(Anne aka ANNE WITH AN”E”)
Marvin Moore (c) 2017 Northwood Anne Inc.
https://www.nhk.jp/p/anne2/ts/Y5K7QL16N3/?cid=orjp-drama-lineup
脚本/Jane Maggs
監督/Anne Wheeler
第4話 かなえられぬ希望の痛ましい焦り
The Painful Eagerness of Unfed Hope
【ストーリー】
●プリンセス・エドワード島/アヴォンリー
雪化粧の牧場の中、アンとダイアナはその気持ちの良い光景
を目の前にして心弾ませる。
「心が現れるようだ。涼々しい気分」
「悲劇的ロマンスにはピッタリな日」
「きっとイギリスの詩人・テニスンもそう思うだろう」
二人の元にルビーとジェニーも合流する。
四人は古くて使われなくなった船着き場の船を前にして
先日のフィリップス先生の授業で朗読した「アーサー王物語」
を演技で再現して遊ぼうと考えて居た。
エレイン役の人は船に横たわりキャメロットへ流される。
他の日とたちはその死を悼んで涙する。涙するにはホントに
悲しかったことを思い出すと良いとアンはアドバイスする。
肝心の配役はどうするのか。エレイン役にはアンがやるのか
と言うがアン自身は赤毛のエレインは無いとして、綺麗な
金髪をしているルビーが似合うという。
詩の中にもこう記されていた。
「輝くばかりの髪が波打つ」。
しかしルビーは死んだ振りなど怖くて出来ないとし、一番
思い入れのあるアンが自分でやるべきだという。ジェーン
もまたエレインに思い入れがあることをアンに指摘する。
アンもそれを受け入れる。
「何でキャメロット王国に生まれなかったのだろう」
「今よりずっとロマンチックな時代だったハズ」
そんな遊び/演劇で遊ぼうとしている子供たちをエリザは
探していた。
演劇では、
ルビーがアーサー王。
ジェーンがグウィネヴィア。
ダイアナはランスロット。
そしてアンがエレイン。
しかしルビーは母から聞いた言葉を口にする。
「芝居なんて汚らわしいもの」。
そんな中芝居は始まる。
船に横たわったアンに対して、みんな額にキスをする。
ダイアナはキスした後に台詞を述べる。
「エレイン、永遠の別れだ。さよなら麗しき人。」
そこにエリザがやってくると子供達に憤怒。
危険でくだらない遊びだとして古くなった船から下りる
様に指示する。
アンやダイアナはこれは遊びではなくある意味勉強で有る
事を告げ、先日の授業の中でランスロットとエレインの詩
を習った為にそれを再現する芝居をしていたのだという。
しかしエリザは聞く耳持たず、みんな家に帰りなさいと怒鳴り
つける。
●朝のカスバート家
アンは自宅のゲート前で郵便局員が来るのを待つ。
馬に乗ってやってきた局員に対して、
遠い港から私宛の手紙は来たか?
と尋ねる。しかし手紙はマシュー宛てのものだった。
アンはマシューにその手紙を渡すと、大事な用なのかを
尋ねる。ジェニー(Brenda Bazinet)からの手紙。
既に三通目にもなっていた。
アンはダイアナとも遊べなくなり今日は退屈だと語る。
バリー夫人が厳しいこと。
私たちのした事は決して危なくはないこと。下宿人が
ウチに居た頃に比べたら今はずっと安全だという。
今度は分別を付けられそう・・アヴォンリーでロマンスを
求めようとしても無駄で有ることを悟ったから・・
もうロマンスなど尊重されなくなったと言うと、今頃気が
ついたのか?と。またトラブルを起こさないように家の用事
だけしていなさいというマリラ。街の人たちの事を考えて
私たちは目立たぬようにすべきであると。
しかしマシューはそんなアンに耳打ちするように小声で語る。
「ロマンスを諦めてはダメ。程々なら良い」と。
●バリー家
エリザは職人に命じて購入してきたカーテンを交換する。
夫のアンドリューは静かでありがたいとし、君が散在した
ケバケバしいカーテンは目障りだけどと皮肉る。
彼女は自分がカーテンを購入したのは貴方が金を失う前だ
という。そもそも金の問題に口を出すなと言っていたとし、
望みは何でも叶えるからと言っていたことも指摘する。
もうイギリスには死ぬまで帰れないというエリザ。
娘たち二人の将来はどうなるのか。これは家族みんなに関わる
事だというエリザ。しかしアンドリューもまた自分は家族の
役にたとえとしただけで君が何もせずに家でのんびりしている
からだと語る。
●カスバート家
アンは掃除をしながらも机の上に置かれたマシュー宛ての手紙
を意識する。何度も我慢していたがついに一通の手紙を開けて
しまう。小屋の片隅で手紙の内容を読む。そこには・・
「マシュー昨年再び青いしてから貴方のことばかり考えて
ます。この気持ちに応えてくれるなら何よりの喜び。アナタは
特別な人です。あなたのジェニーより」
■感想
シーズン1の最終話からシーズン2の3話までに発生していた
