November 15, 2002
第11話 墜ちた天使 Damaged
脚本/ Barbie Kligman
監督/Juan Jose Campanella
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サラとジョンはデートする。
サラはレンタルビデオ店の前で「愛と哀しみの果て」を借りよう
とするが、ジョンが気乗りしていない様子を見て「ダイ・ハード」
でも良いという。しかしジョンは前にも言ったが君と真剣に付
き合うつもりはないという。
そんな中突然店内から銃声が鳴り初め、ジョンの胸に弾が当たり
亡くなる。店内に強盗が入り、それを店員であるジョーイが
発砲したのである。
そんな中、店内ではミッシーという女性が妹・レベッカが撃た
れたとして助けを求める。
捜査官のドーソンは現場へとかり出されるとレイトンと会話する。
最近は見習いでも現場に出るのかという。被害者は3人になる
かもしれない事を告げ、6歳の少女は病院に運ばれたが意識不明
の重体だという。
発砲したのはレンタルビデオ店でアルバイトしていたジョーイ・
フィールド。弾が当たったのは犯人のエリック・キャンベル、
6歳のレベッカ・カーツ、そして流れ弾で店外に居たジョン・
マーカムだった。3人の目撃者によると顔を隠した犯人が銃で
脅して金を要求していたとのこと。犯人はレジの横にいて
犯人は何かに驚いていたらしいが、ビデオテープが落ちていた
事が分かる。
ジョーイは現在放心状態とのことだった。
ドーソンはジョーイから話を聞くと、銃は店主がカウンターの
下に常備しているもので、殺す気は無かったとして震えていた。
そんな中病院に運ばれた6歳の少女は植物状態に陥ってしまうが
懸念されるべきこととして淋病が発覚したというのである。
エリオットとオリビアが病院に呼び出されるとドーソンから
事情を聞く。
一方マンチとフィンは姉のミッシーから話を聞く。
妹は亡くなってしまったのかと問うと、ビデオを借りに来て
たまたま強盗事件に遭遇してしまったのだという。レベッカは
植物状態だということを聞くとミッシーは嘆く。
妹との仲は良かったのかと問うと、放課後に親から妹の世話を
頼まれたとし、私は友達と遊びに行きたかったのだという。
嫌がるレベッカを無理矢理ビデオ店に連れて行ってしまったこと
で今回の事件に巻き込まれたとのこと。
母は会計士で父は自宅で株式の売買をしているという。普段は
父は妹の面倒を見ているとし、妹はパパっ子だという。私は
殴られてばかりいたのだとすると、自分は里子としてこの家に
引き取られた事を告げ、生みの両親は母が亡くなって以降父は
性的暴行をしてきたので、民生委員に保護され、12歳の時に
この家に里子として来たことを語る。両親は私を許してくれない
として嘆く。
レベッカは父親と親密だったこと。レイプ確認には膣鏡検査が
必要だという。レベッカの服を証拠品として押収すると、
レベッカの病室にいるカーツ夫妻はエリオットたちに非難の声
をあげる。両親と別々に話がしたいとして、エリオットは父と
会話しオリビアは母と会話することになる。
エリオットは母親から妊娠を諦めミッシーを迎えた頃にレベッカ
を妊娠したという。家族全員が喜んだとし、娘の為に家での
仕事を選んだという。
一方オリビアは父親から話を聞く。レベッカには性的虐待の
形跡が有ること。淋病が陽性だった事を告げ、前例からすると
性的虐待をするものは殆どの場合知人による犯行なのだという。
父は学校での生活が一番長かったので学校で起きたことだろうと
するが、父親からもDNA検査に協力して欲しいという。父は
信じられないという顔を見せるが、潔白を確認するのが警察の仕事
だとして検査を受けて欲しいと頼む。「地獄に落ちろ!」と
罵声を浴びせる。
レベッカは週2度バレエ教室と自宅でピアノ教室に通っていた。
しかしどちらの教師もその可能性はない事が分かる。
クレイトンは父親は検査の結果シロだったのかと問うと、淋病にも
かかっていないという。エリオットは子供といる為に仕事を
辞めたくらいの男だとして、虐待に及ぶことはないだろうという。
