第2話 幼い心の闇 Manic
脚本/Patrick Harbinson
監督/Guy Norman Bee
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学校で発砲事件が発生したという通報を受け、エリオットは
出動する。犯人が逃げたと思われる施設の地下を慎重に進む
と壁には血痕・・そしてボイラー室のドアにもまた血痕が付着
していた。中から子供の声で「殺さないで」と聞こえた為に
エリオットたちは様子を伺う。
フィンは遅れてやってきたオリビアに現状を報告する。通報が
来たのは午前9時50分。校舎の窓が割れて扉が開き住専が聞こ
えたという。体育館にいくと少年2人が裸の状態で殺されていた
とのこと。刑事たちによると今、人質交渉人が到着するという。
ボイラー室の外に居たエリオットは犯人に対して子供を放すよ
う求める。身の安全は保証すると・・。しかし室内からは銃声
が聞こえた為にエリオットはドアを蹴破り内部を調べる。
怪我した子供を発見。犯人は窓から逃げた様だという。
エリオットは少年が頭部に銃弾で傷を負っていて失神したこと
を知り抱えて外に運ぶ。
犯人は白人男性で車で逃げたというフィン。しかし車種も色も
不明であるとオリビアはクレイゲンに報告する。教師によると
撃たれて病院に運ばれた子はジョー・ブレイン。遺体の2人は
ルーク・ローズとティレル・デントで、2人共バスケ部の花形
選手だという。土曜日に登校しているのか?と問うと、バスケの
練習をしていて窓から犯人が侵入した様だと語る。
学校の警備員がやってくると、保管箱から銃が持ち出されたこと
を語る。金曜日に生徒から没収した銃で、被害者と同級生の
デレク・ファウラーという少年だという。
ファウラー家を家宅捜索することになると、父・ランディがいた。
フィンとマンチはデレクは何処かと尋ねると部屋にいるという為
室内に入る。デレクの銃で人が殺害されたことを告げると、銃は
ランディの物で息子が持ち出したことが分かる。しかし友達に見
せただけで没収されたと語る。
デレクは普段は母と同居しているが、学校でナイフを持ち込み
2回停学を受けて居るという。学校への腹いせでの犯行なのか。
それとも告げ口した生徒への仕返しの犯行なのか。
マンチは朝10時から昼間で父親はバーで飲んで居たという。
オリビアは鑑識から、遺体に犯人の髪の毛も体液も検出されな
かった為に性的暴行は受けていないだろうという。裸にしたのは
恥をかかせる為だろうとフィン。
そんな中クレイゲンに電話が鳴り、ジョーの意識が戻ったという。
9月6日(土)・クリントン病院
オリビアとエリオットは、意識を取り戻した少年のジョーと
付き添っていた母親のサンドラに話を聞く。オリビアは写真を
見せて犯人は居ないかと問う。サンドラもまたジョーに対して
捜査の為に協力する様告げる。ジョーはドアを割らされて手が切
れたと語り、その男が銃を持っていたという。ボクが犯人を
話せば撃たれてしまうので言えないし、話したくないという。
オリビアは少年がとても絵が上手い事を知り、犯人の顔を描いて
くれないかと語る。エリオットも話さなくても良いとし絵を描いて
くれるだけで良いのだという。
警備員に似顔絵を見せると、用務員のジョージ・ワデルの絵だろう
と語る。気が短い男で、先日も少年2人がバケツをけり飛ばしたので
追いかけていたという。没収された銃に関しては警察に渡すまで
はこの中に入れているとし、鍵は常に手にしているという。スペア
キーは誰も知らないところにあるという。しかしジョージならば
開けることは出来たかも知れない事。
ジョージを取り調べるフィンとマンチ。
二人を殺害しただろうと問うが、撃っていないとし、誤解している
と語る。盗んだ銃でルークとティレルを殺して、ジョーもまた殺し
かけたのだろうという。しかしジョージは自分は肺気腫を患って
いるので、窓に登って逃げるのは不可能だという。
CSUのシパーによると、銃弾に関してちょっと不自然な弾道である
ことを聞かされる。色々と銃弾が壁などにぶつかり跳ね返っている
が、最初に発砲したのは真上に向けて発射されたものだという。
ジョーが犯人と格闘したのかというオリビア。しかしジョーの
指紋には血痕がベットリ付いているが、ボイラー室のドアを閉めた
指紋はジョーのものだという。ジョー自身が犯人なのかも知れない
という。窓から逃走を考えたが高すぎて届かず、自殺を図ったので
はないかということ。それならばこの近くに銃があるハズだと
すると、オリビアはボイラーの中に銃を発見する。
オリビアとエリオットはジョーの部屋へいく。
