アストリッドとラファエル2 Astrid et Raphaëlle 第2話 イレズミ Irezumi

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アストリッドとラファエル2 文書係の事件録
(Astrid et Raphaëlle) 2021 , FRANCE

制作/FRANCE TÉLÉVISIONS、JLA PRODUCTIONS
、Be-FILMS
、RTBF (Télévision belge)
原作/
制作/Alexandre de Seguins、Laurent Burtin
プロデュース/Jean-Luc Azoulay、Jean-Sébastien Bouilloux

https://www.nhk.jp/p/astridetraphaelle2/ts/3LZ776G9GZ/

第2話 イレズミ Irezumi

脚本/Kit Wong、Laurent Courtiaud
監督/Frédéric Berthe

【STORY】

■銭湯 / 事件現場

タケシ・キムラ (Hiro Uchiyama)は広い浴槽に入る。
外には三人のボディガードが居たが、何れも暑くて
耐えられないと愚痴る。そうしている間に三人は突然
倒れ仮面を被り、体に入れ墨をした男が短刀を抜いて
入ってくる。キムラはその姿に驚くがその暗殺者は
彼を刺す。

「そんなはずはない・・」

■フランスの街中

アストリッドとラファエルは出社するまでの間歩き
ながら会話する。
来週には犯罪資料局に新しい局長が任命されること
になっていた。

「辛くはないのか?」

ガイヤールはアストリッドにとって大切な人なのは
ラファエルは誰よりも知っていた。しかしアストリッ
ドは素っ気なく「死んだので仕方がない」と呟く。

タナカ(Akihiro Nishida)が経営する日本食材店の
前を通り限るとラファエルは挨拶していくかどうかを
尋ねる。しかしアストリッドの返事は決まって、

「買い物は月曜で、本日は火曜です」

という。一度だけ火曜にラファエルと入った事は有った。

■犯罪現場

現場には警察官や鑑識で騒然としていた。
遺体は浴槽内で刺されてそのまま湯の中で死んでいた。

調査していたフルニエに現状を聞く。

死因は出血性ショック。お湯で温められて出血が進行
した。多少の苦痛は和らいだかも知れないが、
それでも死ぬまでに時間はかかった筈だと語る。
これは余程の恨みなのか。
アストリッドは被害者の指のことを指摘する。
小指が切断されている・・これは「指詰め」。

アストリッドによると「ユビヅメ」とは日本の言葉。
状況証拠から見てこの人は自ら指を切断したのだろうと
語る。「ヤクザが行うケジメの儀式」
フルニエは日本のマフィアと言ったところかと語る。
ヤクザの体はタトゥーで覆われているが被害者には
少なくとも正面にはないこと。
それを聞くて鑑識課は遺体の背中側を見ようとする。

「指爪は関節の部分を切断する。どの指でも構わない」

・ボディガードに話を聞く

ラファエルは外にいたボディガード(Norman Paraisy)に
話を聞く。しかし彼はまるで状況が分かっていなかった。
いつも通りの朝、キムラを送って来て待機していたら
突然意識を失った。時間は9時から9時半。

制服警官(Sébastien Lozach)が規制線のところで男が
入ろうとするのを止めようとする。
すると彼はケン(Kentaro)というキムラの護衛の一人で
あり、彼らは二週間前に来た臨時雇いであることを
告げる。アストリッドはケンの胸を見てタトゥーが
刻まれているのを知りヤクザの方であるとラファエル
に告げる。

●回想シーン

アストリッドは今朝のラファエルと一緒に歩いて居た道
を通りかかると14歳の頃のことを思い出す。

タナカの店で買い物をしていた時の事。
タナカは父親と付添なしで買い物に来たことに驚く。
そして彼女が買い物後にお礼をした為に、タナカは
日本語について正しい使い方を少しだけ説明する。
それは敬語についてのこと。
それらは明確な使い分けが有り、3つの種類(尊敬語・
謙譲語・丁寧語)がある。
状況に応じて使い分けるのだとし、アストリッドが
使った言葉はまるで殿様相手に使うような言葉であった
と指摘する。しかしタナカは14歳の子を相手に余計な
話だったとするが、彼女はもっと聞きたがる。

