第6話 生死 Bound
脚本/Will Pascoe
監督/Michael Waxman
【ストーリー】
マギーは患者が運ばれて来たよと声を掛ける。
1人目は10代女性(マリア)で、低体温、GCS9・・外傷2に振り分
ける。チャウトは脈が微弱だとするとウィルが診るという。
更にもう一人は20代男性(ミゲル)、着陸する飛行機から落下した
と言うとマギーが外傷1に回す。左胸郭粉砕で挿管不能だという
救命士。チョイ医師はマリアの顔面蒼白だとし反応がないという。
挿管し採血と血ガスを頼むという。輸血の準備をしてと告げる。
マリアはミゲルの名を無意識に呼ぶ。
ABC良し、GCS9点だというウィル。コナーは何とか温めた生食を
腋窩と鼠経部と首の後ろに置いて全身を温めて体温をキープ
しろと告げる。
一方チョイはミゲルの挿管をしようとするが血だらけで出来ない
という。コナーは気管切開をしようと語る。レントゲンと超音波
を持ってくるよう告げる中、気道を確保する。
ウィルの方はどうか?と問うと心拍50体温29度右の呼吸音がかなり
減弱だというチョイ。
ディヒター捜査官によるとメキシコからの密航者たちだという。
男性は飛行機から落ちて女性は車輪の格納部に居たのだという。
ミゲルの胸部をレントゲンで調べると血気胸だという。
コナーはチョイに対して右にチェストチューブを入れてという。
そうしている間にも血圧は低下。腹腔内出血だとしコニーはオペ室
に連れて行こうという。その前に足を整復するというコナー。
マギーに患者を固定していてもらいコナーは曲がって折れている
足を180度変えて正しい位置に戻す。
マリアの体温が29度だというエイプリル。バルーンを入れたか?
としベルゼド2、ECDを食道にセットするよう告げるコナーは
何とか体温を上げないといけないという。温めた輸液を開始
し、CVを入れようと語る。
ECDが輸液を循環させ始めると体温は35度になり心拍は60になる。
これで暫くは安定するハズだという。低体温・低酸素って冬眠
みたいだなというウィル。上空はマイナス60度から70度だから
なとし命がけで国から出なければならなかったのだろうという。
ローズ家の御曹司とは違うなとウィルは嫌みを告げる。
リースは外来でやってきたパーカーの容体を診る。
転んで怪我した人物で肩を痛めたもの。腕が上がらない状態
でリースはどの程度動くか確認していく。パーカーはすぐに転ん
でしまうんだというと、父・アダムは前をよく見ていないから
だぞと語る。左の鎖骨が折れているかどうかはレントゲンを
取るまでは何とも言えないとしてリースはすぐに技師が来ます
と語る。
ローズ氏に感謝する会という立て看板が運ばれる。
シャロンはどうして大金を寄付したのかというとチャーリー
は亡くなった奥さんの為じゃないということかという。息子が
働いている病院に寄付したのは偶然ではないというシャロン。
注目を浴びるのが好きな人だと言うと、チャーリーはワールドク
ラスのナルシシストだなという。100万ドル出せば息子よりも
スポットライトを当てられるという。新病棟ゲットだなと
チャーリー。
ナタリーがやってくるとウィルは気分はどうかと尋ねる。
15分置きに目が覚めていた割りには最高だとし、眠れそうに
なるとトイレで目覚めるのだという。マギーはあげた枕を試した
か?と問うと他の20個と同じだというナタリー。リースがやって
くるとナタリーに第1で骨折の少年を見ていることを語る。
ナタリーはお手洗いに行ってからヨタヨタと歩いて行くという。
マギーはナタリーを見つめるウィルを睨む。
コナーはエイプリルにマリアの容体はどうかと尋ねると意識は
不安定だが体温は戻ったという。現在検査結果待ちとのこと。
コナーは気分はどうかと彼女にスペイン語で声を掛ける。
エイプリルによると彼女の名前はマリア・ゴンザレスで彼女が
口にしているミゲルは兄さんのことだという。
マリアに対してミゲルは重体だと語る。生きて居るけど生命維持
装置にかけられていると語る。マリアは兄は私を助けようとした
のだという。私たちの父は麻薬の売人・・シナロアのと。良い人
ではないとし、父は私を売ろうとしたがミゲルが私を逃がして
くれたのだという。そんな兄を助けてというと最善を尽くすと
いうコナー。そんなコナーに電話がなる。
「君が生まれた日、地球は回り月は満ちて太陽は燃えてました。
お母さんは息むと君は静かな所から滑り出ました。」
パーカーは弟のセスに絵本を読んであげていた。
リースはパーカーの両親のアダムとリサに対して、幸い骨は
ずれて居ないので手術の必要はないという。つり包帯をする
