第2話 嘘と皮肉 Mount Rushmore
監督/Mike Listo
脚本/David Shore
【Previously on ..】
自閉症の外科医・ショーンを雇うかどうかに際して会議が
開かれ外科医最高責任者のDr.マーカス・アンドリュース
は「自閉症とはコミュニケーション能力が低い」と定義
されているとし外科医に相応しいと思えないと語る。
空港で子供を救ったショーン。スティーヴは昔そんな
ショーンに対して語った事がいつも彼の頭の中を巡って
いた。「忘れないで、お兄ちゃんは賢い自慢のお兄ちゃん
であること」を。ショーンは会議の場で弟が目の前で
天国にいったと語る。外科医Dr.ニール・メレンデスは
彼は我々とは違うとして反対の立場。院長のDr.アーロ
ン・グラスマンはショーンを採用すれば彼らに希望を
与えられるとし「例え問題が有っても制限されることなく
道は開ける」と。もしショーンが私の期待に応えられな
かった場合私はこの病院の院長を辞任すると語るアーロン。
【STORY】
・サンノゼのアパート
ショーンは眠れず朝を迎える。
今日は聖ボナべントゥラ病院初日の日。ショーンは時間で
正確に動くためトレーニング、シャワー、洗面、出勤時間
など全てアラームがセットして有った。そして出勤する
為にアパートを出ようとすると優しい隣人
(Vaughn Clements)からエレベーターホールで声をかけら
れる。何処(何階)までかと問われサンノゼ聖ボナベントゥ
病院、僕は外科医のレジデントで今日が初日だと語る。
降りる階のこどよと。
・サンノゼ聖ボナベントゥ病院
ジャレッドはメレンデス医師とクレアに、患者の
ミッチェル・ブランド (Rocky Anderson)の情報を伝える。
55歳で前立腺摘出後1日目の患者だと看護師だと。
メレンデスは手術がうまくいったことをミッチェルに語る。
すると彼はまた”歩ける”だろうか?と問う。すると遅れて
やってきたショーンは「もちろんです」と語り、カルテで
診たことを語る。ミッチェルはシカゴ出身で離婚し子供2人。
昨日根治的前立腺摘出し多くの合併症が起こりうるが
運動ニューロンとは関係はないので歩けなくなる可能性は
ないという。クレアは脚が歩けるかどうかの心配ではない
と語ると、ショーンは気がつき勃起不全の可能性は高い事
を告げる。メレンデスは話を遮るようにして遅刻だと
語るとショーンはそれを否定し遅れたのはバスで運行スケ
ジュールは決まっているのに遅れたのだという。
クレアは5分くらいの遅刻ならば・・というがメレンデス
は初日なのに遅刻か?とし時間を守る責任があるという。
その責任を果たさなければそれは君の過失だという。しかし
ショーンは何故僕の過失か理解できなかった。
そんな中、看護師の一人からからERに急患だとやってくる。
対応に出たDr.パーク (Lucia Walters)はメレンデスたち
に4日前に腹痛、腹満と吐き気があると説明する。
患者はステファニー・ウィリス (Nancy Stone) 42歳。
メレンデスは腹部を触り痛むか尋ねるとモルヒネ10mgも
効果がないという。CT画像を撮ったとしてそれを診ると
とても大きな腫瘍が出来ていた。クレアは大動脈を巻き
込んでいる事をつげ後腹膜腫瘍か?と告げる。血流が
豊富ではないとするとジャレッドは神経原性又はリンパ腫
かもと語る。するとショーンは明らかな肉腫だとし悪性
腫瘍ですと語る。それを効いたステファニーは死ぬって
ことなのか?と問うと「はい」と答えるショーン。
ショーンは室外に出すと患者を怖がらせているとして
あからさまなことを言うなと言われる。しかしショーン
は医療介入に関わらずあの患者は既に末期だとして怖い
ことだという。クレアは怖がらせても意味がないでしょと。
術中迅速病理検査で浸潤範囲を明らかにして後腹膜を
含めた拡大切除するのでしょとジャレッドは参加したい
という。クレアはガッツきまくりだとして切りたいって顔
にあいてあると指摘する。病室では患者を人間扱いして
いるだろうという彼。するとショーンはクレアに良いこと
だとし命を救えるし学習も出来るという。すると
メレンデスはクレアを第一助手だとしジャレッドに対して
は病室の中でも患者を人間扱いしろと語る。ショーンは
僕はなにをすれば良いのかと問うと雑用係だとし、面倒な