グリーンゲイブルズに於ける不穏な影/金の調査費名目の
詐欺事件が消化不良とはいえ一応過ぎ去った。
被害は受けたが犯罪者がいなくなっただけで安心するものが
あるけれど、シーズン2の開始早々そんな厳しい状況に置かれ
て、それを目の当たりにした視聴者は果たしてその後の物語
をモチベーションをもって見ていけるのか。
ただ少なくともマシューのカスバート家は昨年一年間の収穫の
利益が得られなかった事がある事を考えれば、金の採掘詐欺に
よって奪われたものたちは年収にして半分を奪われたという
状況である。
マシューが復帰してまた生活出来るようになったことを考え
ればみんなが協力していけば十分に生きていけるようになる
と思う。
損したものたちの為に気を使って、あまり家からも出ずに
買い物も控えているものたちが居る。
相手への配慮が行き届いていて優しい人たちだ。
しかし家の中で暮らさなければならないものたちにとっては
ストレスそのもの。今回は取り分けエリザがそのストレスの
はけ口を子供に向けていたけれど、自分の行動が子供達に
とって一番悪いマナーである事を知って我に返る。
アンもまたジェリーに怒りをぶつけていた。
また街の中でも人里離れたカスバートに行商人がやってくる。
アンが語る壊れたものの中にある魅力を説いたことで
行商人は感動した。
【壊れて居るものは悲しげ。しかし美しくも見える。今まで
長い年月に起こった楽しいことや悲しいことが全部染みこん
でくるから。それほど経験していない新しいものよりずっと
ロマンチックだ】
その話を聞いた行商人から壊れた写真を入れるようなロケットを
もらった。
それをアンとダイアナは二人で分け持つことになる。
ピリピリしたマリラによって行商人は追い出されてしまった。
恋愛対象に見ていたネイトが詐欺師だったと知って、少し
情緒も不安定のような感じ。
マリラは行商人はイタリア人だと言っていた。
今のイタリアは知らないけど過去イタリアっていうのは詐欺、
スリが観光地の至る所にいる。
しかし行商人はユダヤ系でドイツに暮らしており、妻子を
こちらに連れてきたいと思って居る人物だ。
■恋愛物語
今回は詐欺被害のその後処理的な流れもあるが、マシューの
恋愛物語がクローズアップされる。
この時代のロマンスはまさに自分の恋愛価値観には共感がいく
ところもあって嫌いでは無い。
先日までマリラが青春の淡い気持ちに浸っていたことと同様に
今度はマシューがそれに該当する。
しかし状況を難しくさせるのは誰かの幸せは誰かの不幸に
繋がる現実。
マシューがジェニーと結ばれたら残されたマリラとアンは
どうなるのか。マシューが学校を辞めて家庭のために働いた
ことを考えるとマリラとしてもなかなか一人抜け駆けのように
は恋愛もしていられない。
そんな気持ちを知ってか知らずかアンはマシューがアプローチ
してくるジェニーに返信をしないことをもどかしく思い
自分が橋渡し役をすることになる。
■責任を持つこと
今回のドラマだけに留まらずドラマ全般に言える事だけど、
他人の事情に関与する際には相手のことをよく知る必要が
ある。関わることによってそこには責任というものが重くの
しかかってくるからだ。笑って済ませる程度のものであるなら
ば良い。しかし下手をすれば相手の人生を一生左右すること
にだって繋がることもある。それを知っている本人は慎重に
なるが、橋渡しを考える人は大抵自分のエゴが優先して
相手に押しつける格好となる。
・アンはマシューとジェニーへ関与する。
・エリザは花嫁学校に通わせられなくなった為に自分が子供
に躾を教える。
・ギルバートは医者では無いが妊婦の出産を手伝う。
・無邪気なアン
決して悪気など無い。しかし無邪気という言葉がとても似合う
子のように思う。
ギルバートへの気持ちをなかなか出せずにいる子供の一面。
他人の恋愛には口を出す。しかも大人であるマシューにすり
替わって手紙を出してしまうというのは少し怖い。
・大人と子供
当時は今と比べれば大人として扱われる年齢はかなり低かった
事だろう。それだけ亡くなる年齢・平均寿命も短いハズで
早く大人になりたい人も居れば子供のままで居たい人も居る。
子供を経験してこなかったアンにとってはようやく子供になれ
るという時期。
マシューはジェニーとの間に恋愛感情があることを認めつつも
それを奪おうとしている事は出来ないと考える。
それを知ってか知らずか勝手に相手の心にずかずかっと入り
込んでは相手の心を誘導している。
大人であり金銭が絡んでくればこれは立派な犯罪者となって
しまう。それは大袈裟だとしても子供が大人の恋愛に口を
出すことは少々無邪気さを越えた無謀なものがあるように
思える。それが例え表現力に優れていてもだ。
しかし皮肉にもアンの行動によってマシューの中に埋もれて
いた感情の好奇心に火がついたのは確かではないか。
メガネをかけて暖炉の火で手紙を読むマシューは、その手紙
の中に書かれている
「あなたからの問いには答えます?」という謎の返信が書かれ
