September 30, 2012
第11話 町への侵入者 The Outsider
監督/David Solomon 脚本/Andrew Chambliss、
Ian B. Goldberg
——————————————————–
“ここからストーリーブルック”。
町境の境界線にゴールドは車に乗ってやってくる。車のトランク
には赤い帽子を被ったウィリアム・スミーが縛られていた。
スミーはゴールドに懇願しオレのことを”押さないで欲しい”と
語る。町の境界線を越えると記憶が失われるというのは住民たち
にとって周知の事実だった。ゴールドはお前がベルをトロッコ
に乗せて記憶を消そうとしたのだろうとして、その罰を与えよう
とする。ゴールドはスミーに対してこの帽子を常に身につけて
いる理由は何かと問うと、昔祖母が編んでくれたもので、幸運
をもたらす帽子なんだという。するとゴールドは魔法を帽子に
振り掛けた後スミーにその帽子を被せると彼を境界線から外に
突き飛ばす。
“お前の名前は?—ウィリアム・スミー”
“私の名前は?—ルンペルシュティルツキン・・闇の王だ”。
どうやら我々の実験が成功したようだとして、境界線を越えて
も記憶を失わない方法を見つけたゴールドは旅の準備をしな
ければならないと語る。
メアリーたちは、アーチー(ジミニー)の葬式を行う。
メアリーが代表として墓の前で弔辞を捧げる。
「あなたは私たちの真の友だった。この世を去った今も私たちの
中で生きている。正しい事をして信じる道を進めと教えてくれた
人。今日は別れではなく彼の言葉を忘れないと私たちが誓う日で
ある」と語る。マルコ(ゼペット爺)は古い友を失って悲しいと
告げる。
アーチーはその頃フック船長の船の船底によって閉じ込められて
いた。フックはアーチーに対して患者としてゴールドとは
色々と接して話を聞いているだろうとし、ヤツの”短剣は何処だ?”
と問う。アーチーは短剣など知らない事を語ると、それならば
“彼の弱みは何だ?”と問う。言わねばコオロギの頭でもチギッ
て遊ぶぞ、この虫けら野郎!とフック。
ベルはゴールドに電話で呼びだされて店にやってくる。
電話では話せないことって何なのかと問うベルに、記憶を
失わずに町を出られる方法を見つけたのだという。このクスリ
を使いその人にとって一番大事なものに振り掛けて身につけて
いるとお守り代わりになるのだという。そして境界線を越えて
も記憶を失わないのだと。ゴールドはこれから息子を捜しにいく
と告げると、ベルは貴方にとって大事なものは何なのかと問う。
するとゴールドはショールを取り出し私の唯一持っているベルファ
イアのものだと語る。その旅に私はついて行けないのかと問う
ベルに対して、本当は来て欲しいがクスリが一回分しかない
のだという。そして何よりもこれは私がすべき旅なんだと
語り、自分一人で行かねばならないものだと語る。
— 昔 —
人々が集まる酒場ではアリステアが客達に話しかけていた。
ここから遠い国で暴れている野獣がいること。目は炎に包まれ
ており、名前はヤオグァイという野獣。今まで誰も倒したことが
ない事を告げ、俺たちが倒すのだという彼は、討伐隊を結成する
ので勇者を募集するという。ドリーミー(リロイ)は酒場にいる
ベルの元にやってくると、冒険がしたいのではないかと問う。
ドリーミーはベルに対してお礼を言いたい事を告げ、君の
アドバイスのお陰でノヴァと駆け落ちすることを決めたという。
君もあの討伐隊に参加したいのだろうと問うと、ベルは確かに
私には英雄願望が有るが、好きな本に没頭している方が安全
なのかも知れないと語る。本の物語の全てはハッピーエンドだ
と。しかしそんな彼女にドリーミーは行くべき事を告げ、
お守り代わりに”妖精の粉”を渡す。ベルは魔法って良いものじゃ
ないとするが、ドリーミーはベルは闇の魔法を見たからそう
思っているだけで妖精の粉は良い魔法だと語る。
— 現在 —
町の時計台では12時5分を経過していた。