そんな中フィンは彼には前歴があるとして資料を持ってくる。
ミッシーから5年前に性的暴行が有ったとして告発されているという。
12月3日(火)・児童サービス局
ミッシーの担任の教師からの連絡で父親からの虐待があるとの
疑いが有ったのだという。調査では通常の愛情の表現の誤解が
有ったとし、単なる頬へのキスやハグだったという。彼女は
実父からレイブされていたとし、麻薬中毒の父は友達にも
娘をレイプさせていたのだという。実父は昨年エイズで亡くなった
とのこと。ミッシーは陰性だったという。養父の告発はどうなった
のかと尋ねると、ミッシーを指導して取り下げさせたという。
カーツ家の調査に関しては里親仲介業者が説明会、育児教育、
抜き打ちの訪問などを繰り返して里親になったのだという。
学校で話を聞くと、レベッカは可愛くて良い生徒だったという。
担任以外で接触出来る人物は誰かと尋ねると、美術、音楽、体育
教師だという。検査に協力して欲しいとするか、プライバシーの
問題が有るので難しいという。会議にかけては見るが断られたら
自分ではどうしようもないとのこと。最近レベッカに関して異変
がなかったかと尋ねると、三週間前に担任から、注意力が散漫に
なり、おもらしをするようになったという。ただし一年生には
よくあるとのこと。家でもおねしょをしていたという。
そんな中、エリオットの携帯に電話が鳴り警部から戻れとの
指示がきたという。両親は尊厳死を申し出たのだという。
12月3日(火)・第35法廷
12月4日(水)・フォスター医院
12月6日(金)・罪状認否
12月7日(土)・ライカーズ島・取り調べ室
12月9日(月)・ペトロフスキー判事の執務室
12月10日(火)・アル質屋
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ビデオ店に強盗が入り、それに応対した店員が銃を発砲し
犯人を含む3人の人間を射殺してしまう。
目撃証言からもそれでほぼ間違いはなく、店員は他人を
殺したことに責任を感じているモノの仕方が無いことだった
として慰める。そんな中、被害者の6歳の少女は淋病に
かかっており、何者かによって性的虐待・レイプを受けて
いたであろう事を知る。淋病の人物を調べていくが・・
養女・ミッシーを迎えた途端に両親が妊娠し、妹のレベッカ
を出産。そんな姉が妹に対して嫉妬心を持つであろう流れを
想定する中で、虐待されて育った少女が如何に危険な思考を
心の中で抱いてしまっているものなのかを描いたもの。
ビデオ店で強盗・発砲事件が発生した流れが偶然かと思えば
必然性を帯びてきた時点で、ドラマとしては人間の怖さを
感じていくものが有り、個別の流れとして存在していたと思って
いた流れが一つの流れとして存在していくところは上手く
出来ていたと思う。
今回見られるいくつかの家庭・親子関係を見ると、何処の家庭
も少しずつ歪なものがあるけれど、カーツ家のような寛容な両親
を持つ家庭で有っても、心の中で育った人間不信さを抱く養女の心
を救うことが出来なかったということで、少々寂しさを覚えるもの。
ここ数話、娘のレイプ疑惑が出てきた時点で父親への検査協力を
求めるシーンが一つのポイントとして描かれているけど、今回
それを告知したのはオリビアだった。娘のレベッカをレイプ・殺害
させたミッシーで有っても寛容に許そうとする父親に有って、
捜査協力を求めたオリビアに対しては「地獄に堕ちろ!」として怒り
を露わにするところが何とも言えないものがある。
カーツ家の父親が虐待しているのかどうかということは、一つ
のアクセントとなっていたし、正当防衛を主張する店員のジョーイ
の父で権力を持つ弁護士の姿を見ると、どう見てもご両人の人間性
を疑わせる臭いを感じさせるものが有った。脚本家もそれを意図して
視聴者に見せていたのだろうけど、娘のレベッカを急いで臓器移植さ
せようとする流れを見た時は、怪しさを確信へとつなげていくところ
に繋がっていたようにも思う。
今回は珍しく法廷シーンなり弁護士・検察の間での駆け引きが多く
見られる流れが有った。
少女・ミッシーが大人や恋人を都合良く操って自分の思うがまま
