November 15, 2002
第14話 殺しの事実 Mercy
脚本/Ruth Fletcher、Christos N. Gage
監督/David Platt
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寒い冬のハドソン川で二人の男性が夏のレースに向けてカヌー
の練習をする。何か目の前に落とし物があるとし、クーラーボ
ックスを開けると中から遺体が発見される。
鑑識のレイトンはオリビアとエリオットがやってくると、中身
をみるのを覚悟しろと告げ、あれは悪魔の所業だという。
新生児が中で亡くなっていること。しかしタオルに包まれている
もだった。見た感じよく有るクーラーボックスだが、外には
重りを入れて沈めていたであろうビニール袋が付着していた。
袋のロゴから店名は分かるだろうという。
少し遅れてメリンダがやってくる。
恐らく埠頭か水上タクシーから投げ捨てたのではないかといううが、
エリオットは望まない子として妊娠し、産後の扱いに困っていた
のではないかという。するとメリンダは産後ではない事を告げ
へその緒が付いていない事を語り、産後一ヶ月以上は経過して
いると語る。
遺体は白人の女児、体重は8ポンドで死後約1日が経過していた。
発育状態に問題は無く、虐待を受けた跡もないという。
死因は三環系抗うつ剤の過剰摂取だというと、産後鬱病の母親
が飲む薬だという。しかし母乳で育てている間に処方されること
はない薬だという。胃の中にも母乳が含まれているという。
子を捨てる親が母乳など与えるだろうかと語る。
クーラーボックスには高所から落としたであろう傷が付着してい
た。藻か植物が付着、そして薬品が検出されたという。
次亜塩素酸ソーダ・・工業用洗剤だという。
1月14日(火)・生態学研究所
藻について調べてもらうとシーラ博士は一般的な藻だという。
寿司屋などでも食べられるノリのようなものだという。
博士はハドソン川の地図を広げると青のりの生息域を記す。
薬品の流れは主に下水処理場の消毒に使われるもの。エリオット
はリバーバンク州立公園内にそれがあるという。それが
バッテリーパークまで流されてきたというのか。当日の川の
流れだとして博士からデータを示される。
捜索は1~2マイル程度だとしてクレイゲンは捜索するよう語る
しかしこの地域は行楽客が多く、ビニール袋は付近にある店の
もので健康薬品のものだったという。近隣住民によるものかも
知れないとのこと。もしかするとカモフラージュの為に捜索届け
が出ているかも知れないと語る。
ホァンは死体が傷つかないように毛布に包まれていることから
犯人には情があるという。男性ならば出産前に手を打つはずで
犯人は母親側だろうと。隠して立てていた一人暮らしの学生の
可能性もあるとし、近くにハドソン大学があるという。
1月14日(火)・ハドソン大学
オリビアとエリオットは、学生の中で妊娠しているもの、
妊娠検査したものについてのリストの提出を求めるが、学生課
で勤務する女性はプライバシーなので証せないという。
エリオットは該当者が見つかるまで廊下を行き来して聞き込み
しまくるぞというが、学生の妊娠検査はSHAREが管理している
のだという。予防の啓蒙の為の学生ボランティア団体だという。
学生から尿サンプルを集めて妊娠検査をしているという。
検査は匿名で、裁判所命令が有れば教えるというもの。
オリビアたちはキャボットの元にいき令状を求めるが、証拠が
少なすぎるという。エリオットたちはこの件でキャボットが
妙に消極的ではないかと呟く。
1月14日(火)・人口動態統記局
1月15日(水)・マンハッタン整備
1月17日(金)・クレイン研究所
1月20日(月)・第55法廷
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カヌーの練習をしていた二人の男性がハドソン川に流れている
クーラーボックスの中から乳児の遺体を発見する。
生後一ヶ月以上経過している乳児で、胃には母乳を飲んだ形跡
があり、体や虐待など問題がないように思われたが、調べて
いくウチに抗うつ剤のイミプラミンが検出される。
明らかに殺害したものであり、クーラーボックスに付着した
物証からどの地点から流され、そして何者が殺害したのかを
調べていく。
今回は久しぶりにオーソドックスな組み合わせ(エリオット&オリ
ビア、マンチ&フィンのコンビ)での捜査。
一癖も二癖も有る内容で刑事ドラマとしてのドラマ部と、罪の量刑
を裁く法廷ドラマとしても面白い内容だった。
冒頭ではプライバシーの問題が主にメインの流れに絡んで
くる。マンチが意外にもプライバシーには遵守・尊重される
すべきものとして、幾ら捜査でも他人のことに詮索していくこと
に難色を示すところも有ったけど、殺人であるという事実を持ち
出されると刑事としての使命感がいずれの葛藤に於いても優先され
るべきものとして抽出されていく。
プライバシーの壁は主に、ハドソン大学で有ったし、
人口動態統計局、難病支援団体の牧師や医師など、その都度、関係者
の洗い出しには、駆け引きなり令状が要求される。
冒頭のハドソン大で妊娠検査をした人物のリストの提供を
求める際には、キャボットに令状を頼みにいくが、証拠が足りない
ので難しいと断られるといういつものワンパターンなやりとりが有った。
エリオットは医療従事者以外の人物が妊娠検査をしていることを楯に
令状を取れないかと発言したかと思えば、計画出産推進団体によって
抗議が来るので難しいとするキャボットが反論したりで、なかなか
過度のプライバシーの保護に難色を示す場面が多かった。
人口動勢統記局でリストを求める際に、マンチは「リスト入手
を命じた判事は暴君だ」とか「この國の人権を脅かすもの
だ」としていたけど、フィンの一言が面白かった。