そんな過去が有り、タナカとの事を思い返すも、店内
には入らなかった。

■パリ警察署 / commissariat de Police

ニコラは今回の”マラー”について調べたことを語る。
ラファエルはマラーではなくキムラだとするが、
浴槽での殺人はフランス革命が有った1790年代での
シャルロット・コルデーに暗殺されたマラーと同じ
でジャック=ルイ・ダヴィットの絵画としても知られる
「マラーの死」であることを告げる。
ラファエルがコルデーに暗殺されたマラーについて言及
したのでニコラはフランス革命に興味が有るのかと問う
が、彼女は自分にあるのは警察魂だけであり、歴史で
有っても殺人事件の方に興味があるという。
カエサル・・アンリ四世・・リンカーン・・そして
マラーだと。

被害者はタケシ・キムラ。
日本の由緒ある家柄の一人息子で、死んだ父親が
1980年代にフランス画廊を買収して美術品の輸出入
で成功し、自社ビルを所有するほどの大企業になった
こと。アルチュールは臨時の護衛は三人とも前科は
なく不審な所はない事を告げ、逆に日本人のケンは
出所し立てであることを語る。しかしケンが戻るのが
分かっているのに三人もボディガードを雇うのも
変ではないか? 一体何に恐れていたのか?という疑問
が浮上する。

・取調室

ケンから話を聞く。
ボスが恐れていたものは何なのか。
特権階級が護衛をつけるのは一種のステータスだと
いう彼に対して、ラファエルは侍を引き連れた殿様
と同じで、あなたはキムラにとってお飾りだったのか?
刑務所に入り箔が付いたであろうこと。
しかしケンは刑期一年を食らったのは「個人的なもめ
ごと」であると告げる。

「出所後に再びあなたを雇った理由は何か?」
「20年仕えて深めた絆が有る。」
「今朝一緒ではなかったのは葉巻を買いに行かされて
いたからだ」

と語る。

■犯罪資料局 /
Service de Documentation Criminelle

書庫から資料を見つける。
キムラのボディガードが一年服役した傷害事件の
被害者は画家であり、事件後キムラ画廊に作品が
展示されていること。キムラもケンの事件に関与
しているのか?と思われるが、ケンは自分の責任を
全面的に認めていた。
「個人的なもめ事」。
被害者の画家の作品がどれも破格の値がついていたのに
事件後殆ど売れず相場は急落している。
普通は買い手の好みの変化でも、この場合芸術的な価値
とは無関係である。何か理由がありそうだという
ラファエル。

【感想】

今回はタイトルからして日本色の強い内容だろうと思って
いたけど、ヤクザに留まらず、それを発端にして日本
の礼儀作法などに触れる内容だった。

皮肉なのは礼儀作法がヤクザの事件に於ける流れの
中で出て来ることなのかも知れない。ヤクザの論理は
ある意味日本作法に於ける原理主義的なものが今なお
語り継がれているのか。

元々アストリッドは日本の食や文化に興味を持って
いる設定なので、事件の捜査でも意図して多くのことに
関わらせる。

彼女にとっての日常ルーティンは、日本が順守する
時間を守る生活習慣と類似する点が多いのかも知れないし
日本が他人と接する際の杓子定規な対応は彼女にとっては
心地よいものとして映るのかも知れない。

日本を含め多くの視聴者はヤクザに関して
これまでの人生の中でヤクザと関わり合いを
持ったことがある方はどのくらいいるのか。
特殊な状況でもない限り、間接的なことを除いては
一生関わり合いがなく過ごしているようにも思える。

昔は映画で任侠ものが多かったので、そこから得る情報
からイメージ抜粋されたものが全てではないか。

興味深い流れが幾つかある。
シーズン1では存在感は曖昧だったけれど、シーズン2に
入って大きく扱われる可能性を感じるタナカの店を中心
として生まれるコミュニティの形成だ。
そこで働くテツオとアストリッドの関係に期待の目が
注がれることは勿論の事、感情の感覚を理解するのが
難しい彼女がテツオとの関係を通して「情」に触れて
いって欲しいことだ。

ラファエルと検事とニコラの件もそうだけど仕事以外の
私生活の流れの中でどれだけ人間関係を形成していくもの
なのかは注目される。

また今回のサブタイトルはtatooでもtatouageでもなく
irezumiである。

ヤクザが一連の事件に何ら関係があることを示唆する
ものだが、被害者本人はヤクザ業にどれだけ関わり
合いがあるのか分かっていない。
80年代のフランスはヤクザ天国で縄張り争いが激化し
そこで生き残ったのがキムラが属していた日本最大
の広域指定暴力団・ヤマガキ会だという背景が存在
している。
先代のことまで含めると、被害者の事件とのかかわりは
無限に広がってしまう可能性はある。