ていた。
その謎をつかむ為にアンが読んだであろう一通の手紙を
探す。
・人は間違いを犯すもの
間違いを犯した時に、取り返しがつくものならばまだ良い。
未成年の子が何らかの犯罪に手を染めてしまったとしても
許されるべき事と許されざるべきことがある。
人は間違いを必ず犯す。
一度の失敗や間違いだけで人を見限ってしまえば世の中
生きづらい。
アンは過去の経験から愛される方法も身につけていると
思うが、他人を傷つけて愛されなくなった事も経験している。
小屋に居た際にキツネが突如現れた。
映画の中ではよく鹿が突然登場して何かを示唆しているような
そぶりを見せるよね。
一度の謝罪、そして二度目の謝罪でも許してくれないかと
思いヒヤヒヤしたが、アンのした事は間違ってはいるが、
それでもマシューは快く受け入れてくれた。
・エリザとアンドリュー
話し合いを行う。私は二人は詐欺の件で何か知っているかと
思って居たけど知らずに「間に入って金儲け」しようと
した様だ。イギリス人として生まれた二人が何故この島に
いるのか。やはり一旗揚げたい気持ちがあるのは確かなのだ
ろう。
「金の投資の事だって前もって全部教えてくれれば賛成して
いた。そして一緒に悔やむことも出来た。でもあなたは一人
で抱え込んで何も言わない。あの時も今も同じだ」
「間違いを犯しても構わない。思いを共有したいだけ。あなた
の対等な伴侶として・・」
・信頼関係
今回は少しだけギルバートのエピソードも描かれた。
トリニダード島にあるport of spainに居た二人は、酒場で
酒を飲む。今回は【大人と子供】は一つのテーマになって
いるので酒は大人としての象徴ではないか。
そんな場所でルースという妊婦と出会う。
売春婦だが妊娠した為に追い出されしまったのだろうか。
しかしいつ生まれてもおかしくはない状況だ。
白人であるギルバードは当初は信用されなかった。
しかしセバスチャンの説得により彼女の出産をこの場で
行うことになる。ギルバートだけでは彼女から信頼を
得るのは難しかっただろう。
逆子で破水した状態の中、何とか無事に出産させた。
経験がある事を告げるが、彼は逆子だった自分が生まれる
事と引き換えに母親を失っている事で今がある。
・その他
・大抵子供が生まれるシーンがあると、誰かが亡くなるシーン
も対としてあるドラマは多い。しかし今回は全員が前向き
になれるような終わり方をしたのではないか。
・恋愛と言えば性の問題や年齢の問題も浮上する。
そして今回は大人になること、子供のままでいることが一つ
の視聴者への課題のような内容となっていた。
人種差別の問題、男女の問題なども存在しているが、何よりも
徐々に今後本題になるであろうコールの事が引き合いに出され
ていくのかも知れないことを予感させるものだった。
■使用された曲
・The Friends We Love by Shane Carty and Dalila Bela
■出演者
アン・シャーリー (Amybeth McNulty) 13歳、孤児
マリラ・カスバート (Geraldine James) 妹
マシュー・カスバート (R.H. Thomson) 兄、牧場主
ダイアナ・バリー (Dalila Bela) アンの親友
レイチェル・リンド (Corrine Koslo) カスバート家のお隣
ジェリー・ベイナード (Aymeric Jett Montaz) カスバート家の農場のお手伝い
ギルバート・ブライス (Lucas Jade Zumann) 生徒・イケメン
セバスチャン・ラクロワ (Dalmar Abuzeid) “バッシュ”トリニダード出身
Mr.ウィリアム・バリー (Jonathan Holmes) 地元の金持ち
Mrs.エリザ・バリー (Helen Johns) アンの見極め
トーマス・リンド (Philip Williams) マリラの友人・隣人
Mr.ハーモン・アンドリュース (David Ingram) 父、投資に意欲
Mrs.アンドリュース (Janet Porter) 母
ジェーン・アンドリュース (Lia Pappas-Kemps) アンの友達
ミニー・メイ・バリー (Ryan Kiera Armstrong) バリー家の娘
ジェニー (Brenda Bazinet)
ルース (Greta Onieogou) 売春婦・妊婦
ルビー・ギリス (Kyla Matthews) アンの友達
コール・マッケンジー (Cory Gruter-Andrew) アンの同級生
(David Frisch) 行商人、ロケットをくれる
(Chandra Galasso) 売春宿のマダム
ヘイゼル (Yanna McIntosh) セバスチャンの母
Mr.フィリップス(Stephen Tracey) 教師
(Brian Bisson) 石炭夫長
(Katie Advani) Anne Acting Double