仕事は全て君がやれとメレンデス。
ショーンはメレンデスを追いかけると僕を罰しているのか
と問う。「いや」と否定するとショーンは分かりましたと
語る。メレンデスは文字通り受け取ったのか?と問うと
あなたは傲慢な人だとし、傲慢な人は取り繕わないとし
これは教育のため、雑用から学ぶのが楽しみだという
ショーン。
ショーンは患者のマシュー (Benjamin Charles Watson)
を診る。通常のチェックは7分で済むというと看護師の
フライデー (Eve Gordon)はダンスミュア先生ず診断済み
だという。手順では外科医もチェックすることになって
いるという。耳の感染症だとするとマシューは音がくぐ
もって聞こえるし耳鳴りがするという。フライデーは
抗生物質を処方したと語る。しかしショーンはMRI検査を
しますと語る。どこが悪いのか?というマシューにハッキリ
分かったら知らせるとし怖がらせたくないのでと語る。
ショーンは次の患者・キャロル (Rebecca Garcia)のベッ
ド脇で経過観察していた。そこにアーロンがやってくる
と何をしているのかと問う。おなら待ち・・患者には
腸内ガスではなく砕けた表現でおならだと言っていると
語る。
■Impression
前回韓国ドラマに関する言及がないと書いてしまいました
が冒頭で書かれていますね。
「Based on the Korean Braodcasting System television
series by Jaebeom Park」と。
説明は省かれているけど今回から病院の近くに住んでいる
ということで良いのかな。バスでいける距離の所に住んで
いるみたい。前回は空港のシーンが有ったからね。
今の所ドラマでは分かる人にだけショーンの活躍が分かる
ようにもなっているが、この人の高次自閉症とは環境の変化
に、こうも対応出来るものなのか。今の所融通が利かない
ところを除けば利点ばかりが目立っている気がする。
幾ら不条理な展開になろうともそういうところでバランス
が取れているところも有るのだろうし、何よりも彼の活躍
に対して見て居る人は見てくれている所は良い感じかな。
後になって効果は発揮されていくと思うから。
意外とドラマでは本音で語り合うシーンが多く上司や部下に
関係無く忌憚のない態度で意見することが多い。
これはアメリカっぽい描写の一つでも有るのかな。
ショーンが自閉症だということも有るのだけど、
アーロンとアンドリュース、そしてメレンデスの間でも
権力を行使するだのなんだの言ってもそれが容易には利か
ないところも有るし、細かい駆け引きのような形にも
なっている。
ショーンは患者に対しても上司に対しても感情とは無縁に
事実をズバズバと語ってしまう所が有る。”空気を読む”と
は日本ではよく使われる言葉だけど、それが出来ないのが
この症状の特徴か。
昔はガンの告知だけでも本人に伝えなかった時代があること
を考えれば、進歩的になった感じだし真実を語ることだけが
全てではないことは明らかなんだけどね。
ドラマの中では「法務部の方針は患者に出来るだけ惨い真実
を伝えろだ」vs「オペする患者を脅しても意味は無い」
とする葛藤が有って、病院とはなかなか一筋縄ではいかない
ところのようだ。
■皮肉かウソか
皮肉と嘘の違いに関して、時々ドラマでもそんなやりとり
が行われることがある。
例えば「BONES」のブレナン先生はジョークと皮肉の区別が
付かなかったが徐々に学んで行き最後はBONESジョークが
炸裂して分かる人には分かる(本人ばかり)ネタで微笑んで
いたシーンが何度となく有った。
ショーンは言葉通りに受け取るところが有るけれど、その
使い分けは出来ているような印象も有る。
今の所ショーンが対峙している相手は直属の上司である
メレンデス医師だけど、実際には過去の自分や弟のスティー
ヴと経験してきた事への葛藤でも有ることが分かる。
何度となく過去の回想シーンが出てくるが、今回のフラッシュ
バックでは「生きる為に必要な嘘」と称して寄付金詐欺的
行動を見せていた頃の嘘と対比するような流れも有り、
「我が儘の為についた嘘」なのかどうかの見極めがある。
また弟が転落して病院につれて行く流れと連動したように
して子供の患者に対する拘りを見せていた。
ショーンは上司から雑用をしろと言われ、それが遅刻