そして何よりも今回は二つのものを比べた際に、
どちらがその人にとって優先されるべきことなのかと
いうことを色んな場面で取捨選択させていることだ。

下にも言及するかも知れないが、今回はヤクザが
友情と仕事上の義務のどちらを取るかの選択がある。

また警察でもないアストリッドがラファエルに頼まれた
事とはいえ単独で事情聴取するようなシーンが有る。
ラファエルは怒っていなかったがアストリッドに対して
「反則」「違反」などの言葉を使う。
しかしアストリッドはそれ以上に日本の「礼儀」「習慣」
を優先し、「断るのは失礼」だとしてその都度日本文化
を尊重する行動を取っていく。

■事件・捜査に関して

複数人のボディガードに囲まれる状況下で、元ヤクザ
のタケシ・キムラが浴槽内で殺害される。キムラの護衛
を担当していたケンはあるいざこざで刑務所入りし、
出所したばかりの身であること。
死んだキムラの父親は80年代にフランス画廊を買収し
美術品の輸出入で成功した人物で大企業の資産家でも
有った。

●被害者

・タケシ・キムラ
父親が元ヤクザで画廊の販売・取引で財を成した人物。

・風呂の浴槽に居たところで何者かが短刀でキムラを
刺し殺した。

・殺害の手口は完全にヤクザの報復

・キムラは生前女好きだった。

●状況証拠から調べるべき流れ

・マネーロンダリング

ゆうちょ銀行などの口座を有していると、定期的に確認
を求められるやつ。
画廊はヤクザのフロント企業で、そこで売買される
美術品は資金洗浄に使われているのではないかとの疑い
が浮上する。

(後に日本への送金が激減していることが判明)
(ケンのスマホを見れば殺害の前日と当日に日本と連絡
を取っていることが判明)

・被害者の妻・ヒトミ

家の中に通された際に囲碁の対局が行われていた形跡
がある。
夫人はケンと夫の関係は知らず、ヤクザ家業についても
知らないことを口にする。

・囲碁

事務所とキムラ邸では囲碁の対局が行われていた。
黒の碁石はキムラ社長のもの。

・ヒロ・モラン

木村画廊で働いている人物で囲碁を嗜む。
キムラとケンが二週間前に言い争いをしているのを
目撃・証言している。

・パリ近郊で起きたヤクザ絡みの事件

アメリカ誌がヤクザの国際犯罪を取り上げるのを目に
したことはあるけどフランスではどの程度の存在感
が有ったのだろうか。どちらかというとイタリアン
マフィアの方がアメリカ映画を見ていると目につく。

●ミシェルの店

今回のラファエルは日本の礼儀作法に詳しいアストリ
ッドに一部丸投げしたシーンがある。

事情を聞くために、当初はミシェルの店で行おうとして
いたが、アストリッドとしてはタナカの店の茶室で
やることを望む。
こういう頼みをする時には電話でするものではなく、
直接話し合いをして交渉するのが礼儀だとして、
タナカの店を訪れる。

「月曜日が買い物の日」

それ以外に訪れることはないラファエルにとっては
「例外」的なことだ。

1話の時に彼女自身の行動に関して言及されていたよね。

誰も好き好んでヤクザと関わりたくないのでタナカの店
も迷惑がかからないかとヒヤリ。

●テツオ

ルーティンとは違う行動を取れば、違う光景が見られる。
アストリッドにとっては初めて目にした相手。
普段は月曜日にしかいかないタナカの店に水曜日に行くと
テツオという人物が働いていた。

テツオはタナカの甥。

叔父からアストリッドのことは聞いているとのことで
色々と以下略として話はとんとん拍子に進む。

茶室でその日にヒロから話を聞くことが出来た。

店の中では幾つかの日本語が有ったけど、最小限の
挨拶と対応程度のものだった。

●「友情と務め」

日本人らしいと見るのか、任侠の論理でしか測れない
ものなのか。
友情と言ってもどれ程までに関係を築いていたものなの
かは不明だ。

■事件解決に向けて

a)

キムラは自分がいずれ狙われることを知っているかの
ように、ある切り札を持っている。

「マネーロンダリング」に関わっているもののリスト。

カウンタータイマーが用意されていて、毎日それを
リセットしないとマスコミなどに自動的に公表される
ような仕掛けが施してある。

b)

