第7話 母の権利と子の権利 Choice
脚本/Patrick Harbinson
監督/David Platt
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【ストーリー】
ブレギン捜査官は、レストラン”ママスー”の前でガラスが
割れる音が聞こえた為に強盗被害に有っているとして、本部に
応援を要請する。一人で店内に入っていく。室内は暗いために
懐中電灯の明かりを頼りに物音がする方向へと向かう。すると
銃を持ったラテン系の男が居た。ブレギンは銃を捨てて投降
を求める。しかし近くには女性・ジェニファーが助けを求めた
為に、逃走する男よりも優先して夫人を助ける。室内には
“くたばれアバズレ”と赤いペンキで書かれていた。
ジェニファーに声を掛けると頭が痛いとして訴える。
深夜だった為にオリビアはすぐに急行してくるが、少し遅れて
オリビアからの連絡でエリオットがやってくる。
ブレギンから話を聞くオリビアは、容疑者はラテン系の10代
後半の男性。銃に気を取られていたので顔は見ていないという。
遅れてきたエリオットにも事情を話す。被害者はジェニファー
フルトンで、夫のクレイグと共にレストランを経営。閉店後に
侵入した犯人によって襲われたものだった。夫が残るときも
有るが今回は彼女一人だった。
売り上げ金は残っていたこと。それを聞くと盗み損ねたものなの
か、それとも怨恨なのかと告げる。
ジェニファーが運ばれた病院にいく。
すると医者は一晩経過入院すべきだと話したが、ジェニファー
は退院すると言っているのだという。検査と治療は既に済んだ
という医師。オリビアたちはジェニファーに逢う中、一日は
入院した方が良いと薦めるが、退院するという。犯人との面識
は有るのかと問うが顔は見えなかったという。服装とか人種は
どうかと問うが後ろから殴られたので何も覚えて居ないと語る。
オリビアたちは明日改めて話を聞かせてというが、私は被害者
であり忘れさせて欲しいという。
オリビアは今回の件をフィンとクレイゲンに報告する。
レイプ検査は陰性だが明らかに暴行を受けていること。
しかし本人は捜査に非協力的だという。報復の可能性は有る
のかとし、落書きの件でギャングの関与を疑うが、フィンは
それを否定する。夫妻のトラブルを調べて鑑識から話を聞くよう
指示するクレイゲン。
現在皮膚と血液を化粧から見ると多分転倒した時に頭をぶつけた
であろうことをフィンとマンチに語る。
また二人はカメラ映像は店内になく、ペンキの素材は何処にでも
有るモノだという。現在指紋を採取しているとのこと。裏口
からチューインガムが発見されているとし、閉店後に掃除して
いるので落ちているゴミは当時犯人が逃げたものである可能性
が高いという。
29分署の話ではジェニファーは過去に問題を起こしている
というエリオット。未成年に酒を売ったのだという。初めての
違反なので罰金で済んだとのこと。売った相手はレオン・アーディ
レス(18歳)。
一方店を恨む人は居ないだろうこと。そもそもこの店はチェーン店
であり、加盟契約を夫婦でしているという。
そんな中、フィンとマンチは近所の店の防犯カメラから容疑者
らしき人物が写っている映像を見つけたと語る。
10代のラテン系の男がガムを購入している映像だった。事件の
15分前の映像・・・エリオットはこれはレオンだと語る。
10月27日(月)・ジェニファーの自宅。
ジェニファーとクレイグが居る中、容疑者の写真を見せてこの中に
犯人はいるかと問う。ジェニファーはこの人は私が酒を出して
捕まった子だとしてレオンのことを語る。逮捕時に妻を責めていた
というクレイグはオレが居れば良かったと語る。オレはバスケ
を見る為に早く帰ったと語ると、エリオットは本当に見ているか
質問をすると本当に観戦していた事が分かる。
レオンを掴まえると取調室で話を聞くフィンとマンチ。
レイプしたんだろうと問うと、指には店に書かれていたのと
同じペンキで付着していることを指摘する。
そんな中バルサス弁護士が入ってくると、二人に人権は無視かと
問う。ペンキの照合で鑑識に連れて行くと語る。
店内にはワイングラスが割れていたこと。ボトルなども入って居た
という。ペンキをGCMS(質量分析計)で調べるという鑑識。
弁護士は不衛生なラボに対して茶々を入れる。
ワイングラスには拭き取った後があるが、一部部分指紋が検出
されていること。閉店後に誰かがジェニファーとワインを飲んで
いたのだとし、グラスを拭いていることを指摘。
そんな中ペンキについてはレオンの手のものと落書きのペンキが