に対する罰なのかと問うも「違う」と否定される。
彼は何の反論もなく受け止めた。ただその裏に有るメレンデス
の本質をくみ取っていたようなシーンでも有った。
彼は傲慢な人物。そういう傲慢な人
■責任に対するリスク
今回は何よりも発言や行動に対する責任が伴うシーンで
幾つかの対比が有り面白さに繋がっている。
例えばアーロン vs マーカスは病院長の座を争っている身
であり、アーロンはショーンの力を信じて彼を雇うことでの
重大なミスを生じればアーロンは辞任することを条件に
この病院でも受け入れられることになった。
マーカスにして見ればショーンを現場で活用するのはリスク
でも何でも無い。ただし彼は外科医としての責任者ではある。
ただ会議の場では役員たちの前でアーロンが発した言葉の
効力の方が強い印象が有る。
またメレンデス医師が「偏見」と称してショーンを使わない
ことに関して、今でも懐疑的に思って重要な役割を与えて
いないのは確かである。ただ彼はアーロンから病院長としての
権限を行使されても私のチームだから責任がのし掛かるのは
自分だとして決断の尊重を求める。
更に今回はレジデント同士でも葛藤が有った。
責任に対して、腎臓摘出のアイデアをメレンデスに提言した
のはカルーであることに間違い無い。その事にクレアは
怒っていたが、発言した人にかかる責任の方が発案した人
よりも大きくのし掛かってくるのは事実である。
「成功すればショーンの功績、失敗すればオレの責任か」
としてクレアに反論していた。そしてそのクレアにも
自分が偽善者でないのであれば患者に真実を伝えろと要求
する。患者の意見を尊重していたら結婚式には出られない
ところだった。
細かい所ではフライデー看護師もそういう流れに一枚絡んで
いる。発言者・決定者が責任を持つ者だけど、「医者は看護師
の話を聞かない」と嘆いていたものの、いざ医者のように
発言することで検査が必要な相手を見逃すことによる責任は
彼女にかかってくる。まぁ更に責任を辿ればそこにはメレン
デスが下した命令が有る訳だが・・
■患者
・ミッチェル・ブランド (55歳)
前立腺摘出手術後1日が経過した患者。
「脚が動けるかどうか?」というやりとりだったけど、
実際には「立てる(勃起する)」というやりとりだったことを
考えれば翻訳はちょっと不自然ではないか?
・ステファニー・ウィリス (42歳)
悪性腫瘍が広範囲に広がっているガンの末期患者。
夫は2年前に交通事故死。
一人息子のマークが結婚式を挙げるので手術の2週間の
延期を申し出るが却下される。
開腹手術をして腫瘍を摘出しようとするが腫瘍は完全に
腹部大動脈を覆っており、動脈壁に浸潤している。
切除するには生検で浸潤範囲の特定が必要。
カーリー (Jasika Nicole)の元にその検査を急ぐように
説得して取ってこいと言われたショーン。
結果として平滑筋肉腫というもので手術しないと余命
数ヶ月。ただ手術しようにもあまりに大きくて動脈
などの確認が出来ない状態。
凄いことに正常な腎臓を一個邪魔だから切り取ってしまい
その空いた場所から上手いこと病巣を取り除くことに成功
した。アイデアを出したのはショーンだったけど、それを
伝えたのはカルーだった。そのお陰で無事に手術は成功した。
・マシュー
耳の感染症で耳鳴りのする患者。色々と検査を指示したこと
で、単なる感染症で検査を出したことにメレンデスが気がつ
いていく。
・キャロル
鼻中隔湾曲のオペ。
退院までに腸管の動きを確認しているとしていたけど鼻の
手術でも腸管と関係があるのか?盲腸なら分かるんだけど・・
ショーンは腸内ガス/おならが出るのを待っているとしていた
けど若い女性相手にちょっとデリカシーは足りない(笑)
しかも彼、ニオイには敏感です。前回は雨のニオイをよく
覚えていましたよね。
・マーティーン・ラダフ (John Murphy)
10歳の少女。お腹が痛いとしてやってくる。
両親も同行して来るが父親のジェリー(John Murphy)
は、「腹痛なんてよくあることで学校に行きたくないから
仮病を使った」のだとして面倒くさそう。母親の
セシール (Meghan Gardiner)は夫のサボり癖が付いた
と語る。
色々とまたDダイマー、乳酸、アミラーゼの検査を
しようとするが、メレンデス医師は病気のベクターは親