25年前(1995年)にある事件が有った。。
1995年7月23日にプールで溺死した人物。
現在その男は共同墓地・ティエ墓地に埋葬されている。
名前が分からない為にCE99の13の墓碑の下に埋葬され
ていた番号で扱われている。
当時被害者が溺死したプールには酒瓶が2本あり
ビンに付着した不明の指紋・DNAが一名特定されて
いなかった。

c)

25年前に殺されていた人物にはタトゥーが彫られている。
伝統的な手彫りで束ねた針を刺す。
痛みも修行だとされる。
タトゥーは少しずつ増えていき、それが人生そのもの
となる。故にタトゥーを見れば何をしてきたのか
知る人は知る。

d)

キムラ邸の額に入った当時の写真。
そこに映っていた写真は4人。
ケンと25年前に殺された男(アキラ・イチイ)、キムラ
とナタリー・ラフォン(画家)。

■結論

キムラはナタリーが好きで、ナタリーはアキラが
好きだった。アキラはヤクザを辞めたがる。

キムラたちはアキラが辞めて新しい人生を歩むこと
を喜ぶものの、やめさせるということを身内は
許すはずもない。

「ユダの接吻 Judas Kiss」
(作:ジョット・ディ・ボンドーネ Giotto di Bondone)
(1267年頃-1337年1月8日)
を引き合いに出して祝福するふりをして殺害した。

ナタリーには子供がいる。
キムラとの子供であるのがヒロ・モラニだった。
その彼が復讐の為に父親を殺した。

彼はキムラによって可愛がってもらっていたが、
過去に起きた恋愛事情も相まってキムラに殺害された
ことを許せずにいた。

その後墓の前で自害しようとしていたが、ラファエル
たちがそれを止める。

■その他

●日本の礼儀作法

主に他人に対するお辞儀のこと、言葉遣いのことが
引き合いに出された。

・お辞儀は角度により三段階の使い分け
・敬語に対する三つの使い分け

●囲碁の対局

囲碁はルールを知らないので何とも言えない。
五目並べはよくやったけどね。
アストリッドによると、

「対局の碁盤は勝負がつかない「コウ」の形だった」
「その内均衡が崩れて勝負がつく」

●刀

「小型の探検」「懐刀と長い太刀」「脇差し」

●ニコラ、どうするんだ!?

今回ラファエルがビッチさを発揮。
検事との関係が修復しそうだし、何よりもあれだけ
苦労した部下たちが調べた捜査資料を出世に使えば
いいとばかりに検事にそれを渡して二人は良い雰囲気
になる。

●ガイヤールとの別れ

アストリッドは最後に日本式の追悼をしていた。
オフィスの庭。
ただ何もないところにお線香をたくのは相当危険な感じ
にも見えたけどね。

【SOUNDTRACKS】

・The Angel by DeLaurentis

【出演】

アストリッド・ニールセン (Sara Mortensen) 犯罪資料局・文書係
ラファエル・コスタ (Lola Dewaere) 刑事・警視
ニコラ・ペラン (Benoît Michel) 刑事
カール・バシェール (Jean-Louis Garçon) 刑事・警視正
アラン・ガイヤール (Geoffroy Thiébaut) 犯罪資料局・局長
アンリ・フルニエ (Husky Kihal) 監察医
アルチュール・オンギャン (Meledeen Yacoubi) 警部補
アンギュス・ニールセン (Aliocha Itovich) 父、警察官

ジュリアン・フレデリック (Julien Frédéric) 鑑識課
エステバン・アセギャ (Vincent VARINIER) 鑑識課

ラヴィナス (Richard Gotainer) タトゥー鑑定
ケン (Kentaro) ヤクザ
テツオ・タナカ (Kengo Saito) タナカの店
ヒロ・モラン (Vibol-Joseph Sok) ナタリーとアキラの子
14歳の頃のアストリッド (Sylvie Filloux)
タナカ (Akihiro Nishida) 店主
ラプラス (Laurent Lévy) 犯罪資料局、眼鏡
(Solange Milhaud) 犯罪資料局 (回想シーン)
ナタリー・ラフォン (Claude Lecat) 画家、アキラの元恋人
ヒトミ・キムラ (Mariko Aoyama) タケシの妻
タケシ・キムラ (Hiro Uchiyama) 元ヤクザ、女好き
(Norman Paraisy) ボディーガード
(Tan Win) 暗殺者
(Sébastien Lozach) 警察官

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