一致する。確かにドアから店には行って落書きをした事を認めるが、
倒れて居たので助けようとしたのだという。せいぜい不法侵入罪だ
という弁護士。しかしフィンたちは銃を持っていたことを告げ
強盗・暴行を指摘。巡査は確かに銃を持つ彼を見ていることを
指摘するが・・・
そんな中クレイグのことを調べていたエリオットは過去に彼は
暴行で逮捕されているという。しかし妻の申し出で不起訴になった
とのこと。別居していたのだろうとし、半年前から別居していること
が分かる。夫婦名義で加盟契約しているので別れられないのだろう
とし、別れると契約は打ち切りになるという。店は問題で業績が
悪くて契約解除になりそうだとオリビアは語る。酒類管理局に
夫の指紋が採取されているハズなのでワイングラスの指紋と照合
する様語る。
10月28日(火)・ケイシー・ノバクの事務所
10月29日(水)・第38法廷
10月29日(水)・FASセンター
10月30日(木)・家庭裁判所
10月30日(木)・メロディ・ダンの自宅
10月31日(金)・ジェニファーの自宅
11月3日(月)・第74法廷
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レストランチェーン店”ママ・スー”に強盗が入って居るのを
巡回中の警察官が発見し、店内を調べると壁には「アバズレ」
と書かれたペンキの落書き。ラテン系男性が銃を向けて威嚇して
くる。更に女性主人・ジェニファー・フルトンが助けを求めて
倒れて居た為に、警察官は人名を優先し、逃走する男性を
深追いせずに彼女を救急車に乗せる。彼女は頭部を強打して
いたが幸いに命に別状は無かった。しかし服を破られ襲われた
形跡があることから、SVUに捜査を依頼する。
最近はSVUが認知されていて彼らを呼ぶ段取りが徹底されていて、
現場の巡査がダイレクトでSVUを応援に呼ぶところが有るのね。
深夜だったことも有り、オリビアが一番に来たけど、家庭を
持つものとしては待ったなしで起きる事件の対応は大変そうだ。
そもそも性的暴行事件とかってやはり夜に多く起きるものだと
思うしね。
ドラマのメインは犯人捜しが捜査のメインではなく、どちらかと
いうと裁判での争点がメインとして扱われた感じ。
そもそもの問題とは一体何なのか。
色んな問題が複雑に絡んでしまい、問題の根は分かりづらい。
ネグレストのような状態で育った子供(妻)が成長することの危うさと
共に、そういった人間が子供に対してどんな視線を持っているのか
という辺りの興味深さは存在したかな。
暴行にも色んな種類が有るけれど、今回の場合、性的暴行は無か
ったということで間違っていないのかな。夫人は妊娠していたというし、
被害者は泥酔していたみたいだし、服が破れたのは引っ張った時に
破れたとしていた。レイプ検査でも陰性であり、被害者自身が捜査に
非協力的だったことからも、夫だけに問題が有るとは言いきれず、
寧ろ被害者側にも話したくない事情は存在している様に思う。
後頭部をぶつけたのも実際には泥酔していて後ろにふんぞり返った
際に、シラフならば倒れなかったであろう時に防御体勢を取れなか
ったとするような事情が有りそうだ。
日常的に暴行が有ったけど、店が共用資産になっているので
別れられないことと、別居して結構な年数が経つのに、何度か
性的関係を持っていることが判明する。
これは皮肉として描かれているのかも知れないけど、夫婦関係に
於いて例えケンカして離婚の危機に有ったとしても、蜘蛛の糸の
ようにしてその二人をつなぎ止めるのが子供の存在であることが
言われるように、このドラマに於いては夫婦の絆を引き留めるに
至る子供の役が店の存在として置き換わり、店があるので別れられず
にいる。
そんな状況の中で出来てしまった本当の子供の存在に対する、それ
ぞれの親の対応・心情にはどんなものが含まれるのか。
ドラマでは、
・胎児に人権は存在するのかどうかの問題点。
・母親が胎児を守る為に夫から身を守るのではなく、夫がアルコール
依存の妻から胎児を守るという不思議な構図。
アルコール依存に陥ったのは夫からのストレスだと語っている
のだけど、問題の根っこには妻が両親からの愛情を受けずに育って
いることだと思う。夫がどれだけ日常的に暴力を奮っていたのか
分からないけど、それがストレス要因であることは間違い無いにし
ても、妻の過去を調べていけば、高校時代には既に泥酔して学校に
来ていたり、妊娠している過去も判明しているので、夫だけの問題
ではないところは有りそうだ。
人権の面に於いては冒頭で未成年の青年レオンが逮捕された時に
