第17話 笑顔の価値 Smile
監督/Bill D’Elia
脚本/David Hoselton、Karen Struck
【STORY】
ショーンは病院に出かけようとするとドアの所に何かが
置いて有った。「いつもありがとな ダチのケニーより」。
半分飲みかけた牛乳と共にメッセージカードが添えてあっ
た。
●聖ボナべントゥラ病院
◆患者グレッチェンの部屋
アレックス、マーカス、ショーンが患者の部屋に集まり
話をする。
ラス・ミルマン (Patrick Sabongui)は、良い機会なの
で転勤でこっちに移ったので娘のグレッチェン
(Olivia Steele Falconer)の学校も変わり新しいスタートが
切れるようでワクワクしているという。グレッチェンは
パパは大学でチアリーディング部だったと語る。今のは
冗談です。心の中では笑っているつもりだというグレッチ
ェンだが表情は微動だにしない。ラスはユーモアの子だと
いう。マーカスは時期に力を出して笑えるようになると
いう。
アレックスは彼女の病気【メビウス症候群】について説明
する。脳神経の6番目と7番目が麻痺があり、そのウチ7番目
は表情筋を司っていること。グレッチェンの場合幸い6番目
に麻痺は見られないこと。それを聞いた本人は無表情で
「私はラッキーガールね」と語る。マーカスは君の腿の
筋肉をほんの少しだけ神経や血管を含めて切り取り頬に
移植するという。アレックスは自分の意志で笑えるように
なるまで手術したら少しの時間・・3ヶ月くらいすれば表情
に出てくるという。マーカスはやるって事で良いかと問う。
するとグレッチェンは「一晩考えていいかな?」と語る。
一瞬その場に居たものは呆気にとられるが「冗談を言って
も通じない・・誰も分かってくれない・・ごめんなさい」
と語ると、もちろん手術をやりたいですと語る。
ショーンは突然君はコメディアンになりたいの?と問う。
冗談を分かってもらうことが非常に重要だと思わない限り
死ぬリスクのある手術は受けないハズだという。それを
聞いてマーカスはため息を漏らす。
マーカスはラスに謝罪する。
彼は何も言わなくても良いときがあるってことを学習して
いる最中だと説明する。しかしショーンは医者は患者さん
に手術に伴うリスクを正直に話す義務があると語る。
お嬢さんが笑顔になれるまでやる価値が有るとマーカス。
父親のラスも笑顔や冗談だけではなく娘は感情を何も表現
出来ない・・誰にも分かってもらえない・・嬉しいのか
悲しいのか怯えているのか何一つだ。友達も殆ど出来た事
がなく母親を亡くしてから完全に引きこもってしまっている
という。私はグレッチェンを外の世界に戻したいんだとい
うラス。マーカスはちゃんとやりますと約束する。
◆患者・ルーシー(Jenny Steadman)の部屋
運ばれて来たルーシーは術後感染症にかかっていた。
クリンダマイシンを900mg入れたという。ルーシーはかなり
腫れているでしょ?というとモーガンはそうですねと語る。
クレアは包帯は変えていたかと問うと毎日変えていたと
いう。傷口は綺麗なお湯で流していたというとルーシーに
対してクレアは抗生物質を1日3回飲んでいますか?と問う。
しかし痛み止めしか飲んでいない事を知りメレンデスは
処方箋も出して居るのに何故飲んでいないのかと問う。
薬で悪い反応が出たことがあるのか?とクレア。薬をもらい
に行かなかったという。酷い状態になるまで必要だと思わず
酷くなってからは行くのも無理で頼める相手も居なかった
というルーシー。馬鹿をやってごめんなさいというが、
モーガンは馬鹿も良い所だと憤怒する。
ショーンはアーロンを購買フロアで見かけ声を掛けるか
どうか戸惑い逃げようとする。しかしアーロンの方から
声をかけてくる。
「久しぶりだ。君は今何をしているのか?」
「リンゴを買う所です」。
レジ係のデビー・ウェクスラー (Sheila Kelley)に対して
アーロンはショーンの分も払うというがショーンはそれは
結構だという。あなたは友達にはなってくれなかったと
ショーン。でも私たちは仕事仲間だとしてとにかくどんな
関係であれ話をしても良いのではないかと告げる。
僕の新しい友達はケニーだという。アーロンに対して新しい
友達は居るのか?と問うとそれを否定する。
たまにはお喋りも良いだろうとしスポーツとか天気のこと
など・・・。するとショーンはデビーのことは?と問う。
デビーはあなたに気を引いていたという。「典型的サインを
2つ」あなたに示していたこと。前に言っていた「三大
テクニック」のことなのか?と問い返すアーロンに違うと
いう。3つ目は普通とは違うパターンだったと。アーロンは
愛想良くしてくれているだけだろうというと、彼女は
おつりを1ドル多く渡した。それに気がつかないあなた
もデビーが好きだからだというショーン。
グレッチェンはパパはあなたが自閉症だからそれで冗談
について変なことを言ったんだとしているという。”みんな
いつも僕の冗談を分かってくれる”という。それじゃラッキー
ねという彼女。”今のが冗談だ”というショーン。
私のアダ名は「不機嫌顔のグレッチェン」だとすると僕の
アダ名は「マヌケなショーン」だという。良いあだ名では
ない。僕は明らかに頭が良い・・だからみんなに教えて
あげたというショーン。私もハンデが有る。何を考えて
いるのか分からないからとっつき難いと・・みんなから無視
される。僕は親しみやすい人間になりたくないという
ショーン。それに自分の感情を他人に読み取られたくない
という。感情は僕のものだから・・。友達ならば別でしょ?