ストーリーブルック図書館・まもなくオープンとの垂れ幕が
掲げられる中、ベルは図書館で開館の準備をしていると、
そこにはフック船長の姿が有った。あなたは悪い女王の城の
牢獄に押し入ってきた人だとし、ルンペルを殺しに来たのかと
問う。しかしフックはあんたに用があって来たのだというと
ベルは彼の手から逃れ、本棚を倒してフックを下敷きにし、
エレベーター内に逃げ込む。すぐに携帯でゴールドに助けを
求めるがエレベーター内は電波の通りが悪く、ゴールドに
きちんと伝わったかどうか怪しかった。手がフックの男に
襲われかけた・・・助けて欲しいと告げるベル。
— 昔 —
ベルは討伐隊に参加していた。
一緒に勇士たちと旅する中、ベルが本を読んでいるのを知る
男たちがベルをからかう。本で化け物を倒すつもりなのか?と。
この本にはヤオグァイの見つけ方が掲載されているのだとし、
私は違う国の言葉を翻訳出来るのだという。男たちは怪物
はどこにいるのかと問うと、本には湖の傍だと書かれているという。
先頭に立つクロードに湖に向かおうと告げる中、ベルは馬車から
突き落とされる。しかし実際に本に書かれていたのは、
「ヤオグァイは他の動物と比べて山の中を好むこと。日中は
巣穴にこもり夜に狩りをすること。」
ベルは一人でその巣穴のある森へと向かう中、ヤオグァイに
よって襲われそうになる。それを助けたのはムーランだった。
ムーランは何週間もかけてヤオグァイを見つけ出したのに、
お前のせいで水の泡だとしてベルのことを非難する。ベルは
私がまたすぐに見つけてあげるとするが、助けた礼をしたい
のであれば私には関わるなとしてムーランは立ち去る。
— 現在 —
ベルの異変に気が付いたゴールドが図書館まで助けにやってくる。
既にフックの姿は無く心配するなとして彼女をエレベーター
の中から出す事に。
一方ヘンリーはアーチーが亡くなった事と、それを行ったのが
レジーナだと知り意気消沈していた。エマはベッドの上でで
ボーっとしているヘンリーに食事でも食べないかと声を掛けるが
今は食べたくないという。
グラニーの店。
リロイたちドワーフらはメアリーに対して、ずっと気になって
いたことが有るとして、ドワーフの代表としてメアリーから話
を聞く。いつ「魔法の森」に戻れるのか?ということ。俺たちの
故郷だという彼らに戻りたいのかと問う。苦労して出てきたこと
を告げ、危険を回避してきたことを告げるが、レジーナのした
ことを考えればここも安全ではないと言われる。エマたちはレジーナ
は必ず見つけると約束するが、呪いは破れたことで懸念すべきこと
は出てきたのだという。町の外には俺たちのことを理解しない
人たちが大勢住んでおり、外のヤツラがこの町に来たらどうする
のかということ。ルビーもまた外の人が魔法を目にしたり、私が
狼に変身したら理解出来ないだろうと語る。
あくまで可能性の話で外から人が来ることはないかもしれない
こと。それでも心配が消えないのは確かなことだというリロイ。
俺たちは実はホームシックなんだと語る。
——————————————————–
呪いが解けたことでストーリーブルックの町には記憶の壁こそ
あるものの、出入りすることは可能になり、おとぎの世界の国
から来たものたちへの”特性”を理解出来ない現代人との間で軋轢を
起こす可能性に言及される。そんな中、アーチーの死をきっかけ
にしておとぎの国の住民たちの間でもレジーナなど危険な人物
が存在することを受けて再び故郷であるおとぎの世界に戻る
可能性についても視野に入ってくる。メアリーは新しいこの土地
で新たな生活を始めたいと考えていたが、デビッドを初めとして
ドワーフたちはおとぎの世界に戻ることについて真剣に考えて
いる姿が有った。
レジーナの呪いによって歪んでしまった宇宙の法則を元通りに
戻すことの是非に関して、住民達の間でも意見が分かれ始める。
自分たちは本来居るべき場所に戻ることが一番なのではないのか