「文句があるなら出て行け」。でも容疑者が8人に絞られた
ことを知ると途端に私生活を暴こうとして積極的になる姿
も有る。
二ヶ月以内に検査を受けたもので出産届を出していない人へ
と限定され、訳ありっぽい人たちを調べていくも、最初の
人は流産だったし、次の人は15歳の少女が中絶したもので、
いずれも暴かれたくないプライバシーを暴いただけとなった。
マンチの「それみたことか」的態度も有ったけど、少女の中絶の
流れを見れば暴いた方が良いプライバシーも有るのではないか
と思わせるものも有ったな。しかし姉は20ポンドのダンベルを
無くしてしまったけど、何処で無くしたんだと小一時間。
この流れってミスリードを誘うもので、遺体のクーラーボックス
を沈めた重石に使われたと思ったからこそ無くなったとしても
納得だけど、普通そんなダンベル無くさない(笑)
父が娘に対して「アバズレ!」扱いするのも凄かったけど、
エリオットも熱くなり脅しをかけていた。感情的になるなと言われた
ばかりなのに。
最近メリンダが私服で登場するシーンが多いけど、いよいよ
今回はドレスを着ての登場だった。旦那とレストランにいた
みたいだけど、食事をしに行っても遺体のこと、仕事のこと
は常に頭から離れないようで、わざわざ気が付いたことを
ドレス姿でオリビアたちに話しに来る辺り、どんだけ仕事人間
なのかって感じだった。メリンダがこれまで食事中のオリビアたち
の前で遠慮無く死体のことを語り尽くすシーンなども有ったよね。
そんなメリンダの甲斐も有って乳児がテイサックス病という
難病であることが判明する。その病気は主にユダヤ人に多くみら
れるということも有り、ユダヤ系のマンチも裁判の行方は
相当気にしている流れが有った。
フアンの心理学捜査も今回は二段階に変わった。
「遺体は病気の治療に費やすだけの財力のある夫婦で病気を知るま
で母親には殺意が無かった人物」としていた。
安楽死に対する見解は複雑なものがあり、マンチは大人の安楽死
は容認の立場のようだけど、子供の場合は何処までその線引きを
するのか難しいようなことを語っていた。ただ5歳までに亡くなって
しまうという病気の特性からすると、その安楽死をさせる親の
気持ちというものも全く分からないでもないものがある。
殺人なのか親心なのか。
「私は神を信じている。その神が罪のない子を苦しめるなんて
信じたくない」から殺したといういい訳の妻。
更に問題は急旋回し、何故妻も夫もユダヤ系ではないのにその
病気を発症したのかということや、普通に遺体を埋葬しても
良いハズで、夫には内緒で行ったということを考えると、
浮気の事実を隠そうとしているものではないかとする疑いを
もたれるのもある意味では仕方がない。しかしそれでもやっぱり
このケースはなかなか難しい判断だった。
第二級謀殺の有罪で懲役25年。
これは殺人だとしていたキャボットもその刑の重さは今回の
ケースに見合っていないことを語るほど複雑さを感じさせる。
マンチ自身もキャボットとの会話の中で、「もしあなたの子ならば
どうするか?」と問われ「なんでもやるよ」と語る姿が有った。
■俳優
・安楽死に手を貸した医師プラットナー役のJudd Hirschは、
現在感想を書いている「ナンバーズ」で父、アラン・エプス役を
演じている。
・娘のサラを安楽死させたアンドレア役のElizabeth Mitchell
は「LOST」のジュリエット・バーク役を演じている。
エリオット・ステイブラー (Christopher Meloni) 刑事
オリビア・ベンソン (Mariska Hargitay) 刑事
ドナルド・クレイゲン (Dann Florek) 主任警部
ジョン・マンチ (Richard Belzer) 刑事
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
アレクサンドラ・キャボット (Stephanie March) A.D.A 検事補
オダフィン・チュツォーラ (Ice-T) “フィン” 刑事
メリンダ・ワーナー (Tamara Tunie) 鑑識
ジョージ・ホァン (BD Wong) FBIにも精通する精神科医
エリザベス・ドネリー (Judith Light) 地方検事補・主任
レイトン (Jordan Gelber) CSU Tech
Dr.ジュダ・プラットナー (Judd Hirsch) 小児科医
Mr.ロワン (Larry Bryggman) プラットナーの弁護士
ドナ・エメット (Viola Davis) アンドレアの弁護士
ダニエル・ブラウン (Gregg Edelman) アンドレアの夫
アンドレア・ブラウン (Elizabeth Mitchell) 妻
— (Stephen Schnetzer) Rabbi
ロジャー・スワンソン (Ned Luke) 父親、会社の重役
— (Patty Weaver) Clinic Clerk
Dr.シーラ・クイン (Caren Browning) 生態学研究所・博士
ミシェル・ラーソン (Sheila Tousey) 判事
エレン・スワンソン (Heather Goldenhersh) ブラウン大で妊娠検査
パティ・スワンソン (Nathalie Paulding) エレンの妹、15歳、妊娠
コリーン・スワンソン (Allison Briner) ダニエルの妻、DV被害
Dr.クレイン (Keno Rider) クレイン研究所
ポール・ハウリー (Gerry Rosenthal) パティの元彼、整備会社勤務
フランク・サバズ (Michael Deeg) 妊娠検査したアンジェラの夫
ジェフ (Dean Alai)
— (Lisa Barnes) Jury Foreman
レオ (Chris Chalk) カヌーで遺体発見
スティーブン・ケラーマン (Paul Adelstein) ユダヤ人、アンドレアの同僚