母のサンドラはジョーならば退院した後に部屋に居ることを語る
が窓から逃げて居なくなっていた。室内には沢山のイラスト画
があるが、そこには体育館で2つの死体が書かれていて、後ろに影
のような犯人の絵が描かれていることがわかる。これは計画的
な犯行だと語る。
サンドラから話を聞くと、単なるこれはイラストだという。
しかしそれならば何故逃げたのかと問うと、息子は犯人に怯えて
逃げただけだという。現場のことを描いていることを指摘すると、
それは恐怖のはけ口になったのだろうという。
しかしエリオットはこの絵が描かれたのは7月4日だと語る。
つまり2ヶ月前から計画していたということだと。
サンドラは息子は優しい子で殺人なんてしないという。ただし最近
元気がない感じはしていたと語る。サンドラに対して自殺する可能性
も有るので居場所を教えて欲しいというが、私だって部屋に居ると
思ったのだとして居場所はわからないという。親友は居たのかと
問うと、親友は絵だったという。父親は3年前に出て行ったので
いないのだという。
9月6日(土)・グランドセントラル病院
9月8日(月)・エングルスの診療所
9月9日(火)・第46法廷
9月10日(水)・チェルシーの診療所、ネイバーフッドクリニック
9月10日(水)・少年留置施設
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41丁目の学校の体育館で発砲事件が発生し、バスケの花形選手
だった生徒のルークとティレルが銃殺されて裸にされる。
またボイラー室に連れて行かれたジョー・ブレインもまた
銃で頭を傷つけられて病院に運ばれるが幸い軽傷のかすり傷で
済む。窓から逃走したとする犯人だが、犯人像は見えてこず、
目撃者のジョーはイラスト画が上手い事から、犯人の似顔絵を
描いてもらうと用務員のワデルに該当すると分かる。しかし彼は
確かに警備室から銃を盗んだが、虐められていたジョーに銃を
護身用に渡しただけで、まさか弾が入って居るとは思わなかった
のだという。現場を調べている内に逃走した犯人はなく、実は
ジョー自身が犯人ではないかとして疑いを持つ。現場から銃が
見つかり、更にはジョーの部屋からは二人を計画的に殺害したと
思われるイラスト画が発見される。ジョーを探すが逃走を図って
いることを知る。母親が逃がしたであろうことを知り、追跡
していく。
前回オヤスミだったキャボットが登場。
検事局周りの人事を見ると、シーズン5ではアーサー・ブランチ
がキャボットの上司として後押しするシーンが多いんだね。
SVUでは、S4-21で一度アーサーが登場しているけど、シーズン5
でアーサーが登場するのは今回のエピソードを入れて5つのエピソ
ードが有る。S5では初の登場だった。
キャボットの髪型がガラリとかわり、印象が一気に変わってしま
った感じも有ってちょっと驚くけど、容姿的にはオタクっぽい
キャボットの光景が有って、やや萌え要素的には弱かった。
裁判に於いてキャボットと戦うことになる弁護士のバリーとは
S4-19でキャボットの恩師として登場し、戦う事になったけど、
二度目の対決の構図となった。アーサーからキャボットに対して
上手い事バリーに丸め込まれたなとして指摘されていたけどね。
さて今回の事件は、少年による犯行だった。
クレイゲンは学校での銃乱射事件が起きたということで、コロン
バイン高校のエリック・ハリスのことを引き合いに出していたけど、
子供が銃を使って殺害に及んでしまうまでには、幾つもの大人の
関与が有り、何処かで止められるべきハズの流れを大人が容認して
しまうような流れが有ったこと。
第一にアメリカの場合、殺意が生まれた際に、目の前に銃がある
という環境そのものに問題があるように思うのだけど、子供の
目の届くところに容易に有ったということが問題の一つ。
第二にアメリカだけに限らないのだろうけど、薬物乱用によって
安易に薬を使って問題を解決しようとする流れが有ること。
大人が飲むような強い抗うつ剤のクスリ「アプトリル」の服用が
有り、それが結果として副作用から躁状態を生んで犯行に及んで
しまったのも要因の一つだった。
かつてインフルエンザのクスリ・タミフルに見る異常行動のこと
が日本でも取り上げられたことが有ったけど、クスリは万人に対して
同じような効果が有る訳ではないというところがまた厄介なところ。
第三にはやはり資本主義的素因が含まれていたところが有ったのかな。
アメリカの保険制度にも問題が有りそうだし、過度の販売促進の問題
と貧富の差から来る医療の問題が複雑に絡み逢い、責任の所在が
次々とスライドしていくところが有って、徐々に子供の責任だと
