガン・ハント (Dana Delany) 検視官
ケイト・マーフィー (Jeri Ryan) フィラデルフィア医療センター・局長
トミー・サリヴァン (Mark Valley) フィラデルフィア市警
イーサン・グロス (Geoffrey Arend) 医療センター・医者
カーティス・ブラムフィールド (Windell Middlebrooks) 医療センター・副局長
アダム・ルーカス (Elyes Gabel) フィラデルフィア市警
レイシー・フレミング (Mary Mouser) ミーガンの娘
ダン・ラッセル (Richard Burgi) 地方検事、ケイトの支援
エメット・ハリントン (Alan Dale) 資産家
ステイシー・ハリントン (Tracy Middendorf) 継母
ロバート・ライリー (Kenneth Mitchell) 囚人
ブラッド・カーター (Khary Payton) 使用人
オスカー・ラミレス (Luis Da Silva Jr.) 囚人
— (Ezra Masters) Transport Guard
デーヴィス (Michael Emery) Rookie Cop
マーカス・ウェッブ (Clint Corley) 使用人、10年間運転手
キャロライン・ハリントン