というもので、自分たちが自分らしく居られるところが故郷で
あり、そこに有るのはやはりアイデンティティの問題は欠かせない
ものとして浮上してくる。
今回のエピソードのテーマとしてみれば、シーズンを通して見える
「真実と嘘」を始めとした流れと同時に、ゴールドの関係者を
通して見るその人となりの「勇気」や「希望」に触れる話だった。
人は「夢」を持つことが出来れば、勇気が生まれてくるし希望という
ものも湧いてくる。それを追い求めることへの象徴すべきものと
して「旅」することの必要性について言及されていく。
その旅の目的が復讐で有ったり、失われた過去を取り戻そうとして
足掻くことへの複雑な思いが交錯している。
また勇気が湧いてくるものの一つの要因として「大事な物・大切な物」
の存在について言及された。自分がもっとも大切にすべきものとは
一体何なのか。それを象徴するのが愛するものであるし、広義の意味で
捉えていくと、家族であるし、町の住民・仲間、そしておとぎの世界の
人たちそのもので有ることが挙げられる。
一人で旅をすることは勇気のいるものだと思う。
それを阻む物理的なものが有る時には、幾らでもいい訳が付いたけれ
ど、ついにその”境界線”の突破方法が判明する。
境界線が個々人のアイデンティティ/記憶の喪失に繋がる恐怖と同時に、
旅することへの期待感と不安感を個人の勇気の流れとリンクして
上手いことドラマを描いた感じだ。
おとぎの世界に戻る為の方法論に関しては、エマとメアリーが過去に
突き落とされたことが有るにせよ、色々とまだまだ解決すべき問題は
多い気がする。
今回はいよいよフック船長がゴールドと対決するというシーンが
訪れた。二人の間にある確執めいた因縁の関係については
視聴者は既にS2-4「ワニと呼ばれた男」の中で目にしているし
ゴールドが求めているベルファイアに関するエピソード
についてもこの中で言及されている。
驚くべきはなんと言ってもベルの性格を表す事に繋がる過去の事象に
触れたことで、これまでにイメージされていた彼女の印象が120%覆った
ことに有るのかも。常に守られてきたという印象からして、
弱々しさを感じるものが有ったけど、彼女は意外にも冒険好きで
勇気や希望を誰よりも強く持っていたという一面が有る。それと同時に
ピンチを乗り越えるだけ機転の利く頭の回転の速さと共に、問題を
解決出来るだけの博識さというのを備えていること。
ドラマを見ていると、ストーリーブルックに於ける各々のキャラクター
は、過去の自分の性格と類似するような役割を持たされているので
ベルが図書館の司書として働く事になる理由というものも、ある
意味必然的流れが有ったといったところだ。
ベルがレジーナによって幽閉されていたというシーンはエマやメアリー
たちがストーリーブルックに戻ってくる時のエピソードの中(S2-9)で
描かれていたけど、レジーナによって捕まっていたという流れは
初めて描かれた。それと同時に、ベルはレジーナから野獣を懐柔する
為に遣わされていたという辺りの興味深さというものも存在する。
過去に存在する野獣「ヤオグァイ」と、現代に於ける「ルンペルシュ
ティルツキン」が同等の存在のようにして描かれていたけど、
彼女がゴールドのことを信じることの出来る一つの要因としては
おとぎの世界で一緒に過ごして月日だけでなく、野獣「ヤオグァイ」
が持つ本来の顔というものを彼女が解き明かしたこともまた
関係しているのかも。
ヤオグァイとは中国語で妖怪とのことだけど、サッカー好きの人で
多少中国に興味を持ってくると、中国のサッカー記事の中にヤオと
いう言葉を目にする。ヤオとはそのまんま日本語でいう所の八百長の
ヤオだけど、まやかしの姿を持っていたヤオグァイと中国の少数民族
であるヤオ族を起源とする犬の王女の関係に起因するものが有るの
だろうね。
そして何よりもベルが過去の世界に於いて初めてムーランに繋がり
フィリップ王子と対面した初のエピソードであるところも興味深い。