ことになるという。そこにナタリーがやってくるとパーカーに
対してちょっと診ても良いかと語る。体を診ていると突然痙攣
を起こす。すぐにアティヴァン1mmを持って来てというと、両親
に対しててんかんは有ったのかと問う。リサは初めてだとし何が
起きたのかと問うと、骨折とは関係が無いとし検査して原因を
突き止めたいという。
コナーはシャロンのオフィスに行くと、そこには二人の捜査官
マクマナスとラミレスの姿が有った。二人は国土安全保障省の方
だとコナーに告げる。密航者の女性患者がいるでしょ?と言われる
と意識不明でICUなのかと問う。女性と話したいとするが、
コナーはまだ質問に答えられる状態ではないという。彼女は犠牲者
だとし父親が麻薬の売人で彼女を売り飛ばそうとして兄は助け
ようとしたのだという。重症の割りには随分と話をしたようですね
と言われる。シャロンは話が出来るようになったら連絡します
からと語る。
■感想
今回は色々とねじれた関係というものを象徴しているのか、
正常に戻そうとする流れが多く見られた。そしてそのねじれの
原因が親子関係なり出生・生育環境に起因するであろうことも有り、
三者三様の家庭の事情が描かれて、血のつながりのある親子でも
上手くいかないものが多く、自分の子を人身売買で売ろうと
する親も居れば、コナー家の事情のように秘密を抱える
ものも居る。子供との関係は何の問題もないのに遺伝子レベルの
組み合わせの問題で疾患を抱えて生まれてきてしまう子供が
居たり、血のつながりのない義母とナタリーの関係を通して
子供の存在も抽出された。
そんなねじれを意識したのか分からないが、「エクソシスト」
ばりのシーンが二度訪れ、医療ドラマ故に一種のグロさがあるのは
仕方が無いとはいえ、ちょっと変わった形のグロさを感じる
ものが有った。一つはミゲルの足が180度曲がっているのを治す
シーン。一つは逆子になっているナタリーを出産直前になって
二度もぐるりと回す衝撃的シーンが見られた。
あんなことってあるんですね。ウチの義理の姉はお腹の中の赤ち
ゃんの首にへその緒が絡まっていることが分かったので帝王切開
になったことが有るんですけど、あれだけグルグル回したら
それはへその緒で首くらい絞められてしまうのではないかと
思ってしまう。
そして今回失礼ながらもウィル先生が至るところで、色んな人
から牽制に有っている所が笑える。
コナー先生からは、
「一刻も争うときは俺の判断に疑問が有っても指示に従え!!」
と言われていた。
マギーからは言わずもがな、出産パートナーのナタリーに近づく
ウィルに牽制。勿論その前にウィルはコナー家の事情を知らずに
ズケズケと話をするシーンを目にして怪訝そうな顔してたしね。
そして今回は何よりもナタリーの義母でありジェフの忘れ形見
となっている孫の出産に際して、その関係を問われる。
またドラマとしては医療ではどうにもならないことがあるという
ことも同時に描かれて、医者が万能な存在ではないということも
示されたのではないか。
遺伝的疾患の患者のパーカー。生命維持装置に繋がれている
ミゲル。密航者を無条件で引き渡すしかない事情。病院を出れば
私生活にまでは口を挟めないことで命を落としてしまったチョイ
先生の患者のセドリックなど・・・そしてここでもまたコナーの
母親の死に関してはウツだとされているが防げるものだったのか
どうかということが謎として描かれる。
ウツと言えば「ザ・ラストシップ」のチャンドラー艦長役の
エリック・デインさんが治療中で中断しているし、ロビン・ウィ
リアムズさんも亡くなってしまった。
■今回の患者
同時に2人の患者が運ばれて来た。
二人は何か銀紙のような大きな包みで運ばれて来ていたよね。
ほぼ同時に処置室に入る光景が印象的で、手前には妹、奥には兄
が運ばれて来た。
・マリア・ゴンザレス
10代女性、低体温で微弱のメキシコ系の人物。
チャウトくんが運んできた患者。
ウィルとエイプリルが初期対応をしていた。
すぐに温めた生食などで全身を温める作業を行う。
そんな処置した後にも体温が29度で心拍は50という。
バルーンを入れ、メルセドとECDを食道にセット。体温をあげる
必要が有った。
この段階で意識が戻っていた。
暫くしてコナーがスペイン語で語りかけていた。
患者で目を閉じていても美人だと分かるような子だったな。
兄のことを心配しているマリアに生命維持装置をつけている状態
だとしていた。兄が売られようとしている自分を逃がしてくれた
とのこと。ただ国土安保省も二人が来ていたことからもただの
密入国だとは思っていなくて麻薬売人の子供だということを
知っていたのだろうか?