していたキャボット自身も、問題の根っこがそこにはないと考えた
様子。アーサーがまた後押ししてくれて、どんな大物であれ、
問題の所在を追求しろ!と語る姿が有った。
子供が事件に絡んでいたことで、エリオットやオリビアもまた
複雑な心情で挑んだ事件だった。
ジョーの母親を監視・尾行する際に、この二人が会話するシーン
が有る。「自分が親ならば平気なのか?」「私ならば最高の弁護士
を雇い、口を閉ざせと子供にいうハズだ」というオリビアの姿が
有った。サンドラの行動に対して二人の中には同情すべき要素が
存在したことが何とも言えないね。
また裁判に於いて、ホアンが検察側とは逆のバリーに情報を流して
いたことで、キャボットとしては憤っていたところも有った。
「私の邪魔をするより論文で訴えれば良い。」
個々の流れを見るとどの流れの中にも強烈な悪意というものがない
分だけ裁きを与えるのが難しかったけど、やはり医療品会社が
やり玉に挙がってしまった。
少々問題が複雑になった要因としては、子供は薬を飲む前から
少年たちに殺意を抱いていたこと。決して計画していた訳ではない
のだろうけど、それを絵に描いていたというところに法廷では
不利に働きそうなものが有ったよね。
この手の病気を治療するには相応の時間と共に数千ドルを費やす
こと。薬ならば5分で収まるという。
親としては子供に対して、精神的薬物を飲んでいるという履歴を
残したくなくて苦肉の策を取った訳だけど、殺人という履歴
を残してしまったところがこのドラマに於ける皮肉として最後に
伝わってくるものだった。
しかし一番の被害者は殺されてしまった子供たちの親なんじゃ
ないだろうか。この流れを含めると問題は更に複雑化するので
限りなくドラマでは無視した格好だったね。
■その他
・少年ジョー役を演じたのは、かつて映画「ホームアローン」
シリーズなので名声を馳せた子役のMacaulay Culkinの弟のRory
Culkin。マコーレ・カルキン自身、何度も薬物での死亡説、
余命説が出ているよね。
・母役のMare Winninghamはいわゆるブラット・パックの一人。
といってもブラット・パック系の枠で取り上げられているけど
80年代のドラマではあんまり印象は残っていないんだよな。
・ゾルター
エリオット・ステイブラー (Christopher Meloni) 刑事
オリビア・ベンソン (Mariska Hargitay) 刑事
ドナルド・クレイゲン (Dann Florek) 主任警部
ジョン・マンチ (Richard Belzer) 刑事
? (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
アレクサンドラ・キャボット (Stephanie March) A.D.A 検事補
オダフィン・チュツォーラ (Ice-T) “フィン” 刑事
メリンダ・ワーナー (Tamara Tunie) 鑑識
ジョージ・ホアン (BD Wong) FBIにも精通する精神科医
アーサー・ブランチ (Fred Dalton Thompson) 地方検事
ジュディス・シパー (Caren Browning) CSU Captain / 警部
ジョー・ブレイン (Rory Culkin) 少年、犯人
サンドラ・ブレイン (Mare Winningham) ジョーの母
バリー・モアドック (John Cullum) 弁護士、憲法専門
ジョージ・ワデル (Bill Cwikowski) 学校の用務員
Dr.カール・メドウィン (Daniel Jenkins) チェルシーの診療所
Dr.エングルス (Stephen Schnetzer) カウンセラー
Dr.ペトラス (Nancy Bell) 児童精神科、精神薬理学の専門家・証言
ヘクター・レシンクト (Jose Ramon Rosario) 警備員
ランディ・ファウラー (Erik LaRay Harvey) デレクの父
デレク・ファウラー (Daniel Bentley) 銃を学校に持ち込み没収
ディーン・レイノルズ (Patrick Dizney) タウシャーレト社CEO
ジャナス・タッシュジアン (Sharon Wilkins) グランドセントラル駅
ジェーン・ウェルズリー (Amy Hargreaves) タウシャーレト社営業
ジュリア・ハイントン (Pilar Witherspoon)
J.コノリー (William Charles Mitchell) 判事
— (Michael Arthur) 制服警官
— (Rich Ceraulo) 制服警官