弁護士のバルサスが最初に人権のことを捜査官に語る。
あくまで前振りだったけど、まさか人権の論議が胎児という低年齢
にまで及んでいくものとは思わなかった。
正直妻の発言は何処まで信用出来るのかもよく分からなかった。
暴行という先入観を夫側にばかり押しつけて構成されていたけど、
依存症にある人物ならば保身の為になんでも言いそうだ。
冒頭でオリビアは彼女を守ると言った手前、彼女を信用して守ろう
とするも、一人ではとても守りきれるものではない。そもそも
夫は妻に対する殺意など有ったのかどうかも分からず、寧ろ
人を殺そうとしているのはジェニファーであるという皮肉。
酒は飲まないとした妻の言葉を信用して判決が決まったにも関わらず
早速目の前で酒を飲んでいる彼女の姿にオリビアとしても
安易に約束することなど出来ないものがあることを感じたのかも。
大人は自由に好き勝手していて、生まれてくる子供に負担がかかり
全てのしわ寄せがくる。
このジェニファーは本当に子供が欲しいと思ったのかもよく
分からない。子供が居る限りは夫が暴力を奮わないと思っている
のではないかとか、そんな深読みしてしまうところも有ったな。
反論する弁護士は、この判決が有罪になれば全ての妊婦は監視され
かねないとして指摘していたけど、ノバクの言うとおり極論過ぎる
ものが有り、寧ろこの弁護士は子供がFASになることを想定しての
発言なのか疑問だ。弁護士とは人権のあるものだけを守ろうとする為に
お腹の子のことなど気にせず、依頼人であるジェニファーだけを
守れば良いのかと思わず突っ込まざるを得なかった。
最近オリビアはエリオットから家庭のことをよく尋ねるね。
キャシーは妊娠中に酒を飲んでいた?と尋ねるとワイン一本程
飲んで居たことも有ったと語る。適度な飲酒でもFASの危険性が
あるそうよとし、今度妊娠しても酒を許すのかと問われて居たけど
4人も子供がいるのに、流石にもう妊娠は無いだろうって感じ。
「グッドラック・チャーリー」のダンカン家とか「デスパレートな
妻たち」のスカーボ家パターンが無い事も無いのだろうけど(笑)
■その他
・
エリオット・ステイブラー (Christopher Meloni) 刑事
オリビア・ベンソン (Mariska Hargitay) 刑事
ドナルド・クレイゲン (Dann Florek) 主任警部
ジョン・マンチ (Richard Belzer) 刑事
? (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
アレクサンドラ・キャボット (Stephanie March) A.D.A 検事補
オダフィン・チュツォーラ (Ice-T) “フィン” 刑事
メリンダ・ワーナー (Tamara Tunie) 鑑識
ジョージ・ホアン (BD Wong) FBIにも精通する精神科医
ケイシー・ノバク (Diane Neal) A.D.A 検事補
ジェニファー・フルトン (Josie Bissett) 妻、レストラン”ママ・スー”
クレイグ・フルトン (Rick Aiello) 夫、共同経営
ジョシュア・フルトン (Chris Bachand) クレイグの弟
ニッキ・スタインズ (Callie Thorne) クレイグの弁護士、
レオン・アーディレス (Victor Rasuk) ジェニファーから酒を売ってもらった
ライアン・オハロラン (Mike Doyle) Forensics Tech
マーク・セリガン (Tom O’Rourke) 判事、陪審員から判決を聞く
メラニー・ダン (Lenka Peterson) 教師、ジェニファーのことを証言
サラ・ヘニング (Elain R. Graham) 判事・家庭裁判所
ハウイ・リバード (Fred Burrell) 判事、第38法廷
フェリシティ・ブラッドショウ (Shirley Jones) クレイグの弁護士、中絶反対
ローナ・スカリー (Mariette Hartley) ジェニファーの弁護士、紹介される
レベッカ・バルサス (Beverly D’Angelo) レオンの弁護士
Dr.ロイト・ミータ (Ali Reza) ジェニファーの対応
マーガレット・メリア (Victoria Clark)
ブレギン (Philip LaSalle) 制服警官
トム・ロングリート (Tod Engle) リリーの養父
リリー・ロングリート (Kathrine Roberts) ジェニファーが養子に出した
— (Kathleen DeFouw) Jury Forewoman