アンと言う名の少女2
(Anne aka ANNE WITH AN”E”)
Marvin Moore (c) 2017 Northwood Anne Inc.
https://www.nhk.jp/p/anne2/ts/Y5K7QL16N3/?cid=orjp-drama-lineup
脚本/Moira Walley-Beckett
監督/Paul Fox
第9話 かつてのわれらは今のわれら
What We Have Been Makes Us What We Are
【ストーリー】
時は19世紀後半のカナダ、アヴォンリーの村。
●プリンセス・エドワード島/アヴォンリー
新しく引っ越して来た女性は壁にイモ版画のようにして模様
をつける。
●母親の会
5人の婦人たちは椅子に座ってステイシー(Joanna Douglas)
の事を待っていた。
肝心のステイシーは壁の作業に気を取られて9時に約束していた
母親の会への出席に急いで向かう。
原動機自転車に乗り急いで現場に行こうとする。
すれ違うマシュー、マリラ、アンはその乗り物を見て驚く。
なんと言ってもペダルを漕がずに動いていること。
アンはあの女性はズボン(Pants)を履いていたという事も衝撃に
写る。しかし原動機自転車は燃料が尽きて停まり、更には
チェーンも切れて走れなくなる。
アンドリュース家に到着した頃には1時間も遅れていた。
ステイシーは時間を忘れて内装の装飾をしていた事を
告げ、ジャガイモを使ってのものだという。
遅れたのは自転車が壊れた為だとし、こんな格好である事を
謝罪する。手はチェーンでベタベタしていてアンドリュース
夫人は握手する手を不快に感じ、ハンカチで手を拭く。
●学校
ダイアナはアンと学校に行く。
学校では既に先生の話題でもちきり。
母親がパイ夫人から聞いた事だが『母親の会』はステイシー先生
を気に入らなかったという。アンは彼女とすれ違った事から
彼女のことを面白い先生だという。何よりも原動機付き自転車
に乗っていたこと。その考え方も現代的なのだろうという。
ティリーは彼女はオールドミスだと聞いたという。
ルビーは本土から来た人であること。
ジョーシーは都会の独身女が何のためにこんな所まで来たのかと
語る。そのウチに良くないことが起こると母は一目見て感じた
という。
プリシーはウチの母もそのように言っていたとし、印象は最悪
だったこと。何よりも一時間の遅刻したこと。
ジェシーは男みたいな格好をしていたという。
『進歩的な母親の会(Progressive Mothers)』で嫌われたとし
自分で自分の首を絞めたようなものだというプリシー。
しかしアンは会う前から悪く言うのは辞めた方が良いとし、
私には素敵な人に思えるという。私も最初は批難されて辛かった
ので先生を支えて行きたいと語る。
ビリーやムーディ、その友達二人が入ってくる。
話題は野生のキツネで、肩にはライフル銃を下げてくる。
あのキツネを殺してその革で帽子を作るという。
アンはそれを止めるが、ムーディは黒い尻尾の鶏を盗んだ事を
語る。
ギルバートは学校には銃など持ってくるなと語る。
・ステイシー先生がやってくる。
彼女は地球儀を手にしていたが手から滑り落ちてしまう。
アンは彼女を見て「心が通じ合う気がする」と目を輝かせる。
ジェシーはコルセットを付けていないことに驚く。
「先ずは互いに知るところから。」
輪になって自己紹介をするので机と椅子を端に寄せる様指示す
る。そして床に座るのだと言うと、みんなはそのやり方に
驚きと不満を感じる。
しかしアンだけは夢に見ていた学校になりそうだとして嬉しそう
にしていた。
●カスバート家
マシューはジェリーに対して鶏をキツネから守る為の罠の
仕掛け方を教える。キツネを捕まえたいこと。もしも捕まえた
に分け前を与えるとし、キツネの毛皮は高値で取引されている
事を語る。
●ブライス家の農場/牧場
セバスチャンは一人で牧場の柵を修理するために重たい木材
を運んでいた。外は雪が降ってぬかるんでいて、とても
一人では出来る作業では無い。
●教室内
先生は『自分の特徴を現す単語を二つ挙げて欲しい』という。
ただし『名前と名字の頭文字で始まる単語』を利用してと。
先生から始まる。