それと同時にムーランの力や勇気を通してその魂がベルにも上手いこと
乗り移っていた感じだね。フィリップがかけられた呪いはマレフィセ
ントによるものだという。マレフィセントは既にS1-2とS1-22に登場
したキャラクターで、映画「マレフィセント」ではアンジェリーナ・
ジョリーが演じたことでも有名だ。日本語吹き替え板で
映画「マレフィセント」を見ると、レジーナの吹き替えをしている
深見梨加さんが声を充てているのも興味深いところかも。
フックがゴールドとの対決に於いてあまりに弱いので驚いたけど、
フックの目的はゴールドの中にある猟奇性を再び引き出す為だけに
来たのだろうか?自分が犠牲になることでゴールドが猟奇的姿に
なるとなればその姿を見ることが出来ないので本末転倒な感じはする
のだけどね。
“人”を許したばかりに、ネズミにはショールを盗まれ、フックには
ベルの記憶を奪われるし、とんでもない状況ですね。
それより何よりも、コーラやフックが町にいる状況の中で、ゴールド
が町から出ようとする意味が分からないぞ。
それにしてもベルのおとぎの世界での衣装が凄かった。
中世のイギリス貴族のドレス用の衣装とか胸が寄せて上げられる
ことは有るけど、今回のベルさんの胸がなんか見えそうだった(笑)
まぁ下着がある時代ではなさそうなので仕方がないのか。
そして最後に登場した車の謎。
ナンバーはペンシルベニアナンバーで2KFL138だった。
■その他
・
メアリー・マーガレット・ブランチャード (Ginnifer Goodwin) 白雪姫
エマ・スワン (Jennifer Morrison) ウソをついている人を見抜ける、ヘンリー母
レジーナ・ミルズ (Lana Parrilla) 悪い女王、元ストーリーブルックの町長
デビッド・ノーラン (Josh Dallas) チャーミング王子、メアリーの彼
ヘンリー・ミルズ (Jared Gilmore) エマの息子。レジーナの養子
アーチー・ホッパー (Raphael Sbarge) ジミニー・クリケット(コオロギ)、カウンセラー
Mr.ゴールド (Robert Carlyle) ルンペルシュティルツキン、不気味な町の名士。質屋
グラニー (Beverley Elliott) 赤ずきんの祖母、ホテルと食堂を経営。孫のルビー
ルビー・ルーカス (Meghan Ory) 赤ずきん、食堂でウエイトレス
ベル (Emilie de Ravin) 精神病棟に閉じ込められていた
— (Julian Morris) フィリップ王子
— (Barbara Hershey) コーラ、レジーナの母
修道院長 (Keegan Connor Tracy) ブルーフェアリー
— (Sarah Bolger) オーロラ姫
— (Jamie Chung) ムーラン
— (Colin O’Donoghue) フック船長
ウィリアム・スミー (Chris Gauthier) 泥棒ネズミ。赤い帽子
マルコ (Tony Amendola) ゼペット爺
— (Michael Adamthwaite) アリステア・兵士
グレッグ・メンデル (Ethan Embry)
クロード (Paul Lazenby) 黒騎士
アントン (Benjamin Sellards)
— (Carolyn Adair) Nurse
— (Julian Morris) フィリップ王子
七人の小人 (白雪姫を助けるドワーフ)
— (Mike Coleman) ハッピー
ウォルター (Faustino Di Bauda) スリーピー
— (David-Paul Grove) ドク
— (Jeffrey Kaiser) ドーピー
Mr.クラーク (Gabe Khouth) スニージー 、雑貨店
— (Mig Macario) バッシュフル
リロイ (Lee Arenberg) グランピー、何でも屋
— (Ken Kramer) ボシー