という彼女。この手術は本当にリスクが高いと思っている
のか?と問うと起こり得るリスクは
「塞栓」「出血」「二次的麻痺」「顔の非対称」「脳障害」
「脳梗塞」そして「費用が高額」。これは任意の手術
なので医学的には必要がないからだという。
モーガンはERは2時間待ちの混雑なのに医師の指示を平気
で無視した患者を治療することへの違和感を覚える。
■Impression
今回は如何に人間が「表情」によって相手の行動を読み取
っているのか分かる様な作りだった。
表情がないと相手が嬉しいのか悲しいのか本当に分からな
い。相手が自分に好意を持っているのかどうかについても
「表情」が微妙な変化として表れるハズで、そういう所で
人は駆け引きなり反応でリアクションを取っているところ
がある。
笑顔によって相手に好意・好感度を持っていることが
伝わり、そこから情というものが芽生えるもの。
最終的に今回の患者のグレッチェンを説得する時にも
父親が母親と出会った時の「笑顔」についての幾つかを
語りそれを決断へと後押しさせた。
冗談はなかなか伝わらないことも多いのだけど、「冗談」
と「嘘」についてのテーマ性も面白く作用していた。
基本的にはショーンの成長・人間関係の構築が全体的な
テーマにはなっているハズなので、彼が色々と学習して
いるのは分かるけど、自然と身につけていく過程は少々
不安な面も多いね。何よりも今回は後ろ盾になってくれ
ていた大きなバックアップのアーロンがあんなことに
なってしまった。
また今回も「3」はテーマというより理由を語る上での
選択のような形で現れている。それを分かり易く「」で
囲んでみましたので見てみて下さい。
「3」という数字は何を意味するのでしょうか。
意外と中途半端な数字だと思いませんか?
今回のエピソードを見ると「決断」ということも有るので
すが「基準」に対して「柔軟性」というものも求められる
内容でした。私はその柔軟性こそ「3」の数値を象徴して
いるのだと思います。
■レジデントを襲うリスクの嵐
・ショーン
今回「笑顔は人に感染する」ということの実験を行う。
人は本当の笑顔を見せる時【デュシェンヌスマイル】か
どうかで見抜けるっぽい。
世間一般に見て、笑顔は過大されているのか。
それともエンドロフィンの分泌により自分もハッピー、
周りもハッピーにさせるのか。人は笑顔を見ると側頭葉
が刺激を受けて自分も真似をする。笑顔の伝染。
ショーンの作り笑顔も笑えたしマーカスの笑顔も笑えた。
「あなたの笑顔は本物じゃない。デュシェンヌスマイルとは
異なる。」
「目が笑っていない。目の周りの眼輪筋が動いていないと
いうことはエンドルフィンも分泌されていない。」
またショーンと同じような患者のグレッチェンとの間で
形は違えどコミュニケーションに問題の有る人が登場
した。正直に何でも話してしまうショーンと正直に話して
も真意が伝わらないグレッチェン。
・モーガンとクレア
この二人の生育環境は完全に真逆を行っている。
二人共問題の有る母の元で育ったのでトラブルメーカーを
見抜けるとしていた。惨めな子供時代のたった一つのメリ
ット。モーガンに負けじとクレアは
「私は6歳でママが死んだ。継母は子供嫌いで借金まみれ」
と語っていたが、後にクレアが調べた所、彼女は全くの
正反対だった。
母はジョンズホプキンス大の循環器内科医、父は病理学者。
結婚37年で離婚などしていない。
モーガン曰く
「恵まれた育ちでは尊敬されない」
・ジャレッド
この人は完全に次のシーズンを見越して最終局面に入った
感じもする。確かこの人もモーガンと同じで実家は金持ち
だったよな。でも家族にはあまり恵まれていないような
感じだった。
そんな中セレズ(Kandyse McClure)というS1E06に登場した
患者が現れる。
ヤケドをした患者で「フィッシュガール」とされる
ティラピアスキンを貼りつけて5ヶ月になるという。
「野良猫が付いてくる」というセリフは笑えた。
セレズは明らかにジャレッドに恩義を感じている。
ジャレッドも好意を持つが、医者と患者の身。
今でもこういう言葉を使うのかはわからないけど、
ジャレッドとしては完全に彼女は【ナイチンゲール症候群】
に陥っているのではないかと感じている。
また彼は先日モーガンに言われたようにここに居ても
信用を取り戻す事は難しいと感じている。
そこで紹介してもらった
・セレズ
今回は患者と言えば患者なのでそこのタグの中に書こうと
思ったのだけど・・まぁジャレッドの項目下に書いて見た。
色々と痛みを紛らわす為にジャレッドに失敗例などを