Muriel Stacy = 無鉄砲 (M)ischievous、書物好き (S)cholastic
Ruby Gillis = ロマンチック (R)omantic、ガール (G)irls
Gilbert Blythe = グローバル (G)lobal、文字好き (B)ookish
Priscilla Andrews = プラクティカル (P)ractical、安定感 (A)ctualize
アンは人々が発表する度に補足情報のつもりで先生に色々と
情報を吹き込む為に、先生はそういう噂話は話さなくても良い
とし、プライバシーは尊重したいので話を聞くときは本人から
話してもらうことを語る。
それを聞いたアンの番になる。
Anne Shirley-Cuthbert・・。動揺した彼女は何も話すことが
出来なかった。先生はそのウチ思い出すだろうとし、授業の
後に来てくれと語る。
●カスバート家
マリクの元にレイチェルがやってくる。
力を貸して欲しいというレイチェルは衝撃的な噂の先生の事
だという。レイチェルは学校評議員の一人として女性教師の
採用には反対したとし、危険な試みだと言ったのに誰も聞かな
かったという。それでこんな事態になったこと。
進歩的な母親の会は採用したのを悔やんでいる。何処が問題
なのかを確かめないといけないという。それでこれから本人に
会いに行こうという。マリラはレイチェルの企みに関わりたく
ないというが、レイチェルによると、あなたには娘が居るし、
学校の問題はアンに影響するのだという。そして母の立場なら
突っ込んだ質問も出来るでしょと言われついて行く事になる。
■感想
ちょっとアップが遅れました。しかも外出先からのアップロード
なので上手くいくかどうか。(つい最近にも二度外出先から記事を
アップして大失敗しました(^o^;)
今回もまたシナリオは面白かったのですが、不快なシーンも
多くて嫌なヤツはとことん嫌なヤツだなという印象だった。
毎回のように語っているが、ドラマの中の状況がどれほどの
問題を抱えているのか。
アンの現在の心理・心情や、町での人間関係や学校での事情を
知るには森を見ろということ。森は全てを指し示すようにして
ドラマの中での状況を映し出している。
人が楽しい時には周りのものが光って見えるだろうし、落ち
込んでいる時には暗くなって見える。
森での光景を落ち着いて見ていれば、今のアンたちに起きて
いることも大体分かる作りになっている。
現在その中心にいて尚且つ象徴的な存在は森に生息している
「キツネ」です。
キツネの役割とは一体何か。
町の人たちの多くは害をもたらすものとしてしか見ていない。
しかし裏を返すと金にもなるし、人にとってはまるでペットの
ような感覚。もしかすると友達のようなものに写っているのか
も知れません。その友達がピンチに陥ろうとしている。
あなたなら助けますか。自らの利益のために犠牲にしますか。
■前回からの変化
今回の大きな変化は学校にありました。
男性教師フィリップス先生から、女性教師のステイシー先生に
変わったこと。
この変化は島や島民にとっては、進歩的な事であり、
女性にとってはその進歩的な人間性に魅力を感じたからこそ
受け入れたのかと思えば、「進歩的な保護者の会」とは名ばかり
で、村の常識から外れた人間を酷く牽制するところが有りました。
・スカートではなくズボンを履く事の是非
・コルセットの着用の有無。
・授業/カリキュラムの内容。
そして女性が教師になるという事もこの島に取っては初めて
のことだったのかな。
・オールドミス/都会の独身女性の田舎への引っ越し
村にプライバシーは有って無いようなものですが、先生は
好意で他人のことを喋りすぎるアンに対して注意するところ
がありました。
■アンとステイシー
アンとステイシーの流れはタイアップしていて冒頭から面白い
ものが有りました。
二人共進歩的で独創的な発想を持っている人物であることは
言わずもがなという感じですが、何かに集中すると時間が
経つのを忘れてしまいます。
ステイシーは冒頭から母親の会への挨拶・顔見せシーンが有り
ましたが遅刻しました。勿論遅刻した事には理由があり、
自転車が壊れてしまったりもするのですが、それを遅刻の言い
訳として通用するのか否か。