だろうとしこれはキャリアだという。何のことかと思え
ば、両親の喧嘩が原因であり神経性のものだろうとの
こと。
検査させるのを止められそうになっていた。
時間はかかるし費用もかかるからね。
ただ検査したお陰で異変に気がつく。
午前1時にラダフ家に行ってドアを叩いていた。
腸捻転の手術。フライデーの命令を破って執刀しようとする
が、既に命令された”今日”という日は終わっている。
しかしいざ執刀という時には憎きメレンデス医師が来て
ご苦労さんと。ただしここで意外にもアンドリュースが入って
来て対等に扱うよう命じる。流石にメレンデスも直属の上司に
は逆らえないか。
・老人
腕の皮膚の縫合をしていた。検査が必要だとしてその
原因は皮膚にあるとするが、82歳だからシミが出来て
いるだけだと看護師。
決定権はショーンから看護師のフライデーになっていたので
検査をさせることはなく縫合だけだった。
・トレヴァー (Darrin Baker)
嘔吐した吐瀉物をビニール袋で持ってきて何か色が
違うだろうと心配性の患者。
看護師のフライデーが思わずゲロに普通の色があるのか
と突っ込んでいた。
ショーンはニオイに敏感なんだぞ。ゲロのニオイなんて嗅い
だらどうなってしまうのか。
■過去についた嘘
今回のタイトルにもなっているMount Rushmore(ラシュモア山)。
ラシュモア山国立記念公園は、アメリカ・サウスダコタ州
キーストーンに有り、ジョージ・ワシントン、
トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、
エイブラハム・リンカーンの4人の大統領の彫像が花崗岩に
彫られている。
過去のスティーヴとショーンは嘘はついたが、本当に彼らは
社会科見学で行くべきハズの所に、金が無くていけなかった
のではないか。見学に行くよりも食料の金を優先する他
無かったから。
「本当の部分は有る?」
「ラシュモアには行かない」
■etc.
■Used songs
・Take Care by Beach House
■Cast
Dr.ショーン・マーフィー (Freddie Highmore) 自閉症でサヴァン症候群
Dr.ニール・メレンデス (Nicholas Gonzalez) 外科の主治医
Dr.クレア・ブラウン (Antonia Thomas) 研修医
Dr.ジャレッド・カルー (Chuku Modu) 研修医
ジェシカ・プリストン (Beau Garrett) 院内弁護士
Dr.マーカス・アンドリュース (Hill Harper) 外科医の最高責任者
Dr.アーロン・グラスマン (Richard Schiff) 聖ボナべントゥラ病院の院長
アレグラ・アオキ (Tamlyn Tomita) 副院長、財団の責任者
若い頃のショーン (Graham Verchere)
スティーヴ・マーフィー (Dylan Kingwell) ショーンの弟
カーリー (Jasika Nicole) 検査技師
フライデー (Eve Gordon) 看護師
ステファニー・ウィリス (Nancy Stone) 42歳、悪性腫瘍
トレヴァー (Darrin Baker) 嘔吐し心配性の患者
ジェリー・ラダフ (John Murphy) 父親、サボる時有り
セシール・ラダフ (Meghan Gardiner) 母親、美人
マーティーン・ラダフ (Britt Loder) 10歳、腸軸捻転
ミッチェル・ブランド (Rocky Anderson) 55歳、前立腺摘出
マシュー (Benjamin Charles Watson) 耳鼻咽喉の病気
Dr.パーク (Lucia Walters) ER医師、ステファニーを診る
キャロル (Rebecca Garcia) 鼻中隔湾曲のオペ。腸内ガス待ち
(Hannah Pederson) 看護師・ブロンド
(Aadila Dosani) 看護師
(Vaughn Clements) Friendly Neighbor
(Peter Hall) 農家の主人・回想シーン
(Gaalen Engen) 農家の主人、回想シーン
(Robert Corness) 82歳老人・患者
(Zahf Paroo) 麻酔専門医
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