色々と話してもらっていた。
■患者
・グレッチェン・モーガン
担当医:マーカス・アンドリュース
助手:ショーン、アレックス
付き添い家族:ラス・ミルマン(父)
【メビウス症候群】の患者。
脳神経の6番目と7番目に麻痺があり、そのせいで表情が
感情と一緒に表れることがない。
モモの筋肉を移植することで表情筋が復活させられる
みたいだけど、それには当然リスクも有り、ショーンは
何故わざわざリスクを冒してまでも手術を受けるのかを
問う。
ショーンと会話しているウチに手術は受けないと言い出す。
「今の私は障害が有って強くなれたので逃げるのは辞め
にする。」
色んな人に該当しそうなセリフたせね。
アレックスが改めて彼女と話し合った結果、警察時代に
供述を引っ張っているのを大勢見て来たので人の行動の
真意にはそれなりに読むことに手慣れている。
手術を否定し始めた理由は3つのどれか。
「恐れ」「混乱」「金銭」
グレッチェンの場合保険の関係で病院が必要だとした手術
ではなく任意の手術なので保険が下りない。
上手く保険会社ジム・ランスラー (Tom Butler)には
マーカスが脅して出させていたけどね。
手術を邪魔させないとして例に挙げたのは3つ。
「いじめっ子」「保険会社」「ショーン」。
・手術
手術はマーカスが行う。
第一助手はアレックスで縫合線を綺麗にあげる為に筋肉を
引っ張る役目。
・術後
どうも自発呼吸がない。麻酔効果が遷延しても1時間から
1時間半で目覚めるハズというのがショーンの言葉。
気道防御反射や身体の動き、意識の回復が有って然るべき。
ただ血糖値は成城範囲内、電解質も正常範囲だった。
高熱症でも低体温症でもなく、低酸素症なのか。
酸素濃度、炭酸ガス濃度もずっと正常値。
拮抗薬を投与した。
CTで血栓や血腫がないかを確認せよとのこと。脳梗塞も
調べろとマーカス。
結局CTでも異常はなく拮抗薬もダメ。低酸素脳症の可能性
が高い。麻酔による合併症だというショーン。そして
それは脳死を意味する。
しかしサクシニコルコリンを投与された為に彼女は元々
【コリンエステラーゼ欠損症】ではないかということに。
マーカスも見た事は無いもの。
角膜反射をする。鼻毛線体神経によってもたらされている。
それをやると見事反応した。
目覚めた後に試しに表情を神経刺激装置を使って作って
見た。
・ルーシー / ベアトリス
担当医:メレンデス
助手:クレア、モーガン
付き添い家族:
今回は冒頭で出て来たルーシーは本物のルーシー・カラ
ードのサイフの中からIDを盗んで診療を受けたものだった。
成りすまし犯罪だとして色々と話合いが行われているが
診療をしているウチに途中で逃げたり、また救急車で
戻って来たり・・そしてそんな中でも本物のルーシーが
現れる。話を聞くと6週間前に医療カードを盗まれている。
しかし話を聞いていくと診察は受けているが処方薬は
もらっていないことが判明する。
逃げ出したけどまた救急車で戻ってきた。
敗血症性ショック。乳酸値を調べて、血液培養。
広域抗生物質を投与する。
モーガンとクレアは通報すべきか患者の治療を優先すべき
かで口論がある。
「泥棒が居れば通報するのが当然のこと」
「ヒポクラテスの近いに支払い能力を見てから治療しろ
なんて無い」
「紀元前4世紀ギリシャに健康保険はない」
結局「治療の義務」。優先事項として容体が安定してから
当局に通報すれば良いという。
彼女には息子が居て大学に行かせる為に保険を諦めた。
モーガンは作り話の嘘だとするが・・・寧ろ作り話をして
いたのが本物の方であることが分かってしまうという皮肉。
ルーシーは白血球と乳酸が上昇。サチュレーションと血圧
低下で抗生物質に効果が無い。多臓器不全というメレンデス
の診断で輸液、昇圧剤、ステロイド、ガンツを入れて挿管
せよとのこと。
・ルーシー / ジェーン・ドゥ
本物のルーシー。帯状疱疹後神経痛で痛み止めを処方
されている。しかしこの人は後々色んなところで鎮痛剤
をもらっていることが判明。
一年前にはテニスをしていた程の活躍も、帯状疱疹にな
って以降痛み止めが欠かせなくなり仕事も辞めて夫から
も年寄り扱いされ娘も赤ちゃんの傍に寄せ付けないと
いう。家庭内では「名無し」も同様なのでその名がお似合い
だと自虐していた。結局ドラッグ依存。
■その他
・デビー
久しぶりに聞いたけど美人を現す人の顔の黄金比。
デビーの顔の比率はそれに近いとし
「目と口の距離が38%」
「瞳と瞳の距離が48%」
ショーンとしてはアーロンとデビーを結びつけたかったの
だろうか?