アンもまたキツネの事が気になり眠りにつけなかったところが
あり、翌日にはランプの火を落として作文を燃やしてしまいます。
その事実を先生から信じてもらえるのか。
アンもステイシーも「第一印象」を気にしていましたが、
二人共最悪の躓き方をしており、残念ながら受け入れられたとは
言いがたいものが有り前途多難です。
目立つような行動を取るとどうしても規律を乱している人物と
思われがちで、相手からの信用を失います。
二人共何処か浮いている部分があり、その分だけ信用されるま
でには時間がかかるようです。
■親友、信頼、人間関係
今回はドラマを印象づけることがいくつか有りました。
なんと言うか、人が物をよく床に落とすのです。
手からこぼれ落ちる砂のように、現実には掴みづらいものと
いう刷り込みが有ったのでしょうか。
セバスチャンは木材を落としました。
ステイシーは地球儀を落としました。
アンはランプを落としました。
アンは罠の上に卵を落としました。
人間社会では生活上、至る所に罠が張り巡らされている。
興味深く計算高く作っているのは、実はタイトルを見ても
多少のヒントになるかも知れないけれど、アンの流れと
ステイシー先生の流れというのは比較して楽しむような作り
になっていた事でしょうか。
信用問題・・
信用を築くには時間がかかります。
特に我流の方法で受け入れられる為にはより時間の経過が
必要でしょう。やり方に賛同する人が多くなり、仲間意識が
強くなることで受け入れられていくものかとは思いますが
ステイシー先生が受け入れられるのは何時の日か。
授業参観をしたマリラは大いに気に入っていた様で、課外
授業により本来の学習の楽しさというものを知る事にも
繋がったことでしょう。
■人間関係
信用問題にも繋がる流れですが、今回は親友との関係に溝が
出来たところでも有ります。
その最たるは、アンとコールの関係。
そしてセバスチャンとギルバートの関係。
進むべき道が違ってくるとなかなか時間の共有が難しく、
コミュニケーションの少なさ故の誤解なども生むかも知れませ
ん。
ギルバートは頑張る事によって来年には医学部の準備過程に
進めることを知り朝から晩まで勉強漬けの日々。
目標を持ったことで強くなったことでしょう。
しかしセバスチャンと共に起こそうとしていた農業・酪農の
仕事はおろそかになり、道しるべとなっていたギルバートとの
関係は危ういです。
アンとコールの関係は、コールの為を思っての行動が逆に
あだとなりかなり危ういものとして写ります。
今回のアンの行動は相手のことを思って居るというよりも
自分の為の行動故に暴走した感じも受けます。
課題的宿題を出されて煮詰まっていたアンの事を海岸・岸壁
に連れて行き視点を変えさせてくれた彼に対して辛い思いを
させてしまいました。
ステイシー先生の事を「悲劇的」と表現し、教祖の様にあがめて
いましたが、先生の夫は勉強しすぎたのか亡くなった様です。
コールを学校に呼び戻したいアンとしては何処まで話したのか
は分かりません。ただイジメについては言及したのでしょう。
■時代を先取るニューパワー
おっとてやんでいって事で、とんねるずさんのギャグを書いて
しまいましたが、今回は色々と時代性を感じさせるものが
出てきました。時代考証的に比較してみると原付の原点のような
自転車を出してきたところは驚くべきところ。
そして彼女は電気についての授業を行いました。
じゃがいもを使って電気を生み出す仕組み。
同時にその原理である原子についての説明も行われました。
「原子はあらゆる物質の元になる小さな粒」
その粒はここでは島民の一人一人であり、みんなが協力して
行動すれば大きな電気を生み出すことも出来ると言わんばかり
のものでした。
また彼女はスカート、ズボン、コルセットだけにあらず
自宅ではサスペンダーを付けていました。
私も中学生時代に学校指定の俺様バックル的ベルト(c)
ブース in BONESではなくサスペンダーをつけて行く時も
有りましたが、怒られた記憶があります。19世紀後半のカナダ
の方が21世紀の日本よりも進歩的のようです(笑)
マリラも子供を導く教育者としてふさわしいのかどうかに
ついて本人と最初に対面した際には言及しましたが、授業する