兄の死を告知しに行こうとしたコナーの前にマリアの足の容体
が悪化。コンパーメント症候群。飛行機で意識を失った際に傷
つけたもの。脈が触れず、ウィルはニードルで内圧を調べよう
というが、コナーは時間が勝負だとして減圧しないと時間が
経てば切断することになるとしていた。
フェンタニル投与。血算、電解質、CPKを・・。
オペ室が2時間待ちだということその場で切開するというコナー
ケタミンとベルセドを使って手術。ウィルは挿管しないとケタ
ミンだけではすぐに目覚めて痛みで大変になると反対。
切開後にウィルにコナーは忠告していた。
・ミゲル・ゴンザレス
20代男性、顔面蒼白。
2nd救命士が運んできた。そして後ろにはCPDの2名の警官が
同行してくる。マギーとチョイ先生が対応する。
救命士が言うように全身血だらけで挿管も出来ない。チョイ先生
がやっても損傷が酷いために挿管できず、コナーが気管切開を
した。右の呼吸音がかなり減弱していた。
その場で胸のレントゲンを取ると血気胸。
超音波で調べると腹腔内出血。オペ室に連れて行こうという
コナー。
足の整復作業ではかなりグロイことになっていた。
体操選手とかクラブワールドカップでも中国の選手がこんな状態
になってしまっていたよなぁ。
コナーが国土安保省の二人に話を聞かれて病室に戻ると
レイノルズ医師か死亡を宣告。11時32分のことだった。
ただ亡くなった時の顔は随分と綺麗だったな。運ばれて来た
時のあの血だらけ怪我だらけって感じだったのに・・
・パーカー・キンドラー(8歳)
リースが左肩を触診。母親によると裏庭に遊んでいて転んだと
いう。本人もすぐに転んでしまうと語っていたが、父親は注意
が散漫のせいだとしていた。
レントゲンを取る必要があるとのこと。
レントゲンでは手術の必要は無いと判明する。
ナタリーが容体を見ると痙攣が起きる。
アティヴァンを投与して検査することになる。
検査した結果、クラッベ病だと判明。
遺伝性脱髄性疾患で余命が短い。
それを知った直後に失禁したのではなく・・なんと破水。
その結果告知はナタリーではなくリースが行わなければなら
なくなる。
チャーリーと相談し共に説明にいく。
「こういう時は実直に話した方が良い」と。
「医師の仕事でも一番辛い。何度やってもなれない。我々は
その為に選ばれた人間だ。ある意味気高い仕事とも言える」
更に問題は遺伝性疾患なので、次男のセスにも同様の症状が
出るかも知れない事。
検査の結果セスは大丈夫だった。
パーカーは冒頭でも弟に出産についての本を読み聞かせして
いたけど、ビデオを撮って教えられることを今のウチに撮って
おくという。「グッドラック・チャーリー」を思い出すけど
内容はまるで正反対か。
・セドリック
チョイ先生が頬の傷を縫合。
患者のセドリックは顔に傷が付いていた方が都合が良いとして
父親にバイクではなく車の方が安全だと主張出来ると語っていた
けど、この傷ってバイクで転んだのは確かだとしても、傷その
ものは銃弾をかすめて傷ついたものじゃないのかな。
その後再度運ばれて来た。
17歳・銃撃され胸部に3カ所の射入口だというエイプリル。
射出口は複数。挿管済み、右肘正中に16ゲージ、心停止12分。
エピを投与し輸液ポンプを用意しようとしていた所で心停止。
18時6分に死亡告知。
「ボクが今朝縫った・・・バイクで転んだ子だ。」
・ナタリー・マニング
もう臨月だったのかな。15分置きに目が覚めてしまい、眠れそう
になるとトイレに行きたくなると言っていた。
マギーが枕のことを言っていたけど、「他の20個と同じで・・」
っていうナタリーのセリフを聞くとそんなに過剰な世話をしていた
のか(笑)
患者に検査結果を告知に行こうとしていた際に破水。
黒人の看護師に車椅子で運んでもらい産婦人科へ。
義母のヘレンもかけつける中で、マギーもベティにデスクを
頼んでかけつける。ウィルもやってくるが、ヘレンがそんな
ウィルに目をつけて、息子・ジェフが死んで7ヶ月なのに
どういうつもりなのかとして責められる。
「出産を前にして夫を亡くして脆くなっているのよ」
ナタリーはウィルに傍にいて欲しがっていたけど、出産の場
に男性が居て欲しくないって女性も多くない?