共通項として二人とも多分「ユダヤ人」だとしていた。
「民族との共通性は社会的に結びつきに役立ちます」
「シャローム」
プチデートっぽいカフェでの語り合い。
「プリム祭り」というユダヤ教のことを話合う。マッツァ
を食べたとかユダヤ人がエジプトから逃れたことを祈った
としていたけど、アーロンは「過ぎ越し祭り」と勘違い。
改めて暴露するとアーロンは半分がユダヤ人でデビーは
元夫がユダヤ人だっただけで自分はその血統にない。
これで二人の関係もダメかと思ったけど意外なところで
盛り上がる。
なんと目の前で事故った車が「1975年式メルセデスベンツ
300D」で最も完璧なマシンが壊れたとデビーが呟いた。
するとアーロンは1967年の280SE・クーペこそ最高だと
言い出す。300SKのガルウィングの持ち主なら異議が出る
だろうとして盛り上がった。
・セレズとジャレッド
ジャレッドが「転移」について調べるのをショーンが
見つける。どうして電気分解術を調べているのかと不思議
に思っていたが実際には科学的なことではなく医者と
患者の感情転移のことだった。クレアに相談できないし
アレックスやモーガンのことはよく知らない。
そんなショーンは「僕も居るよ」とばかりに存在感を発揮
した。今回のショーンの実験の答えにも通じるのか。
ショーンはリアから言われた言葉をジャレッドにも語る。
「知恵の閃きを選るのに必要なのは具合が悪いと言って
休むこと」
・アオキとマーカス
今回はマーカスの活躍にアオキも一目置いていた。
院長の座に近づいたのではないかとしていたけど本当に
近づいているような気がするアーロンの容体の悪化。
・利用されていたショーン
ケニーがやっぱりクソだった。
友達を連れてポーカーをしている中ショーンを室内には
入れようとしない。70インチのテレビを勝手に借りてピザ
まで奪った(笑)
■Used songs
・Tough (feat. K.S. Rhoads) by Amy Stroup
■Cast
Dr.ショーン・マーフィー (Freddie Highmore) 自閉症でサヴァン症候群
Dr.ニール・メレンデス (Nicholas Gonzalez) 外科の主治医
Dr.クレア・ブラウン (Antonia Thomas) 研修医
Dr.ジャレッド・カルー (Chuku Modu) 研修医
ジェシカ・プリストン (Beau Garrett) 院内弁護士
Dr.マーカス・アンドリュース (Hill Harper) 外科医の最高責任者
Dr.アーロン・グラスマン (Richard Schiff) 聖ボナべントゥラ病院の院長
アレグラ・アオキ (Tamlyn Tomita) 副院長、財団の責任者
Dr.オードリー・リム (Christina Chang) 脳外科医
Dr.モーガン・レズニック (Fiona Gubelmann) 研修医
Dr.アレックス・パク (Will Yun Lee) 45歳、警察官から医者
ケニー (Chris D’Elia) ショーンの隣人
JL (Teryl Rothery) 麻酔医
セレズ (Kandyse McClure) 熱傷患者
デビー・ウェクスラー (Sheila Kelley) 病院内のコーヒー店
グレッチェン・ミルマン (Olivia Steele Falconer) 娘
ラス・ミルマン (Patrick Sabongui) グレッチェンの父
ジム・ランスラー (Tom Butler) 保険会社
ベアトリス (Jenny Steadman) 偽ルーシー
ルーシー・カラード (Julie Pearl) 病院IDを盗まれる・依存症
(Monice Peter) ウェイトレス、アーロンが支払い