にしているように、検事補であるキャボットが裁判の結末を
正義という名の下に、法律だということを盾にして都合良く操ろう
としている姿が有って、その辺の対比の仕方が興味深く描かれて
いる。
愛とは何かを知らないミッシーが、愛という名の下で、他人の心を
操れると思っているであろう愚かさをつねたものだけど、
ミッシーが絶対的に服従させていると思っているジョーイと法廷の場
で争いになり、そんな根拠なき自信を砕いていくというようなシーン
が見られる前にドラマがフェードアウトしてしまうところが残念だった。
本来正しい道に導くべき大人が子供に対して、その道を示せない
ところが無責任でも有るし、ミッシーとエリックのような人物を
生み出してしまうことへの憤りさを感じるところ。
証拠が有効だ無効だとする駆け引き、刑事免責の有効性の問題など
法を司る人たちの行動を見るだけで人間不信な人間を増幅させて
行きそうな気がする。弁護士として絶対的な力を持っている
ジョーイの父・マルコムと敵対したり協力したりする姿を見ると、
まさに展開としては行ったり来たりで面白かったけど、なんとも
アメリカの法律の気むずかしさと小ずるさを感じるところが有ったな。
そういえば最近新検事のことがこのドラマの中でネタとして
挙げられることが多くなってきたけど、その新検事の名前が
会話の中で明らかにされた。キャボットと弁護士・ロジャーがミッ
シーの訴追免除を条件として会話する流れの中で、そのブランチと
いう名前が挙げられていた。
ブランチというとアーサー・ブランチのことで、本家「LAW & ORDER」
の方が印象に強いけど、SVUでもシーズン4-21を初めとして11のエピソ
ードに登場する。
エリオット・ステイブラー (Christopher Meloni) 刑事
オリビア・ベンソン (Mariska Hargitay) 刑事
ドナルド・クレイゲン (Dann Florek) 主任警部
ジョン・マンチ (Richard Belzer) 刑事
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
アレクサンドラ・キャボット (Stephanie March) A.D.A 検事補
オダフィン・チュツォーラ (Ice-T) “フィン” 刑事
メリンダ・ワーナー (Tamara Tunie) 鑑識
ジョージ・ホァン (BD Wong) FBIにも精通する精神科医
ピーター・カーツ (Dan Lauria) 父親
マルコム・フィールド (Michael Gaston) 弁護士、父親
ミッシー・カーツ (Ari Graynor) 長女、養女
ラクエル・カーツ (Glynnis O’Connor) 母親
ロジャー・クレスラー (Ned Eisenberg) ミッシーの弁護士
バート・トレバー (Daniel Sunjata) CSU Technician
ジョーイ・フィールド (Christopher Denham) レンタル店・ミッシーの彼
レナ・ペトロフスキー (Joanna Merlin) 判事
マーク・セリグマン (Tom O’Rourke) 判事
アル (Pierre Epstein) 質屋
ダニエル・ラーセン (Sheila Tousey) 判事
デーブ・ドーソン (Erik Palladino) 捜査官 Dave Duethorn
エリザベス・ドネリー (Judith Light) 地方検事・主任
Mr.カーティス (David Bryant) 学校の責任者
Dr.ダニエル・フォスター (Max Vogler) カーツの主治医
ジーナ (Jennifer Roszell) 児童保護
レイトン (Jordan Gelber) CSU Tech
ジョン・マーカム (George L. Smith) サラの彼
サラ (Keira Naughton) ジョンの彼女
アーサー・キャンベル (Mark Kashersky) エリックの父・酒飲み
— (Wayne Alon Scott) EMT
— (Tim Miller) Court Clerk
— (Maura Clifford) Witness