まぁウィルもナタリーも医師なのでそういうことには慣れて
いるところも有るのかも知れないけど、本人は初めてだから
ね。
産科医でナタリーの主治医のパチェフスキーとマギーが対立。
赤ちゃんが回旋異常で産道から降りられず・・
血圧も上昇しているので中毒症になる前に帝王切開の決断を
迫るがナタリーが拒む。マギーは回転させるとするが、
主治医とこの人のどちらを取るのかと言われるナタリー。
マギーとは親友だけど、主治医を無視するというのはちょっと
失礼過ぎないのかな。
結果的に2回転くらいさせていたね。
その結果なのか、臍帯巻結で息をしていない。胎便が気道に
詰まっているとされる中、処置して何とか産声を聞くことに
なった。
■その他
・コナーの母・エリザベスの死
ウィルはコナーがデカイ態度を取っているのは実家が金持ちで
寄付したせいだとひがむ。
マギーとの会話でウィルの出身はシカゴのサウスサイド・カナリ
ーヴィルとのこと。
コナーの母親のことを知らないことにマギーは不思議がって
いたが、20年のことだからまだ知らなくても仕方が無いかと
言っていた。エリザベスは自宅の屋根から飛び降りて自殺した
こと。その時コナーは10歳だったこと。当時は相当大きく報道
されたとしていた。
・運命を分ける選択
人の生死で当たり外れを語るのもあれだけど、今回は色んな
ところで運命を分ける結果となった。
1) 兄と妹
マリア・ゴンザレスとミゲル・ゴンザレス。
妹は助かり兄は死亡した。ただ兄としては妹を助けたいと思って
いただけに願いが叶った格好だけど、それでも結局運命には
抗うことが出来ないのかメキシコに強制送還。
2) 兄と弟
パーカーとセス
二人共遺伝的素因で遺伝性脱髄性疾患を患う可能性が有った。
パーカーは5年後くらいにはベッドでは寝たきりになり呼吸器
補助が必要になって亡くなるという。セスは検査の結果助かっ
た。
3) ナタリーとリース
この二人はパーカーを担当していた。本来はナタリーが
パーカーの件で告知することになるものだが、ナタリーは
産気づいたことも有りリースが告知することになる。
ナタリーは涙するけど、赤ちゃんが産まれて助かったことへの
安堵の涙。
リースはパーカーの死を知ってトイレで涙する光景が有った。
リースって無表情であまり感情を表に出さないタイプなので
こういうシーンは辛いな。
4) コナーとミゲル
事情は分からないけどミゲルは妹を命をかけて守ったが、
コナーは妹のクレアを置いて家を出て行ってしまったのかな。
・ナタリーの子
オーウェンという名前をつけるとのこと。
アイルランド語では「小さな戦士」の意味があるという。
■使用された曲
・
■出演者
Dr.ウィル・ハルステッド (Nick Gehlfuss) 内科医。弟はシカゴ警察
エイプリル・セクストン (Yaya DaCosta) 看護師。ブラジル出身
Dr.ナタリー・マニング (Torrey DeVitto) 小児科医。救急外来研修中
サラ・リース (Rachel DiPillo) 医学部の4年生
Dr.コナー・ローズ (Colin Donnell) 外科医、父とは長年の確執
Dr.イーサン・チョイ (Brian Tee) 感染症の専門医。海軍の予備役
シャロン・グッドウィン (S. Epatha Merkerson) 管理部長
Dr.ダニエル・チャールズ (Oliver Platt) 精神科部長
マギー・ロックウッド (Marlyne Barrett) 主任看護師
Dr.パチェフスキー (Amy J. Carle) 産科医
Dr.レイノルズ (Kelly Owens) ミゲルの死亡を確認する医師
アレン・チャウト (Alex Weisman) 救命士
タニヤ (Camille Robinson) 看護師
— (Erin Noel Grennan) 新生児集中治療室の看護師
コーネリアス・ローズ (D.W. Moffett) コナーの父
クレア・ローズ (Christina Brucato) コナーの母
ピーター・カルミック (Marc Grapey) 病院の理事
ヘレン (Annie Potts) ナタリーの義母、
マリア・ゴンザレス (Danielle Vega) 妹
パーカー・キンドラー (Kaeden Saunders) 長男、8歳
アダム・キンドラー (Michael Aaron Lindner) 父親
リサ・キンドラー (Amanda Drinkall) 母親
リンドハイム (David Parkes) 理事の一人、ピーターと共に・・
— (Cesar Jaime) Second Paramedic
セドリック (Jenoah Bush) バイク事故
ラミレス (Dale Rivera) 国道安全保障省・エージェント
マクマナス (Xander O’Connor) 国道安全保障省・エージェント
ディヒター (Eric C. Lynch) 捜査官
チャーリー (Mikey Evgen)
— (Jacqueline Martinez) Med Student
— (Elizabeth Reiners) Gala Patron
オーウェン・マニング () ナタリーとジェフの息子
エリザベス・ローズ () コナーの母、20年前に自殺??
ミゲル・ゴンザレス () マリアの兄、メキシコ
セス・キンドラー () 次男
ジェフ () ナタリーの元夫、7ヶ月前に戦死