姿を見て彼女を信用しようとした様です。
■その他
アンのウザさは今回自分の方が賢いことをアピールする為の
行動にも表れました。常に先生の元につきまとったかと思えば
授業の場でもギルバートの発言に色々と補足と言う名の邪魔臭
さというものを感じました。
セバスチャンはボグ地区に住むメアリーとの関係を一歩進める
ことになりました。
ボグ地区は白人の嫌がる仕事が沢山有りますが賃金は安いです。
土地を買うことなどは夢・また夢ですが、セバスチャンは
メアリーとの為にこの地区で働くようですが、果たして成功
していくのか。
コールは自分たちが秘密小屋にしていた場所、そして自分が
作っていた彫刻をビリーに壊されて激怒する。
ビリーがやったという証拠は編み物(マフラー)が現場に落ちて
いた。
農場から出られないコール。農場から出て行こうとするギルバ
ートとセバスチャン。
コールには姉と二人の姪っ子が居るようだ。
カニのカラルー(Crab Callaloo)。
ハーモンと馬車に乗るステイシーの姿をレイチェルは目にする。
「この聖域を申請なままに保つことを誓う」
「指切りげんまん」
約束というやりとりがswearという言葉が使われていた。
より固い誓いを求めたものなのか。
コールとビリーの喧嘩。ビリーが転んでストーブに耳を押しつ
ける格好になる。
■使用された曲
・Ahead by a Century by Tragically Hip
■出演者
アン・シャーリー (Amybeth McNulty) 13歳、孤児
マリラ・カスバート (Geraldine James) 妹
マシュー・カスバート (R.H. Thomson) 兄、牧場主
ダイアナ・バリー (Dalila Bela) アンの親友
レイチェル・リンド (Corrine Koslo) カスバート家のお隣
ジェリー・ベイナード (Aymeric Jett Montaz) カスバート家の農場のお手伝い
ギルバート・ブライス (Lucas Jade Zumann) 生徒・イケメン
セバスチャン・ラクロワ (Dalmar Abuzeid) “バッシュ”トリニダード出身
Mr.ウィリアム・バリー (Jonathan Holmes) 地元の金持ち
Mrs.エリザ・バリー (Helen Johns) アンの見極め
トーマス・リンド (Philip Williams) マリラの友人・隣人
コール・マッケンジー (Cory Gruter-Andrew) アンの同級生
ミュリエル・ステイシー (Joanna Douglas) 教師
Mrs.アンドリュース(Janet Porter) 母
ハーモン・アンドリュース (David Ingram) 父
Mrs.マッケンジー (Tammy Isbell) コールの母、農場を手伝って
Mrs.パイ (Trenna Keating) ジョーシーの母
Mrs.スパージョン (Deborah Tennant) ムーディの母
Mrs.モリソン (Krystina Bojanowski) 母
Mrs.マクファーソン (Ashley Magwood) 母
メアリー (Cara Ricketts) ボグ地区・クリーニング店
ジョスリン (Nicky Lawrence) ボグ地区・クリーニング店
コンスタンス (Lisa Codrington) ボグ地区・クリーニング店
ジョーシー・パイ (Miranda McKeon) 生徒
ルビー・ギリス (Kyla Matthews) アンの友達
ティリー・バルター (Glenna Walters) 生徒・太い
ジェーン・アンドリュース (Lia Pappas-Kemps) アンの友達
ビリー・アンドリュース (Christian Martyn) 生徒、意地悪
プリシー・アンドリュース (Ella Jonas Farlinger) 生徒
ムーディ・スパージョン (Jacob Ursomarzo) 太った生徒
チャーリー・スローン (Jacob Horsley) 少し天然パーマの生徒
ミニー・メイ・バリー (Ryan Kiera Armstrong) 次女
(Kyle Meagher) ビリーの友達
(Daimen Landori-Hoffma) ビリーの友達